ボディピアス
父の組織のレストランで私はあいつの知らせを待っている。
カップスープの中に私のイアリングが入っていたら取引が成功したしるし。
あいつのペニスに付いているボディピアスが入っていたら失敗のしるし。
でも、そのときはあいつのからだもただじゃ済まないだろう。
父の経営している高級SMクラブの女に手を出した代償としてお金だけで
父がすんなり許してくれるとは私には思えない。挙句の果てにあの女にボディ
ピアスまでペニスの先に装着されて…父も同じピアスをつけているらしい…
ウエイターがスープを運んでくる。
スープの中に沈んでいたのは、ボディピアスをつけたまま切り取られたあいつの
ペニスだった。
金のリングに♂のピアス。間違いなくあいつのペニス。先っぽの尿道口の両脇
に私の歯型の噛み傷もついている。噛み切るつもりで噛んでほしい、と昨夜あい
つにせがまれて噛んでやった傷だ。
切り取られた時、あいつは釣り上げられた魚のようにピチピチはねたのだろうか。
きれいに皮を剥かれたペニスは鶏のトサカのように赤く煮込まれ、付け根には
陰嚢の襞袋の一部が余り布のようにくっついていた。海藻のようにまとわりつい
ているホウレンソウの葉っぱの緑色が肉を鮮やか色に引き立て、不思議に食欲を
そそる妖しいスープに仕上がっていた。
スプーンでペニスをすくうと付け根にくっついて残っている襞袋の皮がひらひ
ら揺れて、底から白っぽい2個の睾丸が浮かんできた。
可哀相に、玉まで抜かれたんだ。
ウエイターが父からの伝言メモをテーブルに置いていった。
“全部召し上がれば、彼の命だけは助かります。”
父が慇懃丁寧な表現を使う時はどんな残虐な事も冷酷にやり通す強い意思の現れ
であることを私は知っていた。
あいつはまだマナ板の上に載っかっているらしい。
食べたいほど愛しく思い、歯を立てたこともあったが、切り取られて料理された
ペニスをフォークで刺してお皿の上でナイフを入れるのは一線を越える勇気が必
要だ。でも食べなければあいつの命がない。きっと私に食べられてうんこになる
のもこのペニスの運命なのだろう。
あっさり結論を出した私は歯切れの悪い豚足のようなペニスを輪切りにしては
口に入れ、何とか噛みしだいて飲み込んだ。
本当はどんな味がするのか一度食べてみたかったオトコの部分だった。できれ
ば私を最初に振った男の一物を食べてやりたかった。純情な頃の私を裏切った
復讐に、おちんちんとタマを少しづつ食いちぎって、咥え取り、目の前で焼いて
食べてやりたかった。なんて、私もやっぱり、ヤクザの娘だわナ。
最後に残った先っぽの亀頭の小さなボディピアスはナイフを入れると簡単に外
れた。私はいつものように亀頭をやさしく口に含んでやり、舌で転がしながらゆ
っくり噛みしめた。
私を楽しませてくれたこのペニスとの思い出が走馬灯のように頭の中でぐるぐる
回る。でも、このひと口でもうお別れだ。
お皿に残ったあいつのボディピアスをナイフの先でカチャカチャ転がしながらゴム
のような肉の思い出を噛みしめていると、
「まだ睾丸が残ってますよ。」
いつのまにか、さっきのウエイターが私の後ろに立っている。きちんと全部食べた
かどうか手にした携帯電話で父に報告するのがこいつの仕事らしい。
睾丸にはニンニクとショウガをたっぷりきかせてあった。臭みはなくとろりと精が
つきそうな不思議な味がした。ふうん、これが男の味なのか。何人男を食べたとか
豪語していたけど、あっけなく本当に男の肉を食べちゃった。
あいつはもう女を抱けない。昨夜の私はあいつが抱いた最後の女なのだ。
そう考えたら自分がマリア様のような慈悲深い女みたいに思えてきた。
私のあそこに入っていたペニス。
ほお擦りしながら吸ったり舐めたりおしゃぶりしたあいつのペニス。
それをナイフとフォークでカチャカチャ輪切りにして私が全部食べちゃった。
もしあいつのペニスを食べなかったら、あいつは今ごろ生きてられなかったんだもの。
やっぱり私はマリア様だ。
でも、もし、食べなかったら、肉豚のように殺されて切り分けられたあいつのおしり
の肉がメインディッシュに出されたかも知れない。
父ならやりかねない。
父の言うことを聞かずにあいつと遊んだ私の罰として。
あいつのために父に頼んで、あいつを女のからだにしてもらおうかな。
ペニスのない男とつきあう分には父は何も言わないだろう。
もしかした今回のシナリオは父の計画的な意図だったのかも知れない。
女になったあいつを抱くのも悪くないな。飽きずに当分遊べそうな気がする。
悪くない考えだな。
そう思ったとたん目が覚めた。
切り取られて私に食べられてしまったはずのペニスが目の前にあった。
私はあいつをおしゃぶりしながら眠ってしまったらしい。
ボディピアスもちゃんとぶらさげて、だらりと弛緩したペニスは私のよだれにまみれて、じとじと光っていた。付け根と玉袋に鼻を近づけると私のあそこのにおいがした。
オツな味だったんだけどな、と玉を指ではじくと、あいつはうなりながら寝返りをうった。間延びした寝顔は私の乳房に顔を埋めている時の甘え顔をしていた。むにゃむにゃ唇が動いてとんがり、黒ずんだペニスよりも日に焼けた手が私の目の前に伸びてきて、玉袋の付け根をぽりぽり掻いて引っ込んだ。
それを眺めながら、なぜか欠伸が何回も出て止まらなくなった。
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投稿:2010.11.05
ボディピアス
著者 ゆう 様 / アクセス 20345 / ♥ 2