第1章 一重瞼
どうしようかなー。
河合由紀はようやく落ち着いたワンルームマンションのベッドの中で迷っていた。
高校は頑張って希望の私立の進学校に入れた。
だけど、家から通うにはあまりにも遠いから親を説き伏せて下宿することにした。
始め駄目だって言ってたけど結局親も折れてくれた。
進学する高校には知っている人がいない。
どちらかというといじめられていたから却ってほっとしている。
小さい時から体も小さくて女の子みたいな顔だった。
そのせいで男の子達にいじめられることが多かった。
もちろん似たような子もいたけど、明るい感じの子は逆に可愛がられていた。
体と容貌両方でコンプレックスだった。
どうせ女の子っぽくても、明るい感じならよかったのに。
鏡を見て一重の少し暗い感じの目を見つめた。
女の子だって可愛い子もいるし、可愛くない子もいる
明るい感じの子も暗い感じの子もいる。
同じ女の子っぽくてもせめて可愛くて明るい感じだったらなあ・・・
どちらかというと女の子と遊ぶ事が多かった。
そのせいか、可愛い明るい感じの女の子にあこがれる。
駅前でもらったちらしをもう一度見てみた。
暗い一重瞼を簡単に明るいチャーミングな二重瞼に、か。
こういうのは女の子がするんだろうなーって思うけど。
男らしい顔になんて無理だし、せめて・・・
今度の高校はみんな前の僕を知らないんだし。
しばらく天井を眺めていた。
マンションの敷金や礼金が思ったよりも少なくて済んだので大分残っている。
決めた、明日行ってみよう。
一度決心すると、却って気が楽になった。
次の日にちらしのクリニックに行ってみることにした。
第2章 迷い込んだ獲物
診察の合間にぽかっと時間が空いた。
又いつものようになってきた。
最近何だかいらいらして落着かないわ。
父のクリニックを継いでから一年になる。
親戚のおばさんが最近頻繁に見合いの話しを持ってくるけど受ける気なんてないわ。
私は高橋洋子。
医学部を卒業してから、亡くなった父のクリニックを継いだ。
最近は患者さんも増えて来てけっこう忙しい。
専門が美容外科だから、女医だってことがプラスになっているみたい。
さすがに患者は女の人が多く、毎日診察していると段々欲求不満になってくる。
母親も早くに亡くなって一人でいるせいもある。
彼氏は当分作る気はないし。
美貌には自信があって、大学時代にも男の人と付合った事はある。
だけど、粗雑なだけのセックスで一回で失望してしまった。
最近もやもやした妄想に取り付かれてしまって自分を持て余してしまう。
あー、可愛い男の子いないかしら。
昔から可愛い男の子を見ると胸がときめいた。
女の子みたいに可愛い男の子を思いっきり抱きしめたい。
でもレズじゃないのよね。
私の腕の中で恥ずかしがっている男の子を女の子みたいに愛したい・・・
「先生、次の患者さんです」
受付け兼看護婦の上条加奈さんがいつものように大きな声を上げた。
「はい、入ってもらって」
名前だけ入ったカルテを見ると、16才の男の子だ。
何でこんなところに?
疑問と興味が湧いた。
ドアが開いておずおずと恥ずかしそうな様子でジーパンにTシャツの男の子が入ってきた。
髪は長く色も白くて可愛い顔をしている。
でも、ちょっと暗い感じだわ。
「どうしたの?」
「はい・・・」
もじもじしている。
話しはじめるのを黙って待っていた。
こういうクリニックは落ち着いて相手に話し始めさせる方がいい。
黙って見ていると、胸が疼いた。
女の子の服を着せたら可愛くなるわね。
まだ、髭も薄くって、喉仏もでていない。
少しどきどきして少年を見つめた。
「あの、二重まぶたにして欲しいんですが・・・」
消え入りそうな声で顔を赤くしている。
「あら、そう?
いいけれど、どうして二重にしたいの?」
一重のままでも十分可愛い顔をしている。
でも、二重でぱっちりした目だと愛らしい顔になりそうね。
俯いて顔を赤くして黙っている。
相当勇気を出して来たみたいね。
「いいのよ、別に恥ずかしい事じゃないし。
最近は男の人でも割といるし、脱毛する人もいるんだから」
リラックスさせるつもりで優しく話してあげた。
顔をあげて少し安心したような顔になった。
「理由を言わないといけませんか?」
不安な様子でもじもじしている。
何だか人に言えない恥ずかしい理由がありそうね。
興味をそそられる。
「別にいいけど、でも理由によって治療方法も変わるから。
私はお医者さんなんだから、何でも話してくれていいのよ。
同じ二重でも、色々変えられるから]
優しく微笑んで男の子の目を見た。
「はい・・・」
「いつも暗いって言われて、一重のせいもあるかなって」
俯いて話しているようすが可愛い。
「それで二重にしたら明るい印象になるかなって思って」
「なるほど。ちょっと待ってね」
手術後のカタログを見せてどれがいいか聞いてみた。
「こんなのが・・・」
男の子は何枚かめくってから一枚の写真を指差した。
「あら、これは女の子の手術例なんだけどこれが気に入ったの?」
顔を赤らめて、でも頷いた。
「ふーん、もしかして君は女の子みたいな顔になりたいのかな?」
意地悪な質問をしてみた。
「そんな・・・」
「ただ、こんな感じになれればいいなって・・・」
誰かの事を思い出しているような顔をしている。
「別にいいわよ。君には似合うんじゃない?」
彼に笑いかけた。
男の子はほっとした様子で笑顔を向けた。
このままではなんだかつまらないわね。
彼の顔を良く見た。
眉毛と眼窩隆起が男の子っぽいわね。
そこを直せば可愛い少女の顔になるのにね。
この男の子を思うようにしてみたいって気持ちがふつふつと沸いてきた。
可愛い少女の顔に変わったのを想像すると体が熱くなってきた。
「ねえ、目を変えると眉毛がアンバランスになっちゃうけど。
一緒に直して上げましょうか?」
「えっ」
驚いたような顔をしている。
真面目な顔をして説明してあげた。
「まゆのカーブとまぶたのカーブは対になっているからね。
合わせないと不自然になってしまうわ。
不自然なのっていやでしょう」
「え、はい」
不安そうな顔で肯いている。
ふふ、乗って来たわ。
「じゃあ、サービスでやってあげるわね」
ちょっと不安げな様子だったけど「お願いします」と神妙に頭を下げた。
「この写真みたいにすればいいのね」
「はい・・・」
「じゃあ、そのようにしてあげるわね」
ふふふ。写真みたいな可愛い少女の顔にしてあげるわ。
体の芯がうずいてきた。
「今度高校生なの?」
「はい、今度入学です。」
「そう、じゃあ前の顔を知っている人はあんまりいないわね」
「はい。前の中学校の人は誰もいません」
「なるほど。それで春休みの今来たのね」
「はい」
「じゃあ、時間はあるのね」
「ええ、まだ2週間ばかりあります」
「そう、じゃあ目と眉毛に合わせて眼窩隆起も少し削ってあげるね」
不安そうな顔をしている。
「心配しなくってもいいわよ」
「君の気に入った感じの子は女の子だから、目の周りの骨も少し君のと違うのよ」
「傷痕も残らないしそんなに難しくないんだけど」
安心するように優しく男の子の目を見て話してあげた。
「でも、君みたいな男の子は先生もまだやったことがないの」
「そうねー」
少し考えてから
「ねえ、まとめて手術させてくれたら手術代はいらないわ」
「えっ、本当ですか?」
「ええ、瞼だけじゃなくってトータルの整形って、私にとっても今後の参考になるから。
そのかわり、みんな私にまかせてくれるかしら?」
少し不安げな目ででも嬉しそうな顔をして頷いた。
ふふふ、何だか楽しいことになってきたわ。
さっきまでのいらいらした気分がどこかに飛んで行ってしまっている。
さあ、どういう風にしてあげようかしら。
「じゃあ、簡単な検査をしてから手術の日を決めてね」
「宜しくお願いします」
礼儀正しく頭を下げて出ていった。
彼の名前は何て言ったかしら。
確か河合由紀という名前だったわね。
何だか女の子みたいな名前ね。
これなら女の子になっても大丈夫ね。
笑いが込み上げてきた。
由紀君の指した写真を見ながらどうしようか想像した。
この目だとやっぱり眉毛はきれいな半月がいいわね。
目の上の骨もやっぱり出っ張っていない方が合うわね。
うん、女の子のおでこはやっぱり柔らかくって丸くなきゃね。
写真全体を見る。
やっぱりこういう可愛い目とおでこだと口の周りもきれいな方がいいわね。
少しある髭もレーザーで取っておいてあげよう。
由紀君の顔を思い浮かべながら思わず口元がほころんできた。
その日は色々想像して興奮して遅くまで寝られなかった。
第3章 最初の手術
予約していた手術の日がやってきた。
由紀君は不安そうな顔で診察室に顔を出した。
「心配しなくてもいいわよ」
「はい」
じゃあ、手術室に行きましょう。
「それと、入院してもらうことになるかもしれないからお家の人に言っておいてね」
「えっ、入院するんですか」
「ええ、眉毛の周りも少し手を入れるからね」
「それに、今後の参考に完治するまでの経過を調べておきたいし」
「わかりました。でもマンションに一人暮らしだから別に連絡しなくてもかまいませんけど」
「そう、それなら都合がいいわ。じゃあ一週間位覚悟してね」
「もちろん、入院費もいらないからね」
神妙な顔ででも嬉しそうにしている。
手術着に着替えさせてから手術室に連れて行った。
わくわくする。
もうどうするかイメージは出来ている。
私の可愛い獲物が今手術台の上に上がった。
「じゃあ、麻酔をするから」
由紀君は緊張した顔でじっとしている。
上条さんが全身麻酔を打った。
「すぐ眠くなるからね」
1分程経つと眠気が襲ってきたみたいで目を閉じた。
さあ、用意ができたわ。
うふ。興奮してくる。
こんな事初めてだわ。
さあ、うーんと可愛い女の子の顔にしてあげるわ。
きっと鏡を見たらびっくりして喜んでくれるわね。
思わず笑みがこぼれる。
メスを瞼の間に入れて、可愛い二重にした。
目尻も長く伸ばして女の子らしい目にしてあげた。
うふ。可愛くなったわ。
「先生、いいんですか?そこまですると女の子の目になっちゃいますけど」
「いいのよ、これで」
「はい、わかりました」
上条さんがくすくす笑っている。
さーて目は終ったから。
次は眉毛ね。
可愛い目に合わせて細い半月形に脱毛した。
うん、イメージ通りだわ。
可愛い女の子の顔になってきた由紀君を見ていると興奮する。
濡れているのがわかる。
あー、もう堪らない。
駄目駄目、まだ終ってないわ。
傷が残らないように注意深くレーザーメスで眉毛の淵を切り開いた。
眼窩の上の骨を削り取った。
神経を使うわ。
ようやく両目の上を削り落とし、きれいに傷口を貼り合わせて一息ついた。
ふふふ、これで望み通りの顔になったわよ。
よかったわね由紀君。
「あらあら、可愛い顔になったこと」
上条さんがくすくす笑っている。
「ふふ。そうしようと思って」
「目が覚めたら驚くでしょうね」
「喜んでくれるわよ」
さーて、大きいところは終ったわ。
眠り続けている顔を見ながらチェックした。
うーん、やっぱり薄いけどこの髭がじゃまね。
とってしまいましょうね。
どうせ残しておいたって毎日そらなきゃいけないんでしょうから。
何で男の人はこんなのを毎日そってるのかしらね。
汚いだけなのに。
私はあの青い剃り跡を見るとぞっとしてしまう。
「ひげもじゃまだから脱毛しておいてくれる」
上条さんがやっぱりといった顔で笑っている。
「じゃあ、きれいにしておきますね」
「女の子の顔にひげはおかしいですからね」
くすくす彼の顔を見て笑っている。
彼女が、丁寧にレーザーで脱毛していく間少し横で休んだ。
ふふふ。これでもう髭に悩まされなくってもいいのよ。
早く腫れが引くのが待ち遠しいわ。
きっと、由紀君も喜ぶでしょうね。
本当にこうしていると女の子みたいね。
思ったよりもうまく行って、満足感が体を満たしている。
急に疲れが出てきた。
「終わりよ。じゃあ後の処置はお願いね」
「彼は201号室に連れて行って寝かしておいてあげてね」
上条さんに言って、一旦診察室に戻った。
入院用の設備といっても二部屋の個室があるだけで、自宅に隣接している。
ほとんど使わないから今も空いている。
そろそろ起きる頃かしら?
201号室に入ると由紀君はまだ寝ている。
目の上は包帯で巻かれている
それでも更に可愛くなった顔を見ていると疼いてくる。
ああ、もっと可愛くして抱きしめたい。
ああ、何だか変だわ。
みだらな妄想が頭を埋め尽くしてしまう。
何でこんなに可愛いのに胸もぺったんこなのかしら。
そっと胸に手を置いた。
私がもっときれいにしてあげるからね。
小さな声で呟いた。
ああ、こんな可愛い男の子は女の子になるべきだわ。
由紀君が体をよじって目を開けた。
「あ・・・」
「気が付いた」
「はい」
起き上がろうとしたので制止した。
「まだ、寝てていいわよ」
「まだ痛くないと思うけど、暫くしたら痛くなってくるから」
「はい」
「どうでした?」
不安そうな顔で私の顔を見つめている。
「大成功よ」
「可愛くなったわよ」
「鏡見れますか?」
「まだ腫れてるから見ない方がいいわ」
「良くなってから楽しみにしていなさいね」
「はい」
「でも、顔のあちこちが何だか熱い感じですけど」
「心配しないで」
「すぐ良くなるから。安心して休みなさいね」
「はい」
不安そうな顔ででも率直に答えて目を閉じた。
「ところで、寝間着は持って来たかしら?」
目を開けて私の方を見た。
「いいえ」
「裸で今夜寝るのもまずいわね」
「古着で良ければ貸して上げましょうか?」
「お願いします」
「じゃあ、そうするわね」
「君にはちょっと合わないかもしれないけど我慢してくれるわね」
「はい」
「今日着てきた服は汚れていたからみんなクリーニング屋さんに出しておいたからね」
「あ、すいません」
恥ずかしそうな顔をして顔を赤くしている。
ふふふ、わくわくするわ。
きっとびっくりするでしょうね。
どんな顔をするかしら。
想像するだけで体が疼いてきてしまう。
着替えが入った紙袋を手渡した。
「はい、これ」
「どうも、すいません」
と恐縮している。
中の物を取り出してとまどっている。
「あの・・・」
「なあに?」
「これ、もしかして・・・」
「あら、女ものだから気にしてるの?」
「ええ・・・」
「ごめんなさいね、丁度それしかなくって。
でも、誰も見るわけじゃないから良いでしょう?」
「そうですけど」
もじもじしている様子が分かる。
「とにかく今それしかないから、着てちょうだい。
どうしても嫌だったら後でなんとかしてあげるから」
「はい・・・」
恥ずかしそうな顔で着替え始めた。
ブラスリップを見て躊躇していたので、着せてあげた。
ブラにしなくって正解だったわ。
着替え終った。
顔を真っ赤にして恥ずかしそうな顔でベッドに腰を掛けている。
胸がきゅんっとなった。
可愛い・・・
ピンクのネグリジェが色白で細い体に合っている。
ぱっちりとした目が愛らしい。
包帯を取った顔を早く見たい。
「僕、恥ずかしい・・・」
「恥ずかしいことなんかないわよ」
「それに似合ってるじゃない」
「でも・・・」
もじもじしていじらしい。
「由紀君はおめめもぱっちりして、そういう恰好の方が可愛いわ」
「でも、僕男の子だから」
「あら、男の子だからって何故駄目なの?」
「何故って?」
「今は男の子だってお化粧するし、イザム君みたいに似合ってればいいんじゃない?
