子作りの儀
赤い生地に鞠や車、花があしらわれた綺麗なお着物が眩しい。
それを着るのは、後ろに長い髪を一つ結びにしたあの子。
今日はハレの日、軽くお化粧をしてもらって、いつもより紅い唇は、幼さとちょっとした大人っぽさが混ざって、とても鮮やかに見えた。
ほんのり紅い頬も、可愛らしさに拍車をかけていた。
「可愛い。。いつか絶対、手に入れてやる。。」
両親に連れられて歩いていくその子を見て、俺はそう、心に誓った。
「では、それぞれ相手は決まったか?
よし、では本日より、子作りの儀を始めなさい。良いか男子ども、これは大人の男になる大切な儀式だ。しっかり励む様に。そして、姉様方を最後まで孕ませられなかった男子は男の価値がないとして扱われるから、覚悟をしておけよ。まぁ、がんばれや。」
村長が村人を集めてそう宣言した。相変わらず脅してくる。
この村では16歳を迎える歳の男子1人に姉様を1人あてがい、子供を作らせる。
子供ができたら、ほとんどの場合そのまま結婚するが、たまに逃亡する不届き者がいる。
その場合、逃げた男子の母親が次の年の姉様の1人となるのだった。
流石に夫がいる身で婚姻を解くわけにいかないので、子供は元の夫婦で育てることになっていた。
普通、逃亡することはない、去年、1人いたと聞いている。弥助だったか。
その他の多数の姉様は、18歳になってまだ引き取り手のいない女子が務めることになっている。
ある意味、強制的なお見合いみたいなもので、閉鎖的な田舎においては、血が濃くなりすぎず、かつ未婚率を減らせる、ある種合理的なシステムだった。
1年間の間に姉様方の月のものが来なくなったら、そこで打ち上げを行うのが習わしだ。
そこで初めて酒を飲むので、まさに成人の儀という感じだ。
一方で、実はこの祭りには、男子にとって、とても恐ろしい噂が存在する。
それは、1年間の間に番が妊娠しなかった場合、その男子は去勢される、というものだった。
少なくともここ10-20年ほどはそんな事態は起こっていないらしいから、ただの噂だとみんな思っている。
「これでやっと、さくや姉さんと結ばれる。」
さくや姉さんは、この村で一番背が高くて細身で綺麗な姉様の1人だ。
昔から憧れの人だった、俺はこの日が来るのを待ち望んでいた。
子を成せば結婚できる、さくや姉さんとの結婚生活を夢見ていたのだ。
「雄喜!よかったな!おまえ、さくや姉さんさくや姉さんってうるさかったからな!」
「お前がどうしてもっていうから、みんな名乗りを上げなかったんだぜ?感謝しろよな!」
同い年の男子たちは俺を祝福してくれた。
みんなで大人の男になろう、そう誓い合って、解散になった。
さくや姉さんのご両親に挨拶をして、夜の通いの許しをいただいた。
まだ結婚しているわけではないので、生活は各家庭で今まで通り、お邪魔する日取りを決めて、夜、会いにいくという流れになった。
それからは畑仕事が終わり、月のものが無くて都合のいい日は可能な限り通った。
さくや姉さんは恥ずかしがり屋で、まぐわうときは明かりを消して、真っ暗な中励むことになっていた。
他の姉様と比べて貧相だからと、体を触ったりすることは許されなかった。
一度胸を触ろうとしたが、嫌がられてしまい、それからというもの、まぐわう部分以外は掛け物をして励む様になった。
女陰についても、初めに触ろうとした時に痛かったらしい、滑りをよくする液を自らまぶして、ぬるぬるになった状態で指だけを入れる前戯をし、その後すぐに男根を挿入して、中で出して終わり、というあっさりとした営みだった。
お互いに初めての相手だっただけあって、そんなもんだろうと思い、行為を日々繰り返していた。
時は経ち、二月が過ぎる頃には月のものが訪れない番が現れ始めた。
適齢期の男女が組み合わさるだけあって、妊娠にまで進みやすいらしい。
ところが、半年が経ち9ヶ月が過ぎ、もう一年が経とうとしても、一向にさくや姉さんが妊娠する様子はなかった。
村長を含む上役の聞き込みもあったが、お互いに頻繁に関係を持っていたため、俺の子種を疑う者も現れてきた。
これまで以上に励み、いよいよ1年が経とうとした頃、祝いの席が用意されるという知らせが来た。
やっと来たか、長かった。これで結婚できる。
俺は安堵した。噂が噂だけに、プレッシャーのかかった状態で日々励んできていたため、一旦はまぐわいを忘れることができる、そう思ってしまったんだ。
儀式の前の宴会では人生で初めての酒と、肴が振舞われた。みんな大いに酔っ払っていた。
うたげも1-2刻ほど過ぎた頃、村長が舞台に上がって、声を上げた。
「皆の者、お勤めご苦労であった。
各家庭から、懐妊の報告が集まり、この機会を設けることができた。
本来ならば来週ごろがちょうど一年の時期ではあったが、今年は都合で1週間、早めて開催することになった。」
「というのも、1人の姉様から、まだ懐妊の連絡が来ておらんでな、来週まで待ってやりたかったが、仕方がないということで、今日、祝いの席と、去勢の儀を執り行うことになったのだ。悪く思わないでくれ。」
(え、、どういうことだ、、?)
