間違った対処療法
俺は翔。小学五年生だ。その日は雲一つない晴天で、クラスのみんなで近くの山に登り、昼飯を食べ終わった後の自由時間だった。しばらく友達と遊んでいると、猛烈な尿意に襲われた。すぐにトイレを探したが、男女共用の公衆トイレはすでに長蛇の列ができていた。五分や十分で順番が回ってくるとは到底思えない。
「くそっ、漏れそうだ……!」
辺りを見回すと、トイレから少し離れた鬱蒼とした林の中に、誰もいない空きスペースを見つけた。仕方ない。背に腹は代えられない。俺は人目を気にしつつ、その茂みの影へと駆け込んだ。
ベルトを外し、ズボンとパンツを一気に膝まで下げる。そして、周りに目立たないように木の幹に向かって勢いよく放尿を始めた。シュワァァァァッという音と共に解放感が広がる。ホッとしたのも束の間、突然、右足首にひんやりとした何かが触れ、這い上がる感触があった。
「うわっ!」
反射的に下を見ると、茶色と灰色の縞模様を持つ蛇が、今まさに俺の右足首に絡みつこうとしているのが見えた。驚いて飛びのこうとしたが、おしっこ中だった俺はバランスを崩してよろけてしまった。
その一瞬の隙を蛇は逃さなかった。シュルシュルと素早く鎌首を持ち上げ、俺が唯一露出させていた下半身――まだおしっこを出している途中だった俺の陰茎を目掛けて飛びかかってきた!
「ギャアアアアーッ!!」
鋭い痛みが股間全体に走った。噛まれたんだ!しかも、一番弱いであろう先端あたりを思いっきりガブリとやられた。俺は悲鳴を上げながらその場にへたり込みそうになったが、必死に堪えた。蛇は牙を深く食い込ませたまま離れようとしない。
「た、助け……!」
パニックで声がうまく出せない。激痛と恐怖で体が硬直した。
そこに、運良く(あるいは運悪く)トイレを探していたのか、同じクラスの彩夏と歩美が通りかかった。二人は俺の絶叫に気づき、駆け寄ってきた。
「翔くん!どうしたの!?」
「大丈夫!?」
彩夏が青ざめた顔で俺の足元を見て息を呑んだ。
「きゃあ!蛇!翔くんの……ちんちんに!」
歩美も真っ青な顔で「せ、先生呼ばないと!」と叫び、一目散に走っていった。
彩夏は少し躊躇ったが、「このままじゃ危ない!」と小さな勇敢さを見せ、蛇の頭を掴もうとした。すると、蛇は慌てて逃げだした。
すぐに歩美に連れられて担任の鈴木先生が駆けつけてきた。鈴木先生は三十代半ばの女性教師で、いつもは優しい笑顔の先生が、この時は厳しい表情だった。
「蛇に噛まれたの!?どこ!?」
俺は涙目で股間を指差した。彩夏が「おちんちん噛まれちゃったんです!」と訴えた。
先生は素早く状況を把握し、まず蛇の種類を確認しようとしたが、既に逃げ去った後だった。
「どくヘビかもしれないわ。すぐに手当てしないと。誰か!清潔なハンカチか何か持ってる人はいない!?」
幸い、鈴木先生自身が綺麗なハンカチを持っていた。先生は跪き、俺の股間の傷を確認した。幸い噛まれた場所は出血はしているものの、深い傷ではなさそうだった。しかし、未知の蛇であることと、噛まれた部位がデリケートな部分であることが問題だった。