それに、入院患者は君だけだし」
「でも、先生とかいるし」
「私はそういう方が好きだけどね」
優しく肩に手を置いた。
びくっとしたのが分かった。
「ふふふ」
「私のお古しかないからがまんしてね。
君だってそんなに嫌じゃないんでしょう」
「・・・」
顔を赤くして黙っている。
ふふ、やっぱり・・・
でも恥ずかしがっていて可愛い。
もっと恥ずかしいことしてあげるからね。
頭の中で現実感が薄れているのを感じる。
「お願いします、男の子用のを買ってきてくれませんか?」
「そんな無駄使いしちゃ駄目よ。
これから一人で生活するんでしょう。
お金は大事にしなきゃね」
「はい・・・」
うふ。何だか男の子って女の子の服着るとおとなしくなっちゃうみたいね。
どんどん妄想が膨らんできて体の芯が疼いてくる。
さあ、次はどうしようかしら。
「暫く寝ていなさいね」
「はい」
おとなしくベッドに横になった。
ちゃんと下着も着けてるようね。
「今日は後で点滴をしてあげますから、食事はありませんからね。
上条さんが世話をしてくれますから、何かあったらベッドの横のボタンを押してね」
「はい・・・」
恥ずかしいのか、毛布を胸まで掛けている。
可愛い・・・
第4章 傷も癒えて
次の日最初の診察をした。
初めてのケースだからやっぱり気になる。
私の顔を見ると恥ずかしそうな顔をして毛布を首まで上げている。
毛布を取らせて診察をした。
痛みは大分引いたみたいだけど、鎮痛剤を打っておいてあげた。
「まだしばらく入院してた方がいいわね」
不安そうな顔をして私の目を見ている。
「おかしな顔になってないですよね?」
「大丈夫よ」
「前よりもずっと可愛くなったからね」
ちょっとほっとして、初めて嬉しそうな顔をした。
「まだ鏡見せてもらえないんですか?」
「ふふ。ちゃんとしてから見る方が楽しみでしょう」
「そうですけど・・・」
二日後になると大分痛みも取れて腫れも引いてきたみたい。
瞼の抜糸を行った。
更に二日後眉毛の傷口もしっかり付いたようなので、包帯を取った。
ふふ。もう大丈夫だわ。
可愛い顔になったわ。
鏡を見た時の彼の顔を想像するとわくわくしてしまうわ。
もう起きていても大丈夫ね。
「もう寝てなくてもいいわ」
「本当ですか?」
「ええ」
「それにそのネグリジェも汚れてきたから洗濯しなきゃね」
恥ずかしそうな顔をして頷いた。
ふふ。大分着慣れてきたようね。
鏡を見せてないから抵抗は少ないはずよ。
「でも、由紀君の着てきた服まだ洗濯屋さんから戻ってないの」
「どうしようかしら」
不安そうな顔で私を見ている。
「そのままじゃあ、不潔だし」
「どうせネグリジェを着てたんだし、サイズも私の昔ので合うみたいだから。
申し訳ないけど、また私の古着でがまんしてもらえる?」
「えー」
「文句を言わないでね。ちょっと探してくるわ」
診察室に行って用意しておいたセーラー服を取り出した。
ふふ。きっと似合うわ。
体の芯がうずいて止まらない。
ちゃんと彼にぴったりのを用意しておいたのよ。
部屋に戻って袋を渡した。
中を見て脅えたような顔をした。
「これってまさか・・・」
「ごめんね、今これしか見つからなかったの。すぐ別の探しておくからね」
「やっぱり、嫌です・・・」
やっぱり嫌がっているわね。
「みんな任せてくれるって言ったでしょう。文句を言うのなら治療費払ってもらうわよ」
「そんなこと、僕困ります」
「じゃあ、言う通りにしなさいね」
困惑した表情で私を見ていたけど、あきらめたみたい。
恥ずかしがりながら着替え始めた。
「あの・・・」
赤い顔をして私を見てもじもじしている。
「あら、ごめんなさい。横向いてるわね」
「着替えました・・・」
おずおずとした声が聞こえた。
セーラー服を着て恥ずかしそうに立っている由紀君が目に入った。
うふ。胸の紺のリボンが可愛い。
ミニスカートの下から細いきれいな足が伸びている。
こうしていると本当に女子高生に見えるわ。
可愛い・・・
また芯が濡れて来た。
顔には表わさないで真面目な顔をして
「サイズは合うようね、良かった。
ちょっと恥ずかしいかもしれないけどがまんしてね」
「はい」
顔を赤くして俯いている。
「じゃあ診察室に行きましょうね」
「えっ、この恰好で?」
「誰もいないから平気よ」
躊躇している由紀君の手を引っ張って診察室まで連れて行った。
ふふふ。恥ずかしがっていて可愛いわ。
どんな気分かしらね。
でも、セーラー服にしたのは正解だったわ。
これで、他の服は抵抗なく着てくれるんじゃないかしら。
他の人に会わないかびくびくしているみたいで可笑しい。
診察室に入って椅子に座らせてから、傷痕を良く調べた。
うん、うまく行ったわ。
もう見せてもいいわね。
鏡を持って来て由紀君に見せてあげた。
「えっ、これが僕の顔・・・」
「ね、明るい感じになったでしょう」
「ええ・・・」
とまどったような顔をしている。
「でも、ちょっと・・・」
「どうしたの?」
「見本の写真の女の子みたいな感じになったでしょう」
「え、ええ」
「もっとうれしがりなさいよ」
「でも、なんだか女の子の顔みたいな・・・」
「ふふ。セーラー服着てるからでしょう」
「そうですか?」
「でももともと女の子っぽい顔をしていたからね。
腫れが完全に引けばもっと可愛くなるわよ。
じゃあ部屋に帰ってゆっくりしていなさいね」
「はい」
とまどったような顔をして、帰って行った。
うまく行ったわ。
思わず笑みがこぼれた。
僕は部屋に戻る前にトイレに入った。
そこにある鏡でもう一度見てみたかった。
鏡にセーラー服を着た女の子が映っている。
にこっと笑うと、鏡の中の女の子も可愛い笑顔をする。
ぱっちりした二重の大きな目で僕を見ている。
眉毛もきれいな半月形で目まで滑らかなカーブを描くひたいに乗っている。
口の周りも髭がなくなって前よりきれいに滑らかな肌をしている。
どきどきしてきた。
男の子の服を着たらどう見えるんだろう?
一人だと思うと自分に素直になれる。
セーラー服を着た僕がこんなに可愛くなるなんて。
ちょっとポーズをしてみた。
僕はこういう風にしたかったのかな、やっぱり・・・
押さえつけていたものが溢れてくるような・・・
しばらくそのまま鏡を見ていた。
スカートも気持ちいい・・・
あそこが何だか大きくなってきた。
どうなってるんだろう?
何だか引き返せないような恐い気がして急いで部屋に戻った。
ベッドに座って考えた。
今日からもうこの顔なんだ・・・
もうもとには戻らないんだ・・・
高校のクラスメート達がどんな反応をするか不安になってきた。
何だか前よりずっと女の子っぽい顔というか・・・
女の子の顔になったような気がする。
鏡で見たイメージが焼き付いている。
何だか気持ちまで女の子みたいになりそうで恐かった。
ママはどんな顔をするかなあ?
そのうち機会を見て話さなきゃいけないな・・・
ふと足を揃えて腰掛けているのに気が付いて一人でいるのに顔が赤くなった。
でも、あの先生なんでネグリジェやこんなセーラー服何かを僕に着せるんだろう?
他になかったからしょうがない気もするけど。
疑問が膨れ上がった。
不安が胸をよぎったけど、無理矢理打ち消した。
少し眠ろう。
そのままベッドに横になるとすぐ眠気が襲って来た。
由紀君のセーラー服姿が焼き付いていて仕事が手に付かない。
抱きしめてしまいたい。
柔らかい胸を揉みしだいて、恥ずかしがる下半身を愛撫してあげて・・・
男の子のあそこを急に想像して妄想がそこで止まった。
汚らしい。
由紀君にあんなものが付いてるのを思うと堪らない気分になった。
可愛いスカートの下に汚らしいものが付いているなんて・・・
それに折角きれいな足なのに、少しのぞく脛下もいやだ。
あの可愛い顔に合わないわ。
髪の毛ももっと長くしてきれいにしてあげたい。
セーラー服もまんざらじゃなさそうだったし。
何とかいい方法はないかしら?
私の由紀君。
第5章 契約
手術してから丁度一週間経った。
明日退院してしまう。
そうなったらもう私とは関係がなくなってしまうんだわ。
くやしい思いがあふれてくる。
何とかならないかしら?
しばらく考え込んだ。
そうだわ、一人だと食事とか生活費とか大変そうね。
由紀君の病室に行って話してみる事にした。
とにかく手元に置いておいておけば何とかなるわ。
「どう、もうすっかり腫れもひいたでしょう?」
「はい、おかげさまで」
嬉しそうな顔をしている。
「もう、新しい顔にもなじんだ?」
「はい、最初は戸惑いましたけど、もう慣れました」
「そう、よかったわね」
「顔だけじゃなくってそういう恰好にも慣れたみたいね」
恥ずかしそうに顔を赤くしている。
今は、貸してあげた白いブラウスと赤いチェックのスカートをはいている。
「由紀君の顔ってそういう恰好の方が映えるわね」
からかうような調子で言うと、もじもじしている。
「でも、やっぱり男の子だからおかしいでしょう」
「そんなこと全然ないわよ。その方がいいわよ」
「やっぱり恥ずかしいです」
いじらしい。
「でも、手術が成功して嬉しいわ」
小柄な彼の体を抱きしめた。
驚いたみたいだけど、私の胸の中でおとなしくしている。
本当に可愛い・・・
しばらく抱きしめていた。
ソファーに並んで腰掛けた。
考えてあった話しをもちかけてみた。
「ねえ、これから一人で自炊って大変ね」
「はい、でも料理とかは多少出来ますからなんとかなると思うんですけど」
「でも、学校の勉強もちゃんとしないと駄目なんでしょう」
「はい」
「大学は東大を受けるの?」
「はい、一応狙ってますけど」
「そうね。開城高校は有名な進学校だものね」
「でも、そうすると自炊なんかしていて本当に大丈夫なのかしら」
「買い物とかも毎日しなきゃいけないしね」
「他の子はその時間勉強したり、塾に行ってるんでしょう?」
「ええ、そうなんですけど」
少し不安そうな顔をしている。
「ねえ、私も一人暮らしで、食事も一人でさびしいんだ」
「父親も去年亡くなっちゃって、少しまいっているんだ」
優しい笑顔で笑いかけてあげた。
少しどぎまぎした様子で可愛い。
「本当は誰かと結婚でもしたらいいんだけど、男の人は何だか汚くって粗雑で嫌いなの」
「レズなんですか?」
恐る恐る聞いてくる。
「違うわ。女の人が好きなんて事ないんだけどね。
ただ、男の人でも可愛い人がいいんだけどね。
由紀君みたいな子かしらね?」
目を覗き来んだらどぎまぎしている。
「ねえ、由紀君みたいな男の子だったら気兼ねしなくって楽しいと思うんだけどね」
「どういう事ですか?」
「うん。うちに下宿して同居人にならないかしらって。
別に変な意味はないのよ。
お金も別に不自由していないから、特にいらないいんだけど。
浮いた分お小遣いにしたらいいわよ」
驚いたような顔をしている。
「どう、うちに下宿しない?」
「私は夕食を一緒に食べてくれればいいんだけど」
由紀君は考え込んでいる。
脈があるわ。
「ご両親もその方が安心でしょう」
「そうかもしれませんけど・・・」
「住居費と食事代で毎月いくらもらってるの?」
「10万円ですけど」
「じゃあ、毎月お小遣いが10万円増えるわよ」
10万円と聞いて目を輝かせた。
「それに、これからもアフターケアが出来るしね」
由紀君は少し考えてから顔を上げた。
「本当にいいんですか?」
「もちろんよ」
「じゃあ、お言葉に甘えさせてもらって、お願いします」
「わー、良かった。私由紀君みたいな妹が欲しかったのよ」
そう言うとちょっと照れたような顔をしている。
両親が亡くなってから、私は両親の寝室を使っている。
子供部屋は大学時代に使っていたそのままにしてある。
彼を母屋の子供部屋まで案内した。
途中で上条さんに会った。
上条さんを見て由紀君は恥ずかしそうに俯いている。
「あら、腫れもひいてきれいな顔になったわね」
由紀君のスカート姿を見て笑っている。
「そうしていると、本当に女の子みたいね」
顔を真っ赤にしてもじもじしている。
「先生にあそこも取ってもらって女の子にしてもらったら?」
くすくす笑いながら冗談を言って困らせている。
「そんな・・・」
「上条さん。これから由紀君はうちに下宿することになったのよ」
「あら、そうなんですか?」
「ええ、これからもよろしくね」
「はい、わかりました」
笑いながら去っていった。
「先生、恥ずかしかった・・・」
「なによ、恥ずかしがることなんかないわよ」
「似合うんだからもっと自信を持ったら?」
「そんな事言ったって」
「知らない人だったら絶対に女の子と思うわよ」
「そんなことないですよ」
部屋を見せたら驚いていた。
「きれいで広い部屋ですね」
「ええ、一人娘だったから贅沢に作ったみたいよ」
広さは16畳程にクローゼットが作り付けられている。
全体にピンクの色調でレースのカーテンが天井まである窓に掛かっている。
アメリカ風に小さいけれどバスルームも付いている。
「僕が借りている部屋なんて6畳しかないですよ」
「気に入った?」
「ええ、素敵です」
「中のものはもう使わないものだから、みんなあげるわ」
「えっ、いいんですか?」
「ええ。気に入ったらだけどね」
「どうも、色々すいません」
喜んでいる様子だ。
うまく行ったわ。
「じゃあ、退院祝いにどこか食事にでも行きましょうか?」
「えっ、そんな事」
「いいわよ、私はお金持ちだから」
「それに、モニターしてくれたお礼よ」
「じゃあ、ごちそうになります」
「ところで、そんな恰好したの初めてでしょう?」
「はい、もちろんですよ」
「そうね。でもとっても似合ってるわよ」
恥ずかしそな顔をしている。
「ねえ、そんな恰好するのも今日まででしょうから、折角だからそのまま行かない?」
「ええっ」
「そんな事出来ませんよ」
「どうして?他の人は由紀君の事男の子だなんて絶対に思わないわよ」
「でも、男の子なのにそんな事」
「手術記念にそういうのも面白いんじゃないの?特別な日だから」
「ねえ、そうしましょうよ」
「えー」
「じゃあ、それが、下宿の契約条件にしちゃおうっと」
結局その言葉が効いて、同意してくれた。
外に出る時は、すごく緊張しているみたいで、私の腕を強く握っている。
「ほら、そんなに緊張しなくても大丈夫よ」
「目も二重にして可愛い目になったんだし」
「他の人にも女の子に見えれば可愛い目になったって自信が持てるでしょう?」
「だって・・・」
顔を恥ずかしそうに赤くしている。
ああ、もういじらしくって食べてしまいたい位。
それでも暫く歩いていると少しは緊張が解けてきたみたい。
靴は昔はいていた赤いパンプスをあげた。
どうせならっていうことで、赤いドレスに着替えさせてある。
髪の毛もロングのかつらを被せてある。
どこからみても可愛い女の子に見える。
その方が女の子に見えるし由紀君だって分からないって言うと素直に従った。
可愛い女の子になった自分の姿を見ているうちに、どんな気持ちになってくるかしら?
わくわくしてくるわ。
僕はレストランの席に座ると少し落ち着いた気分になった。
緊張で肩がこっている。
みんな僕の事は気にしていないみたいだから男の子だってばれていないんだろうな。
でも、すごく変な気分。
自然にひざを閉じてしまう。
もう一週間もスカートはいているから慣れてきたんだけど。
こんな恰好で町を歩くなんて・・・
でも、どこか快感みたいなものを感じてしまってとまどってしまう。
「ねえ、平気でしょう」
「ええ、本当ですね」
「言葉使いを注意した方がいいわね。声は高いから問題ないけど」
「はい、気を付けます」
「ふふふ。素直ね」
「でも、ここって高いんでしょう?」
「気にしなくってもいいのよ」
「じゃあ、全快と同居のお祝いに」
僕と先生はワインで乾杯した。
未成年だからって言ったんだけど少しだけならって言われて。
その夜は先生に女の子っぽいしぐさや話し方を教えられながら楽しく食事をした。
少しずつ周りの人が気にならなくなってきた。
トイレに行って鏡を見ると、赤いドレスの小柄な美少女が映っている。
本当に僕なの?
何だか不思議な気持ちになった。
可愛いな。
こうしていると女の子みたいだっていうコンプレックスは消えていってしまう・・・
少し飲んだワインで酔っちゃってるせいかな?
