全自動割礼遊技機(ポップ・サーカムシジョン)
全自動割礼遊技機(ポップ・サーカムシジョン)
ファーストフードの油の匂いと、幼児向けの電子音が、ショッピングセンターの吹き抜けに混ざり合って溶けていた。
家族連れが行き交う賑やかなフードコートの片隅。
かつては太鼓を叩くゲームやモグラ叩きが置かれていたその薄暗いスペースに、それらは鎮座している。鮮やかなイエロー、ビビッドなピンク、目に痛いほどのネオングリーン。
寂れたゲームコーナーのように並んだ三台の筐体は、一見するとただの子供向けゲーム機だ。
青いイルカのキャラクターが描かれた「アクア・サニタリー」
宇宙船を模した赤い「コスモ・クリーン」
そして、
緑色の怪獣が口を開けている「モンスター・ケア」
だが、それぞれのフロント部分には、かつてのポップコーン自動販売機を思わせる、古めかしいプラスチック製の大きなハンドルが不自然に装着されていた。
「全自動・聖潔の儀:チャイルド・コンフォート・マークIV」
筐体の側面にポップなフォントで書かれた宣伝文句を、俺はプラスチックの丸椅子に深く腰掛け、冷めかけたコーヒーをすすりながら眺めていた。
『清潔!』
『衛生的!』
『安心の8分施術!』
画面からは、子供を退屈させないためのデモンストレーション映像が、陽気なBGMとともにエンドレスでループ再生されている。
俺は毎週末この決まった時間にここを訪れ、遠くのテーブルからあの装置を見守るのが、いつからか習慣であり、密かな愉しみになっていた。
下腹部に残る、あの引きつるような古い疼き。
数十年前に自分がこの装置に跨ったときの記憶が、電子音を聞くたびに鮮やかに蘇る。
あの時の恐怖、皮膚に走った冷たい麻酔の感覚、そして全てが終わった後に口にしたキャラメルポップコーンの、鼻に抜ける甘い匂い――。
それは俺にとって、恐怖であると同時に、自分がこの社会の一員になれたことを証明する、どこか愛おしく淡い青春の思い出だった。
あの奇妙な高揚感に、もう一度だけ触れたくて、俺はここに通っている。
週末のフードコートは混雑しているが、この一角にだけは、目に見えない境界線があるかのように奇妙な静寂が漂っている。
列ができることはない。それでも、二時間に一組ほどの緩やかな、しかし確実なペースで、生贄のように少年たちが運ばれてくる。
時計の針が午後二時を回った頃、俺の視界に二組の親子連れが飛び込んできた。
父親二人、母親二人、そして七歳くらいの二人の少年。
ユウキとレン。
二人の少年は、互いの服の袖を千切れんばかりに強く掴み合い、ガチガチと歯を鳴らしながら、三台の筐体を見上げていた。
彼らは学校の友達同士なのだろう。だが、今日の彼らは遊びに来たわけではない。
「……なぁ、本当にタケルの言ってた通りなのかな」
ユウキが怯えきった声で、レンの耳元に囁いた。
「ステージ2になると、ハサミのやつが本当に飛んできて、チョキチョキして、肉を持っていくって……」
先週、一足先にこの「試練」を終えた友人・タケルから聞いた生々しい体験談が、二人の頭を完全に支配していた。
大人たちがいくら「楽しい遊具だよ」「痛くないよ」と取り繕っても、子供たちの間では、シートの底に潜む「本物の怪物」の噂が、冷酷な真実として共有されているのだ。
「大丈夫だよ、二人とも ほら、どれにするか自分で選びなさい 男の子の勲章をもらうんだから」
レンの母親が、まるで遊園地のアトラクションの順番を待つかのような、ひどくお気楽で優しい声で背中を叩く。
だが、子供たちにとっては死活問題だった。
二人は一歩も動けないまま、真剣な、あまりにも必死な眼差しで、三台の機械を見比べ始めた。
イルカなら、少しは痛みが紛れるだろうか。
宇宙船なら、ハサミから早く逃げられるだろうか。
それとも、あの緑色の怪獣なら――。
まるでこれから挑む処刑台を自ら選ぶかのように、少年たちは張り詰めた空気の中で、筐体の一台一台を凝視し続けていた。
