13歳になったトゥカの住む村では、最初の精通を迎えた年頃の男児は、成人になるための通過儀礼を受けなければならない。
それは、男にとって大切なものである、股間の二つの睾丸のうち、小さいほうの一つを取り去って大地の神に供物としてささげる、というものであった。
その村では、男はそうするのが当たり前であり、誇りであり名誉であり、そしてそうやって初めて一人前なので誰一人としてそのことを疑問になど感じてはいなかったし、逃げ出す奴は臆病者とそしられていた。
だが、長老たちは、みな、二つの睾丸をぶら下げていた。
(長老たちはどうして玉を取らなくてもいいのだろう。)
トゥカは、ずっと不思議に思っていたが、村の大人たちの誰一人としてその事に答えてはくれなかった。
初夏を迎えた最初の満月の夜、成人の儀式は執り行われた。
トゥカを含めた11歳から14歳までの13人の少年たちは、沐浴を済ませた全裸の姿で村の広場へと集まった。
その中に、適齢期を迎えているはずの長老たちの二人の息子の姿は、やはりなかった。
まず、長老たちは、少年たち一人一人の股間の睾丸の大きさを調べ、ペニスを扱きあげてちゃんと射精することを確かめた。
トゥカの睾丸は、トゥカ自身の体を男に作り変えるための大きさと重さに育ち、ペニスも女性と交わりを持てるだけの太さと長さに成長していた。
長老に扱きあげられたそれは、びくん、びくんと脈を打ちながら勃起し、包皮を脱ぎ捨てる。
露茎した亀頭は臍の上にまで達し、勢いよく白い精液をほとばしらせた。
(…やっぱり、俺のが一番立派だな)
トゥカは思う。
成人の儀式さえ終えれば、女性と体を交えることを許される。
そうなったら、俺はジョイと交わりを持つんだ。
そして、ジョイの体に入って、その奥に、俺の子種を放つんだ…!!
ジョイは、トゥカと同い年で、村一番と評判の美人だった。
そして、トゥカと、成人の儀式を終えたら体を交えてもいいと約束してくれていた。
すべての少年たちの性器を調べ終えた長老たちは、少年たちを儀式の舞台である茅葺小屋の前に順番に並ばせた。
トゥカは、一番最後に睾丸を取られることになった。
一人、また一人と茅葺小屋に足を踏み入れ、出てゆくときは股間にあてた布の上から、しっかりと褌をしめられ、大人たちに肩を担がれていた。
誰一人として、悲鳴をあげる者も、泣き出す者もいない。
それは、恥でしかなかったから。
いよいよ最後、トゥカの番になった。
小屋に足を踏み入れると、そこには石造りのベッドと、その隅の方には木と布で作られたベッドが置かれ、長老たちと神官と薬師がいた。
石のベッドの方に寝かされたトゥカは、轡をかまされて、両手両足を長老たちにがっちりと抑え込まれた。
(いよいよ、キンタマをとられるんだな…)
トゥカの目の前に、神官が右手に石のナイフを握ったまま、無言で歩み寄ってきた。
そして、なぜか、トゥカのペニスを、二つの睾丸ごとわしづかみにすると、力任せに引っ張って、ペニスの付け根にナイフの刃をあてがった。
(え…!?)
トゥカは思った。
(とるのはキンタマだろ!?なんで竿の方に刃なんか当てるんだよ!!おい!何かの間違いだろ!!)
トゥカは、激しく動揺し、身をよじろうとした。
だが、長老たちの力は強く、全く跳ね除けることはできなかった。
次の瞬間、トゥカの股間に、今まで感じたことのない激痛が突っ走った。
トゥカは、体を大きくのけぞらせ、そのまま失神した。
(いてえ、いてえよお…!!)
股間の激痛に目を覚ましたトゥカは、儀式が行われた小屋の隅にある、木と布でできたベッドに寝かされていた。
両手と両足は縛られていて、身動きができず、股間に触ることもできなかった。
(俺は…俺の体は、いったいどうなっちまったんだ…!?)
儀式から何日経ったのかは判らない。
時々様子を見にやってくるのは、みんな大人だった。
子どもたちは、小屋に近づくことさえも許されていないようだった。
トゥカには、水も食べ物も一切与えられてはいなかった。
眼だけで股間を見ると、しっかりと布が巻きつけられていた。
股間の疼きが折り合ったころ、長老の一人が、薬師を伴って小屋へと入ってきた。
そして、トゥカの股間にあてがわれていた布をはがした。
(……!?)
トゥカは、自分の股間を見て、愕然とした。
そこには、二つの睾丸の入った袋はもちろんのこと、ペニスも跡形もなくなっており、紅く引き攣れた傷跡の中に、鳥の羽根の軸が突き立ててあった。
「おっ…俺の竿…俺の大事な竿が…!!」
それに、なんで玉が袋ごとなくなってるんだ!?
これじゃ…これじゃ、俺の体はもう男にはならないし、立ちションだってできないし…
ジョイと体を交えることもできないじゃないか!!
薬師が、トゥカのペニスがあった部位に突き立てられている鳥の羽根の軸を抜き去る。
その途端に、小便が勢い良くほとばしった。
自分が男ではなくなったことが事実だということを思い知らされたトゥカは、けたたましい悲鳴をあげて、泣きわめき始めた。
…長老の息子は、村の誰かに身代わりに睾丸を取ってもらうこと。
身代わりになった者は、両方の睾丸を取られること。
いつもの年は一人だが、今年は10年ぶりに二人だったこと。
そして…
二人の少年の両方の睾丸を取るわけにはいかないので、儀式の取り決めに則って、一番大きいペニスをもった少年…すなわち、トゥカのペニスと二つの睾丸を全て切り取ったということを知らされた時、トゥカは男の証を永遠に失っていた。
そして、トゥカに捧げられる筈であったジョイの処女は、トゥカが去勢された、まさにその瞬間に、乱暴に散らされていた。
ジョイの秘唇をこじ開けたのは、今年の儀式を免除された長老の息子、テルトのペニスだった。
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投稿:2008.03.04更新:2011.11.17
通過儀礼
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