でも、本当は男の子だから今日だけだと思うと、少し残念な気持ちになってくる。
クリニックに帰って幸せな気分でベッドに入った。
第6章 引越し
翌日は退院と同時に引越しで忙しかった。
まだ大して荷物はないから、すぐ部屋は片付いた。
マンションの解約手続きもすぐ終わり、敷金を返してくれた。
夕方には先生の部屋に荷物を運び込んで引越しが終った。
両親には先生が連絡を入れて呉れたおかげでスムーズに事が運んだ。
お小遣いが増えて嬉しいな。
自分の部屋を片づけようとしていたら、先生が入ってきた。
「どう、片付いた?」
「いえ、これからです」
「そう」
「でも、ドレッサーとか先生の服が一杯入っていてどうしようかと思って」
「あら、みんな君にあげるからそのままでいいわよ」
「だけど、女の子の服だから使わないし」
顔を赤くして言ったら
「いいのよ、使っても」
「冗談はやめて下さい」
「いいわよ、気が向いたら着てみたら」
僕を笑って見ている。
ドレッサーの中に掛かっているドレスを見ていたら変な気持ちになってきた。
結局女の子の服の片隅に僕の持ってきた服をしまった。
「先生が着るにしては若向きの気がするんですけど」
「ええ、私が高校生の時に着ていたものよ」
にこにこして笑っている。
「えっ、何で?」
「大学の時のはまだ着るから私の部屋にあるのよ」
そうだったんだ。少し納得した。
しばらく先生と高校の時の話しをした。
先生が急に真剣な顔になった。
「実はお願いがあるんだけど」
「はい?」
「由紀君の今みたいな恰好見てると・・・」
悲しそうな顔をして僕を見た。
「昔の男の人との嫌な出来事を思い出してしまうの。
先週までの由紀君なら大丈夫と思っていたんだけど・・・
そうしているとどうしても思い出してしまって。
ねえ、お願い。
食事の時だけでいいから女の子の恰好をしてくれないかしら・・・
ごめんね、変なお願いをして」
唖然として先生の顔を見た。
「私だって折角来てもらったのにすぐ追い出すなんてしたくないし・・・」
涙ぐんでいる。
「でも・・・」
「いいでしょう、私と君の間だけなんだから」
お願いと両手を合わせて頭を下げているのを見たら断れなくなってきた。
それに、今追い出されてしまったら・・・
「わかりました」
「でも、食事の時だけですよ・・・」
「嬉しい」
そう言うと抱き付いてきたので、どぎまぎしてしまった。
「約束よ」
「はい」
「じゃあ、今日は引越しお祝いでまた食べに行きましょうか?」
「えっ、またいいんですか?」
「もちろんよ」
嬉しそうな顔をしている。
「じゃあ、早速着替えましょうね」
「えっ・・・」
「だって、今約束したでしょう」
「・・・」
先生が選んだ青いワンピースに着替えて、かつらもつけた。
こういう恰好するのはきのうまでと思ったのに・・・
今日は先生が引き出しの中から出して付けてくれたブラも付けている。
胸を締め付ける感触が妙に恥ずかしい。
シリコン製のパットも入れているから胸が何だか本当にあるみたいで妙な気分になる。
一緒に昨日行ったレストランに行って食事をした。
周りの人に見られるのが慣れてきた分だけ気持ちが楽になっている。
恥ずかしいのは変わりないけど、ワンピースが心地よい。
女の子らしいしぐさをするのも何だか妙に嬉しい気分がする。
女の子達と遊んでいた時に同じようにしたかったことを思い出した。
僕何で男の子に生まれたんだろうな・・・
でも、もう生まれてしまったものは変えられないし・・・
「どうしたの?何だか考え込んでいて?」
優しい声で聞いてきたのではっとして顔を上げた。
考えていることが見透かされてようで恥ずかしくなった。
「そうしているとすごく自然ね」
ほほえんでいる。
「私の前では無理しなくってもいいわよ」
「ありがとうございます」
暖かい気分になってきた。
いい人だな。
良かったこの先生のところに来て。
ちょっとやりすぎるような気がして不安に思うこともあるけど。
こうして僕と先生のおかしな生活が始まった。
学校が始まるまであと一週間になっていた。
それから一週間は夕方になるとジーパンからワンピースに着替えて夕食を待った。
夕食はそのまま一緒に食事をしてから、リビングでお茶を飲むようになった。
朝も時間が合えば一緒に食べるようになった。
だから、朝も起きてからブラウスにスカートに着替えてからダイニングに行った。
自分の部屋に戻ってからは男の子の服に着替えていたんだけど・・・
なんだか段々面倒になってきてしまった。
出掛けない時は、そのままの恰好でいるようになってしまった。
どうせ一人なんだしいいよね。
自分で理由を付けて納得させた。
でも、お昼を食べようとダイニングに行こうとしたら、途中でばったり上条さんに会って焦った。
一応上条さんには先生が説明してくれているんだけど・・・
ちょっと驚いたような顔で好奇心に満ちた目で僕を見ている。
「あらあら、まだ着替えてないの?」
「え、ええ・・・」
「そう。河合君はそういう恰好が好きになったのかと思っちゃった」
くすくす笑っている。
恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまった。
これから気を付けなくっちゃ・・・
「ごめんなさい。気にしないで」
「私もその方が似合うと思っているから。
面倒臭いわよね。いちいち着替えるの。
気にしないで着ていてね」
「は、はい・・・」
彼女が行ってしまってほっとした。
そんな風にしている間に学校が始まった。
今日から新学期で学校に行ったみたい。
さあ、そろそろ始めようかしら。
上条さんに聞いたら、朝食の後もそのままスカートはいているみたいだし。
想像して思わず笑みがこぼれた。
手の上の錠剤を見つめる。
こっちが、抗アンドロゲンの錠剤で、こっちがエストロゲンとプロゲストロンの錠剤ね。
まだ若いから半年もすれば効果がでてくるはず。
想像するだけで体の芯がうずいてくる。
ふふふ。由紀君はこれからきれいな体になるのよ。
まだなんにもしらないでしょうけど。
ブラしてるのに中がないのは寂しいでしょうし、おかしいわよね。
思わず笑い声が出てしまった。
「あら、先生どうしたんですか?楽しそうにして」
「あら、聞こえてしまったかしら?」
「ねえ、あの子どう思う?」
「どうっていいますと?」
「女の子みたいだと思わない?」
「ええ、本当に」
「今朝ブレザーの制服で行くのを見ましたけど。似合わなくっておかしかったわ」
くすくす笑っている。
「それに、普段も女の子の服着てるみたいで、そのけがあるんじゃないんですか?」
「そう思う?」
「ええ」
くすくすと笑っている。
彼女と話していて実行に移す決心がついた。
今日から、デザートの中に錠剤を砕いて入れることにしましょう。
手の中の錠剤を弄びながら笑顔が込み上げてくる。
「あら、それって?」
上条さんが目ざとく見付けた。
ちょっとどきっとしたけど、彼女ならきっと大丈夫ね。
「ふふふ。彼やせているから少し脂肪を付けてあげようと思って」
「あら、そういう事ですか]
すべて知っているような顔で微笑んでいる。
「でも、男の子にしては変わったところに付くんじゃないんですか?」
面白そうな顔をして錠剤を見ている。
「そう?詳しいじゃない」
「彼には黙っておいてね」
「もちろんですわ。でも分かったらどんな顔をするかしらね」
くすくす笑って見ている。
「先生。どうせならあそこも取ってあげておしまいになったら?」
「そうね。それも考えているんだけどね」
「先生はああいう子が好きなんですか?」
「そうね」
ちょっと考え込んだ。
「その時は協力してくれるかしら?」
「あら、恐いわ。私は先生の言われるとおりにするだけですよ」
楽しそうな顔をして出ていった。
第7章 入学式で
僕は先生のたくらみは露知らずに学校に向った。
緊張してしまう。
どんな人がいるんだろう?
不安を胸にしまって校門をくぐった。
下を向いてあるいていたため、前に男の人が立っているのに気が付かなかった。
「あっ、ごめんなさい・・・」
僕は急に目の前の人にぶつかって尻餅をついてしまった。
顔を上げると長身の男の子が僕を見て笑いかけた。
「新入生?」
「でも、ここは男子校だったはずだけど」
どきっとして顔を伏せた。
「僕、男の子です」
「おやおや声も可愛らしいね」
にこにこ笑いながら、僕の手を取って立ちあげてくれた。
僕の顔をじっとみてから
「僕は生徒会長の藤木啓介。可愛いね君。今度生徒会室に遊びにおいで」
そういうと、校舎の方にすたすたと立ち去って行った。
彼のハンサムな顔が脳裏に焼き付けられた。
またからかわれてしまったけど、でもそんなに嫌な気分じゃなかった。
可愛いと思われただけで、おかしくは思わなかったみたい。
緊張していたのがうそのように消えていた。
藤木啓介か・・・
遊びにおいでって言ってたけど、きっと3年生だろうな。
随分大人っぽいなあ。
体育館に入って一組の場所を探しながら歩いて行った。
僕を見て新入生らしい男の子がおっという顔をした。
僕は目を伏せて空いている椅子に座った。
「君どこから来たの?」
隣に座っている男の子が僕に話し掛けてきた。
「奥沢中学校だけど」
「僕は緑山中学なんだ」
「名前は?」
「河合由紀・・・」
ちょっと驚いたような顔をしてから
「僕は田辺英一。よろしくな」
「僕も」
僕の顔をまぶしそうに見ている。
整形がばれちゃったかな?
不安になって聞いてみた
「何かおかしい?」
「ううん。可愛い顔をしているなあって思って」
いつものことで慣れているはずなんだけど、顔を赤くなった。
「そんなの・・・」
「ごめん、ごめん。それに名前も女の子みたいだったから」
「誰か知り合いがいるのか?」
「ううん」
「そうか。僕もいないんだ」
「友達にならないか?」
そんな事言われたの初めてだったから、嬉しくなった。
「うん。僕で良ければ」
やっぱり思い切って整形して良かった。
入学式が始まったので、前を向いた。
みんな体も大きいし男の子らしく見える。
男の子ばかりで少し気おされてしまう。
共学の方が良かったかな・・・
ちょっと後悔してきた。
壇上を見ると見たような男の人がしゃべっている。
あっ、さっきの男の人だ。
生徒会会長として挨拶と説明をしている。
僕達一年生を含めて生徒会役員を決める選挙をするからって言っている。
中学校の時もあったけど、高校はもっと自治の色合いが強いみたいだ。
有名な進学校だけあって先生も生徒の自主性を尊重するって言っていたっけ。
ようやく退屈な式が終って各自教室に向った。
「おい、クラブはどこに入るんだ?」
田辺君が聞いてきたけど、まだ決めてない。
「これから先輩が勧誘に各教室をまわるらしいぜ」
「田辺君はどうするの?」
「うーん、演劇部なんて興味あるんだけどな」
長身の田辺君は、僕と並ぶと頭一つ大きい。
僕はまだ148センチしかないから僕が小さいのかもしれないけど・・・
170はありそうだなあ。
「へー、何で?」
「運動部は練習がきついし、先輩後輩の間がきつそうだからな。その点文化部は民主的みたいだから」
「そうなんだ。僕も運動部はにがてだな」
「じゃあ、一緒に入らないか?」
「えっ。僕演劇なんてできないよ」
「ははは。まあ説明を聞いてみるか」
「でも、ここの演劇部は毎年学生コンクールの優勝候補で結構有名なんだよ」
「俺は、将来芸能界に行きたいんだけど親がうるさくって」
はははって笑っている。
教室に彼の横に並んで座った。
他の男の子は僕を見るとおっと言う顔をしたりえっと言う顔をする。
恥ずかしいから顔を伏せていた。
おっ、可愛いーなんて言う子もいる。
でも、いじめられる雰囲気ではなさそうでほっとした。
彼の言う通り先輩が順にやってきてクラブの説明を始めた。
やっぱり運動部は大変そうだな。
演劇部の人がやってきた。
きれいな顔の長身の先輩とがっしりしている先輩が二人やってきた。
へー、男の人なのにきれいな人がいるんだ・・・
ちょっとほっとした。
見ていたら目が合ってしまった。
僕を見て笑いかけた。
「そこの君名前は?」
優しい声で聞いてきた。
どぎまぎして答えた。
「君演劇経験はある?」
「ありませんけど」
「そうか、でも大丈夫だから入部しないか?」
えっ、何で?
驚いていると
「君のような子を待っていたんだ。入ってくれないか?」
他のクラブも夫々同じように目を付けた男の子に直接勧誘をしていたっけ。
「僕、演劇なんてやったことないですから・・・」
「演技なら教えてあげるよ。それより君みたいな子は貴重だからね」
「どういうことですか?」
みんなが僕を見ているから恥ずかしい。
「それより、田辺君が希望していますよ」
田辺君はちょっと驚いたような顔で僕を見てから
「はい、入部希望です」
「おっ、そうか」
と隣の先輩が嬉しそうに頷いた。
「河合君も一緒にどうかな?すぐ主役になれるよ」
「主役?こんなに小さいのに無理ですよ」
僕は笑ってから、やっぱり冗談だよなって思った。
「ははは。何言ってるんだ。君なら絶対にヒロインになれるよ。うん」
クラスがどっと沸いた。
「おい、お姫様だってさ」
田辺君がからかうような顔で僕を見て笑っている。
「そんな・・・だってどこかの女子高とかと一緒にするんじゃないんですか?」
「残念ながら、うちは男だけなんだ。それで演目が限られていつも苦労してるんだけど」
「大事にするから入ってくれませんか?」
きれいな男の人が優しく微笑みかけてから
「どこかに入っていないと色々先輩達からの無茶な注文とかがあった時困ると思うんだけどな」
「特に君のような可愛い子は特に」
がっしりした先輩の方が意味ありげな含み笑いをした。
また教室が沸いた。
「おい、ああ言ってくれてるんだから、決めちゃおうぜ」
「でも、女の子役ってことですか?それって」
「君にはぴったりだと思うけどね」
そんなの恥ずかしい。ただでさえ帰ると女の子の恰好をしているのに・・・
逡巡していると
「二人で入部します」
と田辺君が代わりに答えてしまった。
うそー。
「いいだろう」
僕を見てにやっと笑った。
「ありがとう、他に希望者がいたら部室によってくれ」
「じゃあ、二人共放課後部室に顔を出して下さい」
そう言うと出ていってしまった。
どうしよう、変な事になってしまった。
「まあ、気楽に考えていこうぜ」
「だけど・・・」
「クラブに入っていた方が安心だからな。
と言ってにやっと笑った。
「おい、お姫様」
隣の男の子が話し掛けてきた。
振り向くと
「お前女の子みたいな可愛い顔をしているから似合いそうだなー」
「上演するときは見に行ってやるぜ」
「馬鹿にしないで下さい・・・」
「馬鹿にしていないよ。ほめてるんだよ」
「仲良くしようぜ」
彼は日比野達也と自己紹介した。
彼も長身だ。
「俺は剣道部に入るんだけどな。
しかし、可愛いな。最初に見た時は一瞬女の子かと思って驚いたぜ」
恥ずかしくて顔が赤くなった。
「でも、女の子の恰好したらきっとすげえ似合うぜ」
「そんなこと・・・」
「いいじゃないか、醜いよりかきれいな方が」
「でも、僕男の子だから・・・」
「ははは、可愛ければいいじゃないか」
そんなに嫌なやつじゃないみたい。
「じゃあ、お姫様仲良くやろうぜ。いじめる奴がいたら俺が助けてやるよ」
はははって笑っている。
おかげで、みんな僕の事をお姫様って呼ぶようになってしまった。
放課後僕は田辺君と演劇部の部室に行った。
部室は、運動部と違って教室がある建物の四階にあった。
部室のドアを開けると勧誘に来た先輩以外にも何人もたむろしていた。
「おー、良くきたな」
勧誘に来た部長さんが笑顔を満面に浮かべて僕達を出迎えた。
「宜しくお願いします」
「部員を紹介するな」
部長さんは田渕高志というらしい。
勧誘に来たきれいな人が副部長で綾小路薫と言うみたいだ。
後何人か教えてくれたけれど、一遍に頭に入らない。
綾小路先輩は一年の時から目立ってきれいで、それでファンの男の子も多いらしい。
男の子同士なのに変な気がしたけど、男の子だけの学校ではこういうのもあるみたい。
僕も自己紹介したら、みんなおーっと言って嬉しそうな顔をしている。
「やったー。今年は喜劇じゃなくってちゃんとしたの出来るぞ」
「おお、これならちゃんとした劇で優勝を狙えるな」
「うん、可愛いじゃないか。可愛いヒロイン誕生だ」
みんな僕のこと馬鹿にしないで、口々に誉めてくれるから恥ずかしさもあるけど嬉しかった。
頭から女の子役と決めてかかってるのが気になるけど。
来ちゃったけど、本当に女の子なんかやるのかしら・・・
「二人とも頑張ってな」
「今までちゃんとしたヒロインは綾小路君しかいなくてな」
「どうしようかと思っていたところだったんだ」
綾小路さんが僕を見て微笑んだ。
確かに良く見ると残りの人は女装なんかしたら喜劇になりそうで想像しただけでおかしくなった。
「河合君は綾小路君に色々教えてもらえばいいな」
「田辺君は加藤君に教えてもらいなさい」
「入部してくれて嬉しいよ。女役は僕だけだったからね」
「あの。やっぱり僕女役なんですか?」
「そりゃそうだろう。君みたいに子が男役やったら喜劇になっちゃうよ」
綾小路さんが笑っている。
「女役もやってみると、それなりに面白いよ」
「そうですか。でもドレスなんか着るんでしょう。ちょっと恥ずかしい気がするけど」
「ははは。そんなのすぐ慣れちゃうよ」
「まあ、最初はとまどうだろうけど。僕もそうだったんだけどね」
「どうして綾小路先輩は女役やってるんですか?」
壁に舞台の写真が張って有る。
「あの、このきれいな女の人が綾小路さんですか?」
「そうだよ」
きれいだなー。
「僕も嫌だから断ったんだけど、無理矢理田渕に入れさせられちゃったんだ」
「僕もそうですよ。部長って田辺君みたい」
二人で笑った。
「女役のなり手はなかなかいないし、喜劇になっちゃうから大変なんだ」
「その代わり色々便宜を図ってもらえるからそれなりにいいよ」
「そうですか」
「君みたいに可愛い子はきっと先輩が色々面倒を見てくれるよ。」
「例えば試験問題を教えてくれたり」
「えっ、そんなこともあるんですか?]
「ははは、まあね」
「でも、気を付けないと襲われちゃうからね」
「えっ、男の子同士なのに?」
「思春期の男は獣だからね」
「演劇部に入って女の子役やってれば大丈夫だよ」
「我が高校唯一の公認された女の子になれるからね」
「なんですか、公認って」
答えないでにやっと笑った。
「校内では全てレディファーストの原則で動いてくれるからね」
「まあ、試練はあるけどね」
意味深げな笑いをした。
何だろう、試練って。
一年では他に4人の入部者があって部長はすごく喜んでいた。
開放的なクラブで良かった。
練習は発声練習とか体を鍛えるのとか色々あるみたい。
僕は綾小路さんについて発声練習以外は他の人と別にするみたい。
脚本の読み合わせとかは一緒にやるけど、他の人は舞台装置を作ったり力仕事が多いんだ。
何だか演劇部ってよりも大工部みたい。
一週間に火曜金曜の二日がクラブの有る日で放課後大体4時間位するらしい。
衣装部屋も見せてくれたけれど、色んな衣装が一杯あって驚いた。
豪華なドレスとか、セーラー服なんかもあって、ちょっとどきっとした。
僕これを着るのかしら・・・
紹介が終ったら、早速歓迎会だってことで渋谷に繰り出した。
マクドナルドでジュースとハンバーガーだったんだけど、面白い人が多くって楽しかった。
舞台の上での失敗とか色々話してくれた。
綾小路さんを女の子と思ってラブレターくれた他校の生徒もいたらしい。
「馬鹿だよなー。男子校なのにな」
「こいつが、いたずら心を出して、部室に有るセーラー服着てデートに行ってな」
「えー」
「別れ際に、私実は病気なんですと深刻そうな顔をしてな」
「スカートをめくってあそこをぱっと見せた時の相手の顔ったら」
「何で部長がそんな事知ってるんですか?」
「当然、みんなで尾行したに決まってるじゃないか」
みんなで大声を出して笑った。
女役ってのが気になるけど、でも楽しそうな部で良かった。
でも試練って何なんだろう?