画面の中では、何も知らないキャラクターたちが、相変わらず能天気な笑顔でステップを踏み続けている。
じゃんけんの瞬間、二人の少年の拳には、およそ子供の遊びとは思えないほどの力がこもっていた。
「最初はグー、じゃんけん、ぽん……!」
勝敗が決した瞬間、ユウキは天を仰いで胸をなでおろし、レンはその場に凍りついた。負けたのだ。
逃れられない現実が、冷酷にレンの小さな肩にのしかかる。
レンは恐怖で視線を泳がせながらも、逃げ出すことはしなかった。
ゆっくりと足を動かし、緑色の怪獣が口を開けている「モンスター・ケア」の前に立つと、覚悟を決めたように小さく、コクリと頷いた。
「――本当に、これにするのね?」
母親が、まるでこれから乗るメリーゴーランドの絵柄を確認するかのような、ひどく穏やかで優しい声でレンに尋ねた。
レンはもう声が出ないらしく、ただじっと筐体を見つめている。
それを見届けた父親が、上着のポケットから革の財布を取り出した。
ゲームセンターの遊具を模したその筐体には、およそ100円玉を入れるためのものとは思えない、厚みのある紙幣挿入口がついている。
父親の指先によって、真新しい二万円分の紙幣が躊躇なく滑り込まされていく。
カタカタカタ……と機械が紙幣を吸い込む、電子制御の冷たい音がフードコートの一角に響いた。
ウー、と重々しい電子音が鳴り響き、画面の隅に『20,000 CREDIT』の文字が、まるでゲームの残り残高のように鮮やかにチャージされた。
支払いが完了すると同時に、バイクのシート、あるいは乗馬の鞍のようだった緑色のプラスチックシートが、パカっと左右に割れるように開いた。
現れたのは、ポップな外観には似つかわしくない、不気味にぽっかりと空いた中央の「穴」だった。
その奥底には、鈍い銀色に光る金属製のクランプやメス、微細な吸引ノズルが、蛍光灯の光を反射して冷たく見え隠れしている。
「ひっ……」と、後ろで見守るユウキが小さく息を呑んだ。
レンは恐怖に押し潰されそうになりながらも、親友のユウキに見られているという意識から、少しだけ背伸びをするような誇りと、子供らしい恥ずかしさを滲ませていた。
彼は周囲の目を遮るように少し内股になりながら、ゆっくりとズボンと下着を膝まで引き下げた。
フードコートの騒がしい喧騒の中、剥き出しになった少年の白い足が、どこか神聖で、同時に酷く無防備に見える。
レンは意を決して、その暗い穴が口を開けるシートへと自分の身体を預け、恐る恐る跨った。
その瞬間、それまで退屈そうにデモムービーをループ再生していた画面が、パッと鮮やかに切り替わった。
『ハロー! 勇敢なチャレンジャー!』
筐体のスピーカーから、割れんばかりの大音量でアニメ声のキャラクターボイスが響き渡る。
フードコートの何人かが一瞬だけ振り返ったが、誰もが日常として受け入れている光景のため、すぐにまた自分のうどんやカレーに目を戻した。
『今日はどんな「カッコいい形」にする? 画面をタッチして選んでね!』
最初に現れたのは、仕上がりの選択画面だった。
両親がレンの背中に優しく手を添え、身を乗り出すようにして画面を覗き込む。
画面には、いくつかのカット形状や、術後のケア用ジェルの匂い(イチゴ、メロンなど)を選択するカラフルなアイコンが、まるでゲームのキャラクターセレクト画面のように賑やかに並んでいた。
画面に表示されたカラフルなアイコンを前に、レンが小さな指を伸ばそうとした、その刹那だった。
「カットの具合は、タケルくんは『標準カット』にしたそうよ。あなたもそうしなさい」
後ろから覗き込んでいた母親が、まるでファミレスのお子様ランチを代わりに決めるかのような軽い口調で言うと、レンの返事も待たずに、画面の「標準おまかせモード」のボタンをパチンと勝手にタッチした。
(ボクが選ぶはずだったのに……!)
