みなさんは「チャックモール」という名前を耳にした事は御座いますでしょうか?聞き覚えのある方はあまり居られないのではないかと存じます。
ではマヤ、アステカといった中米の古代文明(年代的なものでなく、他の文明圏と隔絶し鉄器や文字を使わないという意味において)についてはどうでしょう。
聞いた事はあるという方はそれなりに居られると思います。
その方々はそれら中米の古代文明が国家的な祭祀として夥しい人身御供の儀式を行っていたという事も或いはお聞き及びかもしれません。一例を上げれば、農耕に纏わるシペトテックという神の祭りでは生贄の生皮を生きたまま剥ぎ取ってその皮を司祭が着て踊り豊穣を祈ります。またチチェンイツァー(泉のほとりの意)の泉には旱魃や疫病といった良くない事が起こる度に生贄の少女が投げ込まれました。それら数々の人身御供を伴う儀式の中でも特に有名なのがピラミッドの上で行われた儀式でしょう。彼らの宇宙観によれば過去に4つの太陽が滅びそれらは神々の生贄によって贖われ、人間は現在の太陽の恩恵を受ける事ができる。しかしこの太陽もいずれ滅びる恐れがあり、明日の朝は何もしなくとも保証されたものでは無かったのです。そこで神々がかつてしたように今の人間も太陽がつつがなく翌朝また登るのを願って最も貴重なもの、即ち人間の血を捧げねばならないとされ、ピラミッドの上で日毎生贄の心臓を生きたまま抉り出し捧げたのです。その心臓を捧げる像を「チャックモール」といいます。その姿はカリカチュアライズされた男性像で体育座りのような格好でおなかの部分を平らにするように姿勢を崩した格好で座りこみ、おなかの上に生贄の心臓を乗せる盆を持っているというものです
さて、本日お話いたしますのはこのほど発見されたピラミッド跡において発見されたチャックモールについてなのですが、実はこれまでに前例の無いものだったのです。先程お話しした様にチャックモールは通常盆を一つ抱えているものなのですが、今回発見されたそれはあぐらに座りこんで両手にひとつずつ二つの盆を持っていたのです。当初これは従来の意味での「チャックモール」としていいのか疑念が有りました。ですが発掘の結果間違い無く之はチャックモールであるという事が判りました。ただし少し従来のものと違った使われ方をしていたものと考えられたのです。それは即ち心臓だけでなく男性生殖器をも捧げるという使われ方でした。
発掘の結果ピラミッドの周辺には多数のレリーフが彫られ飾られていた事も判ったのですが、それらの物証や付近の住民の民間伝承の採取による調査の結果はその実態においてチャックモール以外の何物でもないという結論となりました。その結論に本日お集まりの皆様の趣向を加味した結論は以下のようなものです。
その日、春分の日の夕刻、神殿に仕える神職の少年は不安と誇らしげな気持ちがないまぜになった気分で茜色の夕焼けを見つめていた。
太陽はボク達人間に様々な恵みを与えてくれる神である。しかし日毎、夕方とともに力尽きてしまう。これまでの絶えた4つの系統の太陽のように今日を最後に今しがた倒れた太陽の系類も絶えてしまうかもしれない。ところで太陽に替わって天を覆う「夜」の神は淫蕩な女神である。日毎新しい雄の精を欲し、その精をもって明日の太陽を孕み出産に至ってつつがなく「朝」がやってくるのだ。そして今日春分の日という特に節目の日に「夜」と子を成すのは他ならぬ神職であり「神食」でもある少年だったからだ。神官長の呼ぶ声が聞こえる「××。そろそろ泉で沐浴を始めなさい」少年はピラミッドの階段を駆け下りその麓にしつらえられた専用の泉へと階段を元気に駆け下りた。
少年が泉に足を突っ込むと、泉の水は季節の割に暖かい気がした。春の陽気の所為か妙にリラックスした風情の数人の神官が既にいて、「××。服を脱ぎなさい」と声をかけてきた。少年に異存のあろう筈もなく手早く着ていた服を脱ぐと神官達に身を委ねた。神官達は念入りに、且つやさしく少年の体を隅々まで洗った。首筋からうなじ肩甲骨辺りを撫で下がる手。えりくぼの辺りから男として筋肉の付きはじめた胸や乳首、うっすらと浮いたあばら骨の線の辺りを撫でる手。腹筋が割れる迄はとてもいかないが、きれいな立てスジを描くおへその辺りから脇腹や腰骨の辺りを撫でつつ、もう片手で肩から二の腕の筋肉、肘、手の甲と下がる手。これらの手の数々が少年には心地良かった。