気になったけど、みんな笑って教えてくれない。
第8章 夜食
「どうぞ召し上がれ」
食事が終ってから、錠剤を砕いて入れたデザートを由紀君の前に並べた。
「わー、おいしそう」
喜んで食べている。
ふふふ、気が付かないみたいね。
うまく行ったわ。
にこにこしながら食べるのを見ていた。
ちゃんと約束通りピンクのワンピースを着ている。
「どう、高校は?」
「うん、楽しいよ」
クラブに入った事とか楽しそうに話してくれた。
「演劇部ってもしかして女の子役?」
「うん」
恥ずかしそうにほほを赤らめている。
「どうしようかと思ったんだけど、でもみんないい人だから」
「それに、みんなに大事にされるみたいだから、思い切ってOKしちゃった」
「そう、よかったわね。由紀君ならきっと似合うわよ」
「今と同じだものね」
顔を真っ赤にしている。
「ねえ、高校って校則厳しくないんでしょう」
「うん。生徒が自主的に自治してるみたい」
「じゃあ、髪の毛とかも短くしてなくていいの?」
「いいみたいだけど」
「じゃあ、これから伸ばさない?」
「でも・・・」
「いつもそんなかつらじゃうっとうしいでしょう」
「そうですけど」
「じゃあ、伸ばそうね」
「でも・・・」
「いいじゃない、その方が可愛いわよ。じゃあ約束ね」
「はい・・・」
ちょっと戸惑った顔をしている。
ふふ、髪の毛を伸ばさせることに成功したわ。
「伸びたら美容院に連れていってあげるね」
恥ずかしそうに俯いている。
ふふ、楽しみだわ。
デザートを食べてからリビングで一緒にTVを見ることにした。
なるべく、一緒の時間を増やさなきゃ。
女の子でいる時間を出来るだけ伸ばして馴染ませなきゃね。
一時間程見ていたら、少しそわそわしている。
「どうしたの?」
「そろそろ勉強しなきゃ」
「そうね」
「後で夜食を持っていってあげるね」
「どうも、すいません」
「その代わり男の子の由紀君みたくないから、そのままで居てね」
「えっ」
「約束よ」
「はい・・・」
「それから、おふろは先に入っておきなさいね」
「はい」
由紀君が部屋に戻って行った。
さあ、薬の効果が出るまでどうやって一日中女の子でいさせようかしら?
考えをめぐらした。
やっぱり誘惑しちゃおうかしら?
そうだわ、女の子のセックスを教え込んで・・・
だんだん興奮して、あそこが濡れてきた。
夜食に又錠剤を砕いて入れた。
黒いネグリジェに着替えてから、持っていった。
ドアをノックする。
「どうぞ」
可愛い声が聞こえた。
芯がうずいた。
「入るわよ」
私の姿を見てどきっとしたのが分かる。
「えらいわね」
夜食を机の上に置いてから、由紀君の肩から胸に手を回した。
体を硬くするのが分かる。
うふ、可愛い。粗雑な男の人とは大違いね。
ワンピースの上から優しく胸をさすった。
「せ、せんせい・・・」
「ふふ。由紀君も男の子だから本のお勉強だけじゃなくって色々お勉強をしなきゃね」
黙って顔を赤らめている。
「取り敢えず夜食を食べなさいね」
「はい」
ほっとした様子で食べはじめた。
「ちゃんと約束守ってワンピース着ているのね。ありがとう」
「いいえ・・・」
「ごめんね、変なお願いしちゃって」
「いいえ、気にしてません」
いい子ね。
食べおわったわ。
「歯を磨いてらっしゃい」
「ねえ、こっちにいらっしゃい」
おずおずとベッドに腰を掛けている私の隣に来て座った。
由紀君の、いいえもう由紀ちゃんね。
由紀ちゃんの体を抱き寄せた。
びくっとして体を硬くしている。
「心配しなくてもいいわよ」
「力を抜いて」
由紀ちゃんの胸を優しくさすった。
顔を紅潮させてでも段々力を抜いてきた。
手を胸から腰の方に移動させながら優しく愛撫を続ける。
「くすぐったい・・・」
小さな声で身をよじって囁いた。
「すぐ気持ち良くなるわ」
「何で?」
「由紀ちゃんがあんまり可愛いから」
そっとベッドに寝かせて、上からキスをした。
吃驚したような顔をして目を閉じた。
本当に女の子みたい。
胸がきゅんっと鳴った。
首筋から髪の毛の中に手を入れて愛撫を続ける。
「あっ」
堪らないようすで声を上げた。
やだ、本当に感じているみたい。
耳たぶをさすったら、又身をよじっている。
そのまま髪の毛と背中に愛撫を続けた。
「せ、せんせい・・・」
「どうしたの?」
「僕・・・」
「あっ」
又声を上げた。
体を離して、座った。
ぼーっとした顔で私を見ている。
「恥ずかしい・・・」
「恥ずかしくなんかないわよ」
「由紀ちゃんは感じやすいのね」
「・・・」
「嫌だったかしら?」
ううんって首を振っている。
「でも、それじゃあ折角のワンピースが駄目になっちゃうわ」
「そうだわ」
チェストからピンクの可愛いネグリジェを取り出した。
「これに着替えなさいよ」
ネグリジェを手にとって恥ずかしそうに見ている。
「前にも着ていたじゃない。平気でしょう」
こくっと頷くとベッドから起き上がって恥ずかしそうにしてむこうを向いて着替えた。
「可愛くなったわ」
「こっちにいらっしゃい」
恥ずかしそうに頷くと横に座った。
また、ベッドに横にしてから、優しく愛撫してあげた。
必死にがまんしているけど、時々あっっと声を上げる。
ふふふ、女の子として可愛がろうと思ったけど、こんなに感じるなんて。
ブラの中に手を入れて乳首を愛撫してあげた。
切なそうな顔をして体をよじっている。
「せんせい、こんなこと・・・」
「いいのよ、気持ち良いんでしょう。素直になっていいのよ」
優しくキスしながら背中を抱きしめてあげた。
またあっと声を上げた。
背中を優しく愛撫すると、我慢できないみたいで声を上げる。
しばらくそのまま愛撫していると、由紀ちゃんはぼーっとしてきた。
「気持ち良い?」
「うん・・・」
「良かった。無理な事お願いしているから、これはお礼よ」
「このまま今日は寝なさいね」
こくっと頷いた。
ネグリジェのままの由紀ちゃんの上に布団を掛けてあげて起き上がった。
「じゃあ、おやすみなさい」
電気を消してから、リビングに戻った。
ふふ、うまく行ったわ。
でもあんなに感じるなんて。
体の芯が濡れているのがわかる。
ああ、堪らないわ。
今日はもう寝てしまいましょう。
第9章 恒例行事
太陽の光で目が覚めた。
ネグリジェを着ているのに気が付いた。
昨夜の事を思い出して顔が赤くなった。
僕気持ち良かった。
あんなの初めて・・・
まだ体に愛撫された感触が残っている。
ネグリジェの感触がそのせいか気持ちいい・・・
こんなの、まるで女の子みたい・・・
なんとなくぼーっとしたまま起き上がった。
無意識にブラウスを着てスカートをはいた。
暫くそのままベッドに腰をかけていた。
朝食食べなきゃ・・・
洗面所に行って顔を洗った。
鏡に可愛い女の子が映っている・・・
髪伸びるともっと可愛くなるかな?
今はまだ耳の下位だから。
漠然とそう思っているのに気が付いてどきっとした。
頭を振って、かつらを被ってダイニングに行った。
「おはよう」
笑顔で先生が迎えてくれた。
昨日の事はまるでなかったみたいな顔をしている。
夢じゃなかったよね・・・
「おはようございます」
「今日も可愛いわね」
「ちゃんと化粧水と乳液を使った?」
「はい」
「お肌の手入れは男の子でもちゃんとやっておいた方がいいわからね」
「はい」
食べおわると制服に着替えて家を出た。
授業はどうってことがなかった。
休み時間は仲が良いグループが幾つか出来て固まっている。
僕は田辺君と日比野君と一緒になっておしゃべりしたり、食事をした。
火曜日だから、放課後に部室に行った。
今日は何をするのかな?
最初の練習の日だからちょっと緊張する。
しごきはないみたいだから、安心だけど。
部室に入るともうみんな揃っている。
「おう、良く逃げ出さないで来たな」
部長が大きな声で笑った。
「さあ、そろったから部会を始めるぞ」
控え室みたいな所に机が並べてあって、そこに座った。
どうも台本合わせもここでするみたいだ。
部長が話し始めた。
「一年生には恒例の行事をしてもらうことにする」
一体何をするんだろう?
ちょっと不安になった。
「その前に一応男役と女役を決めておくから」
「河合君が女役で後は男役でいいと思うがみんなどう思う?」
「いいんじゃないか]
賛同の声が上がった。
やっぱり・・・
でも女役は僕一人で少し心細い。
「この行事は舞台度胸を付けるために行うから真面目に取り組んでくれ」
「それから、これをこなさないとこれから3年間つらいことになるからな」
恐い顔で僕達を見回す。
不安になってきた。
「何をするんだろう?」
「先輩達もやってきたんだから、平気だよ」
そうだね。
「男役の一年生は、これから一週間お昼休み校庭でふんどし一丁で、これから渡す台本をやってもらう」
一斉に「えー」という声が上がった。
「俺達のいる教室まで声が聞こえないと更に一種間伸ばすからな」
「まいったなー」
田辺君が僕にささやいた。
「やるっきゃないか。どうせ野郎ばっかだだし」
僕は何を?
でも、ふんどし一丁じゃなくって良かった。
「女役の一年生は、同じく一週間セーラー服で過ごしてもらう」
え、ええー。一瞬パニックになった。
聞き間違えじゃないよね。
「部長・・・そんな・・・」
「冗談ですよね?」
「いいや、冗談じゃない」
「綾小路もしたんだから。これは我が校の伝統だからな」
「そんな、嫌です・・・」
「ほー、断ってもいいのかな?」
「だけど・・・」
泣きたくなってきた。
「その代わり、後はどんな役でも大勢の前で堂々と出来るようになるからな」
「それに、セーラー服を着て似合わない子には女役はさせない事になっているから」
「君なら、大丈夫だよ」
大丈夫って言ったって。
「今年は河合君が入学したのを見て、2年3年も先生方も楽しみにしているんだ」
と言ってにやっと笑った。
「演劇部の恒例行事だからってみんな知っているから大丈夫よ」
「僕も最初は恥ずかしくって堪らなかったけどね」
綾小路さんが照れた顔で僕に話してくれた。
「じゃあ、意義はないな」
「あのー」
「なんだ?」
「もしかして、まさか家からもって事ですか?」
「ああ、そうだ」
「本人の家に連絡して、どうしても駄目な場合は学校で着替えてもらうけどな」
うっ。先生を思い浮かべた。
良いっていいそうな気がする。
「じゃあ、綾小路、後は頼む」
「お家に電話番号を教えてくれる?」
「はい」
「ちょっと待っててね」
綾小路さんが出ていった。
僕はもじもじして待っていた。
田辺君がにやにやして
「おっでれえたなー」
「でも、きっとすごく似合うと思うぜ」
「そんなー」
「僕恥ずかしいよ」
「まあ、恥ずかしがっていたら演劇は出来ないからな」
「まあ、あきらめて着てみるんだな」
「そんな人の事だと思って」
「俺だってふんどし一丁だぜ」
「そうだけど」
「やめないで、やってくれよ」
「一人じゃつまらないからなー」
「うん」
綾小路さんが戻って来た。
「保護者の方は良いって言ってるよ」
やっぱり・・・
「じゃあ、早速着替えましょうね」
楽しそうにして僕を衣装部屋に連れて行く。
「田辺君助けて・・・」
「無理だよ」
衣装室で僕の体に合うセーラー服を取り出した。
パッド付きのブラとパンティも差し出して
「はい、着替えて」
「でも、恥ずかしい・・・」
先生の所で着たのを思い出した。
「恥ずかしがらないで。どうせこれから色んなドレスや衣装を付けるんだから」
「周りの人は観客だと思って女子高生を演じればいいよ」
「気持ちは良く分かるけどね。意外にすぐ平気になるよ」
僕にきれいな顔でほほえんだ。
「あの、本当に綾小路さんも着たんですか?」
「うん。ほらこの写真がそうだよ」
壁にきれいな女子高生が男の子達に囲まれている写真が貼って有る。
「結構人気者になったよ」
と笑っている。
「じゃあ、着替えて」
僕はしぶしぶセーラー服に着替えた。
「あら、やっぱり似合うね」
「本当の女子高生に見えるね」
「髪の毛はそのままでいいかな?」
「長い方が良さそうね」
長いかつらを持ってきて被せて丁寧に梳いてくれた。
「うん、これなら大丈夫」
「さあ、これから女子高生を演じてごらん」
「はい・・・」
恥ずかしいなー
「じゃあ、行こう」
嫌がる僕の手を引っ張って控え室に連れていく。
部屋に入ると一斉にどよめきが起こった。
「可愛いじゃないか」
「惚れてしまいそうだ」
顔を真っ赤にしてうつむいていた。
「河合本当に可愛いな。目もぱっちりとして愛らしいし」
「じゃあ、頑張って女子高生を演じるんだよ」
部長が優しく声を掛けてくれた。
「君を馬鹿にする奴は俺達3年生が許さないから、安心しろ」
「みんな女の子として扱ってくれるからな」
「はい・・・」
そう言うしかなかった。
ドキドキする・・・
心細くて、隣にいる綾小路さんの手を握った。
家まで付いて来てくれるって言ってくれて嬉しかった。
美少年と美少女のカップルに見えるらしく、女の子達がうらやましそうな顔で見る。
男の子も不躾に僕をじろじろ見る。
「可愛いから見てるんだよ。堂々としていればいいよ」
「はい・・・」
行き交う人の目が恐い。
でも可愛い女の子として見てる事が分かってきて、大分楽になってきた。
先生と外出した時は夜だったけど、今はまだ明るいからそれでもドキドキしちゃう。
ようやく先生の家に着いた。
綾小路さんがブザーを押すと先生が出て来た。
僕のセーラー服を見て、にこにこしている。
「セーラー服で学校に行く事になったんだって?」
「はい・・・」
「とっても似合ってるわよ」
「綾小路さんでしたっけ?」
「はい」
「どうもご苦労さまです」
先生は目をきらっと光らしてから
「ちょっとお茶でもいかが」
「ありがとうございます。でももう遅いですから」
丁寧に辞退して帰って行った。
「きれいな男の子ね」
「うん。そうでしょう」
「さあ、入りなさい」
家に入った。
「着替えてくる」
ワンピースに着替えてからリビングに行った。
「面白い行事ね」
先生は笑っている。
「でも、信じられない。これで授業受けるんだって・・・」
「いいじゃない、いっそのことそのままずうっとセーラー服で行ったら?」
「冗談でしょう」
人の事だと思って。
先生と二人でいると昨晩の事が思い出されて居たたまれなくなってくる。
食事の後ドキドキしながら自分の部屋に戻った。
勉強をしていると又夜食を持って来てくれた。
また先生は黒いネフリジュにガウンを羽織っている。
どきどきしてきた。
「お勉強は終った?」
「うん・・・」
「じゃあ、着替えてから食べたら?」
「はい」
僕もネグリジェに着替えた。
食べおわってから歯を磨いてベッドに腰掛けている先生の横に座った。
先生がそっと僕の前から肩に手を回してきた。
そのまま静かにベッドに横にされた。
胸がドキドキしている。
先生の目を見詰めていると唇が重なってきた。
あっ・・・
首筋をやさしく愛撫される。
じーんとしてきた。
髪の中に手を入れられたらぞわっとして頭がしびれてきた。
思わず声が出てしまった。
背中に手を回して抱きしめられた。
体から力が抜けていく。
耳たぶを先生が優しくかんでいる。
駄目・・・
自分の耳がないみたい・・・
頭全体がじーんとして堪らない。
何だか訳がわからなくなってきた。
「先生・・・駄目・・・」
先生に抱きついて堪えた。
びくっとした。
先生の手が僕のおしりをなぜている。
僕のあそこが大きくなって硬くなっている。
ネグリジェをめくって、パンティの中に手を入れてきた。
「やん」
思わず体をよじった。
「可愛いわよ」
「女の子みたい」
恥ずかしくて顔が赤くなった。
僕の体どうなちゃってるんだろう・・・
ぼーっとして考えた。
先生が僕のお尻の周りを愛撫している。
おかしな気分になってきた。
あっと思った。
先生の手が僕のお尻の中に入ってきた。
びくっとして体がそった。
首筋にキスされた。
あん、首がじーんとしびれて来た。
堪らない。
「キスして・・・」
「いいわよ」
またキスしてきた。
強く抱いて欲しくって堪らなくなってきた。
「抱いて・・・」
「いいわよ」
強く背中を抱いて呉れた。
そのまま体じゅう先生が愛撫してくれている。
ネグリジェの生地を通して気持ち良い。
「あん」
僕の胸を愛撫してきた。
乳首が感じる・・・
何だか乳首が少し膨れて来たみたい。
「ふふ、乳首が可愛く膨らんじゃって。女の子みたいね」
顔が赤くなった・・・
「顔だけじゃなくって体も女の子みたいに敏感ね」
「そんな・・・」
先生の手が僕のあそこに触れた。
一瞬びくっとしてすぐ手を引っ込めた。
「いやっ」
先生は一瞬嫌な顔をした。
「先生・・・」
「嫌だわ、こんなのが付いていて」
先生の目を見た。
「私のを触らせてあげる」
先生が、僕の手を秘部に誘った。
ドキドキした。
柔らかくって盛上がっている。
割れ目に手を持って行かれた。
濡れている。
「女の人はこうなってるのよ」
僕を見て微笑んでいる。
「柔らかくってきれいでしょう]
「うん・・・」
胸がドキドキして止まらない。
「抱きしめてあげるわ」
先生に抱かれていると気持ちがいい。
そのまま暫く先生の愛撫のなすがままにさせた。
暖かくって気持ち良くって何だか眠くなって来ちゃう。
先生の柔らかい体が気持ちいい。
第10章 セーラー服で
太陽の光に気が付くともう朝だった。
あっ、あのまま寝てしまったんだ。
あわてて横を見ると先生が隣で寝ている。
「せ、せんせい」
「あら、おはよう」
僕を見てにこっと笑った。
きれいだな。
「一緒に寝るなんて・・・」
「いいじゃない、でも寝過ごしちゃったわ。急いで朝食用意するわね」
「どうも」
「そうそう、セーラー服着るんでしょう?」
そうだった。
「じゃあ、待ってるわ」
セーラー服を着てダイニングに降りた。
ちょっとドキドキする。
「可愛いじゃない」
僕を見るなり嬉しそうな顔をした。
顔を赤らめてどうもってお礼を言った。
「何だかこうしていると、由紀ちゃんが本当は女の子だったんじゃって思っちゃうわ」
「そんな・・・」
でも、そうだったらいいなって一瞬思ってしまった。
四谷駅を下りると、開城高校の生徒ばかりだ。
一人だけセーラー服の僕は目立っている。
もう、校門の前をそのまま通り過ぎたくなった。
周りの男の子達が僕を興味ぶかげに見ていく。
「どうしたんだろう、女の子がいるけど」
女の子だと思っているみたいで少しほっとした。
「おはよう、河合君」
急に肩を叩かれた。
「あっ先輩」
綾小路先輩が僕を見て笑いかけた。
「えらい、えらい。一緒に教室に行ってあげる」
「助かります」
先輩に付いていった。
周りの男の子達が僕をじろじろ見ているので生きた心地がしない。
「さあ、入ろう」
意を決して教室に入った。
みんなびっくりした顔で僕を見ている。
「はい、みんな聞いて」
「演劇部恒例の女の子役の新入部員の入部儀式で彼にセーラー服を着てもらっています」
「これからしばらく彼は女子高生を演じるから、みんなも協力してくれるね」
みんなどっと笑った。
「それから、彼をからかったりしたら、上級生が黙っていないからそのつもりでね」
綾小路さんがきれいな顔ででもみんなに凄みをきかせるような顔をした。
みんなは一瞬しんとした。
女っぽい話し方をするけど、さすがに凛とした澄んだ通る声で教室に声が通る。
「じゃあ、頑張ってね」
そういうとさっさと出ていった。
僕は緊張して自分の席に座った。
どういう風にすればいいのかなあ?