レンの胸の奥に、恐怖に混ざって、小さな、しかし明確な怒りが湧き上がった。自分の大切な身体のことなのに、大人はいつも勝手に決めてしまう。
だが、言い返す言葉を探すだけの猶予を、目の前のシステムは一切与えてくれなかった。
『オッケー! デザイン決定だ! それじゃあ、前にあるハンドルをしっかり握って……ステージ1、スタート!』
陽気なファンファーレとともに始まったステージ1は、「お星様集めパート」だった。
画面の中を緑色の怪獣がトコトコと走り回り、空から降ってくるキラキラした星をキャッチしていく。
『ハンドルを回して、お星様をいっぱい集めよう! 100個集まると無敵になれるぞ!』
ナビゲーターの声に促され、レンは目の前のプラスチック製ハンドルを両手で握りしめた。
だが、母親への反発とタケルの噂話への恐怖から、最初はハンドルを回すのを躊躇っていた。ただじっと、画面の怪獣を見つめることしかできない。
もちろん、ハンドルを回そうが回すまいが、星は自動的に怪獣へと吸い込まれていく。
すべては出来レースだ。この無邪気なミニゲームの間に、シートの底では冷たい吸引ノズルが正確に位置を測定し、最初の局所麻酔針が皮膚に打ち込まれている。
レンの意識を星のカウントへと釘付けにするための、冷徹な時間稼ぎだった。
その様子を、数歩後ろからユウキが拳を握りしめて見つめていた。
レンの身体が、麻酔針の微かな衝撃で一瞬だけ強張ったのを、ユウキは見逃さなかった。
タケルの言っていたことは本当だ。あの中に、何かがいる。
ユウキの顔から血の気が引いていく。
星のメーターが満タンになると、画面には大きく『GO TO STAGE 2!』の文字が弾けた。
『大変だ! ハサミ男爵が攻めてきたぞ! ハンドルを左右に回して、上手に避けるんだ!』
ついに本番が来た。画面の奥から、ニコニコと笑う目元が描かれたコミカルなハサミやメスが、ひらひらと飛んでくる。
「――ッ!」
レンの目の色が変わった。
画面の中のハサミが不気味に輝いて見えた。
ここでハンドルを動かさなければ、本当に、取り返しのつかない形で切り刻まれてしまう――そんな本能的な恐怖が少年の身体を突き動かした。
レンは必死の形相で、プラスチックのハンドルにしがみつき、左右にガチガチと激しく回し始めた。
だが、敵の攻撃を避けることなど、最初から不可能なプログラムだった。
画面の中で、飛んできたハサミが怪獣のグラフィックに直撃した。
途端に不気味なほど愉快な効果音が鳴り響き、ハサミのキャラクターが「チョキ、チョキ、チョキ」と小気味よく刃を動かしながら、怪獣を覆うマントのようなグラフィックを綺麗に切り取っていく。
これがただのゲームではないことを、俺は知っている。
画面の中でハサミがチョキチョキと動くその瞬間こそが、シートの穴の奥で、レーザーメスが肉を捉えた瞬間なのだ。
「……う、く……っ」
レンの両手が、ハンドルを握ったまま白くなるほど強張った。
少年の小さな背中が、機械の微かなサーボモーターの駆動音に合わせて、ピクリ、ピクリと跳ねる。
麻酔が効いているはずの領域に、冷たい刃の感触が、あるいは肉が焼ける熱線が走ったのだろう。
それでもレンは、クリアしなければもっと酷い目に遭うと信じ込み、涙目でダミーのハンドルを必死に回し続けた。
俺の指先が、膝の上で強く震えた。冷や汗が背中を伝う。数十年前の、あのアニメーションと、肉が焼ける匂いに泣き叫んだ俺自身の記憶がオーバーラップする。
(頑張れ。回せ。騙されてやれ、レン……。そうしなければ、心が壊れてしまうんだ)
俺は冷めきったコーヒーの紙コップを握りしめ、必死にハンドルを回すレンの背中を、ただじっと見つめ続けていた。
画面の奥から飛んでくるハサミを避けようと、涙目で必死にハンドルを回し続けるレン。
その痛々しい姿を見つめながら、俺の意識は急速に、数十年前のあの日へと引き戻されていた。
あの日、俺が選んだのも、この緑色の怪獣の筐体「モンスター・ケア」だった。
当時の俺は、恐怖のあまり完全に身体が硬直していた。目の前に差し出されたプラスチックのハンドルを握ることさえできなかった。
幼い俺は、必死に頭を働かせて、ひとつの「ルール」を導き出したのだ。
(これはゲームなんだ。ボクがハンドルを回さなければ、ステージは進まない。ステージが進まなければ、ハサミ男爵は来ないし、ボクの身体が切られることもないんだ)
それは、極限状態の子供がすがりついた、あまりにも無邪気な抵抗だった。ゲームを止めてしまえば、現実の処置も止められると信じ込んでいた。
だが、現実は違った。システムは最初から、子供の意思など一歩も顧みてはくれなかった。
俺がハンドルを握りしめて動かない間にも、画面の星は勝手に怪獣へと吸い込まれ、無慈悲に『ステージ2』の文字が弾けた。
そして、ハンドルを一切回さない俺の怪獣キャラクターに向かって、ニコニコと笑うハサミたちが容赦なく突き刺さった。
画面の中で、ハサミが「チョキ、チョキ、チョキ」と動き出した、その瞬間だった。
ウーーーン……と、シートの下から、それまでの陽気な電子音をかき消すような、重々しく不気味なモーター音が響いた。
同時に、シートの割れ目の奥から、肉が焦げたような臭を伴う、ごく僅かな白い煙が立ち上るのが見えた。下腹部の何処か遠くて走る、焼けるような、引きちぎられるような鈍い痛み。
その時、幼い俺を支配したのは、儀式への怒りでも、連れてきた親への恨みでもなかった。
(ボクが……ボクが真面目にゲームをしなかったからだ)
激しい後悔が、涙とともに溢れ出した。
(ちゃんとお星様を集めて、ちゃんとハンドルを回してハサミを避けなかったから、怒った機械にこんな酷い罰を与えられているんだ……!)