「足を開いて。」「うん。」少年はぴょんと飛ぶと足を広げて着地した。すると背中とおなかの辺りを洗っていた神官が少年の肛門と生殖器を洗い始めた。肛門に指を突き入れられ出し入れされると何かムズムズして来るし、じんわりと気持ちが良くなってきた。陰茎がじわじわと硬度を増してくるのを感じる。「おっ。勃ってきた。勃ってきた。暫くセンズリしてなかったから出したいんじゃないか?」「うん。出したいよぉ。」「まだ駄目だ。袋の方も良く洗っておかないとなあ。」そんなやりとりをしているうちに少年の生殖器を撫で洗う手の数が増えている。陰嚢の皺を伸ばすかのように丹念に揉み洗い、その中の二個の精巣を一つずつ別々の手が転がしている。また別の手が陰茎の先端の包皮の切れ目から指をその中へつっこみ、尿道口から溢れる先走りを潤滑剤にして亀頭溝にこびりついた汚れを念入りに指で抉りなぞって汚れを取ると、更に包皮をくるんと剥き上げて、つるんとした亀頭を撫で上げる。かと思うとまた別の手が先走りをどんどん溢れさせる尿道口をその縦に切れこんだ形に沿って包皮小帯から三次曲面を描く亀頭先端にかけて指を前後に沿わせ激しく擦り、少年の最も敏感な性感帯の粘膜を激しく刺激した。「そっソレ駄目ェ。良すぎるよぉ。出る出るぅ!」ぶちゅるっと勢い良く尿道口をこじあけ、神官達の手により加えられる尿道海綿体への指圧を推し返すように海綿体を膨らませる様な圧力で少年の射精が始まった。黄色みを帯び完全にゼリー状になるほど濃厚な精液が辺りにぶちまけられるような勢いで次々と射出される。「ぼ、僕の子種がいっぱい出てるゥ、、。見て!見て!僕の精が吹き出るの見てェ!」7回8回9回、、。びゅくびゅくと少年の生殖器全体が動悸を打ち、少年の雄としての存在意義である精液が溢れ出した。そして12,3回も動悸を打った頃やっと少年の射精現象は治まった。
「よしよしちゃんと10日間センズリ我慢してたな。これだけ沢山濃いヤツを出せれば、間違いなく「夜」を孕ませ申し上げられるぞ。」「うん。また儀式の時にも沢山出すから天の「夜」まで僕と僕の子種を届けてくださいね。」「ああ。間違いなく届けてやるさ。折角一番出来のいい神官の卵のお前を贄に捧げるんだ。なればこそ神々もこの境目の日の特別な犠牲を嘉し給うというものだからな。」
「さあこれをお飲み」別の神官が少年に一椀の何かの汁を手渡した。それは神殿の近辺に儀式用に栽培されていた芥子の汁だった。その麻薬成分は少年をはじめとした贄の痛覚をはじめとする感覚を麻痺させつつ唯一確実な媚薬成分としても作用し、その射精を早めるからだ。すこしずつ少年の意識はぼやけていく。その中で神官達の手を借り再度身繕いをし最後の慎ましやかな晩餐を済ませた。その頃には明白な意思はどこかに韜晦していた。
夕日が落ちて数刻が経った。いよいよ儀式の刻がやってきた。ピラミッドの頂部の小さな広場の上に数人の神官と神官長が登りその後に今日の主賓ともいうべき少年が二人の神官に両脇を抱えられる様に続いた。そしてその後を少年と同年輩の助祭の少年が数人と、宮廷からさしまわされた儀式の首尾を見聞し報告する役人が続く。広場は既に沢山の松明によって明々と照らされていた。その奥まったところにベッド状の台が置かれその更に奥には奇妙な人影が一つ蹲る。そう。あの変わったチャックモールそのものである。助祭の少年達や役人は広場の端の今しがた登ってきた階段の際に佇立した。贄たる少年神官はそのまま進む。まず神官の一人が少年の衣服を脱がせた。その上で少年をベッド状の台上に担ぎ上げた。普段であれば贄が暴れる事も多く難渋する事も多々あったが今日に限ってはその気遣いは無く(贄となる事は一種の名誉であり必ずしも死を望まず暴れる者で全てが占められる訳ではないからこういう表現となる)事はすんなりすすんで少年のしなやかな肉体が台上に横たえられた。そして少年のそれぞれの四肢に一人ずつの神官がとり着くとおもむろに両足を開かせ少年の生殖器官を神官長と天空の夜空に向かって晒した。