恥ずかしさで逃げ出したい思いを必死にこらえた。
「可愛いじゃないか」
日比野君が笑いかけた。
「演劇部もすごい儀式をさせるもんだなあ」
「それで学校に来たのか?」
「うん・・・」
驚いたような顔をしている。
「すげえ」
「おー、ちゃんとセーラー服着て来たじゃないか」
田辺君が僕に笑いかけた。
「しかし良く似合ってるなあ。気を付けないと野郎どもに襲われるぜ」
「そんな・・・」
他の男の子も好奇心に満ちた目で僕の周りによってきた。
事情を説明している間に授業が始まった。
先生は僕を見て、にやっとして言った。
「おお、今年は可愛い子が入ったものだなあ」
「これは、新しいヒロインの誕生だな」
ほほが赤くなるのが自分でもわかる。
みんな変態と思って馬鹿にしてるんだろうなー
憂うつになってきた。
「ちゃんと女の子として扱わないと3年生がうるさいからなあ」
と言うと何事もないように授業を進めた。
セーラー服が浮いているなあ。
スカートから覗く足を見られるのが恥ずかしい。
薄いけれど少し生えている脛下が気になる。
昼休みに田辺君と日比野君と食べながら昨日の事を話した。
「でも、恥ずかしいな」
「劇に出るともっと大勢が見るんだろう」
「うん、そうなんだけど」
「俺なんかふんどし一丁だぜ」
はははって笑って日比野君が田辺君の肩を叩いた。
「良かったよ。お前もセーラー服じゃなくって」
「何だよそれって」
「開城高校の品位が落ちるからな」
「どうせなら、女の子らしくしてみたらいいんじゃないか?
女子高生を演じればいいんだろう」
「そうなんだけど。でも演劇なんかやったことないし・・・」
「自然にしていればいいんじゃないか?」
僕の気持ちを覗かれたような気がしてどきっとした。
「無理しなくってもそのままで十分女の子してるからなー」
二人で笑っている。
「どうせなら、帰り渋谷で少し遊んで行かないか?」
「おお、いいんじゃないか」
「何だよ。二人とも」
「あっ、そんな話し方は駄目なんじゃないか?」
田辺君がにやっとしてから
「なによって女の子らしい話し方じゃなくちゃな」
「田辺君のいじわる」
肩を叩いた。
「それよりも早く行かなくっちゃいけないんじゃないの?」
「げっ、いけねえ。今度は俺の番かよ」
急いでふんどしをつかんで出ていった。
「じゃあ、放課後行こうな」
「でも・・・」
「学校だけじゃあ、練習にならないだろう」
「そうだけど・・・」
声が聞こえてきたので窓から見ると、田辺君達5人が赤いふんどしでパフォーマンスをしている。
「やだ」
「ははは、あっちもやってるな」
何だかおかしくなって来た。
彼も頑張ってるなあ。
いいか、そのつもりでやった方が恥ずかしくないか。
「いいわ、遊びに行きましょうか?」
日比野君を見てにこっと可愛らしく笑った。
ちょっとどきっとしたような顔をして
「どうしたんだよ」
「うん、恥ずかしがらないでやってみることにしたの」
注意して女の子らしく話した。
渋谷でゲームセンターに行った。
私は女の子だと言い聞かせて、出来るだけ自然に振る舞うと、周りも女の子と思って見ている事がわかってきた。
日比野君が僕の肩を抱いている。
先生との事を思い出して、胸がどきどきしてきた。
パルコにウインドショッピングに行くことにしたけど、思い切って日比野君の腕にからませた。
驚いたような顔をしたけど、そのままちょっと照れたような顔で僕の腕を取って歩いてくれた。
渋谷駅で分かれて家に帰った。
何だかこんな風にしてから楽しい事が多い気がする・・・
女の子もいいなって思った。
次の日学校に向かうと、途中で先輩達が次々と声を掛けてくる。
もうみんな知っているみたいだ。
みんな可愛いって言ってくれる。
女の子がいないせいか、こんな僕でも女の子扱いしてくれるみたい。
前はみんなに馬鹿にされていたんだけど。
付合ってくれっていう男の子もいて、驚いた。
男の子と付合ってどうするんだろう?
疑問が残ったけど。
何だか僕はこの高校で特別な存在になってるみたい。
ホームルームの時間に生徒会役員の候補者を選ぶ事になった。
「推薦はありませんか?」
「はい、河合さんがいいと思います」
「それいい。賛成」
「河合さんなら当選間違いなし」
どっと沸いた。
「そんな、嫌です・・・」
「じゃあ、投票します」
「賛成の人は挙手して下さい」
「全員が手を上げた」
横の田辺君を見た。
「なんでよ」
「いいじゃないか。知名度抜群だし、かわいいから先輩の票を集められると思うよ」
どうしよう、決まっちゃった・・・
こんな恰好で立候補なんてやだ。
気が重くなったなー。
「俺が応援演説してやるよ」
田辺君が言ってくれた。
「ありがとう。でも気が重いわ」
「気楽に行けばいいよ」
その日の内に僕が立候補することが知れ渡った。
上級生が昼休みに大勢見に来る。
女の子がいないから、男の子でも女の子に見えてセーラー服着てる僕を見たいみたいだ。
「選挙は応援してやるからな」
と言って帰っていく人もいる。
家では、あれから先生と僕は一緒に寝るようになってしまった。
あっという間に約束の一週間がたった。
放課後に急いで部室に行った。
控え室で皆が集まるのを待っていた。
みんながそろったので部長が部会を始めた。
「みんな良く頑張ったな」
「河合君もご苦労さん」
やっと終るんだ。
ほっとするような、残念なような気分でセーラー服を見下ろした。
「一応終わりにするつもりだ」
「しかし、河合君に3年生からクレームが付いてな」
えっ、どういうこと?
「女の子の河合君が立候補するっていうから応援しているのにって」
確かに選挙運動には先輩達が手伝ってくれてるんだけど・・・
「俺の一存で彼女を消す権利はないって言われていてな」
「そんなー。約束が違います」
「まあ、見ていると河合君もまんざらじゃあ無いみたいだしな」
恥ずかしくて顔が赤くなって俯いた。
「なあ、せめて選挙が終るまでそうしていてくれないか?」
「君の親衛隊に殺されてしまいそうだから、助けてくれよ」
「親衛隊って?」
「知らなかったのか?」
「由紀ちゃんの純潔を守る会って出来て、選挙も手伝ってもらってるだろう」
「えー、あの人達?」
「君を狙っている男の子が大勢いてな。牽制しあっているみたいだ」
大きな声で笑っている。
「今や、我が校のマドンナだな」
「それに、生徒会長もそうしてくれって」
あっ、あの人だ。
「だって、学校だってこんなのいつまでも許さないでしょう?」
「ははは。うちは生徒会が生徒の校則に関して全権を握っているからな」
「学校は進学率さえよければいいんだ」
「3年生は今年は受験勉強だけだし、彼女を作るひまもないからな」
「せめて、彼らの目の保養をさせてあげてくれよ」
「そんなのって。僕だって嫌ですよ。
それに、こんなんじゃあ彼女も出来ないし」
「ははは。まあ、いいじゃないか。彼女なんかいないんだろう?」
「そうですけど・・・」
「毎日が演劇の練習になっていいことだ」
「由紀ちゃん、そうしたら。その方が良さそうよ」
綾小路さんが優しく微笑んでいる。
「はい・・・」
あー、何でみんな僕に女の子の恰好をさせたがるんだろう・・・
変態ばっかもう。
こうしているのそんなに嫌じゃないんだけど、でも・・・
第11章 初体験
ふふ。良いもの手に入れたわ。
今日からこれで可愛がってあげるからね。
手にしたディルドーを弄んだ。
細めのにしたから、彼には丁度いいはず。
随分感じ安いみたいだし、お尻も感じているみたいだから。
でも、女の子にする愛撫をあんなに喜ぶなんてね。
「ただいま」
あら、帰って来たわ。
「おかえりなさい」
いつものセーラー服が可愛いわ。
「今日までなんて残念ね」
「それが、まだ続くみたいなんです」
事情を話してくれた。
「そう、でも良かったじゃない。まだ着られて。セーラー服好きなんじゃないの」
「そんな事ありません・・・」
「ふーん。まあいいわ。先生は嬉しいわ」
言い当てられたような顔をしてもじもじしている。
ふふふ。本当に由紀ちゃんを見ていると疼いてくるわ。
「じゃあ、その脛下なんとかしてあげましょうか?」
少し気になる足の毛を見つめた。
恥ずかしそうにしている。
もじもじしている由紀ちゃんを診察室に連れていった。
上条さんを呼んだ。
「はい、何でしょう?」
僕を見てくすっと笑った。
「今日も可愛いわね」
「どうも・・・」
照れて顔を赤くしていて可愛いわ。
「足の毛が気になるから処理してあげてくれるかしら?」
「脱毛すればいいんですか?」
「そうよ」
「わかりました」
「こちらにいらっしゃい」
おずおずと付いていく。
「じゃあ、終ったら教えてくれるかしら」
「はい。わかりました」
不安そうな顔をしている由紀ちゃんを連れて出ていった。
2時間程してから、由紀ちゃんを連れて戻って来た。
足を見るとぽつぽつ赤くなっている。
「良く冷やしておいてね」
「はいわかりました」
「随分時間が掛かったわね」
「ええ、股の方までしましたから」
「そう」
楽しみだわ。
由紀ちゃんは恥ずかしそうな顔をしている。
「いいわよねこれで。由紀ちゃんは毛むくじゃらな足になりたくないでしょう?」
こくっと頷いた。
食事を終ってからリビングで寛いだ。
さあ、楽しみだわ。
待ちきれないわ。
たっぷり錠剤をいれた夜食を持って彼の部屋に行った。
「入るわよ」
「はい、どうぞ」
中でもうネグリジェい着替えて待っている。
「どうしたの?今日は」
「はい・・・」
「さあ、どうぞ」
「いつもすいません」
いいのよ、特製だから。
ベッドに腰掛けて待っていた。
食べおわって、歯を磨くと横に腰を掛けた。
「今日はいいことしてあげる」
「何ですか?」
何かを期待する顔で見ている。
「今は秘密」
彼をベッドに寝かせた。
いつものようにキスと愛撫して上げると、感じるようでよがって顔を紅潮させている。
潤んだ目が愛らしい。
仰向けに寝かせてから、ネグリジェを捲り上げた。
そのままお尻を愛撫しながらパンティをゆっくりと下げていく。
手にジェリーを付けて、お尻に塗っていった。
あんっという声を上げた。
「何を?」
不安そうな顔で私を見ている。
「心配しないで。もっと気持ちいいことしてあげるから」
十分にジェルを付けてから、ゆっくりとお尻の穴に手を入れていった。
あっという声を上げてびっくりしている。
「大丈夫よ」
上から由紀ちゃんの体を抱いて首筋を愛撫する。
体を捩じらせるのを押さえて、指を静かに差し込んだ。
あーという声を出してのけぞった。
興奮してしまう。
女の子を犯している気分。
ディルドーを持って、静かに押し付けた。
気が付いて、脅えたような顔をしている。
「やめて・・・」
女の子みたいな声で抵抗するけどもちろん止めないわ。
あー、興奮してしまう。
彼の体を抱いたままゆっくり押し込んだ。
「あ、あ、ああー」
かすれた声でうめいた。
「可愛いわよ」
「すぐ痛く無くなるからね」
「せんせい・・・」
目に涙を浮かべている。
そのまま胸をもみしだいた。
感じているのがわかる。
秘部がぬれてきた。
ゆっくりと動かしながら耳を口に含んで。
「あー」
顔をしかめて堪えている。
「感じる?」
こくっと頷いた。
ゆっくりと動かす。
そのたびに背中をそらしてうめいている。
可愛い由紀ちゃん。
ちゃんと女の子として感じはじめたわね。
「先生、何だか僕おかしくなりそう・・・」
愛撫の手を休めない。
だんだん腰を押し付けてくる。
いいわ、その調子よ。
「ふふ。これで男の人にもちゃんと抱いてもらえるわね」
「男の人にこういう風にしてもらいたいんじゃない?」
「そ、そんな事ありません」
かすれた声を出した。
「女の子っていいでしょう?」
「こんな風に愛されて。気持ちいいでしょう」
「はい・・・」
「女の子になりたくない?」
「そんな・・・」
「先生がこんなもの取ってあげましょうか?」
一瞬脅えたような顔が可愛らしい。
「もっと気持ち良くなるのに」
「そんないやです・・・」
そのまま愛撫を続けていたら急にぐったりとした。
あら、いっちゃったのかしら?
今日はこれくらいにしましょうね。
彼を抱いて気持ち良く眠りに落ちた。
第12章 選挙
授業を受けながら周りの男の子達をぼんやりと見ていた。
男の子ってあんな風にして女の子をだくのかしら?
何だか股間に目が行ってしまって顔が赤くなった。
急にスカートが頼りなく思えて膝をぎゅっと閉じた。
やだ、何を考えているの。僕ったら・・・
そんな気分のまま選挙の日が来てしまった。
壇上にセーラー服で上がるのが堪らなく恥ずかしい・・・
もう、何を言ったのか自分でも分からない。
体育館一杯の男の子を見たらもう上がっちゃって・・・
「可愛いー」
「一発やらせろー」
なんて声もしていたみたいだけど。
急いで控え室に戻った。
投票の結果が出るのを教室で待っていた。
生徒会長が入ってきた。
「結果を発表します」
「おめでとう、河合さんは当選しましたよ」
当選したのは嬉しかったけど、でも不安の方が大きい。
「書記お願いしますね」
「はい」
「それから、これからも是非セーラー服で着て欲しいって書いてあるのが多かったんですけど」
僕に笑いかけた。
「そんなの絶対嫌です」
「そうか、それは残念だな」
「まあ、無理は言えないけどな」
そういうと帰っていった。
「すげえじゃん。でももうそれ来て来ないのか。ちょっと残念だな」
日比野君が残念そうな顔をしている。
「あたりまえじゃない」
「私男の子よ」
ぷっと吹き出して。
「男の子がそんな言い方するかよ」
「そうね」
一緒に笑いころげた。
あー、ようやく解放されるわ。
でも、何だか最近少し体の調子がおかしい・・・
毎日先生に愛撫されているせいか乳首が腫れて痛いし、何だか胸が膨らんでるような気もする。
毎日ブラを付けてるし、先生に愛撫されてるからかしら?