ゲームを真剣に攻略しなかった「自己責任」として、俺は肉体を切り刻まれる痛みをすべて受け入れてしまった。それこそが、このシステムの狙い通りの罠だとも知らずに。
あの日、ポップコーンの袋を抱えて帰る頃には、俺の心は「次はもっと上手にゲームをしよう」という、歪んだ忠誠心にすり替わっていた。
だからこそ、俺にとってあの記憶は、今でもどこか捨てがたい「淡い思い出」として脳に焼き付いているのだ。
「――ぅ、あ、あああッ!」
レンの短い悲鳴が、俺を現実に引き戻した。
画面の中では、ハサミ男爵がこれでもかと怪獣のマントを切り刻んでいる。
レンは俺とは違う。彼はタケルの噂を信じ、このゲームの恐ろしさを知っているからこそ、あの日の俺とは比べ物にならないほどの力で、必死にハンドルを左右に回し、抗おうとしている。
しかし、結果は同じだった。
どんなにハンドルを回そうが、ハサミは被弾する。
レンの座るシートの底から、あの懐かしくも忌まわしい、ウーーーンという重低音のモーター音が響き始めた。
隙間から、うっすらと細い煙が立ち上り、フードコートのポテトの匂いを微かに塗り替える。
「……ひっ、うわあああん!」
後ろで見守っていたユウキが、ついに恐怖に耐えかねて声を上げて泣き出し、母親のスカートに顔をうずめた。
煙と、モーター音と、親友の拒絶反応。それが何を意味しているのか、子供の直感が理解してしまったのだ。
だが、ゲームは止まらない。無慈悲なカウントダウンとともに、物語は最終ステージへと突き進んでいく。
レンはもう、泣くことも叫ぶことも忘れていた。
ただ無心で、狂ったようにプラスチックのハンドルを回し続けていた。そうしていなければ、シートの底から伝わってくるあの不気味な振動と、肉を焦がす熱線に心が完全に噛み砕かれてしまうと分かっていたからだ。
画面はレンの必死の抵抗などあざ笑うかのように、最終ステージへと突入した。
『改造変身モード! ムキムキモード発動!』
スピーカーから、耳を劈くような大音量のファンファーレが鳴り響く。
画面の中の怪獣キャラクターの筋肉が不自然に膨れ上がり、どこかグロテスクな「大人のヒーロー」の姿へと変貌していく。
『さあ、仕上げだ! 最後にハンドルを力いっぱい回して、エネルギーをチャージしろ!』
「う、あ、あああぁぁッ!」
レンは歯をくいしばり、小さな体全体の体重をかけるようにしてハンドルを激しく往復させた。画面の「チャージメーター」が、レンの動きに合わせるようにピコピコと上昇していく。
実際にはハンドルは何も制御していない。
ただのセンサーの数値を画面に反映しているだけだ。
だが、今のレンにとっては、これが自分の命を繋ぐ唯一の方法だった。
メーターが満タンになった瞬間、画面の怪獣が天を仰いだ。
そして、先ほどハサミによって切り取られ、形を整えられた「パーツ」が、なんとポップなロケットに変形し、怪獣の体から切り離されて大空へと勢いよくブシューッと射出された。
『皮ロケット、発射ーー!!』
そのチープなCGロケットが画面の彼方へと消え去ると同時に、シートの底からプシューッ!! と、高圧のエアーで切除された肉片が回収ダクトへと音を立てて吸い込まれていく、生々しい吸引音が響いた。
『完全勝利! 君も今日から、ピカピカの聖なる戦士だ!』
宣伝文句にあった「8分」という時間は、あまりの恐怖の濃密さに、まるで一瞬の出来事のようであり、同時に永遠のようでもあった。
カシャ、と重々しい金属音がして、レンの体を固定していたシートのロックが外れた。
元の乗馬マシーンのような姿に戻ったシートの上で、レンはしばらく呆然と立ち尽くしていた。ズボンと下着はまだ膝まで下がったままだ。
レンは恐る恐る、自分の下腹部へと視線を落とした。
そこには、先ほどまでの自分とは明らかに違う、赤黒く腫れ上がり、生々しくズルムケになった「見慣れない患部」があった。
麻酔が切れかかっているのか、ジンジンとした熱い痛みがじわじわと這い上がってくる。
あまりの衝撃に、レンはすぐ後ろで親友のユウキに見られていることさえ完全に忘れていた。
ただ、自分の身体に刻まれた不可逆な変化を、拒絶と戸惑いの混ざった眼差しで見つめるしかなかった。
「はい、レンくん、本当によく頑張ったね。偉い偉い」
母親がいつもの優しい声で、レンのズボンを器用に引き上げ、服を整えてやった。
