第2話はこちら
ケントはアドリアン国の大学生。専攻は地質学。世の中ではわけのわからない戦争がダラダラと続いていたが、幸いアドリアン国はハリス国とは高い山脈が、ポナール国やカルタイ国とは海で隔てられているので、比較的平和な国と言われてきた。ケントは大学に進学したので兵役も免除され、学生生活を謳歌していた。しかし、卒業できなければ軍隊に行かなければならないので、学業も手を抜くわけにはいかなかった。
地質学は平地にいては何もできない。地層を観たり試料を採取するには山岳地帯に出かけなければならない。山岳地帯はハリス国に近く、いわば危険地帯なのだが、この時局にそんなことは言っていられないので、同じ研究室のナシアやカタオとともに、夏休みを利用して、山岳地帯の中でも化石の宝庫と言われるコトナ地域に出かけることになった。
コトナ地域は標高5千mを超える高山が連なる地帯で、かっては鉱山などもあったが、戦争で住民が避難して、今は国境警備の軍隊しかいないという辺境となってしまっている。服装は登山をするわけではないのでジーンズにセーターにスニーカーというラフなスタイル。国境からは遥かに離れていすが、宿もないのでテントを張って寝起きしながら発掘作業を続けた。
1週間経った頃、3人は突然ガスマスクを着けた謎の武装集団に襲われた。ハリスのやつらだったらやぱい!という思いがケントの頭をよぎった。この戦争で捕虜になった人々の末路については聞いたことがあった。平和的なアドリアン国でさえ、自国民が捕虜になったときと同じような扱いを、敵国に対しても行ってきた。
逃げろとナシアが叫び、カタオが走り出したときには遅かった。3人を取り囲んだ武装集団の銃から白い気体が発射され、3人はたちまち気を失った。
ケントが目覚めると、あの謎の武装集団の横にハリス国の軍人がいた。武装集団もハリス語を話しているので、ハリス国の山岳民族が、国境地帯が無人になったのをいいことに、獲物を求めて越境してきたらしい。おそらくそこで3人を見つけたのだろう。
ケントは冷たい床に寝かされていたが、縛られているわけではないので起き上がった。でも、銃を向けられているので何もできない。戦場ではおもに麻酔銃で撃ちあっているが、抵抗する敵を倒すのには実弾の使用も容赦ない世界だ。最前線での敵兵の処刑だってないわけではない。抵抗はあきらめるしかなかった。ナシアとカタオを起き上がってきた。
武装集団は国境地帯に出入りしているだけあって、アドリアン語を話す者がいた。これからケントたち3人は縄で縛られてから繋がれて、ハリス国の最前線基地まで連行されるとのことだ。3人は着ている服のまま、後ろ手で縛られてから、上腕と胸に何重にも縄を巻かれ、胸の前の結び目からは首に縄が掛けられた。おそらくこの武装集団に伝わる縛り方なのだろう。
3人は、カタオ、ナシア、ケントの順番で縄で繋がれ、山道を歩き始めた。間隔は1mぐらいで、前後には武装集団の2人が縄の端を握ったままでついている。周囲はハリス国の軍人5人が実弾を装填した銃を持って見張っている。通訳ができる男も同行している。
山道は長く険しかった。途中でナシアが小便がしたいと言い出した。すると通訳の男が無言でナシアのジーンズのチャックを下して、ナシアの性器を無造作に引っ張り出した。縛られたままで小用をしろというわけだ。次にカタオが大便がしたいと言ったときは、何をされるのかもう見えていた。ケントのジーンズとパンツが下げられて、その場でしゃがめと言われた。すぐ後ろにいるナシアとケントは、あまりに気の毒な光景に、目をつぶるしかなかった。
夜になると野宿だ。縛られたまま横になる3人の上に軍用毛布が掛けられたのは、せめてもの温情であろうか。それとも捕虜は死んだら無価値だからか。そういえば武装集団は、ハリス国の軍人から恩賞を貰っているようだ。