でも、これで普通の男の子に戻れる。
少し寂しいような気もするけど、でも男の子だからしょうがないよね・・・
第13章 男の子に戻って
次の日朝食後久しぶりに制服を着た。
何だかお尻が窮屈な気がする。
ブレザーも着けて鏡に映した。
髪の毛も伸びたせいもあってか女の子が男装しているみたいだ。
それに女の子の服を着初めてからもう一ヶ月以上経つから、男の子の姿に違和感を覚える。
何だか窮屈だし、気持ち良くない・・・
気持ちも重くって暗くなる気がする・・・
横に有るセーラー服を見つめた。
首を振って思い直し、学校に行った。
教室に入るとみんな驚いたような顔をしている。
自分の席に座った。
「お姫様がズボンをはいてる」
クラスの男の子達がはやしたてる。
「当然でしょう」
「何だか調子狂っちゃうな」
日比野君が頭を振った。
「何だかおかまみたいで気持ち悪いな」
と言っている子もいる。
「俺セーラー服の方が好きだったけどな」
何だか急に周りの反応が冷たくなったような・・・
先生も僕を見て、あれって顔をしている。
「そうかー。そうだったんだよな」
独り言を呟いている。
いつもは休み時間も結構みんな集まってきて楽しく男女の会話を楽しんでいた。
今日は日比野君と田辺君以外は話し掛けてこない。
廊下を歩いていると上級生と会ったけど、失望したような顔で顔をそむけたられた。
何だか中学校の時みたい・・・
日比野君や田辺君も何だかとまどっているみたいであんまり話し掛けてこない。
帰り際ぽつっと日比野君がもらした。
「俺河合がセーラー服着てると、男の子だって知ってはいるけど女の子に見えていたんだけどな」
「そうしていると、俺が知っている河合じゃないみたいだ」
「何だか何を話していいかわからないや」
苦笑いして帰って行った。
田辺君も似たような反応をしていた。
何だか情けなくなって、制服見つめた。
生徒会室に行ったら、みんな同じような反応を示した。
生徒会長はさすがに優しくしてくれたけど・・・
今までお姫様って親しみを込めて呼んでくれていたのに、誰も呼んでくれない。
暗い気持ちで家に帰った。
何だかつまらない。
気が付くと涙が出てきた。
男の子でいると、気持ち悪いだけなのかな・・・
窓ガラスに写る自分の顔を見つめた。
「おっ、可愛い」
電車のドアから入ってきた男の子が僕を見て呟いた。
でも、その後僕のズボンを見て
「ちぇっ、男か。気持ち悪いな」
急にはき捨てるように言うと横を向いた。
昨日まで僕の気を引こうとして優しくしてくれていたり、賞賛の目で見ていてくれたのに・・・
家に帰るとすぐ自分の部屋に入ってベッドの上で泣き続けた。
そろそろ夕食だ。
ワンピースに着替えた。
気分が少し軽くなった。
そのまま暫くじっとしていた。
食事後いつものように先生が僕の部屋にやって来た。
今日は夜食はないみたい。
堪らなく悲しくなって先生に抱き付いた。
先生は優しく僕をベッドに横たえてくれた。
「先生・・・」
「どうしたの?」
「お願い僕を抱きしめて・・・」
「いいわよ」
先生に抱かれて優しく愛撫されていると気持ちが少しほぐれてきた。
でも悲しさと寂しさは消えない。
「どうしたの?」
「うん・・・」
「お願いこのまま抱きしめていてくれる・・・」
「いいわよ」
その日は先生の胸の中に抱かれてネギリジェの上から優しくさすられながら眠りに落ちた。
第14章 女の子に戻って
目が覚めてベッドの上に腰を掛けながら壁に掛けてあるセーラー服を見つめた。
演劇部のセーラー服は返しちゃったけど、先生が僕に最初に着せてくれたものだ。
昨晩何だか堪らなくなって手にとってから壁に掛けたままになってある。
ぼーっとして見つめていた。
ブレザーが横に掛けてあるけど、何だか見ていたくない。
昨日の皆の反応が蘇る。
セーラー服着て女の子演じてた時はあんなに楽しかったのに・・・
恥ずかしかったけど、でも決して嫌じゃなかった・・・
「あら、どうしたの?」
先生が目を覚まして僕の様子に気が付いた。
「ぼんやりしてセーラー服を見ているみたいだけど?」
「昨日も何だか様子が変だったし。何かあったの?」
堪らなくなって涙が溢れてきた。
せっかく可愛い顔にしてもらったのに・・・
泣きながら昨日の事を話した。
学校に遅れるけどもういいや今日は。
「可哀相に。こんなに可愛いのに」
「じゃあ、セーラー服着ていったら」
驚いて先生を見た。
「話しを聞くと、由紀ちゃんセーラー服着て女の子で学校に行きたいんでしょう?」
微笑みながら、僕の肩を抱いた。
「でも・・・」
「そんなの、変態って馬鹿にされちゃう・・・」
「そうかしら?大丈夫な気がするけど」
笑っている。
「だけど・・・」
「どうせ、制服着ていっても同じなんでしょう。お友達も無くなりそうだし」
「そうかもしれない・・・」
「以前に着た私のセーラー服着てったら」
「でも・・・」
ぐずぐずしていると
「どうせ制服は着たくないんでしょう?取り敢えず着てみなさいよ」
「うん・・・」
僕はセーラー服に着替えて先生の前に立った。
「可愛いわ。お顔ももうきれいに直っているし」
うっとりした顔で僕を見つめている。
「由紀ちゃんはその方がいいと思うなー」
「絶対にその方がいいわよ。それに一昨日までセーラー服で行ってたんでしょう?」
「ええ・・・」
セーラー服を着ていると、このまま学校に行きたくなってきた。
「男の子ならうじうじ悩まないで行ってみましょうね」
「うん・・・」
「髪の毛も大分伸びたから、きれいにしてあげるわ」
電車の中ではまたいつものように男の子達が僕をちらちら見ている。
ちょっぴり恥ずかしいけど、でも嬉しい・・・
ちゃんと可愛い女の子として見てくれている・・・
駅を降りて校門に向う。
時間が遅いせいか、開城高校の生徒は誰も歩いていない。
どきどきしながら校門を入った。
授業中をしているみたい。
何だかドキドキしちゃう。
教室の前に来て、足が動かなくなった。
どうしようかしら・・・
強制されてないのにセーラー服着てきちゃった・・・
みんなどう思うかしら・・・
何だか本当に女の子みたいな気分になってしまう。
ドアの前で躊躇していたら、ドアががらっと開いた。
びくっとして立ちすくむと山下先生が顔を出した。
「何だ河合か、早く入れ」
当然のような顔をして僕を中に入れた。
良かった先生は前のままだ・・・
教室に入るとみんな一斉に僕を見た。
ちょっとどよめいた後でにやにやしている。
恥ずかしくて顔が真っ赤になってしまったけど、急いで自分の席に座った。
横を見ると田辺君が僕を唖然とした顔で見ている。
どきどきしながら、でも勇気を出して話し掛けた。
「これで来ちゃった・・・」
スカートをみながら恥ずかしげに笑ったら、笑い返してくれた。
「お姫様はそれでいいんじゃないか]
胸が熱くなった。
良かった、軽蔑されなかったみたい・・・
授業が終ると、早速日比野君がやってきて、僕に笑いかけた。
「やっぱりそれにしたのか?」
「また女優の練習かい?」
みんなわかっているはずなのに、とぼけたような顔をしている。
「ううん・・・」
恥ずかしかったけど、思い切って日比野君の目を見て首を振った。
「そうかー」
「まあ、いいや。その方が話しやすいや」
他の男の子達も集まって来た。
「お姫様はその方がやっぱり似合うな」
笑っている。
「嫌がってるかと思ったら、そういうの好きだったのか?」
色々言って僕をからかう。
でも、不思議に昨日より嫌じゃない。
「うん、そうなの」
可愛らしく微笑み返した。
みんなちょっとどぎまぎした顔をした。
ちゃんと言わなきゃ。勇気を出した。
「お願い、みんな私をいじめないで・・・」
両手を合わせてお願いした。
「しゃあねえなー。そんな顔をされちゃあ」
ほっとした。
もうみんなに僕の気持ち知れれちゃったんだから、このまま頑張るしかない・・・
何だか肩が軽くなった。
馬鹿にされても、でもこれが自分らしいんだし。
先生達は昨日の姿を見てない人が多いせいか、気にしていないみたい。
セーラー服が少し変わったからあれって顔をした先生はいたけど。
周りを見るとみんな紺のブレザーでえんじのネクタイをしている。
僕だかセーラー服で、僕の周りだけ違う空間みたいで何だか不思議な気分。
休み時間はまた以前のように日比野君や田辺君とおしゃべりできて嬉しかった。
僕女の子で生きて行かないとなんだか幸せになれないのかしら?
漠然とそういう考えに囚われた。
今日は部活があるから、放課後田辺君と一緒に部室に行った。
先輩は僕のセーラー服を見て一瞬あれっていう顔をしたけど、何だかあえて触れないで他の話しをしている。
綾小路さんがやってきて、僕を見付けた。
「あら、セーラー服に着替えたの?」
「はい・・・」
「今日は朝からこうだよな」
田辺君が横から口を出した。
「でも、もう選挙が終ったから着てなくてもいいんでしょう?」
「ええ・・・」
「でも、僕この方がいいから・・・」
綾小路先輩は嬉しそうににっこりした。
「そう、女優が一人誕生したって訳」
「でも、これから色々大変かもね]
「ええ・・・」
すがるように綾小路さんを見た。
「生徒会の方に働きかけてみましょうか」
「お願いします」
頭を下げた。
胸が熱くなった。
「ちょっと待ってね」
暫くして帰って来た。
「生徒会の方はOKよ」
「演劇部の要請で、しばらく継続させるってことにしたから」
「事情は説明しちゃったけど、いいわよね。みんな喜んでいたし」
「生徒会の会合は気を付けた方がいいかもね」
と意味ありげな笑いをした。
でも、良かった・・・
「どうも、色々ありがとうございます」
「でも、そのセーラー服どうしたの?」
「はい」
先生のを借りたことを説明した。
けらけら笑っている。
「みんなには、私から説明しておいてあげる」
「どうも・・・」
第15章 二度目の手術
あの子から言い出すなんて予想外だったわ。
あれから、喜んでセーラー服で通ってるし、家でも一日中女の子の服着てるみたい。
それにもう胸が膨らみ始めているみたいね。
そう言うと必死に否定するのが可愛いわ。
恥ずかしいのかしら。
笑みがこぼれた。
顔もふっくらして、肌も薄く白くなってきたから一層可愛くなってきたみたい。
そろそろたまたまを取ってしまおうかしら。
いやがるのを無理矢理取ってしまうのを想像すると、体が熱くなってくる。
「ただいまー」
可愛い声が聞こえた。
リビングにセーラー服のまま入って来た。
「嬉しそうにして、何か良いことでもあったの?」
「ううん、別に」
ほほを赤らめている。
ははーん。何か有ったわね。
「ねえ、由紀ちゃんの体最近調子悪くない?」
「えっ。何で」
どきっとしたのがわかる。
「ちょっと診察してあげる」
「どこも悪くなんかないです・・・」
「駄目よ、最近胸が腫れているじゃない」
恥ずかしそうに目を伏せている。
「いらっしゃい」
診察室に連れていって、上着を脱がした。
きれいな乳房が出来つつあるわね。
乳首も膨らんでいるわ。
恥ずかしそうな顔をしている。
「やっぱり腫れているわね」
「女の子のおっぱいみたい」
「・・・」
「由紀ちゃん女の子の体になってきてるみたいね」
「ちょっと血液検査してみるわ」
心配そうな顔をして採血をした。
「うーん。女性ホルモンが増えて、男性ホルモンが減ってるわ」
驚いたような顔をしている。
「女の子の気持ちに」なっているからそのせいかしらね?」
意地悪な質問をしたら、顔を赤くして俯いている。
「睾丸を検査してみましょう」
「えー」
「こっちに横になって」
恥ずかしげにベッドに横になった。
スカートをめくって、検査した。
ふふふ。抗アンドロゲンが効いて小さくなって可愛いこと。
「中の成分を検査するわね」
痛がる由紀ちゃんを無視して、採取した。
「もう服を着ていいわよ」
検査してから、カルテに書込む。
ふふふ、わくわくしちゃうわ。
「大変だわ。どうしましょう?」
不安げに私を見ている。
「睾丸が癌細胞みたいなのに侵されているわ」
癌と効いて不安そうな顔をした。
「このせいね。男性ホルモンが正常に分泌されなくって女性ホルモンになってるわ」
「このままほっといてもいいけど・・・」
「大丈夫なんですか?」
「わからないわ。もしかして悪性の癌になって死んでしまうかもしれないわ」
「そんな」
脅えたような顔をしている。
「どうしようかしら?取ってしまえば一番安全なんだけど」
「取るって?」
恐る恐る聞いてきた。
ふふふ、もう一押しだわ。
「睾丸なんだけどね」
「えっ」
睾丸を手で押さえている。
「暫く様子を見ましょうか?」
「ええ・・・」
不安そうに頷いた。
「悪化していった場合、胸が女の子みたいに大きくなるから分かるわ」
胸を両手で押さえている。
ふふ。可愛いわ。
今日はこれでいいわね。
それから毎晩、由紀ちゃんの胸を愛撫してあげた。
敏感になって、すごく感じているみたい。
あそこは、錠剤のおかげで、段々反応しなくなってきている。
睾丸も段々小さくなってきたみたい。
うふふ。
早く手術してあげたいわ。
「胸がまた大きくなってきたんじゃない?嬉しい?」
「そんなことありません・・・」
恥ずかしそうに言うけど、嬉しそうなことは分かるわ。
ブラにパッドを入れるのも止めたみたいだし。
お友達はセーラー服着てるから気が付かないでしょうね。
2週間程経ってから、もう一度診察室に呼んだ。
検査してから、由紀ちゃんを椅子に座らせた。
「うーん。睾丸が萎縮していて、癌化するかもしれないわ」
「思い切って取ってしまいましょうか?」
「でも、そしたら僕男の子じゃなくなってしまうんじゃ・・・」
脅えたような顔をしている。
「だけど、もう女の子になってるんでしょう。いらないんじゃないの?」
「でも・・・」
「大事な由紀ちゃんの命には代えられないわ」
「手術してあげるわ」
「先生・・・」
不安を顔一杯にあふれさせている。
「さあ、手術室に行きましょう」
「いや・・・。恐い・・・」
「女の子になれるチャンスじゃない。これも神様のおぼしめしよ」
嫌がる由紀ちゃんの手を引っ張って手術室に連れていった。
「上条さん手術をするから、手伝って」
「はい」
「何の手術ですか?」
「由紀ちゃんの睾丸摘出手術よ」
驚いたような顔をしている。
「いいんですか?」
「優生保護法がありますし」
「大丈夫よ。悪性腫瘍化の恐れがあるから、ちゃんとした治療よ」
にっこりと笑って納得した顔をした。
「カルテはちゃんと付けてあるから、後で処理しておいてね」
「はい」
「保護者の同意はどうするんですか?」
「あら、そうだったわね」
「じゃあ、すぐ来てもらいましょう」
上条さんが由紀ちゃんの母親に電話をして、呼び出している。
「由紀ちゃんお部屋に行って、ブレザーに着替えて待っていなさい」
「ママが来るんですか?」
「ええ、一緒に説明するから」
母親が来るとわかって、おどおどしている。
「瞼の事言ってないし・・・」
「それに、胸も膨らんできているし・・・」
「先生に任せておきなさい」
「はい・・・」
2時間程経ってから、母親が心配そうな顔でやってきた。
さーて、深呼吸をした。
心配そうな母親を診察室に通した。
由紀ちゃんに似てまだ若くてきれいね。
ちゃんと二重なのね。きっと由紀ちゃんは父親に似たんだわ。
「どうなんでしょうか?」
丁寧にカルテを見ながら説明してあげた。
「そうですか・・・」
「どうしても取らないと駄目なんでしょうか?」
母親を見てちょっと胸が痛んだ。
でも由紀ちゃんを女の子にできると思うと、体の芯がじーんとしてきてすぐ消し飛んでしまった。
「ええ、いつ悪性に変化するか予断を許しませんから」
「残念ながら男の子ではなくなってしまうと思うんですけど・・・」
「でも大事なお子さんという事は変わり有りませんでしょう?」
「ええ・・・」
「こんな事他人の私が言うのもなんですけど、手術後も、大事にして上げて下さいね」
由紀ちゃんを思いやる顔で母親を見た。
「ありがとうございます」
「いつも親切にして頂いて感謝しております」
「病気の為由紀さんの体は今女性化が始まってます」
「睾丸を摘出してしまったら女の子の体になってしまうと思うんですけど」
「良く理解してあげて下さいね」
「はい・・・」
どうしていいか分からない目で頷いた。
「ところで由紀は?」
「ええ、自分の部屋で寝ておりますわ」
「母親に会うのを、恥ずかしがっているんですけど」
「会わせてもらえませんか?」
「ええ、かまいませんわ。でも顔付きや体つきが変わったことは触れないであげて下さいね」
「わかりました」
由紀ちゃんが入って来た。
ブレザーの下で胸が膨らんでいるのがかすかにわかる。
母親は由紀ちゃんの顔を見て一瞬びっくりした顔をした。
約束通り何も言わないで悲しそうな顔をした。
「事情は聞いたわ」
「由紀ちゃん本当にいいの?」
黙って俯いている。
「いいのね」
こくっと頷いた。
「じゃあ先生宜しくお願いします」
心配そうな顔で由紀ちゃんと私を見ている。
「すぐ終りますから、お待ちになっていて下さい」
「はい」
手術台の上で下半身麻酔をした。
由紀ちゃんは脅えたような顔で私を見ている。
「さあ、始めるわよ」
興奮して秘部が濡れてきた。
小さくなった睾丸の裏側にスーっとメスを入れる。
由紀ちゃんは顔をしかめてうめいた。
睾丸を取りだし、輸精管と血管を縫いあわせる。
切り裂いた袋を丁寧に縫いあわせた。
ふー、終った。
「ほら、由紀ちゃんの睾丸よ」
シャーレに入った睾丸を見て涙を零している。
「よかったわね。これで汚らしい男の子にならなくってもいいのよ」
複雑な表情で黙って見ている。
小さいペニスが見えている。
