河童のちんぽこ抜き
河童のちんぽこ抜き
むかしむかし、ある ところに、おと吉(きち)という、からだが いわのように がっしりとした、むきむきの くっきょうな せいねんが おりました。
ある なつの あつい ひ、おと吉が かわで およいで おりますと、みずの なかから どろどろと、みどりいろの かっぱが あらわれました。
「へっへっへ、おまえの おしりから、しりこだまを ぬいてやるぞえ」
かっぱが にやにや しながら、うしろに まわりこもうと しました。しりこだまを ぬかれると、どんな ちからもちでも ふにゃふにゃの いくじなしに なってしまうと きいていた おと吉は、たいそう おそれおののきました。
「いやだァーーーッ! しりこだま だけは ぜったいに いやだァーーーッ! おれの おしりに さわるなーーーッ!」
おと吉は むきむきの うでを ぶんぶんと ふりまわし、あばれまわりました。
「おねがいだ! たのむから、べつの ものに しておくれ! なんでも するから!」
おと吉が なみだを ながして ひっしに さけぶと、かっぱは ぽりぽりと あたまを かいて、にやりと わらいました。
「よし、そこまで いうなら、しりこだまの かわりに、おまえの またぐらに ある『ちんぽこ』を ぬいてやろう」
「な、なんだとォーーーッ!? ちんぽこ!? ふざけるな! それは もっと いやだァーーーッ!」
おと吉は しりこだまの とき以上に まなこを つりあげ、おおあわてで またぐらを りょうてで かくしました。
「くるな! よいしょ、よいしょ! はなせ!」
かっぱが ちかづいて くると、おと吉は むきむきの からだを よじらせ、バタバタと あしを バタつかせて、ものすごい いきおいで 拒絶きょぜつ)して あばれました。しかし、かっぱの 力は強おと吉の じまんの ちからでもすくんでしまい、かわらに おさえつけられて しまいました。
かっぱは せなかから、きらきらと あやしく ひかる「ほうぐ」を とりだしました。
かっぱの ほうぐ「ちんぽこぬき器」といいその ほうぐは、びーるの びんの ふたを おこして ぬきとる「せんぬき」に そっくりな かたちを していました。
しかし、おけらのような ねずみいろの てつで できており、おとこのこの またぐらに ぴったり はまるよう、とても おおきく、まあるい ぎざぎざの つめが ついて おりました。
「やめろォーーーッ! それを どこに つけるきだ!」
おと吉が ひっしに ていこうして もがくのも むなしく、かっぱは その ほうぐの まあるい つめを、おと吉の りっぱな ちんぽこに がちりと ひっかけました。
つめが ねもとに くいこみ、おと吉は ひやっと して ガタガタと ふるわせました。
かっぱは、ながい えの部分を りょうてで ぎゅっと にぎりしめました。
「それ、いくぞえ!」
かっぱが ふんぬっと いきを ほい、てこの げんりで ほうぐの えを まえの ほうへと ぐーーーっと ひっぱりました。
「い、いたたたた! いたいつ! ぎゃあああ! ぬける、ぬけちゃう!」
くっきょうな おと吉の おおきなちんぽこが びーんと つよく つっぱって、ずるずる、ぐぐぐっと まえに 引きのばされて いきます。おと吉は あまりの いたさに、かおを くしゃくしゃに して、なみだを ぼろぼろ こぼし、からだを くのじに まげて ぜっきょうしました。
「ぎゃあああああえええ! いたい! おれの ちんぽこが、ちぎれるううう!」
「すぽーーん!」
びーるの ふたが とぶような、すさまじい おとが して、おと吉の ちんぽこは、ねもとから きれいに まっすぐ ひきぬかれて、ほうぐの つめに はさまったまま ぬけおちました。
「はぁ、はぁ、はぁ……!」
どんな てきにも まけない はずだった むきむきのおと吉は、あまりの いたみと びっくりの つよさに、しばらく かわらの うえで ぜいぜいと いきを切らし、がたがたと ふるえて からだを まるめて おりました。
「へっへっへ、これは いい ちんぽこだ。かっぱの くにの たからに しよう」
かっぱは りっぱな ちんぽこを だいじそうに かかえて、ぶくぶくと みずの なかに もぐって いきました。
しばらくして、やっと いたみが おさまった おと吉が、おそるおそる またぐらを みると、むきむきの ふとももの あいだは、つるつると して なにも なくなって おりました。
「しりこだまは ぶじだったけれど……あぁ、いたかった。それに なんだか とても すうすう するなぁ」
おと吉は まだ すこし またぐらを むずむず させながら、なみだを ふいて、トボトボと おうちに かえっていきました。
そののちの おはなし。
かっぱの くにへ もちかえられた おと吉の ちんぽこは、それはそれは りっぱな ものでしたので、かっぱの 王さまは たいそう よろこびました。
「これは すばらしい。わが くにの まもりがみである、おおきな 龍神さまへの ささげものに しよう」
そこで、かっぱの 料理番たちが あつまり、おと吉の ちんぽこを まないたの うえに のせました。
「まずは、この『さきっぽ』の亀頭じゃ。ここは 一番いちばんの 珍味であり、からだが みなぎる 漢方薬にも なる、とうとい ぶぶんじゃからな」