まず少年を夜の女神と番わせる儀式が執り行われる。大きく割り開かれた少年の股間に突出している陰茎が神官長により握られ揉みしだかれる。じわじわと少年の生殖器がその雄の生理に従い硬度を増し、陰茎が硬く屹立すると神官長は少年に最後の快楽を与えるべく陰茎に上下運動を与えた。それを加速すべく先刻綺麗に洗浄した肛門内にも指を付き入れ少年の前立腺をぐりぐりとまさぐり刺激する。少年の顔は上気し明らかに興奮していた。速やかな射精を得るべく少年自身がその生殖器への他動的な上下運動に合わせその腰を振っている事でもそれは明らかだった。
「アハァ、、!」夢現の状態で少年は生涯最後の絶頂を迎え射精した。どくどくと沐浴の時とさほど変わらぬ勢いで精液が少年の生殖器官から夜空に向かって放たれ、その後台上や少年の胸やおなかの上四肢を押さえる神官の衣服等に点々とかかった。そしてひとしきり射精が治まると神官の一人が木製のスプーンで放たれた精液を丹念にすくってはチャックモ―ルの持つ片方の盆に乗せていった。これで夜の女神に精を捧げた事になった。次は少年そのものを捧げる番だった。少年の晒された股間に黒曜石の刃が当てられた。ガラス質の黒曜石のナイフはその荒々しげな見た目とは裏腹に石英質である事を証するが如く皮膚のかぼそい抵抗を破り少年の肉に食い込んでいった。少年の意識と自我が数刻ぶりに覚醒し、状況を理解した。
「ああっ、、。神様、、。ボクのボクの全てを捧げます。ボクの性器をお受け取りください!」
多量の芥子を与えられていてもやはり痛覚は少年を襲った。まず陰茎の横に突き立てられたナイフが一度深く少年の腹腔まで侵入する。そしてその刃先はそのまま袋の方に向かって下げられ陰嚢と体の継ぎ目の辺りを切り裂く。そして更にナイフは胎内深くに進入し陰嚢の下側辺りまで侵攻した頃合で、その刃先に少年の丸い前立腺をひっかけた。刃先が少年の骨盤に当たり陰茎の付け根の辺りや前立腺といった少年の内性器の塊を骨盤や他の筋肉や脂肪といった組織から引き剥がし、陰茎に流れ込む血液を循環させる動脈と静脈の幹線を切断して大量の鮮血を台上に溢れさせてから刃身を少年の胎内から一度引き抜いた。
「アアアアアッッ!!」
さすがに少年の意志がその身を贄として捧げるという事に堅固な意思を持っていても生物としての肉体は正常な生存本能に従いそれを拒絶すべくのた打ち回り四肢を振り回させようとした。だが少年の肉体は大人の神官達により押さえつけられており胴体が多少捩れるだけに終わらされた。身を捩る事で陰嚢脇の切り口から少年の精巣が一個血まみれの姿で胎外に転がり出ていた。しかし頓着せずに神官長はもう一度今度は先程とは反対側の陰茎の脇に刀身を深々と突き刺した。その方が少年の苦しみは速やかに終息し、より早く神の御許に逝けるのだから。再度少年の股間の肉体組織が切り裂かれ破壊されていく。そしてもう一度陰嚢の下側に達した刃先が再度少年の生殖組織をその肉体の他の部分から強制的に引き剥がした上で刀身が抜かれた。そして間髪入れずに陰茎の上側の少年の血液に塗れたまだ柔らかい性毛の園に突き立てられ少年の生殖組織全体の塊をそのしなやかな体から永久に切り離した。神官長は亀頭をつまみ高く掲げとひとしきり祭文を朗々と詠唱した。ぶらんとした陰茎の下に陰嚢全体と前立腺をはじめとした胎内組織がぶら下がりその更に下には精索に繋がったままの精巣が二個、一番下で文字どうりクラッカーボールの様に揺れ、それらは勃起中を切断されただけあって夥しく血液に塗れた凄惨な有様だった。そして祭文を朗じ終えた神官長はその手に持った少年の生殖組織の塊を、チャックモールの片方の先程少年の精液を捧げた盆の上に乗せた。