「翔くん、痛みはどう?ひどくない?」
「……痛いです……すごく……」歯を食いしばって答えた。
先生は厳しい表情で言った。「まず大事なのは毒が広がらないこと。これは蛇毒だけでなく、万が一別のバイ菌でも同じ。……だから、念のために血管を圧迫して毒の流れを止める処置をする必要があるわ」
彩夏が不安そうに尋ねた。「血管を圧迫って……どうするんですか?」
鈴木先生はバッグから丈夫そうなビニール紐を取り出した。
「一番確実な方法は、噛まれた場所よりも心臓に近いところで、筋肉ごと血管をきつく縛ること。つまり……」
先生は意を決したように言った。
「翔くんの場合は……おちんちんの根元を、この紐できつく縛るのよ」
「えっ!?」俺も彩夏も絶句した。
「怖いでしょうけど、たぶんこれで毒が全身に回るのを防げるの。……それに、噛まれたのがおちんちんだから、ここ以外に縛れる場所がないのよ」
選択肢はない。先生の真剣な眼差しと、「毒が回って命に関わるかもしれない」という言葉に押され、俺は小さく頷くしかなかった。
「ごめんね、痛いけど我慢してね。いくわよ……」
先生はビニール紐を俺の陰茎の根本にぐるぐると二重三重に巻きつけた。そして最後に、「きつくするわよ!」と一声かけてビニール紐でそれを固定した。
その瞬間、股間に焼けるような激痛が走った。
「ぐぅっ!」
先生は容赦なくキュッと紐を絞り上げた。根本が完全に圧迫され、血の気が引いていくような感覚。心臓がバクバクと音を立てている。彩夏と歩美は顔を赤らめながらも心配そうに見守っていた。
「これでしばらくは大丈夫……なはずよ。問題はここからね」
先生は眉間に皺を寄せた。「ここは携帯電話も繋がらないし、車もかなり離れている。今から町の病院に行くとなると……どれだけ時間がかかるか。途中で倒れでもしたら……」
彩夏が涙目で聞いた。「先生!翔くん死んじゃうんですか!?」
「大丈夫……とは言い切れないわ。今は安静にして、私たちで車のあるところまで移動しましょう。歩ける?」
俺は苦痛に顔を歪ませながらもなんとか頷いた。彩夏が肩を貸そうとしてくれたが、さすがに女の子に体重を預けるわけにはいかない。先生に支えられながら立ち上がり、ズボンを穿いた。だが、根元を縛られているせいか、それとも噛まれた痛みのせいか、陰茎にはまるで自分のものではないような違和感があった。
俺たちは山道をゆっくりと歩き始めた。先生が先導し、彩夏が後ろから支えてくれる。一歩踏み出すごとに、縛られた陰茎に鈍い痛みが響く。最初は耐えられた痛みが、少しずつ熱を帯びていくような感覚に変わっていく。額には脂汗が滲んだ。歩くたびにズキズキと疼く。まるでそこだけが別の生き物になったかのように熱く、そして感覚が鈍くなるのを感じた。
「翔くん、大丈夫?無理しないでね」
彩夏が心配そうに声をかける。
「……ああ」
できる限り平静を装ったが、内心は恐怖でいっぱいだった。毒が回るってどういうことだ?本当に死ぬかもしれないのか?