ガシャコン、と筐体の下部にあるプライズ口から、儀式完了の証である「聖なる戦士のキラシール」と、香ばしいキャラメルポップコーンの小さな袋が転がり出てくる。
レンは渡されたポップコーンの袋を力なく手に持ち、操り人形のようにシートから降りた。
歩き出そうとした少年の両足は、恐怖の余韻と下腹部の激痛でガタガタと小刻みに震えていた。一歩進むごとに、引きつるような痛みが走る。
それでも、大人が用意した「日常」に戻るために、彼は震える足を踏み締めて機械の傍らを後にした。
緑色の怪獣は、何事もなかったかのように再び『ハロー! 勇敢なチャレンジャー!』と、次の生贄を呼ぶデモ画面へと戻っていく。
「さあ、ユウキ。レンくんもあんなに立派にできたじゃない」
ユウキの母親が、スカートに顔をうずめて泣いていた我が子の肩を強く掴み、無理やり引き剥がした。母親の目が、早く義務を終わらせようと、爛々と輝いている。
「次は、あんたの番よ」
恐怖にすくみ上がり、涙で顔を濡らしたユウキが、絶望に満ちた目で怪獣のシートを見つめた。
俺は冷めきったコーヒーを一口すすり、これから始まるであろうユウキの戦いと、あの懐かしいモーターの駆動音を待ち侘びながら、深く丸椅子に腰直した。
レンの母親は、バッグから慣れた手つきで除菌ウェットティッシュを取り出すと、さっきまで息子が跨っていた緑色のプラスチックシートを、手際よく拭き上げ始めた。
機械の熱とレンの脂汗で少し湿っていたシートが、アルコールの膜で濡れて鈍く光る。
彼女は、次の少年のためにシートを清める。ツンとするアルコールの匂いが、肉の焦げた微かな臭を一時的に覆い隠していく。
その傍らで、ユウキは、母親に背中を強く小突かれていた。
「ほら、ユウキ。いつまでグズグズしてるの。後ろに人が来たら迷惑でしょ。どの機械にするか早く選びなさい」
母親の容赦のない催促に、ユウキは涙を拭いながら、必死に思考を巡らせた。
イルカも、宇宙船も、どんな罠が仕掛けられているか分からない。
だが、目の前にある「モンスター・ケア」だけは、今しがたレンが挑み、そしてタケルの噂通りに『ロケット発射』で終わるという「ゲームの全貌」をこの目で確認したばかりだ。
展開が分かっていることだけが、今のユウキにとって唯一の救いだった。
「……ボク、これにする」
ユウキが緑色の怪獣を指差し、消え入るような声でコクリと頷いた。
「よし、男だぞ、ユウキ」
それを見届けた父親が、待ってましたとばかりに財布から二万円分の紙幣を取り出し、カサカサと乾いた音を立てて投入口へと滑り込ませていく。
ちょうどその時、レンの母親がシートの拭き上げを終えて立ち上がった。
「よし、綺麗になったわよ。ユウキくんも頑張ってね。強い男の子になるのよ」
彼女は、まるでこれからテストに挑む息子の友達を励ますような、あまりにも健全で、あまりにも無邪気な笑顔をユウキに向けた。
だが、ユウキにはそれに応える余裕などなかった。
ズボンと下着を膝まで引き下げ、剥き出しになったお尻を、まだアルコールで濡れている緑色のシートへと恐る恐る下ろしていく。
「ひゃんっ……」
シートに肌が触れた瞬間、ユウキの小さな身体が跳ね上がった。
まだ乾ききっていないアルコール液が皮膚に触れ、室温のせいで急激に気化していく。ゾクっとするような、刺すような冷たさが、下腹部から背筋へと駆け抜けた。
その冷感は、これから自分の身に起こるであろう決定的な「切断」を予感させ、ユウキの恐怖を何倍にも膨らませた。
電子音が鳴り、画面がパッと切り替わる。
『ハロー! 勇敢なチャレンジャー! 今日はどんな「カッコいい形」にする? 画面をタッチして選んでね!』
大音量のアニメ声がフードコートに鳴り響く。
ユウキは、アルコールが乾いていく皮膚の冷たさと、じわじわと込み上げてくる強烈な鳥肌を必死に堪えながら、目の前に現れたカラフルな仕上がり選択画面を、ただ血走った目で見つめ返した。
俺はそれを見ながら、冷めきったコーヒーのカップを口元に運んだ。さあ、二回戦の始まりだ。
しかし、機械は想像と違った動きをした。アルコール液が液晶の端に垂れてしまったせいだろうか。
画面のタッチパネルが誤作動を起こし、ユウキが触れてもいないのに、カラフルな仕上がり選択画面が「シャッ、シャッ」と滑らかな電子音を立てて左右に勝手にスライドし始めた。
『ゆったりカット! 切る皮は少ないけど、しっかりスタイルをキープ!』
『スポーツカット! 激しい運動でも戻らない、ちょっと多めのカット!』