料理番は、きらりと ひかる ほうちょうで、ちんぽこの さきっぽを ぷっくりとした かたちのまま、きれいに すぱーんと一思いに切りわけました。
そして、それは 漢方薬として 龍神さまに そのまま ささげられる ことに なりました。
のこった ながい 竿の部分は、ぶつ切りに して、おしょうゆと みりんと おざとうで、ぐつぐつと あまからく 煮詰められました。
どうどうと 湯気が たちのぼり、かわの 底には、とても こうばしい「ちんぽこの 佃煮」の においが 広(ひろ)がりました。
かっぱたちは、できあがった つやつやの 佃煮と、きれいに 仕立てられた 亀頭の 漢方薬を ほうびつに のせて、深い水底の ほらあなに すむ 龍神さまの もとへと はこびました。
「龍神さま、人間の 屈強な せいねんから 引きぬいた、極上の ちんぽこで ございます。亀頭は 漢方薬に、のこりの竿は 佃煮に いたしました」
ほらあなの おくから、ごうごうと 音を 立てて、おおきな 龍神さまが あらわれました。
龍神さまは、まず 亀頭の 漢方薬を ぱくりと 口に いれました。すると、みるみる うちに 龍神さまの 目が らんらんと 輝き、からだから 凄まじい力が みなぎって きました。
「おお……! これは 効くわい! からだの おくから 力が わきあがって くるぞ!」
つぎに、あまからい 佃煮を むしゃむしゃと 食べました。
「うまい、うまい! 歯ごたえが よくて、噛めば噛むほど旨味が でるわい!」
大喜びした 龍神さまは、かっぱの くにに たくさんの 恵みを あたえ、かわの お水を いつまでも きれいに まもることを 約束して くれました。
そのころ、おうちで 暮らしていた おと吉は、またぐらが すうすう するのには すっかり 慣れましたが、かわの ほうから ふんわりと、おしょうゆの こうばしい 佃煮の においが してくる たびに、
「なんだか、おれの ちんぽこが、とても おいしそうな 匂いに なって おるなぁ。食べられちゃったのかあ...」
と、悲しそうに わらいながら、むきむきの からだで 畑を たがやして おりました。
そのまた のちの おはなし。
ちんぽこを ぬかれてから というもの、おと吉の またぐらは つるつるの すうすうのままでしたが、じまんの むきむき きんにくで、まいにち ひっしに はたらいて おりました。
ある あきの ゆうぐれ、おと吉が また かわの そばを とおりかかりますと、みずの なから どろどろと、あの みどりいろの かっぱが また あらわれたのです。
「へっへっへ、おと吉。このまえは ちんぽこを くれたが、やっぱり おまえの 魂としりこだまも ほしくなったぞえ」
かっぱは にやにや しながら、また おと吉の おしりを ねらって ちかづいて きました。おと吉は たいそう おそれおののき、ごつい からだを ぶるぶると ふるわせました。
「いやだァーーーッ! しりこだま だけは、それだけは ぜったいに いやだァーーーッ!」
おと吉は むきむきの うでを ふりまわし、おおあばれ して きょひしました。しかし、かっぱは はなで ふふんと わらいました。
「ふん、なにを いうか。おまえは もう、おとこの たましいである ちんぽこを ぬかれて おるではないか。そんな つるつるの からだでは、もう おれに さからう ちからは でまい」
かっぱの いうとおり、ちんぽこの ない おと吉の からだには、まえほどの ふんばる ちからが わいて きません。どんなに あばれても、むきむきの きんにくは どこか ふにゃふにゃと してしまい、かっぱの ちからに かてないのです。
「あ、あしが、こしが ついていかない……! くそぅ、ちんぽこが あれば、これくらい はねかえせるのに……!」
おと吉が くやしなみだを ながして もがいていると、かっぱはおと吉をよつんばいにして、尻をがっちりつかみました。
かっぱの手は おと吉の おしりに ぴったりと つきあてると、おしりのあなにズボッとてを入れてしまいました。
おと吉のおしりのおくにはあったかくてまるいしりこだまがありました。
それをぐいっとつかむと
「それ、すぽーーん!」
一思いに、ついに、おと吉の おしりから、だいじな だいじな しりこだまと魂が ぬけおちて しまいました。
しりこだまを ぬかれた おと吉は、からだの なかの げんきが すっかり ぬけがらに なってしまい、そのまま かわらの うえで、ふうと しずかに いきを ひきとって しまいました。
おと吉の たましいは、ふわふわと おそらへと のぼって いきました。
それから いくつもの きせつが めぐり、つぎの はるのこと。
その おうちの ちかくの むらで、とても げんきな あかんぼうが おぎゃあ、おぎゃあと うまれました。
その こは、おと吉の うまれかわりの、とても かわいい おんなのこでした。
おんなのこに うまれかわった おと吉の たましいは、もう きんにくも なければ、ちんぽこも ありません。またぐらは うまれつき つるつるで すうすう して おりましたが、こんどは それが あたりまえ なので、ちっとも いたくも さびしくも ありませんでした。
「あはは、あはは」
おんなのこは めんこい おかおで くすくす わらいながら、すくすくと うつくしく そだっていきましたとさ。
おしまい。