さっきまでの楽しいハイキングが、一瞬にして悪夢に変わってしまった。
数十分歩いてようやく林道を抜けた。そこからまた舗装された道に出るまでがまた遠い。
「あと少しだから頑張って!」先生が励ましてくれる。だが、もう限界だった。股間の痛みはもはや耐え難いレベルに達していた。灼熱感と同時に、奇妙な痺れが広がっている。まるで感覚が麻痺していくような……。
「先生……もう……」
言葉にならない呻きが漏れた。歩みが完全に止まり、その場に崩れ落ちそうになった。
「翔くん!」先生が慌てて俺を抱き起こした。
「歩美!先生の車まで応援を呼んできて!彩夏はここで翔くんを支えていて!」
「はい!」
先生は俺を地面にそっと下ろすと、ハンカチを取り出して額の汗を拭ってくれた。
「もう少しよ。きっと大丈夫だから」
でもその声には微かな諦めのような響きも混じっていたように感じた。
やがて先生の車が一台停まっている場所にたどり着いた。俺は先生に抱きかかえられるようにして車に乗り込み、後部座席に横たわった。彩夏と歩美も一緒だ。
「しっかりつかまっててね」
先生はアクセルを踏み込んだ。
車は舗装されていない林道を抜けると、やがて山道に入る。少し荒れた道の振動がダイレクトに股間に伝わり、耐え難い痛みが襲う。涙が勝手に溢れてきた。ズボン越しに感じる自分の股間は、なぜか妙に冷たく、それでいて燃えるように熱い。彩夏が心配そうに顔を覗き込んでくる。
女子の前であまり見せたくはなかったが自分のチンチンがいまどうなっているのか気になり確認すると色が少し変わっていた。
「翔くん……おちんちんなくなっちゃうの?」
唐突に彩夏がそんなことを聞いてきた。先生も驚いた顔をしている。
「ど、どうして急にそんなこと聞くの?彩夏ちゃん」
「だって先生言ってたじゃん。おちんちん縛るって。もしかして、蛇に噛まれたから切っちゃうの?」
彩夏の顔には純粋な恐怖と同情が浮かんでいた。
「もしそうなったら……歩美ちゃんと私は翔くんの味方だよ!だっておちんちんないなんて寂しいもん!」
歩美もこくこくと頷いている。
俺は涙をこらえながらかすれた声で答えた。
「……大丈夫だよ。ちょっと痛いだけだし……すぐ治るから……」
強がるのが精一杯だった。本当は「切る」という言葉に背筋が凍った。そんなことになったら……想像するだけで気が狂いそうになる。
市街地に出ると交通量が増え、車はなかなか進まなくなった。先生は頻繁にバックミラーで俺の様子を確認している。彩夏と歩美は俺の手を握っていてくれるが、その温もりさえも股間の冷たい痛みと熱さの前では些細なものに感じられた。
長い長い時間が経ったような気がする。ようやく目的地である市民病院に到着したのは、陽が傾き始めた頃だった。俺はストレッチャーに載せられ、血と汗で汚れたズボンを脱がされた。露わになった俺の股間を見て、看護師たちの顔が一斉に険しくなった。鈴木先生が付き添いながら、これまでの経緯を早口で説明している。
処置室に運び込まれると、一人の男性医師が待ち構えていた。彼は鈴木先生から話を聞き終わると、俺の股間に巻かれたビニール紐を見て絶句した。
「これは……誰が?」
「私が応急処置として……」鈴木先生が申し訳なさそうに答える。
医師は眉をひそめながらもテキパキと指示を出し始めた。「まずはこの紐を……しかし、ここまで固く食い込んでいると……麻酔なしでは難しいかもしれません。すぐに準備を」
麻酔を施し、数分に及ぶ作業の末、ようやく根元を縛りつけていたビニール紐が切断されて取り除かれた。拘束から解放された俺の陰茎は、しかし見るも無残な姿だった。皮膚は紫色に変色し、パンパンに腫れ上がっている。まるで別人のものだ。
「これは……酷いな……」若い男性医師が呟いた。「先生が仰ったように、噛まれた蛇自体はデータからすると毒牙を持っていなかったと思われます。しかし……問題はここです」
医師は鈴木先生と俺の父親(急いで駆けつけた)に向き直った。
「長時間の強い圧迫により、患部の血流が完全に途絶えてしまいました。この結果、組織が壊死――つまり腐り始めている状態です」
「壊死……?」父さんの声が震えた。
「はい。このまま放置すれば敗血症などを引き起こす可能性もあります。患者さんの年齢を考えると……非常に残念ですが……」
医師は重々しく続けた。
「手術をして、壊死した部分を切除するのが最も確実で安全な方法だと考えます」
俺は手術台の上で朦朧とする意識の中でその言葉を聞いた。「切除」?何を?まさか……!