『しっかりカット! いらない皮は全部ぽい! 大人の選択!』
ポップなフォントで書かれた、おぞましい解説文が次々と目の前を流れていく。
そして、画面が一番右端まで大きくスライドしたその瞬間――。
半分グレーアウトしていたはずの、異様な雰囲気を放つドクロマークのアイコンが、一瞬だけ鮮明に画面中央へとせり出してきた。
【特別戒律・去勢モード:※承認コードが必要です】
「ひっ、あ……っ!」
ユウキは顔を引きつらせ、喉の奥から悲鳴を絞り出した。もし画面が勝手に動いて、あのドクロマークのところで「確定」の処理が走ってしまったら――。
想像しただけで、下腹部が凍りつくような絶望がユウキを襲う。
「やだ! 止まって! 止まってよぉ!」
ユウキはパニックになりながら、小さな両手を必死に伸ばし、狂ったように動き続ける液晶画面を手のひらでバンバンと叩いた。
なんとかスライドを止めようと、必死に指先を画面に押し付ける。
だが、アルコールで濡れた液晶はユウキの焦りを受け付けることなく、冷酷に、不規則に、様々なカットモードをカチカチと切り替えながら明滅し続けている。
「あら、画面がバグっちゃったかしら?」
後ろで呑気に首を傾げるユウキの母親の声を、ユウキはもう聞いていなかった。彼はただ涙目で血走った目を画面に釘付けにし、自分の運命のすべてを握るその暴走した液晶と、目の前にあるダミーのプラスチックハンドルを、壊れそうなほど強く握りしめるしかなかった。
パニックになりながら、狂ったように動く画面を止めようと両手を突き出した、その瞬間だった。
ユウキの小さな手のひらが、液晶の表面にピタッと張り付く。
画面の暴走がピタリと止まり、選択が確定されたことを告げる「ピコーン!」という大音量の電子音が響き渡った。
ユウキが恐る恐る手を離すと、画面にはビビッドな赤文字で、大きくこう表示されていた。
【しっかりカット:いらない皮は全部ぽい! 大人の選択!】
「あ……」
ユウキは絶望に喉を鳴らした。タケルが受けた、そしてつい先ほどレンが受けた「標準カット」よりも遥かに多くの肉を削ぎ落とす、最も容赦のない過激なモード。
それを、自分の手が自ら選んでしまったのだ。
しかし、後ろで見守っていた父親は、画面の文字を見るなりポンと膝を叩いた。
「おっ! ユウキは大人だな〜! さすが名前に『勇気』があるだけはあるぞ!」
父親はからからと声を上げて笑い、我が子の「決断」を誇らしげに冗談めかした。
母親もまた、その凄惨な意味をまったく理解していない様子で、画面からポトリと流れるアルコール液をティッシュで拭きながら、優しく微笑んでいる。
「まぁ、どんなふうになるのかしら。楽しみねぇ、ユウキ」
親たちのどこまでも無神経で、どこまでも無垢な言葉が、ユウキの逃げ場を完全に塞いでいく。
ゲーム機のシステムは、子供の誤操作を救済するような慈悲は持ち合わせていなかった。
「本当にこれでよろしいですか?」
という再確認のダイアログすら出ない。ただ、決定された事実を歓迎するように、スピーカーから弾けたアニメ声が降ってきた。
『ワオ! チャレンジャー、君は最高にクールで勇敢な大人の男の子だね! 「しっかりカット」でバイキンを根こそぎ退治しちゃおう! それじゃあ、ステージ1、スタート!!』
ファンファーレが鳴り響き、画面には無数のキラキラした星が降り注ぎ始める。
「いやだ、ボク、これじゃない、これじゃないんだよ……!」
ユウキは涙をボロボロとこぼしながら、心の中で狂ったように叫んだ。だが、シートの割れ目の奥からは、すでに「しっかりカット」の深い深度に合わせ、さっきのレンの時よりも一段と低く、重々しいモーター音がギギギ……と鳴り響き始めている。
ユウキは震える手でダミーのプラスチックハンドルを握りしめ、ただただ、血の気が引いた顔で星が集まっていく画面を凝視するしかなかった。
俺は冷めきったコーヒーのカップをテーブルに置き、下腹部を襲う激しい疼きに身を震わせた。
しっかりカット――。数十年前に俺があの機械が俺に刻み込んだのと同じ、最も深く、最も苛烈な処置だ。
フードコートの喧騒の真ん中で、少年を極限の痛みへと誘う8分間のカウントダウンが、静かに、そして無慈悲に始まった。
ユウキの母親の呑気な笑顔を眺めているうちに、俺の記憶の底から、あの日の母親の「冷たい指先」の感触が鮮烈に蘇ってきた。
