この度、政府は、出生率と労働生産性の低下による国力低下を食い止めるため、優生学的思想に偏った指針を発表し、施行されることとなった。
つまり、
①より強力な授精能を持った精子を産生する男性
②良好な肉体的、身体的機能に関連した遺伝子型を有する男性
を選別し、優先的に女性との配偶、もしくは、希望があれば独身女性への精子提供を可能にし、優秀な子の再生産を促進する、というのが基本方針だ。
特筆すべきはその精子及び遺伝子評価方法であった。
非常に高度化した社会において、優秀で社会的地位の高い男性ほど、募集型の精子及び遺伝子評価には参加しないということが事前にわかっていた。
科学技術が発達し、小型化したデバイスで複雑な検体の評価ができるようになったことを背景に、従って、16〜35歳の男性全員にVR連動型採精及び診断装置を配布し、半年かけて精子の質的評価を行い、場合によってはカートリッジに精液を回収し、さらなる精査と保存を行う、というものだった。
簡単にいうと、政府公認のVR連動型オナホが配布されたのだった。
優秀な精子を産生する男性については、各種減税や進学に有利となるインセンティブが付与されるため、1ヶ月もすれば90%以上の男性が日常的に採精デバイスを使用するようになっていた。
採精デバイスが普及した理由はインセンティブだけではない。コンテンツの豊富さ、質の高さから、使用者の満足度が高かったのだ。
幼なじみ、先輩、後輩、OL、熟女、NTR、複数、青姦などのありふれたジャンルに限らず、同性愛、痴漢、○姦、幼児等のアブノーマルなコンテンツも含まれており、普及に一役買っていた。
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「今日もやるか」
俺は17歳高校生。配布されたVR連動型オナホにハマっていた。
実は好きな人がいる。同じクラスの明美だ。明美とは幼稚園の時からの幼馴染だが、距離感が近かったことから、お互い想いあっていると思うが、付き合うでもなく、微妙な距離感を保っていた。
いつも通り、幼馴染のジャンルを選んだ。
夕方の教室に二人、机に手を突かせて、バックから激しく腰を打ち付けるシーンがお気に入りだ。
映像のペースに併せてこのデバイスはピストンしている様に波打つのだ。
今度は机に座らせて、正常位の様な姿勢でピストンする。
「気持ちい、いい、あ、出る!」
デバイスの内部を俺の精液が汚した。
-プログラムを終了します。精液ポッドを外し、所定の手順で精液ポッドを消毒し、保管してください-
「今回も送らなくていいのか」
時々、精液を送るように指示されるので、その時は精液ポッドを取り外すと、自動で凍結保存モードになり、同封の箱で静液ポッドを送るのだ。俺の精液は優秀なのか?
インセンティブがもらえるかもしれないと、ウキウキした気分になる。
「まぁ、バイトみたいなものかな」
呑気なものだ。X dayが訪れるあの日まで、ほぼ毎日、デバイスに向けて射精していたのだった。
X day
「今日は新しいコンテンツの配布日か」
今日は、ビデオが追加される日だ。少なくともクラスメートの男子は、彼女持ちも含めてほぼ全員が楽しみにしていたのだった。
いつも通り、幼馴染を選び、プログラムを開始した。
「幼馴染の部屋でセックスするシチュなんだな。」
ベッドの上でキスをして、服を脱がせて、セックスを始める。
「あ、あ、、う、出るっ、!」
あっけなく射精してしまった。
「はぁ、はぁ、やたらリアルだわ。」
片付けをしようとしたら、プログラムの中の女の子が、縮んだペニスをまた咥え始めた。
「え、2回目とか、そういうのもありなん」
意外にも、プログラムが2回目をせがんできたのだ。
ペニスを咥える女の子が可愛いすぎて、すぐにまた勃起してしまった。
女の子は俺にまたがり、騎乗位で挿入した。激しいというより、ねっとりと腰をスライドする様な動きを、デバイスは再現する。
信じられないくらいあっという間に射精してしまった。
「やば。2回目なのにめちゃ出る」
プログラムは終わらなかった。女の子は萎えたペニスの鈴口を優しく舌先で刺激した。
これまでにない動き、亀頭全体をしたで回す様に舐める。ういういしさとエロい舌付きで、あっという間に3回目の勃起をしてしまった。
今度はベッドにうつ伏せで寝転がった女の子にかぶさり、寝バックの姿勢で挿入し、ピストンを始めた。
「やば、なんだこれ、気持ちいい、腰が止まらん」
3回目なのに、信じられないくらい射精感が込み上げてくる。
「やば、出そう、、!」
デバイスの波打と締め付けが激しくなり、3回目の射精をしてしまった。
「はぁ、はぁ、3回目とか、どうなってるんだ? あ、痛たっ!」
突然画面が真っ暗になった。と思ったら、肉眼と同じ様にVRモニタの外の映像が映し出された。
そして後頭部に刺す様に痛んだと思ったら、手足が動かなくなった。
-精液中の精子の含有率が1%となったことを確認、プログラムを去勢モードに移行します。プログラム終了まで、あなたの四肢の動きを抑制しています。疼痛を感じることもありません-
「え、去勢、、え?」
次の瞬間、デバイスからバンドが飛び出し、太ももに巻き付いた。これではデバイスが外れない。
-あなたの精子の活動性は4/5と問題はありませんが、学業成績は2/5と低く、独創性、リーダーシップいずれの要素も基準値を下回ったため、去勢対象となりました。-
「うそだろ、精液送ってたじゃん、だめなん、ちょっと、え、外れない、、てか動けない」
デバイスからワイヤーが伸び、陰嚢の根本にかかった。
-陰嚢を締結し、血流を阻害します。痛みはありません-
「痛みはありませんって、え、ちょっとマジd」
-精巣を摘除します。ワイヤの周囲に熱さを感じることがありますが、周囲の組織に火傷を引き起こすことはありません-
そういうと、玉のあたりが熱いと思ったら、玉の重さがなくなった。
-精巣の摘除に成功しました。精巣は燃えるゴミで破棄するか、希望があれば精液ポッドに入れていただければ、同じ大きさ、重さの義玉をお送りします。出血が見られた場合は、お近くの救急外来を受診ください。その際の医療費はかかりません-
-プログラムを終了します。拘束を解きます。お疲れ様でした-
やっと手足が動かせる様になった。
「おい、玉が、、え、まじか、、え?」
俺の精巣は玉の皮に包まれた状態で、稲荷寿司みたいにベッド上に転がっていた。
チンコの裏にあるはずの玉は、もうついていなかった。
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政府の意図は、優秀な精液を選りすぐることももちろんあったが、子供を作ったとて、中間層の下層を再生産する様なオスを、去勢することにあったのだ。
充実したコンテンツとインセンティブという飴に釣られた持たざるオスどもは、オスであることすら失ってしまったのだった。
セックスはできるだろう、だが、好きなメスに自分の遺伝子を持った子を孕ませる能力を、彼らは永遠に失ったのだ。
オスの象徴であるペニスが残っただけ、感謝をするべきなのかもしれない。
なお、時を同じくして想い人の明美は、優秀と判定されたクラスメイトの男子とセックスを楽しんでいたことを、彼は知るべきではないだろう。
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投稿:2025.03.13
優生学の名の下に
著者 吉田 様 / アクセス 112 / ♥ 2