弄びながら
「可哀相に、こんなのがあると女の子になれないわね」
「それに今の由紀ちゃんに似合わないわね」
「どう、一緒に取ってしまいましょうか?」
脅えたような顔で
「先生、そんな・・・」
「代わりに私みたいなきれいなヴァギナを付けてあげましょうか」
「そうすれば、抱かれてももっと気持ち良くなるわよ」
「そんな・・・」
「でも、今の由紀ちゃんはもう女の子なのよ」
「どう?」
「それに、ここにも転移しているかもしれないし・・・」
「そうなったら、死んじゃうわよ」
「えー・・・」
「じゃあ、そうしましょうね」
「上条さん全身麻酔の用意をして」
「はい、わかりました」
くすくす笑いながら注射器を持った。
「先生、やめて・・・」
目に涙を溜めて私を訴えるような目で見ている。
「由紀ちゃんのためよ。由紀ちゃんは女の子になった方がいいのよ」
麻酔が効いて静かになった。
「じゃあ、始めるわ」
「はい」
始めてだけど、あれから大分研究したから多分大丈夫だと思うわ。
わくわくしちゃう。
これから、由紀ちゃんは女の子の体になるのよ。
パンティが濡れているのに気が付いた。
ああ、もう堪らない。
メスをペニスの根元に入れた。
一瞬びくっとしたけど、そのまま静かになった。
二時間後ようやく終った。
ふふふ、終ったわ。
シャーレの上にある睾丸とペニスの残骸を見て笑いが止まらなくなった。
ちゃんとクリちゃんも大陰唇も小陰唇も作ってあげたからね。
今日から由紀ちゃんは女の子よ・・・
堪らない。
「後の処置はお願いね」
「わかりました」
一旦自分の部屋に戻って、ほてりを静めた。
診察室に行くと母親が心配そうに待っていた。
「あの、手術はどうでしたか?由紀は?」
「安心して下さい。無事成功しました」
ほっと胸を撫ぜおろしている。
「でも、睾丸だけじゃなくって周囲にも転移している可能性がありました」
「えっ、じゃあ・・・」
「ええ、それで一緒に処理しておきましたからもう安心です」
「有り難うございます」
「それで、ショックを受けないように聞いて欲しいんですけど」
「はい」
不安そうな顔をしている。
「ペニスにも転移している可能性がありましたので、一緒に切除しました」
驚いたような顔をしている。
「そ、それでは」
「ええ、残念ですけど、男性器はすべて無くなりました」
「心境はお察しいたしますが・・・」
「そんな、可哀相に・・・」
目から涙を流している。
にっこり笑って
「大丈夫ですよ。安心なさって下さい。
それで、排泄は女性と同じようになります。
始めはとまどうかもしれませんが、私達と同じですから問題なくすぐ慣れると思います」
「そうですか。本当にどうもすいません」
「でも少し問題があるんですが」
「はい」
「お母様も女性ですから、良くお分かりだと思いますが。
外尿道口は女性器の中にあります」
尿道をちゃんと機能させるために、どうしても、女性器を作ってその中に作る必要があったんです」
「どういうことですか?」
「ええ、今後の性感がまったくなくなるのも本人に大変不幸だと思いまして。
男性としては無理でも、せめて女性としてのを残してあげようと思いまして。
今、由紀さんはちゃんとした女性器を持っております」
「そんな・・・」
「ええ、驚かれるとは思いますけど」
「ただ、今後由紀さんは自分でホルモンを出すことが出来なくなりました。
ですから、これからの成長期にちゃんとホルモン剤を投与する必要があります」
「はい・・・」
「睾丸の癌化の影響で、由紀さんの体は女性としての第二次性徴が始まっております」
「はい、確かに女の子っぽくなって・・・」
「今アンドロゲンを投与すると、体のホルモンバランスが崩れて、どんな副作用があるかわかりません。
かといって何も投与しないと、成長も止まってしまい、子供の体のままです」
「そうなんですか?」
不安そうな顔をしている。
「一番安全なのは、エストロゲンを投与することなんですが」
「はい」
ちょっと分からない顔をしている。
「ただ、副作用がありまして、女性的な体になってしまいます」
「そんな・・・」
「でも、それが一番だと思います。それで、もしもの為に女性器にして性感機能を残しました。
大変ショックな事と思いますが」
呆然としている。
「由紀さんはあんなに可愛らしい方だから素敵な女性になると思いますけど」
「でも・・・」
母親の手を取った。
「私も協力しますから、是非現実を受け入れてあげて下さい」
目に涙を浮かべた。
何だか自分まで本当の事みたいで涙が出てきてしまったわ。
「そうしてあげて下さい・・・」
「はい、何だか混乱してしまって・・・」
涙を流している。
「可哀相な由紀ちゃん・・・」
「考えようですわ。
由紀さんはいつも女の子みたいっていじめられていたそうですね。
却ってこうなった方が本人の幸せかもしれませんわ」
「はい・・・そうだったんですか」
「これからも、私が責任を持って治療を続けさせてもらいますから」
「どうも、色々有り難う御座います」
深々と頭を下げた。
「一週間程したら、お見舞いに来てあげて下さいね」
「はい・・・」
「私からも良く説明しておきますから」
「はい・・・」
「女の子になって始めはとまどうとは思いますけど」
「はい」
しょんぼりして帰って行った。
ふー。疲れた。
でも、これでOKね。
自分の部屋に行ってすぐ眠りについてしまった。
第16章 女の子として
心配していた放尿も無事に行えた。
手術後の経過も良く一週間後には包帯を取れるようになった。
「先生、僕恐い・・・」
「心配しないで」
上条さんが包帯を丁寧に取った。
丁寧に検査する。
きれいな女性器になってるわ。
体の芯がうずいた。
これで、由紀ちゃんは女の子ね。
鏡を持って不安そうな由紀ちゃんに見せてあげた。
一瞬声を失った。
「先生。ひどい・・・」
「なくなっちゃてる・・・」
「先生と同じだ・・・」
「ほら、そんな顔しないで」
「これで女の子になれたのよ」
目に涙を浮かべている。
「泣くことないでしょう。醜い男の子よりきれいな女の子になれるんだから」
「さあ、涙を拭いて」
「でも・・・」
ぐすぐす泣いている。
あー、胸がきゅんってなるわ。抱きしめたい。
「さあ、もう立てるわね」
「はい・・・」
「ネグリジェを取って全身を見せてくれる」
「恥ずかしいです・・・」
「ちゃんと検査しないと駄目だから」
「恥ずかしがらないで」
「でも」
と上条さんを見る。
「駄目よ。わがまま言わないで」
恥ずかしがっている様子がいじらしい。
ネグリジェを脱いで裸になって恥ずかしそうに立っている。
女の子にしてはまだほっそりとした体で、小さい胸が愛らしい。
股間には汚らしい男性器はなく、ふっくらと女性器が盛上がっている。
あー、堪らないわ。
体が疼いてくる。
上条さんが
「本当にきれいな女の子になったこと」
とくすくす笑っている。
由紀ちゃんは真っ赤にして俯いている。
「僕、これからどうなっちゃうんですか?」
不安そうに聞いてきた。
「今まで通りに生活してればいいのよ。」
「でも・・・」
「2、3年すればきれいな女の人の体になれるわ」
「そんな・・・」
泣きそうな顔をしている。
「でも、本当は女の子になりたかったんでしょう」
黙って頬を赤らめて俯いている。
「明日お母様も来るから、ちゃんとしていなきゃね」
びくっとした顔で私を見つめている。
「パンティもぴったりするわよ」
「女の子になったんだから、いつものようにスカートかワンピースを着ていなさいね」
「そんな・・・」
「お母様も覚悟されているわよ」
ふふふ、恥ずかしがっている。
堪らないわ。
もっと恥ずかしがって。
これから、もっと女の子にならなきゃね。
ふふふ。男の子を女の子にしていくって堪らなく興奮してきちゃう。
胸がドキドキして止まらない。
ママにどんな顔をして有ったらいいのかしら・・・
先生に勧められて清楚な白いブラウスに赤いチェックのスカートをはいたけど・・・
鏡を見ると、可愛い女の子が不安げな様子で立っている。
笑ってみる。
可愛い・・・
スカートを押さえると、今まであった膨らみがなくなっている・・・
スカートが揺れても違和感がないけど・・・
でも、こんな恰好ママに見られるなんて・・・
「用意が出来たらいらっしゃい」
「はーい」
診察室に先生と一緒に下りて行った。
ドアを開けるのが恐い・・・
先生に押されて部屋に入った。
ママが驚いたような顔をして立ち上がった。
「由紀なの?」
「うん・・・」
「そう・・・」
ちょっと悲しそうな顔をして僕を見つめている。
「すっかり女の子らしくなっちゃって・・・」
「ママ・・・」
堪らなくなって、ママに抱き付いた。
「ママ・・・」
涙が溢れてくる。
「僕、女の子になっちゃった・・・」
「ええ、わかってますよ」
優しく僕の髪をなぜてくれる。
「僕こうなってもママの子だよね」
泣きながら胸にママの胸にを埋めた。
「ええ、ええ。ママの子よ」
「体はもう大丈夫なの?」
「うん。もう歩けるし・・・」
暫くママに抱かれていた。
「由紀ちゃん昔から女の子みたいだったけど、本当に女の子になっちゃたのね」
「ママ・・・」
「でも、こうやって見ていると女の子の方がいいかもしれないわね」
「女の子になっても、ママの大事な子よ」
「ごめんなさい・・・」
「謝らなくってもいいわよ」
「これから娘と思わなくっちゃね」
「うん・・・」
僕が落ち着いてからママが聞いた。
「学校はどうするの?」
「今のところ男子校でしょう」
「あら、お母様このままでいいそうですよ」
驚いたような顔で先生を見ている。
「今までもセーラー服で通っていたんですものね」
「えっ、どういう事?」
僕を見た。
先生ったら・・・
恥ずかしくって顔が真っ赤になった。
しょうがないから僕は事情を話した。
「そうなの。知らなかったのはママだけだったの」
ちょっと怒ったような顔をしている。
「何で教えてくれなかったの。恥ずかしい」
急ににこっと笑って
「でも、いまさらしょうがないわね」
寂しそうに言ってから
「すいませんね、先生にもご迷惑をおかけして」
「いいえ、私はそういうの気にしませんから」
「じゃあ、女の子で通えばいいのね」
「でも、大学はどうするの?」
「まだ、考えてない・・・」
「じゃあ、つらくなったらすぐママに言うのよ」
「うん」
「パパには私から良く説明しておくわ」
ママは名残惜しそうに帰って行った。
「よかったわね。ご理解があるお母様で」
「ええ・・・」
第17章 キスの味は初恋の味
一週間後久しぶりに登校した。
みんなには女の子になってしまったことは知られたくない。
胸はパットを入れていたから分からないはずだし・・・
スカートの中が気になる。
前はあそこがあるってばれるんじゃないかって不安だったけど、今は逆だ・・・
教室に入ると、みんなが一斉に僕を見た。
「大丈夫だったか?」
「良くなってよかったな」
日比野君と田辺君もやってきた。
「心配したぜ」
胸が熱くなった。みんな心配してくれていたんだ。
男の子でいた時はこんな事なかったのに。
「どこが悪かったんだ?」
「うん・・・」
言うわけにいかないよね・・・
「言えないようなとこなのかい?」
心配そうな顔で聞いてくる。
「ごめんなさい。それ以上聞かないで」
手を合わせて頼んだ。
「ふーん。まあいいけど。でも健康になって出てきたからいいや」
「でも、何となく感じが違ってるような気がするけど」
どきっとしたけど、病み上がりだからじゃないのってごまかした。
生徒会にも挨拶に行った。
「おう、出てきたか」
生徒会長が笑顔で僕を見つめている。
「いやー、君が来ないと味気なくってみんなつまらないって言ってたぜ」
と僕の肩に手を乗せた。
体がびくっとした。
肩がじーんとしている。
先生に抱かれているせいか、感じやすくなっているみたい。
それに、男の人のを受け入れるものがあると思うと緊張してしまう。
「相変わらず可愛くって嬉しいよ」
「ありがとうございます」
「迷惑かけてすいません」
「ははは、別に急ぐ仕事なんかないからな」
「全快したの?」
「はい」
見つめられてどきどきして顔が赤くなってきた。
「じゃあ、放課後全快祝いをしようか」
「はい」
胸がきゅんっとなった。
何だか、感じ方まで変わって来た気がする。
先生じゃなくって先輩に抱かれたらどんな気分かしら?
想像したら顔が赤くなってきた。
いやだ、今までこんなこと考えたこともなかったのに・・・
放課後先輩に肩を抱かれて歩いていると幸せな気分になってきた。
彼の体って暖かい・・・
何だか下半身がうずいてくる。
今まで感じたことがないのでとまどった。
マクドナルドで、生徒会の人達に囲まれてハンバーガーをほおばった。
「いやー、お姫様がいないと潤いが無くっていけないや」
「むさ苦しい野郎ばっかだしな」
「お前だってそうだろう」
「ははは」
「でも、お姫様は本当に可愛いなー」
向こうのテーブルの女の子達が僕をうらやましそうに見ている。
「あの制服開城高校でしょう」
「あの子いいわねー。何であそこにいるのかしら?」
ちらっと聞こえてくる。
「ははは、あの子達お姫様の焼きもちやいてるぞ」
「不思議だろうな」
「あの子達よりも絶対に可愛いぜ」
「うん。なあ今度デートしてくれよ」
「いやよ。男の子となんて」
でも、先輩ならデートしてもいいかなって思った。
帰りはもう外が暗くなって来たので、大丈夫って言ったんだけど生徒会長が送ってくれた。
「女の子じゃないのに・・・」
「でも他の男の人には女の子に見えるからな」
はははっと笑って僕を見ている。
自由が丘で降りた。
住宅街に入ると暗いせいもあって何だか心細い。
思わず先輩の腕を取ってしまった。
えっと言う顔で僕を見てから優しく笑いかけてきた。
「遠慮しなくていいよ」
先輩の腕に両手でつかまって歩いた。
何だか胸がきゅんってなった。
胸がどきどきしてきた。
先輩もちょっと緊張しているみたい。
公園の横に来た時彼が急に立ち止まった。
えっと思って見上げたら、公園の中に歩きはじめた。
「せんぱい・・・」
でも、どきどきしてそのままついていった。
大きな木の陰で立ち止まった。
「なあに・・・」
どきどきして見上げた。
「じっとして」
両手で抱きしめられた。
「あっ」
驚いて先輩の顔を見つめた。
胸がドキドキして止まらない。
乳首がつーんとして張ってきた・・・
先輩何を・・・
「いいかい?」
先輩の唇が僕の唇に重なった。
あっ・・・
体の力が抜けてきた。
唇が離れた。
「先輩駄目・・・」
目を開けて先輩の目を見詰めながらかすれた声を出した。
「いいんだ」
「でも、私・・・」
また唇が重なった。
顔がしびれてじんじんする。
気が遠くなってくる。
髪の毛を優しくなぜてきた。
駄目。
先生にいつも愛撫されて感じやすくなっているから・・・
ああっ。思わず声が出てしまった。
恥ずかしい・・・
顔が赤くなった。
暖かくって気持ち良い。
思わず彼に抱き付いた。
唇が離れた。
頭がぼーとしてきた。
ぽかんとして先輩を見詰めた。
「ごめん」
「ううん」
あわてて首を振った。
「いいの?私で」
答えないでまた唇を重ねてきた。
涙が出てきた・・・
こんな僕なのに・・・
嬉しい・・・
ふと気が付くとお腹になんだか熱いものが触れている。
どきっとした。
どくどくしている。
これって・・・
なあに?
そっと手を回して触ってみた。
大きい・・・
先輩がびくっとした。
「君が可愛いから僕のあそこが硬くなっているんだ」
「えっ?こんなになるの?」
僕も同じものがあったのに。全然違う・・・
胸がドキドキしてきた。
「君が欲しい」
先輩が恐くなってきた。
「どうしたいの?」
強く抱きしめられた。
背筋に電流が走った。
胸を揉んでいる。
「駄目・・・」
堪らない。
じーんとしている。おかしくなりそう・・・
「先輩駄目・・・」
えっという顔をして僕を見た。
「これ本物みたいだ」
顔を赤くして俯いた。
黙って抱き付いた。
「もうやめて」
「うん、ごめんな」
黙って歩きはじめた。
体に力が入らなくって彼にすがって歩いた。
「お願い。何にも聞かないで」
訴えるような顔で先輩を見た。
「うん」
「ごめん。がまんできなくなって」
照れたように笑っている先輩の顔がまぶしい。
「ううん。嬉しかったわ」
僕男の子なんだけど、でももう女の子なんだから・・・
家に着いた。
「また誘ってくれる?」
はにかんで彼を見つめた。
「うん」
「じゃあ。送ってくれてどうもありがとうございました」
後ろを見ないで家に飛び込んだ。
ベッドにもぐってじっとしていた。
思い出すと体が熱くなってきた。
下半身がなんだかじんってしている。
手を触れると濡れている。
びくっとした。
なにこれ?
ふっと、彼のものを受け入れたくなってしまった。
どうしちゃったのかしら・・・
恐くなって体を硬くしてじっとしていた。
「由紀ちゃん帰ったの?」
ドアを開けて先生が入ってきた。
「いや。こないで」
思わず声が出た。
ふとんを被って体を硬くした。
見られたくない・・・
「どうしたの」
優しく髪をなぜてきた。
「いや、触らないで」
反射的に声が出てしまった。
怪訝な顔をして出ていった。
急いでネフリジェに着替えてベッドに潜り込んだ。
今は誰にも触られたくない。
先輩の感触を思い出しながら暖かい気分で眠りに落ちた。
第18章 拒否
おかしいわねあの子。
何があったのかしら?
誰か送ってきていたみたいだし。
むらむらと嫉妬が沸いてきた。
許さない。由紀ちゃんは私のものなんだから。
私が女の子にしてあげたんだから。
私を拒否するなんて・・・
まさか男の子と?