あの日、俺が「モンスター・ケア」のシートに跨り、目の前のダミーハンドルや暗いシートの穴の底に気を取られていた、まさにその瞬間だった。
後ろから覗き込んでいた俺の母親が、迷いのない手つきで画面の『しっかりカット』のボタンを、勝手に、そして力強くタッチしたのだ。
当時の俺には、それが何を意味するのかまったく分かっていなかった。ただ、画面の中で怪獣のキャラクターが派手にジャンプしたのを見て、何か特別なイベントが始まったのだと、無邪気にも思い込んでいた。
だが、母親のあの決断の裏には、冷徹な家庭の事情があったのだ。
俺の数年前に『標準カット』で儀式を終えていた兄の仕上がりを、母親は常々「美しくない」「不完全だ」と不満に感じていたのだろう。
だからこそ、下の子である俺の時には、一切の妥協を許さない『大人の選択』――すなわち、余分な肉を根こそぎ削ぎ落とす最も過激なモードを、本人の同意もなしに勝手に選び取ったのだ。
そして義務を果たし、小学校に上がった後、俺はある残酷な事実に気づくことになった。
体育の時間の後の着替え、あるいはプール前のシャワー室。
少年たちが互いの「勲章」を無邪気に見せ合う中で、クラスメイトの誰もがタケルやレンのような、程よく皮を残した『標準カット』だった。
根元から完全に余裕を奪われ、引きつるように赤黒く突っ張った『しっかりカット』を刻まれていたのは、広い学校の中でも、俺ただ一人だけだったのだ。
「どうしてボクだけ、みんなと形が違うの?」
幼い俺のその疑問に、大人たちは誰も答えてくれなかった。
ただ「お前は特別に清潔で、勇敢な男の子なんだ」と、耳当たりのいい言葉で誤魔化されるだけだった。
その奇妙な孤立感と、他者とは決定的に違うという身体の違和感が、数十年の時を経て、いつしか俺の中で「自分だけの淡い、特別な思い出」へと倒錯していったのだ。
「――っ、いやだあぁぁ、ママァッ!」
ユウキの引き裂かれるような絶叫が、フードコートの喧騒を貫いた。
画面はすでに『ステージ2』。
誤操作によって選ばれてしまった『しっかりカット』のプログラムに従い、画面のハサミ男爵は、さっきのレンの時よりも遥かに深く、容赦のない角度で怪獣のグラフィックをチョキチョキと切り刻んでいる。
シートの底からは、ギギギ、ギギギと、肉の深部へとクランプを潜り込ませるような、おぞましい駆動音が響き、レンの時よりもずっと濃い、煙がと肉の焼ける臭いを噴き出してきた。
「ユウキ、しっかりハンドルを回しなさい! 逃げちゃダメよ!」
母親の鋭い叱咤が飛ぶが、ユウキは恐怖と、すでに始まりつつある「深い切除に伴う鈍痛」に狂い、ハンドルを掴んだままガタガタと全身を震わせることしかできない。
俺はプラスチックの丸椅子の上で、自分の下腹部に走る、あのクラスで俺だけが知っていた強烈な引きつりと疼きをじっと堪えていた。
泣け、ユウキ。ハンドルを回せ。
そしてその痛みを、自分のせいだと、あるいは大人の優しさだと信じ込むんだ。
そうしなければ、明日からの世界を生きていけない。
冷え切ったコーヒーの紙コップを静かにテーブルへ置き、俺はこれから「クラスで唯一の存在」へと作り変えられていく少年の、血を吐くようなステージ3の始まりを、恍惚と哀愁の混ざった眼差しで見つめ続けた。
ハサミ男爵の容赦のない猛攻が終わり、画面の演出はいよいよ最終局面――
第3ステージの『改造変身モード! ムキムキモード発動!』へと突入した。
だが、誤って選択されてしまった【しっかりカット】の恐怖は、ここからが本当の本番だった。
『さあ、仕上げだ! 最後にハンドルを力いっぱい回して、エネルギーをチャージしろ! いらない皮をぜんぶ、ロケットにしてパージするんだ!』
筐体のスピーカーから、割れんばかりの明るいBGMとナレーションが鳴り響く。
画面の中では、緑色の怪獣がギリギリと筋肉を膨張させ、巨大なヒーローのような姿へと「ムキムキモード」に変身していく。
しかしその演出と完全に同期するように、ユウキの跨るシートの底では、ギギギ、ギギギ……と、これまで聞いたこともないような重々しいサーボモーターの駆動音が鳴り響いていた。
「しっかりカット」のプログラムに基づき、吸引ノズルと固定クランプが、レンの時よりも遥かに深く、根元ギリギリの位置へと潜り込んでいく音だ。
「う……あ……あああああぁぁッ!」
ユウキは、ここでハンドルを回さなければもっと恐ろしい目に遭うという本能的な恐怖から、涙と鼻水で顔をぐしゃぐしゃにしながら、プラスチックのハンドルを狂ったように激しく往復させ始めた。
