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優希の秘密は、ある夏の日に唐突にバラされた。
大学時代の同級生、翔太と偶然再会したときのことだ。
駅のトイレで用を足していると、隣に立った翔太がチラリと視線を落とした。
その瞬間、優希の心臓が止まりそうになった。
竿のない股間を隠そうと慌ててズボンを上げたが、翔太の目が一瞬鋭く光ったのを優希は見逃さなかった。
翔太は何も言わず、ただ薄い笑みを浮かべて立ち去った。
ただし、大人だから表立って騒ぐことはない。でも、その日から優希の背中に冷たい視線を感じるようになった。
裏で噂が広がるのに時間はかからなかった。
同級生のグループLINEで「あいつ、ちんこないらしいな」と誰かが書き込んだのを優希は偶然見てしまった。
既読を付けないままアプリを閉じ、彼は部屋の隅で膝を抱えた。
「知られてる」その事実が、切り株のように彼の心に突き刺さった。
表では誰も触れないが、裏で嘲笑われているのは明らかだった。
優希は外に出るのも億劫になり、人目を避けるように生きるようになった。
そんな中、数年ぶりの同窓会が開かれた。
そこで優希は由美子と再会した。高校時代、密かに憧れていた優しくて清楚な女の子。
話しているうちに意気投合し、驚くほど自然に付き合うことになった。
由美子に自分の秘密を打ち明けるのは、勇気が要った。
震える声で「俺、竿がないんだ。セックスはできない」と告げると、由美子は静かに微笑んでこう言った。
「それでもいいよ。大事なのは気持ちだよ」。
その言葉に、優希の心は救われた気がした。初めて誰かに受け入れられたと涙が滲んだ。
由美子との暮らしは穏やかだった。セックスはできないが、手を繋いで散歩したり、映画を見ながら寄り添ったり。
由美子の優しさが、優希の傷ついた心を癒してくれるようだった。
夜、彼女が隣で眠る姿を見ながら、「これでも幸せになれるのかも」と初めて思った。
愛のある暮らしが、切り株の虚無を埋めてくれるかのように感じられた。
.......だが、それは幻想だった。
ある晩、優希が仕事から早く帰宅すると、家の中から奇妙な音が聞こえてきた。
寝室のドアを開けた瞬間、彼の視界に飛び込んできたのは由美子と翔太だった。
裸で絡み合う二人。由美子は喘ぎ、翔太は勝ち誇ったような笑みを浮かべていた。
優希の足は凍りつき、声も出なかった。由美子が振り向いて言った。
「あ、ごめんね、優希。早かったんだ」
その軽い口調が、優希の胸を抉った。
「どういうことだよ…」
やっと絞り出した声に、翔太が冷たく答えた。
「由美子と俺、ずっと繋がってたんだよ。お前を貶めるために付き合ってただけ。竿のないお前が惨めでさ、見てて面白かったんだ」
由美子の目には同情も優しさもなかった。
ただ冷ややかな嘲笑だけが浮かんでいた。
「愛なんて嘘だよ。優希には何もできないんだから」
その言葉が、優希の心を粉々に砕いた。
その夜、二人は優希をさらに追い詰めた。
目の前でセックスを見せつけ、翔太が由美子を抱く姿をわざと強調した。
由美子の喘ぎ声が耳に突き刺さり、翔太の「ああ、お前にはこんなことできないよな」という嘲りが頭に響いた。
優希はただ立ち尽くし、涙も出なかった。
かつての憧れも、愛も、全てが嘘だった。由美子が絶頂に達するたび、優希の雄としての無力さが抉られた。
それから、優希の生活は地獄に変わった。
由美子と翔太は彼を家に住まわせ、惨めな性奴隷として扱った。
掃除をさせ、食事を作らせ、二人がセックスする横で雑用を押し付けた。
「お前にはこれしかできないだろ」と翔太が笑い、由美子が「役立たず」と吐き捨てる。
優希は抵抗する気力もなく、ただ言われるがままに従った。
性欲は依然として疼くのに、発散する術はない。目の前で繰り広げられる二人の行為が、彼の屈辱をさらに深めた。
ある夜、優希は鏡の前に立った。
切り株と玉だけの股間を見つめながら、彼は呟いた。
「俺は何なんだ」
後悔も絶望も、もう言葉にならない。
ただ虚ろな目で自分の姿を睨みつけ、涙が一滴だけ頬を伝った。
由美子と翔太の笑い声が背後で響き、優希はその場に崩れ落ちた。切り株の果てに待っていたのは、取り戻せない過去と、終わりなき屈辱だった。
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投稿:2025.03.06更新:2025.03.06
好奇心 後日談
著者 拷問執行人 様 / アクセス 475 / ♥ 2