「……嫌だ……」か細い声しか出なかった。
医師は深く頷いた。「承知しました。ただ、現状ではこれが最も有効な治療になります」
次の瞬間、俺は再び麻酔の海に沈んでいった。
数日後、病室で目を覚ました。母さんが泣き腫らした目で俺を見ていた。聞きたくない問いが自然と口から漏れた。
「母さん……僕の……あれ……どうなったの?」
母さんは嗚咽しながら答えた。「……お医者さんが……できるだけ傷が残らないように……最小限の範囲で……切ったって……」
俺は恐る恐る布団をめくった。そこには確かに「ない」はずの場所に、僅かに膨らみを残した平面が広がっていた。そして、その部分は信じられないほど硬く、感覚がほとんどなかった。触れると冷たく、まるでプラスチックのような感触。鏡で確認したくても勇気が出ない。いや、見なくても分かっていた。俺の陰茎は……なくなってしまったのだ。
退院後、学校で鈴木先生と会った。先生は心底申し訳なさそうな顔をしていた。
「翔くん……本当にごめんなさい。私の判断が……」
「……先生が縛らなかったら……今頃こんなことになってなかったのに……」思わず本音が零れた。恨み言だと分かっていても止められなかった。
鈴木先生は何も言わず、ただ深く頭を下げた。
彩夏が駆け寄ってきた。「翔くん!もう学校来て大丈夫なの?」
「ああ……まあな」
「よかったぁ!……あのね、おちんちんなくなっちゃったかもしれないけど……あたし達がついてるからね!立ってオシッコできなくなるだけだもんね!」
屈託のない彩夏の言葉が胸に突き刺さる。子供だから仕方ない。生殖器官の重要性など理解していない。でも、「立ってオシッコできなくなるだけ」?違う。失ったのはそんな単純なものじゃない。男としてのアイデンティティそのものだ。
トイレではもう立ちションができない。それどころか、小便器を使うこと自体が他人の目を気にさせる。いつか来るだろう性の話題。それにどう立ち向かえばいい?将来、誰かを好きになった時、俺は一体どうすればいいんだ?
夜、布団に入っても眠れないことがある。ふとした瞬間に股間に触れると、そこに「ない」現実が突きつけられる。喪失感と孤独感が嵐のように押し寄せる。あの時の蛇、そして咄嗟の判断で陰茎を縛った鈴木先生。恨んでしまう自分が情けなくもあり、しかしその怒りを完全に抑え込むこともできない。
「なんで俺なんだよ……」
答えのない問いが頭の中でぐるぐると渦巻く。
あの日から俺の世界は変わってしまった。陽の光もどこか色褪せて見える。この先、俺はどんな未来を描けばいいのだろう。失ったものはあまりにも大きく、そして取り戻す術もない。ただ静かに受け入れていくしかないのだろうか。それとも、この苦しみを抱えたまま生きていくのか。
あれから一年が経った。季節は巡り、桜の花が咲き乱れる春。俺は中学一年生になっていた。制服のズボンの裾を調整しながら鏡を見る。顔つきは少し大人びてきたかもしれない。でも、鏡に映る自分の股間のラインは、明らかに同年代の男子とは異なる平坦さを保っていた。
あの日以来、俺の人生は180度変わった。
まずは日常生活だ。何より辛いのはトイレだった。個室に籠もるのが当たり前になり、かつて気軽に使っていた小便器の存在意義を疑ってしまう。家でも銭湯でもプールでも、人目を極端に気にするようになった。特に水泳の授業は地獄だった。去年の夏は一度もプールに入らなかった。体育の教師も事情を理解してくれたが、「体調不良」を理由にするたびに胸が痛んだ。