「ではさくや姉様の番の雄喜よ、前へ出てきなさい。さくや姉様も前へきなさい。」
仕方がなく前へ出た。
「この番からは、まだ懐妊の報告が来ておらんのじゃ。話を聞くと、週に3-4回は営んでおったが、ダメらしい。最後の温情じゃ。今から最後に、男として、まぐわいを見せてみろ。
さくや、ここに横になって股ぐらを開け。」
「何をぼけっとしとる。今からここでまぐわうんじゃ」
「そんな、無理ですよ!」
「男であることを見せんかい!!」
叱咤されて、仕方がなくまぐわうことにした。だが、酒が入っているからか、皆に見られているからか、うまく勃たない。
頼む、最後のチャンスなんだ!!
自分でしごくが、勃たない。
さくや姉さんの女陰を初めて見たが、思ったよりもグロテスクで、却って萎えてしまった。
ちくしょう、ちくしょう!
「なんじゃ、お前さん、やはり男じゃなかったか。」
「待ってくれよ、そんなの聞いてないぞ。やめてくれ!!」
「おい、縄を持て、切れ。」
男たちに取り押さえられ、丸出しのイチモツは簡単に縄で縛られ、鋭い鎌で俺のイチモツと玉袋は、子を成すこともなく、体から取り払われてしまった。
「おい、小便をしろ、尿道が塞がって死ぬぞ」
恐ろしいことを言うジジイだが、死ぬのは怖い、酒を飲んでいたこともあって、直ぐに尿は出た。
村長は俺の切り株の中で尿道を手早く見つけて、箸の様な先が細い棒を尿道に突っ込んだ。
尿道に灼熱の棒を入れられた様な痛みが走った。棒は管状をしており、尿が出続けた。
「止血のために断面を焼け」
「がぁぁぁぁああああああ!」
断面の棒の周りを、やきごての様な道具で焼いた。
「しまいじゃ。こやつは医者のところに運んで休ませてやれ」
俺は宴会場から医者の診療所に連れて行かれ、しばらく滞在することになった。
1-2週間して、管を抜き、ちゃんと自分で尿が出せる様になったところで、俺は医者のところを出ることになった。
だが、家には帰れないらしい。
俺は子を成せない不良種として去勢されたため、役立たずの烙印を押され、男色で有名な寺に身を移すことになった。
愛する人と男を失った俺は、新たな居場所のありようを呆然と受け入れるしかなかった。寺の掃除や炊事をし、夜はボウズたちの男根を慰める毎日。失った男の証を受け入れることで、それを取り戻したかの様な錯覚に縋る他なかった。
あの宴から1ヶ月程度経った頃、さくや姉様は懐妊の知らせを村長に届けた。
村長は、去勢してしまった男子に対して、申し訳ないという気持ちを持ったが、とりあげた男の証をもとに戻せない以上、真実を伝えるわけには行かないと、この事実を秘匿した。
さくや姉様が懐妊した子供は、村で育てる方針となった。
さくや「ごめんね雄喜ちゃん、あなたが私を好きでいてくれたのは知っていたけど、あなたじゃダメだったの。ね、弥助さん?」
弥助「仕方がないさ。俺たちが結ばれるにはこうするしかなかった。ぼちぼち俺はこの村に戻る。一度村の女子を捨てた俺でも、傷物になったお前とこの子を育てる、といえば、一緒に生活するくらいはできるだろう。ちゃんと俺の子種でできた子なんだよな?」
さくや「ええ。雄喜ちゃんとのまぐわいで、女陰には触らせるだけ。全て後ろで彼の子種は吐き出させました。それにしても、私と一緒になりたいからって、実の母を他の男に抱かせて、村の男子を1人、男じゃなくすだなんて、ひどいことを考えるものね。」
弥助「仕方ないだろ。お前を選んだのに、18になる娘がいるからって他の女を当てがわれたんだ。」
さくや「私も、去年は悲しかったわ。でもやっと、あなたの子をお腹に迎えることができたわ。雄喜ちゃん、私たちの幸せのために犠牲になってくれて、感謝するほかないわね。」
弥助「今はオスではなくなっちゃったけどな」
さくや「最低ね。あとはうまいこと、悲劇に暮れる私を助けに来てね。」
弥助「任せとけ。」
昨年、さくやを番にすることができなかった男の執念たるや。
雄喜を村として去勢させて、間際にさくやに子種を仕込んだのだった。
弥助は、両親とは事前に話をつけており、納得の上で逃亡→帰郷してきたのだった。
臨月を目前に村に戻り、事情を知って、もと恋人の窮地を救ったと言う体で、うまいことさくやと夫婦になった。
哀れ雄喜、惨めにも子孫を残すこともなく、愛した女は別の男と末長く暮らしたとさ。