まる2日間かけて、3人を連れた一隊は最前線基地にたどりついた。平地に近くなってきたのか、暑さを感じる。ケントはもうこれ以上は歩けないと思ったが、通訳の男はここからはトラックだとか言って、仲間といっしょに山岳地帯に引き返していった。
3人は基地の一室に連れ込まれると、5人の軍人も一緒についてきた。3人はそこで服を全部脱がされた。もう通訳がいないので、軍人によって無理やり素っ裸にされたのだ。穿いていたトランクスの代わりに着けるように言われたのは、カルタイ国風の褌とポナール国風のブリーフパンツ。長い褌の布を抑えるようにブリーフを穿くわけだ。ケントはオムツとオムツカバーを連想した。
3人は再び後ろ手に縛られ、口には猿轡を嵌められた。1m四方の鉄格子の檻が載せられた台車が3台、室内に運ばれてきた。軍人は3人にこの檻に入るように仕草で命令した。3人が入った檻は、台車で運ばれてトラックに積み替えられた。驚いたことに同じトラックには他の捕虜を入れた檻もあった。しかし会話ができないので、お互いの身の上を話すことも不可能だ。
トラックはまる1日かけて、捕虜収容所に着いた、3人の檻は他の捕虜の檻と一緒に広い部屋に運ばれて、そこにあった檻の山の一角に積み重ねられた。
飢えと渇きが限度に達し、着慣れない下帯もブリーフも排泄物でぐちゃくちゃになって、もうダメかとおもった頃、左隣の檻が下されて視界が広がった。
そこで見えたのは、自分たちが入れられている鉄の檻よりもふた回りも小さな箱に入れられようとしている捕虜たちの姿だった。今度の箱は不透明で、横幅は50cmちょっと、上部の板の長さは前後が40cmぐらいで、前の板は下から三分の一ぐらいのところでくの字に折れ曲がっている。底の板は前後が70cmぐらいと少々広い。真横から見ると背中側は垂直で、前側を向いたいびつな矢印のような五角形だ。
流石に身体全部は入らず、首から上は箱の穴から外に出ている。手首も外に出ているが、頭の横の穴から出している箱と、前の板から出している箱がある。中では尻を底に着けて膝を思いっきり曲げた窮屈な体育座りをしているようで足首もくの字の下側の板から前に出てしまっている。いくら頭などが外に出ていても、この檻より更に身動きできないのは確実だ。
獄吏が捕虜を箱に入れるところを見ていると、箱は蝶番で折れ曲がって前に開くようで、捕虜が入ると上の板のところで首枷のように施錠される。両手首や両足首を出す穴にも外から枷が嵌められていて、自由に動かすことは無理だ。
くの字形の前板の上半分の部分には小さな四角い穴が開いている。目的はわからなきが、足枷で無理やり拡げられた股間がそこからチラチラと見える。
捕虜は、箱に移される前に猿轡を外され、汚れた下着も脱がされる。その下着は篭に入れられ、驚いたことにその捕虜の次に箱に入った捕虜の口の中に、そのブリーフが押し込まれ、褌が口元を中心に顔の周りにグルグル巻かれて、縛って留められている。
こうして捕虜は、顔が隠されて周りが見えないだけでなく、口の中のブリーフで満足に話ができない状態にされている。
箱には車輪がついているらしく、獄吏が軽々と押して移動させている。専用の送り出し口があって、そこまで運ぶとあとはベルトコンベアーがどこかに運ばれていくのがわかった。
それを見ているうちにケントたちの順番か来たようだ。ケントが入れられている檻の扉が開くと、ちょうど目の前にあの奇妙な箱があるのが見えた。
(第6話に続きます)
-----------------------------------------
去勢の話は第4話からになります。
-
投稿:2022.01.09更新:2023.12.07
捕囚の印(第3話-ケントの捕縛)
著者 Eunuch 様 / アクセス 10138 / ♥ 67