少年は既に息も絶え絶えの風情に成り果てていた。ただし人間というのは意外に頑強なもので、手荒な切除術式の為このままだと失血死は間違いないところだが、かといってこの位の外傷では即時には死にきれない。慈悲の一撃の意味も兼ねて次の過程に儀式は進む。少年の両腕を抑えていた神官達が更に力を込め押さえに掛かる。そして神官長は左手で少年の心臓の位置を、そのまだささやかな少女の其の様な乳首の位置と心臓そのものの鼓動によって確かめた。そして再度少年の肉体にナイフが振われた。薄く微かに浮き出たあばら骨のラインに沿う様に横に大きく切り開く。今度は先の性器切除の時と違いやや慎重に作業が進む。何故なら鼓動を続ける心臓をチャックモールに捧げねばならないからだ。筋肉組織が切開され少年の握り拳大の臓器が現れる。
「偉大なる夜の女神よ。謹しみて汝にこの贄の精を捧ぐ。重ねてその御子の糧としてこの贄の御霊を捧ごう!我ら定命の者に太陽の恵を明日も与えられん事を!」神官長が夜空の虚空に向かって叫ぶ。少年も「ボクの、、ボクの血と命を、、、。」と弱々しく和した。
神官長は既に手遅れではあるが、今度こそ其の命脈を確実に絶つという事から断腸の思いで少年の動悸を打つ臓器を掌に掴むとそこから出ている数本の管をよって束ね一息に件の黒曜石のナイフで断ち切った。「ぐああああ、、、、、」一際大きく少年の肉体は跳ね上がろうとする。だが四肢を抑える大人の神官の膂力には及ばず、幾漠かの乳酸を神官の腕の筋肉に追加して生じさせたに留まりそれをもって少年の命の炎が掻き消えた。瞳孔は焦点を結ばないまま夜の虚空を、いや自分の結婚し身を捧げた相手を見つめた。まだ動悸を打っている心臓がチャックモールのもう一方の盆にのせられた。そして心臓及び先の男性生殖器の塊と精液にも香油が振りまかれ火が点じられた。奉焼し、その精と神食としての少年の御霊を天に届ける為である。肉が焦げる匂いの漂う中、神官達の祭文が響き、神官長は天の星々の動きと瞬きを見つめ事の成否を確かめようとしていた。せっかくの贄なのだ。明日の太陽に昇ってもらわねば甲斐が無いし何よりこの世が終わってしまう。だがやがて得心したように「事は成された!明日も太陽は産まれ出るであろう!!」神官達も儀式を見ていた者も心からの安堵のため息をもらした。仕事の出来た役人は宮廷にとってかえすべくそそくさと踵を返し階段を駆け下りた。助祭の少年達も其の僚友が天に上った事に形而上的な賛嘆と形而下的な己が命を費消せずにすんだ安堵をブレンドした気持ちを各々抱えて階段を降りていった。
最後に少年だった肉体はその四肢を抑えていた神官達によってそれぞれの四肢をそのまま掴まれ沐浴をした泉に運ばれた。平常業務の提供者なら戦争の捕虜である事が通例なので遺体置き場に投げ込んでお終いのところだが、今日は特につい今しがたまで自分達の同僚であり弟分の様だった少年だ。再度未だその暖かさの燃え残った体を洗い清め貴重な装飾の施された特別の布で刀創部を包んだ。そして見開いたままの瞼を閉じさせてやると予め用意の墓所に丁重に埋葬された。
コンキスタドール、コルテスがこの地を踏み、その事物についてのカソリック的思考から来る嫌悪感により地上にある建造物を断固取り壊すよう命じたのはそれから何ほどの春秋も経たない内だった。変わったチャックモールが残ったのは神殿としてのピラミッドの部品に過ぎず、無垢の石材を打ち壊すのが大義だったというだけの理由と思われる。
神官の少年にとって、その意思の下で贄として満足と共に死するのが良かったのか。新しい神の恣意の下、異邦人に飼われるかの如くにでも生きるのが良かったのか。それはこの話を聞くあなた方一人一人に別の答えが有るものと存じます。
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投稿:2004.04.19更新:2005.07.10
変わったチャックモール
挿絵あり 著者 西瓜 様 / アクセス 17721 / ♥ 25