魔女の華園
剣と魔法を駆使してこの世の生きる術の世界は同時に魔力により変異したモンスターが跋扈している、そして多くが冒険者と呼ばれる命知らずの者達が討伐する。しかし一歩間違うと待っているのは凄惨な末路だ……それ故にこの冒険者は知識と経験をどのようにして入手するのが生存する鍵とも言える。
「ケイン、貴方に御指名依頼が来ているわよ」
「……迷い杜のカナンか?引き受ける」
使い古された甲冑一式を身に纏い、体格は然程ないが卓越した知識と経験で数多くのダンジョンにて遭難した冒険者らを地上に引き揚げている”サルベージ”を生業にしているケインは馴染みのギルト嬢から依頼書を手に取る。冒険者ギルトにて御指名制度は余程特殊案件、裏を返せば普通の冒険者なら消える事になる。
「大方、レアリティ素材採取ですね」
大地女神教神官少女メリアルの言葉にケインは頷く、既に何度も依頼をしているのだ……魔術効果を高めるマジックアイテムの多くがレアリティ素材が使われているがモンスター由来も多い。ギルト受付嬢は依頼済みと言うハンコを捺した。魔女はアウトローなポジであり、事と状況次第では火炙りされるが魔女はマジックアイテム製造には欠かせない。統治者にして見れば扱いに困る訳だ……遥か昔、魔女を一掃したある国はゴブリンの大群に沈んだが今は魔杜になっている、ゴブリンがエルフを犯した結果神罰により樹木にされたと言う伝承がある。誰もが知る伝承だ。
「あら、早いわね」
「サルベージになる連中はいなかったからな……増えたな」
樹木の手入れをしているカナンはケインとメリアルを見ると微笑む、妙齢であり若々しいがこれも魔女の特徴、不老であるが何らかの拍子で魔力が抜けると一気に老化が進み死に至ると言う、
「ふふっ、久しぶりに若い牡がかかったわ」
ケインとメリアルの場合はカナンから信頼され、ある場所から転移陣で木々に囲まれたカナンが根城している砦に辿り着く事が出来る。これが普通の冒険者なら一旦杜に入れば方向と月日の感覚を迷わされ持ち込んだ食糧が尽きる、そして杜の木々がぶら下がる果実や生息する野生動物を狩る事になる……だがこれらの動植物には魔素が含まれ体内に蓄積が進むと個体差があるが人間でなくなる……獣人化した者はカナンに襲い掛かるが最終的には性器に呪貞操具を装着され絶対服従を誓い家畜化され、獣になった者は杜の中を他の肉食動物やモンスター、更に冒険者からも逃げる事になる、捕まれば死に至るのだ。植物化する者はカナンが気に入り徐々に装備や衣類を脱ぎ捨て全裸で誘導した先にある魔樹の若木が触手が両手に巻き付き同化を始める……気が付けば両手は触手と一体化し尻肉は増大、足も萎れる。牡なら巨大化した男性器を晒すが牝は子宮が変化しラビアが花弁になった雌花を晒す……頭上を見ると受粉の最中だ。最早人間の知性も倫理も捨て去っている。隣の牝花は子宮口から種を産み落とす、この種もマジックアイテム素材だ、家畜狼型獣人が運んでおり貞操帯により肉棒を適度に締め付けている。
「何処のダンジョンだ?」
「南の樹園よ」
確か魔女の一人が自ら樹木化した事で冒険者ギルトは立ち入り規制をしている、だがマジックアイテムの原材料採取には最適故に一攫千金を狙ってアウトローらが入るが杜の一部になり果てる。杜の拡張を防ぐ意味合いでこの世界の有力国家らと冒険者ギルトは魔女に手入れを依頼している。
「ハイポーションは用意しておいたわ」
「そうか……」
「感謝します」
このハイポーションも原材料は魔樹の蜜、即ち精液と愛液だ……冒険者も一つ持てば御の字と言う価格である。神官メリアルは魔導士故に魔素の枯渇は避けないといけないがハイポーションは体力は元より魔素を補充する事も出来る。
砦の一角にて魔樹の幼体を植えた鉢が並んでいる……特殊な魔方陣により樹木化を抑制されており少年らがうなだれていた、魔樹は下半身を取り込み更に両腕も枝と一体化、何よりも牡花となった肉棒は異常に発育し、包皮は花弁になりその香で魔鉢が引き寄せられていた……羽の音色で射精するが粘性が増し花弁がそれを受け止めている。隣の少年の雄花は萎れていた、カナンはそれを見るとナイフを出す。
「ひっ!いやっぁあああ!」
「大丈夫よ、また生えて来るわ♪」
萎れた牡花もマジックアイテムの材料になる、カナンは躊躇する事もなく摘花したのだ。絶叫する声に
他の少年らも顔を背ける、既に幾度も摘花されている……牡花が無い時は樹木化が進む、それは人間として消えていくのだ。樹木に取り込まれると別の場所に移されるのだ。
「手土産は出来たわ、さて出発よ」
ケインは少年らを見て思う、自身の幼少期に故郷の村が落ち度が無いのに焼き払った何処かの貴族とその取り巻きらだ。あの時はカナンに剣術の師匠となる傭兵騎士団長により彼らは捕まり諸事情でカナンが引き取っていた。
「ふふっ、かわってないでしょう?」
「……」
ケインは何も言わずにそこから去った。