保健体育の授業で人体の仕組みを習うたびに胃がキリキリと痛んだ。教科書に載る男性器の図解を見るのが苦痛で仕方ない。先生が淡々と説明する精子の形成や射精の過程を聞きながら、自分の身体にはそれらを担うものが欠落しているという現実を突きつけられる。将来に向けた話題――例えば「第二次性徴」「性的成熟」「恋愛」といったテーマが教室で交わされるたびに、俺は息が詰まる思いだった。友人たちの無邪気な笑い声が、時に鋭利な刃物のように感じられることもあった。
家庭環境にも微妙な変化があった。両親は最大限の理解を示していた。しかし、その優しさがかえって俺を苦しめた。母さんは毎朝、俺の下着やズボンを選ぶ際に細心の注意を払いすぎるし、父さんは時折、遠くを見ながら「大丈夫か?」と尋ねてくる。彼らの愛情はありがたい。だが、その気遣いが「あなたは普通じゃない」と言外に告げているようで息苦しかった。兄もまた、俺に対してぎこちなさを隠せないでいる。
友人関係も変わってしまった。昔は悪ふざけで「パンツ脱げよ!」なんて言えた仲間たちも、あの事件以降はどこか腫れ物に触るような態度になった。無理もない。誰だって「お前のアソコ、実は蛇に噛まれてなくて……」なんて話題を気軽に振れないだろう。俺自身が壁を作ってしまっていた。
彩夏と歩美とは、あの後も時々連絡を取り合った。二人は小学校の卒業とともに引っ越してしまったが、今でもLINEでメッセージを送り合ったりする。彩夏は相変わらず無邪気で、「翔くん元気?私ねー最近○○できるようになったよ!」なんて報告してくる。その能天気さが羨ましくもあり、時に妬ましくもあった。「立ってオシッコできなくなるだけだよ」という彼女の言葉は、今でも俺の耳にこびりついている。もちろん悪気はない。むしろ励ましてくれたつもりなのだ。でも、その無知ゆえの残酷さは、深く心に刻まれてしまった。
時々考える。もしもあの時、先生が蛇を見たら冷静に引き離すだけで終わらせてくれていたら?もしも、縛らずに迅速に病院へ駆け込むことができていたら?結果は違っていたのではないか。そう思うと、鈴木先生への複雑な感情は簡単には消えてくれない。感謝すべきだというのは頭で分かっている。先生があの場で取れる最善の判断をした結果なのだと。でも、失ったものはあまりにも大きすぎた。恨みと感謝が入り混じったような、奇妙な感情の塊が胸の中で燻っている。
医学的なケアも続いている。定期的に大学病院で専門医の診察を受け、「リハビリ」と称して人工的な器具を使った機能訓練のようなものも勧められた。だが、それは結局、「欠けた部分を補うための努力」であり、「失ったものを取り戻す」行為ではない。補正具をつけたところで、そこにあるのは偽物であり、本来備わっていた自然な機能や感覚は永遠に失われたままだ。
そして何より、失った「男らしさ」への渇望が日に日に強くなっていく。友人とくだらない馬鹿話をして盛り上がることもできない。スポーツで汗を流しても、どこか満たされない。将来の夢を語る時も、「結婚したい」「子どもを持ちたい」といった当たり前の願望を口にするのが怖い。もし誰かを好きになったとしても、その先にあるであろう身体的な関係を想像すると怖気づいてしまう。自分の身体が普通ではないという事実が、未来への希望を根底から削いでいく。
ある晩、久しぶりにあの夢を見た。蛇に噛まれ、根元を縛られる夢。目が覚めると冷や汗でぐっしょり濡れていた。股間に手を伸ばすと、そこにはただ硬い感触だけがある。かつて確かにあった柔軟さや温度が失われたまま、まるで石のように冷たい。
「……なんで俺なんだよ」
喉の奥から絞り出すように呟いた言葉は、暗い部屋の中に虚しく溶けていった。窓の外には満月が輝いている。その光が差し込む部屋で、俺はただ静かに涙を流していた。失われたものはあまりにも大きく、そして取り返しのつかないことだけが現実として残されていた。