首を振った。
まだ、うぶだからそんなことはないわ。
キス位はあるかもね。
考え込んだ。
「今日は診察するから早く帰ってきなさいね」
「はい」
何となく楽しそうに出ていった。
由紀ちゃんが帰ってきたので診察室に連れていった。
「胸を開けてごらんなさい」
恥ずかしそうに上着を脱いでブラを取った。
大分大きくなったわね。
もうAカップ位あるわね。
筋肉も落ちてきて脂肪が付きはじめたわ。
「きれいに育ってるわ」
顔を赤くして嬉しそうにしている。
「じゃあ、ネグリジェに着替えて私の部屋に来なさい」
驚いたような顔をしている。
「じゃあ、そこで残りの診察をしましょう」
ネグリジェに着替えてベッドで待っていた。
おずおずと赤いネグリジェに着替えた由紀ちゃんが入って来た。
「さあ、ここに横になって」
恥ずかしそうに横になる。
「大事な所を検査しましょうね」
目を閉じてじっとしている。
ネグリジェをまくってパンティを下ろした。
優しくさすると体をよじっている。
「先生・・・」
「じっとしていて」
由紀ちゃんの横に体を潜りまして愛撫を始めた。
首筋から髪の毛にうつると堪らないようすで声を出した。
ふふ。可愛い。
あそこを優しく揉みしだいていく。
「あ、ああー」
「せんせい・・・」
恥ずかしそうな目で私を見ている。
ああ、堪らないわ。その目が。
指を押し込もうとしたら突然
「いやー」
急に体をよじって横を向いた。
「恐くないわよ」
「いや」
涙を出して私を見ている。
「どうしたの?」
「嫌なの・・・」
「ごめんなさい・・・」
立ち上がってディルドーを手に持った。
「ほら、いいことしてあげるから」
手に持ったディルドーを見た瞬間由紀ちゃんが飛び起きた。
「いや、許して・・・」
「いい子だから。心配しなくっていいわよ」
「駄目・・・」
後ずさりして脅えた顔で私を見ている。
「お願い、それだけはやめて・・・」
涙を出して私を見ている。
「駄目よ。由紀ちゃんは私の手で女になるのよ」
「いやー」
急に飛び起きてドアに向って駆け出していった。
唖然として見送った。
一体どうして・・・
「由紀ちゃん」
ドアをノックした。
「いやっ。先生なんて嫌い」
「由紀ちゃんが嫌ならもうしないわよ」
「いいでしょう。入るわよ」
中に入った。
机につっぷして泣いている。
胸がきゅんっとなった。
あどけない女の子がそこにいる。
「話してごらんなさい。どうしたの?」
肩に手を乗せて聞いてみた。
「先生。私・・・」
「私、初めては先輩に・・・
ごめんなさい・・・
でも、昨日先輩にキスされて、抱きしめられて、それで・・・」
涙ぐんで訴えてくる。
「私、私、先生に愛されて嬉しかったです。
でも、今は先輩に抱かれたい・・・
先輩を受け入れたい・・・
私、気持ちまで女の子になってしまったのかしら・・・」
涙ぐんだ目で見つめてくる。
どきっとした。
本当に気持ちまで女の子になってしまったみたい。
「先生女の人だから、だから私もう・・・」
あーあ。何だかやりすぎちゃったかしら。
本当の女の子みたいな男の子にするつもりが、女の子になっちゃったみたい。
何だか泣いている姿を見ていると可哀相になってきた。
負けたわ、もう。
まあ、十分楽しませてもらったからもういいかな。
「わかったわ。
由紀ちゃんは女の子になったのね。
女の子として男の子を好きになったんでしょう」
こくっと頷いた。
「いいわ、じゃあ協力してあげるわ。
もう心配しないでいいわよ」
「本当?」
「ええ。私も男の子の由紀ちゃん興味あるけど」
と言ってからにこっと笑った。
「女の子になっちゃったんだものね」
顔を赤くしている。
「ごめんなさい・・・」
「謝らないでもいいわよ。
じゃあ、その子にふさわしい女の子にならなきゃね」
こくっと肯いて嬉しそうな顔をしている。
でも男の子を好きになって気持ちも女の子になっていくのを助けるのもわくわくするわ。
バージンを奪えなくって残念だけど。
「じゃあ、着替えて夕食にしましょう」
「はい」
「それから、もっと女の子らしくなるためにこれから毎週お注射してあげるね」
えっという顔で私を見てから嬉しそうな顔をした。
第19章 二人の王女
「おはようございます」
外苑前を下りると生徒会長の木村先輩がいた。
思い切って声を掛けた。
「ああ、おはよう」
ちょっと照れたような顔をしている。
先輩の腕をとった。
「おいおい、どうしたんだ」
「他の人に見られるぞ」
「いいの」
顔を赤くして言った。
「お姫様を一人占めしたら後が恐そうだな」
「いいじゃない」
何となく気分がうきうきする。
「何だか本当に女の子みたいだな」
「だって、女の子だもーん」
「ははは」
大きな声で笑っている。
本当だもーんだ。
何だか性格も変わってきたのかしら。
あそこと一緒に暗くて重い性格も取られちゃったみたい。
おかしくなってくすくす笑っていたら、先輩が変な目で見ている。
教室に入ると日比野君がやってきた。
「おい、木村先輩と腕を組んで登校してきたってうわさになってるぞ」
「うん、本当」
ほほが赤くなった。
「おいおい、本気かよ」
「うん・・・」
「うーん」
とうなっている。
「俺はどうなるんだよ」
「えっ?」
「先輩に取られてたまるか」
「え、えー」
「だって私男の子よ」
「いいんだそんなこと」
「女の子だよ河合は。自分でもそう言っただろう」
「うん」
胸が熱くなった。
「ごめんなさい」
「何かあったのかよ」
「うん・・・」
「ちっきしょう。河合は俺が守っていたのに」
「ぶっとばしてやる」
「お願いやめて」
彼がまぶしく見える。
でも必死にお願いした。
女の子として始めてときめいたんだもの・・・
「わかったよ、そんな顔をするなよな」
「ありがとう・・・」
すごく悪い気がしていたたまれなくなった。
「ごめんね」
「ああ、いいよ。振られたらいつでも俺がいるからな」
「うん。ありがとう」
「何だよ、痴話げんかかよ」
田辺君が横で笑っている。
「いやだ、聞いてたの?」
「聞こえるぜ」
顔が真っ赤になってしまった。
演劇部では、すっかり女の子として板に付いてきて部長が喜んでいる。
「よし、今年は二人の王女をやろう」
「おー、それはいいな」
「綾小路と河合君の二人がいれば、他の学校なんてめじゃないぞ」
「美人のオルゲルドと可愛いアルテミスを擁しているんだからな」
「私はオルゲルドですか?」
「不満か?」
「いいえ」
「きっと可愛いアルテミスでしょうね」
「ドレスにも慣れてもらわなくっちゃな」
「早速着てみてもらおうか」
ドキドキしてきた。
主役なの?
ドレスを着るとぴったり合った。
パットはいらないから、こっそりと取り出した。
鏡に素敵なドレスを着た僕が映っている。
両手でスカートを持ちあげてみた。
「おー、美しい」
部長が大きな声で誉めてくれた。
「おいおい、本当に女の子みたいだな」
「胸もきれいで自然だ」
ちょっと驚いた目で見ている。
「腕なんか女の子よりもきれいじゃないのか?」
「そんなことありませんよ」
顔が赤くなった。
「綾小路さんもきれい」
「ああ、あいつは昔からだ。ははは」
「これなら、他の女の子に勝てるな」
その日から二人の王女の練習が始まった。
綾小路先輩がお化粧とかも色々教えてくれた。
お化粧すると別人みたいになって驚いた。
こんなにきれいになれるんだ・・・
鏡から目が離せなくなってしまった。
「ふふふ。お化粧気に入ったみたいね」
はっとして振り向いた。
「ええ・・・」
「いいのよ照れないで」
「由紀ちゃんもしかしてお家でも女の子の服着てるんじゃないの?」
「え、そんなこと・・・」
「ふふふ。図星みたいね」
と微笑んでいる。
恥ずかしくなって体を硬くした。
「いいのよ。可愛いものね由紀ちゃんは」
「ねえ、もしかしてその胸本物?」
「・・・」
「パットじゃあそんなに自然にならないものね」
と自分の胸を見た。
「まあ、色々事情はあるんでしょうから聞かないわ」
「でも、ちょっと由紀ちゃんうらやましいな」
綾小路さんがそんなこと言ったので驚いた。
「私の家は厳しいからなあ」
自分の家の事を話してくれた。
「演劇部でこうやっている時だけが私の時間」
「軽蔑した?」
「いいえ、そんなことありません」
急に身近に感じられた。
「私もこうやっていられるのも最後かもしれないから頑張りましょうね」
「はい」
「ねえ、練習はいつもドレス着てようね」
「は、はい・・・」
校門を出ようとすると木村先輩が待っていた。
「先輩・・・」
「ははは、一緒に帰ろう」
「待っててくれたんですか?」
「ああ、と言っても俺も生徒会の仕事があったからな」
僕の肩を抱いて歩きはじめた。
「今度俺の家に遊びにこないか」
「えっ、いいんですか?」
「でも、おの恰好じゃあお家の方が・・・」
「ははは。その制服は清新女学院のだろう」
「そういうことにしとくよ」
「だから、いつもの恰好でいいよ」
「はい」
と言ってから気が付いた。
「いつもの恰好って・・・セーラー服じゃあ・・・」
「違うよ。私服でいいんだよ」
「でも家じゃあ・・・」
さすがに本当の事は恥ずかしくていえない・・・
「あれっ、そうか普段も女の子の恰好してるのかと思い込んでいた」
笑っている。
「違ったの?」
「違います・・・」
「本当に?」
「意地悪・・・」
「まあいいや、女の子で来ればいいから」
「はい・・・」
「じゃあ、今週の日曜日。約束したからね」
「はい」
家の人に会うと思うと少し気が重いけど。
あっという間にその週が終った。
何を着ていこうかしら。
清楚なピンクのワンピースにしようかな。
あんまり派手なのはなんだし・・・
明日着ていくのを考えて一杯ひろげてあれこれ迷っていると先生がやってきた。
「あら、どうしたの?」
「さてはデートかな?」
もじもじしていると
「当たりってとこね」
「例の先輩かな」
ほほを赤らめたからわかちゃっただろうな。
「ふーん」
と僕を見ている。
「ねえ、美容院に行こうか」
「えっ」
「パーマ掛けると可愛くなるわ」
「でも・・・」
先生は躊躇する僕をさっさと美容院に連れて行った。
きれいになった髪を見つめる。
自分じゃないみたい。
女の子らしくなったわ。
可愛いわ。
先輩どう思うかしら・・・
「どう、いいじゃない」
「とっても可愛くなりましたよ」
美容師さんも誉めてくれた。
「ええ、気に入りました」
肩より長くなっているから、けさきのカーブが柔らかい印象を醸し出している。
二重瞼の目がぱっちりして愛らしい。
そう言えばこの目から始まったんだわ・・・
第20章 彼に抱かれて
先輩の家に行く日が来た。
何を着ていくか迷ったけど、やっぱりピンクのワンピースに決めた。
先生が薄いピンクの口紅を付けてくれた。
「女の子だから、お化粧も覚えなきゃね」
「はい・・・」
どきどきして先輩の家のブザーを押した。
ドアを開けて先輩が顔を出した。
「やあ、良く来てくれたね」
嬉しそうな顔で僕を入れてくれた。
「何だか感じが変わったな」
「おかしい?」
「いや、可愛いよ」
お母様に挨拶した。
「とっても可愛いお嬢様ね」
そう言ってもらえて嬉しかった。
「女の子なんてちっとも家に連れて来なくって心配していたけど、こんな素敵なお嬢さんを連れてくるなんて」」
と喜んでいる。
彼の部屋に行った。
男の子の部屋に入ると思うと胸がドキドキする。
「そういう恰好していると可愛いね」
「ありがとう・・・」
「それで家から来たの?」
「うん」
彼が笑った。
「やっぱりいつもそういう風にしているんだね」
ほほが赤らんだ。
でもいいわ。本当だもの。
彼のベッドに腰を掛けておしゃべりしていたら急に彼がキスをしてきた。
「駄目・・・」
「いいだろう」
抵抗しようと思うんだけど体の力が抜ける。
ベッドにそのまま寝かされた。
あっ。背中を抱かれて抵抗できなくなった。
彼が背中のジッパーを下げている。
「駄目・・・」
抵抗できない。
スリップ一枚になってしまった。
駄目、胸の膨らみがわかっちゃう・・・
頭ではわかっているのに体が彼を求めている。
いいか、わかっても・・・
彼を見た。
彼が僕の胸を触って驚いたような顔をした。
でも、そのままスリップの上から愛撫してきた。
「由紀ちゃん、おっぱいがあるんだね」
恥ずかしくなって顔が赤くなった。
駄目、感じちゃう・・・
彼に抱き付いた。
彼が欲しい。
僕のお腹にまた熱いものがあたっている。
彼がスリップの中に手を入れてきた。
「そこは駄目・・・」
抵抗しようとしたけど彼の力が強い。
彼の手がパンティをまさぐる。
駄目駄目・・・
そこは・・・
「まさか・・・」
急に彼が手を止めた。
びくっとして彼の目を見た。
「由紀ちゃん。女の子だったの?」
どうしよう・・・
急に我に返った。
「違うわ・・・」
彼に抱かれて体がじんじんしている。
乳首も痛い。
駄目、又訳わかんなくなってきちゃった・・・
「木村先輩・・・」
首に手を回してキスをした。
「何も聞かないで」
彼がパンティを脱がしている。
「あー」
彼の手が触れたところが熱い。
彼の手が僕のあそこを触っている。
駄目、感じちゃう・・・
何だか濡れてきたみたい・・・
彼が欲しい・・・
私おかしくなっちゃったみたい・・・
本当は男の子なのに・・・
でも、でも、先生の時と全然違う・・・
彼の肌が硬くって気持ち良い・・・
「来て・・・」
僕何を言ってるの・・・
「いいの?」
「うん」
こくっと頷いた。
あっ、何だか固いものがあそこに押し付けられた。
熱い。
どくどくいっている。
あっ、入ってくる。
「痛い・・・」
「ごめん」
「いいわ」
彼がゆっくりと動かした。
あっ
僕の中に彼のものが入ったのが分かった。
体の芯がしびれて動けない。
更に入ってきた。
思わず声が出てしまった。
必死に彼にしがみついた。
「離さないで・・・」
「うん」
彼が唇を重ねてきた。
夢中になって彼の唇をすった。
あー、体の中に彼があふれているみたい。
熱い・・・
彼がまた動かした。
あー
気が遠くなってきた・・・
気持ち良い・・・
体中うずいている。
幸せ・・・
「先輩、好き・・・」
先輩もはーはー言っている。
彼が体をぶるっと震わせたと思ったら、体の中に熱いものがあふれた。
僕の体が強く抱かれた。
体がのけぞった。
体を電流が通り抜けていく。
暫く放心状態で彼の体の下で動けなかった。
彼の頭を抱いて、髪の毛をいじった。
愛おしさが込み上げてくる。
彼の顎が僕の顔にあたって熱い。
涙が零れた。
暖かい・・・
安らぐ。
こんな気持ちになったの始めて・・・
まだ彼が僕の中に入っている。
暫く抱き合っていた。
彼が体を離して起き上がった。
「ごめん・・・」
「何であやまるの?」
彼を見て微笑んだ。
「でも・・・」
と僕を見る。
「心配しないで、私男の子だから」
「だけど?」
怪訝そうな顔で僕を見ている。
堪らなくなって彼にもたれかかった。
気持ち良い。
彼が後ろから抱いてくれた。
「知りたい?」
「ああ」
「じゃあ」
彼に隠して事をするのが嫌になった。
ぽつりぽつり今までの事を話した。
彼は僕の髪を撫ぜながら聞いてくれた。
「嫌いにならないで・・・」
「何でだよ」
「話してくれて有り難う」
振り返ってキスをした。
「ごめんね、本当の女の子じゃなくって・・・」
「よせやい、俺こそ男の子だと知っていて誘ったんだから」
「そろそろ服を着た方がいいな」
「お袋が来るかも」
はっとした。
そうだったわ。
急いで服を着て、髪を直した。
「そうやっていると本当に女の子だなあ」
感心したように見ている。
「恥ずかしいから見ないで」
「わかった」
床に座り直しておしゃべりしているとお母様がお茶を持って入って来た。
ドキドキしたけど、一緒におしゃべりをした。
「お嫁惨になってくれると嬉しいんだけどねえ」
そう言われて胸が熱くなった。
でも、そんな事無理だわ。
そう思うと急に悲しくなってきた。
帰りは彼が駅まで送ってくれた。
彼の腕に手をからめてよりそって歩くと幸せな気分になってきた。
でも
「お嫁さんなんて無理よね・・・」
努めて明るく言ったんだけど、急に涙が溢れてきた。
「先輩・・・」
彼の胸の中で泣き出してしまった。
彼はおろおろしていたんだけど、それでも優しく抱きしめてくれていた。
「何で私男の子なの・・・」
堪らなくなってきた。
「こんなに先輩の事好きなのに・・・」
「ほら、もう泣くなよ」
「俺も由紀ちゃんのこと好きだよ」
「でも・・・」
結局家まで送ってくれた。
「ごめんなさいね、泣いちゃって・・・」
「また会ってくれるね」
「うん・・・」
また泣きそうになったので、急いで家に入った。
先輩は東大に受かって、大学院まで進んで今コンピュータの研究をやっている。
私は、何だか理科系がてんで弱くなっちゃって、慶応の文学部に進んだ。
あの後卒業までセーラー服で通って、大学もそのまま女子大生で学んでいる。
何だか最近性同一性障害の治療が始まったって話しを聞いて少し期待している。
もしかして、戸籍も変えられるかもしれないって。
そうしたら結婚も出来るようになるかもしれない。
彼とはまだ付合っているの。
本当は彼のマンションに一緒に住んでいるんだ、へへ。
彼は子供は作れないけど、養子をもらえばいいかって言っている。
これからどうなるかわからないけど、今は幸せだわ。
そうそう、綾小路さんはどうなったかって。
彼は、私の話しを聞いて、先生の家に下宿始めたの。
今彼、彼女かしら?もスカートはいて女優になるって張り切っているわ。
彼女も睾丸が癌になったんだって。ふふふ。
最近彼女と話していて、もしかして先生が私を女の子にしてしまったんじゃないかって思うんだけど。
でももしそうでもちっとも怨んでなんかないわ。
むしろ感謝している。
女の子って素敵だもの。
男の子って見ていて可哀相。
もし、結婚できたら教えてあげるね。
これで、私の物語は終わり。
じゃあね。
洋子の場合 完
to be continued
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投稿:2007.03.11
由紀さんの小説「禁断のクリニック」
著者 アーカーブから 様 / アクセス 34700 / ♥ 5