コピー用紙?
頼んだ荷物が届いていないことに気がついて、マンションの郵便受けを開ける。
中に入っていったのは不在票ではなく緊急断水中のお知らせと広告のチラシ。
取り出して読もうとしたら、あいだに挟まっていた封筒が落ちる。
非常用品の類いかと思ったが、中に入っていたのは『コピーペーパー』。
コピー用紙を買ったつもりだったが、紛らわしい名前のオカルトグッズを注文してしまったようだ。
それはポケットティッシュのような商品だが、水に流せるならちょうどいい。
部屋のトイレが使えないので、下に降りたついでに公園で済ませることにする。
そこは男の人向けの便器が丸見えの建物。
古いお風呂場のようなタイルの壁にオシッコをかけるスタイルだ。
余計なところを見ないようにするつもりだったが、気安い感じの声がかかるのでそちらを向く。
「よかったあ。”女同士”で。紙を持っていませんか?」
立ちションするときの台の上に、大きなお尻を丸出しにしてしゃがむ酔っ払いがいた。
こんなところでしちゃったようだが、アタシならそのまま下着を上げちゃうかもしれない。
でも普通は拭かないわけにはいかないよね。
さっき受け取ったものを1枚渡す。
彼女は足の間でゴソゴソやりながら立ち上がる。
「ありがとうございます。ホント、私たちのここって不便ですよね。」
苦笑いするこちらをよそに、彼女は出していたモノを片付ける。
男女共用とはいえ扉がない場所には似つかわしくない生意気な仕様だ。
出ていく時も”エアチンチン”を扱うような仕草をしながら独り言を言っている。
男の子の母親だったりするのか、それが妙にリアルだ。
やがて姿が見えなくなる。
めったにない体験ではあったが、別に何かに目覚めるような素質はないつもりだ。
自分も済ませようとブースの扉を開ける。
しかし洋式便座が外れて床に転がっている。
断水のお知らせに「<男性>の方は公衆便所で⋯」と書いてあったが、そういうことか。
管理人室の備蓄用トイレをうちにも貰えないか聞いてみようか。
だってアタシが中腰でオシッコしたら絶対はみ出すし、だからといって前向きなんて⋯
ちょっと試してみたくなった。
さっきの便器の前に戻る。
彼女の足元だったところには、水たまりができている。
そこを踏まないように気を付けながら、近くに立つ。
不本意ではあるが、アタシならこんなに汚したりしない。
でも念のため下にはいているのものを全部下ろす。
すると下着のマチのあたりに隠していた「おチンチン」が毛の中からぶら下がるような格好になる。
薬で小さくなっているうえに触ることはほとんどないとはいえ、一応狙いは定まった。
先端から出たものが捨てられている紙に当たると、指の間のモノがなくなる。
残ったのはあの娘とお揃いの黒い壁♡
水を通じて最後に触れたものの『コピー』が取れる『ペーパー』だったのだ。
でもちょっと違和感があるというかないというか⋯
さっきは気が付かなかったけど、これって⋯
あっ!まずい!
止めていたはずのものが少し足に垂れてきた。
立ったまま出しちゃった”女の子”のオシッコを便器が受け止めてくれるはずがない。
ほとんど反射的にしゃがんだが、間一髪で間に合った。
アタシも我慢していたので、結構長い時間がかかった。
袋だと容量が足りなかったかもしれない。
それにこれからはそもそも使いたくないし、こまめにトイレに行く習慣をつけようと思った。
キンタマがあったところとかおしりの穴とかあちこちがあたたかくなっているから。
これだと上手に収まるかどうか自信がない。
今まではコンドームで代用とかもできそうだったのに。
⋯とはいえ、こんなところが濡れるなんて新鮮♪
しかも今までとは違うすごい音と勢い!
そしてアタシも紙を手に取って後始末。
今までの穴の周りもなるべく拭くようにはしていたが、それとは全然違う初体験。
”彼女”はお医者さんに取ってもらったのかな。
それとも自分で切っちゃったとか?
こんな不思議なものを買えたんだから、そういうツールもありそう。
いずれにしてもよくできている。
純正ではないのが残念だけど。
手を洗おうとしたらどこかのオジさんが来たので、間に合ってよかったと思った。
悲鳴は聞かなかったことにした。