チャージメーターが、ユウキの絶望的な抵抗を煽るようにピコピコと上昇していく。
だが、そのチャージが100%に達した瞬間、画面の怪獣が力強く拳を突き上げると同時に、シートの底から、ジュウウウゥゥッ!! という、肉が焼き切れる強烈な熱線の音と、皮膚が引き裂かれていく感覚がユウキの下腹部を襲った。
麻酔の壁を突き破って脳髄を突き刺すような激痛に、ユウキの身体が弓なりに跳ね上がる。
『チャージ完了!皮ロケット、発射ーー!!』
画面の中では、怪獣の体から切り離された、不自然なほど巨大なロケットが、大空へと勢いよくブシューッと射出されていく。
ポップな煙のエフェクトが画面いっぱいに広がる。
それと完全に同時に、シートの穴の奥から、プシューーーッ!!! という、かつてないほど強烈な高圧エアーの音が鳴り響いた。
根こそぎ切除されたユウキの肉片が、冷酷なバキュームによって回収ダクトの奥深くへと一瞬で吸い込まれていく生々しい音。
レンの時よりも明らかに長く、激しい吸引音と、シートの隙間から立ち上る白い煙。
これこそが、ユウキの身体からすべての「余裕」が剥ぎ取られた瞬間だった。
『完全勝利! 君も今日から、ピカピカの聖なる戦士だ!』
ファンファーレが鳴り響き、筐体の電子音がユウキの戦いの終わりを告げた。
宣伝文句通りの「8分」という時間は、ユウキの肉体と精神を完全に擦り切れさせるには十分すぎる時間だった。
カシャ、と自動でシートのロックが外れた瞬間、ユウキはシートの上から崩れ落ちるようにして床へ降り立った。
その全身は、極限の恐怖と、深部まで容赦なく肉を削ぎ落とされた激痛による脂汗でぐっしょりと濡れそべり、前髪が額に張り付いている。
魂をどこかに置き忘れてきたかのように、ユウキの目は虚ろで、焦点が合っていなかった。
その場にへたり込んだユウキの、膝まで下がったズボンの隙間から、その「仕上がり」が白日の下に晒された。
「あ……」
後ろで見守っていたレンが、短い絶句の声を漏らした。
そこにあったのは、タケルやレン自身のものとは完全に一線を画す、あまりにも苛烈な現実だった。
「標準カット」の少年たちのような、程よく余裕を残した皮膚の面影は、そこには少しも残されていない。
根本から一切の猶予を奪われ、突っ張った肉が剥き出しになり、生々しく赤黒く腫れ上がったその局所は、まるで熟れすぎた「苺」そのものだった。
いらない皮は全部ぽい――。
あの軽快なポップフォントの宣伝文句の通り、ユウキの幼い身体からは、本来そこにあるべきだった組織が文字通り根こそぎ消失していた。
「まぁ! すっごく綺麗にできてるじゃない!」
ユウキの母親が、息を呑む息子に代わって歓声をあげた。
「ねえ、お父さん見てよ。レンくんのよりもずっとピカピカで、清潔そうだわ!」
父親もまた、満足げに腕を組みながら何度も頷いている。
「ああ、これなら大人になっても病気知らずだ。さすがは最高級の『しっかりカット』だな。ユウキ、男になったぞ」
親たちは、その赤黒い「苺」をどこまでも誇らしげに、まるで上質な既製品を品定めするかのような視線で褒めちぎっていた。
誰も、その奥でジンジンと鳴り響いているであろう少年の絶望的な痛みに耳を傾けようとはしない。
ガシャコン。
プライズ口から、儀式完了の証である「聖なる戦士のキラシール」と、キャラメルポップコーンの袋が転がり出る。
ユウキは、母親に手渡されたそのポップコーンの袋を、ただ力なく、指先で握りしめた。
歩き出そうとした彼の足はガタガタと激しく震え、一歩進むたびに、余裕をなくした皮膚が引きつれて「苺」が痛烈に悲鳴を上げる。
レンが痛ましそうな、そして自分とは決定的に違う形になってしまった親友への、どこか怯えを孕んだ視線で見つめる中、ユウキは一言も発せぬまま、ただ脂汗を滴らせてフードコートを後にしていった。
クラスで、俺だけだった。
そしてこれからは、この街で、ユウキもあの形と共に生きていくのだ。
俺は自分の下腹部に走る、数十年経っても消えない「しっかりカット」特有の引きつりを愛おしむようにそっと手で押さえ、ゆっくりと立ち上がった。
空になったコーヒーの紙コップをゴミ箱に捨てる。
背後では、誰もいなくなった「モンスター・ケア」が、また次の「勇敢なチャレンジャー」を待ち侘びるように、大音量のアニメ声で能天気なデモムービーを流し始めていた。