その日僕はレナちゃんと共に帰宅途中だった。放課後まで学校に居た理由は他の級友が彼女に先生に頼まれたプリント編集を押しつけたから……彼女はお人好しだからみんなから嫌がらせを受けている。習い事のストレス発散に……僕はいつの間にか彼女と放課後に居る事が日課になっていた。教師には見抜けない程上手に虐める同級生に僕は怒りでこみあげていた。
「この公園を通るよ」
「っここって不審者がいるって」
「走っていれば大丈夫だよ」
僕はレナちゃんの手を引っ張り駆け出した途端、空が明るくなり意識を失った。
僕が気がついた時には裸体で手足をX字型の磔に固定されていた。
「……ごめんなさい」
目の前に僕と同じ位の年頃の少女はRPGに登場するローフの様な服装を身に纏い、銀色の長い髪を靡かせていた。周囲を騎士の様な人物が固める。
「レナちゃん?」
その瞬間に全身に痛みが走る。
「無礼者!ドラース帝国の王家の姫を呼び捨てにするとは!!」
「待って!彼は私の正体を知らないの、だから許してあげて!」
「しかし……手を繋ぐとは万死に値します!」
彼女の横に居た綺麗な女性は剣を抜くとレナは言う。
「この星の国々はまだ私達の文明圏を知りません……それで死刑とは後々の者にしこりを残します」
何時も見ているレナとは異なり凛とした態度で言う。
「他の者は下がってください、彼には私が説明します」
「自分もですか?御身に万が一の事があれば……」
剣を抜いた女性騎士は剣を鞘に納めて言うもレナは言う。
「大丈夫です」
女性騎士を初めとする集団は部屋の外へと出ると拘束された身体が宙に浮いた。
「もう察しがついていると思うけど、私の正体は異星文明の姫……事情でこの星に逃れていた」
「そうなんだ……」
「友達を作らなかったのは王家の人間にはそれすら無礼な態度で死刑になるの……だけど唯君だけは無碍に断れなかった、年頃が同じ異性に触れるのすら許されないのに」
レナが涙を流す。
「僕はどうなるの?」
「私と同じ“女性”になればいいの……嫌なら記憶を消して私と別れる」
唯は言う。
「……僕は一緒に居たい」
レナは頷くと天井に向かって言う。
「彼を私の部下に迎えます、もし断るなら彼を逃がして私は命を断ちます」
手には短剣を持ち、喉元に刃先を向けた瞬間に先程の騎士達が駆け寄る。
−よかろう、私の不徳の至りでこの様な事態を迎えた。レナの願いを叶えよう。唯とやら後悔はしないな……−
「はい」
すると神官らしき女性が姿を見せた。
「こちらへ……」
部屋を出て分かったのは本当に女性ばかりなのだ……多分大奥の様に男性禁制なんだ。
「唯とやら、何故そこまでレナ様に拘る……子孫を残せないと分かって承諾したのか?」
「……彼女は欲しかったんだ、本音で不満を言えて、本当に泣ける人。だけどなり手がいなかった……居たとしても宮廷内の権力や私利私欲で消される。本当は不便でも地球人として生涯を終えたかったんじゃないのかな……でも、それも出来ないならせめて傍に居たい」
唯の言葉に反論できなかった……もしかすると帝王は彼の本心をだいぶ前から察知していたのかもしれない。神官はそう考えた。
唯が案内された場所は神殿の様な部屋であり、壮健な感じ彼に与えた。
「これより貴方は“少女”となるけど厳密に言えば人間ではないわ、不老と男女両方の特徴持つ人種……貴方の星系文明で言う“使用人”の概念ね」
「奴隷ですか?」
「そうとも言うけど王家に使役するだけでも誇りなのに、貴方の様に人生を捨ててまで王家に尽す事は並大抵の努力が必要。誰もがなれる訳でもないの。恐らく帝国史でも数例しかないわ、貴方の様なケースは」
神官はそう告げると唯を抱えあげベットに載せた。ほんの数時間前までの彼の運命は奴隷化の為に必要な去勢加工される筈であったがレナがそれを知って止めたのだ。
「さあ、最初で最後の牡の吐息を……我が神に」
唯の周辺に同年代の少女達が出現し、彼女達が囲むようにしてレナが出現する。
「驚いた?私は巫女姫でもあるの……ただ一度だけ好きな異性と性交出来るけど……」
「地球の言葉を借りれば相手は生殖機能を持たない両性具有となる訳だ」
彼女はキスをすると見に纏っていた衣装は自然と肌蹴ていく。少女達は何か呪文を唱えている感じであるが唯はそれどころではなかった。身体が動けないが不安が無く寧ろ高揚感が湧いている……レナもまたたった一度の性交儀式に身を委ねていた。僕のペニスは勝手に成長していた……。
「これが唯の牡棒なんですね……」
レナは一目見るなりうっとりし自分の秘所に入る様に跨り腰を落として行く。淫靡な空気と液体が混ざる音に彼女は歓喜の声を挙げていた。
「貴方の牡棒には一生分の快楽を染み込ませる為に細工を施してます、そしてレナ様の上にのしかかる事はあってはならないのです」
唯が動けなくしているのはレナは神の代理であり、神の上に人間が乗る事はあってはならないのだ。騎上位で何度も上下するレナ……銀色の髪の毛が舞う。何時間若しくは何日も感じられた長い性交は唯の一回きりの射精と同時にレナが獣になった様な啼き声で幕を閉じた。
唯は神殿奥にある部屋にて少女達に洗われていた……彼女達は神官に使える侍女達だ。
「クラウ様、子種袋が消えていきます」
「いよいよですね……我が神の加護があらん事を」
同時に唯は魘される程の高熱を出した。出来る事は見守るしかない……異教徒である彼は本当にレナが信仰する神に信徒して認められるのかは生死で判断するのだ。レナもこの時ばかりはひたすら祈るしかないのだ。
唯が眼を覚ますと胸が膨らみ、股間にはペニスとは少し違う物が見えた……。
「おめでとう、これで貴方も私達の仲間よ」
侍女の一人が告げると別の次女はレナに報告するべく部屋を出た。
「(本当に男の子じゃないんだ)」
唯は現実を見て少し後悔したがレナの笑顔を守りたいという思いを考えると良かったと思う。
「ユイ、貴方の衣装です……礼儀作法とか覚える事はたくさんあります」
質素なワンピースと下着が置かれたお盆を持って来た神官に唯が受け取る。
「覚悟は出来てます」
彼は渡された衣装に着替えると言う。もう少年の唯は存在しない、レナは美少女になったユイを見てそう感じた。
ユイが自分が居るのは巨大な宇宙船と分かるのは数日後であった。礼儀作法はぎこちない所が残るもこなしレナと共に行動している……女性騎士達もユイの直向きな姿には感心させられるばかりだ。ユイはドラーズ星系文明に関して徐々に分かってきた。既に1000年の歴史を誇るも戦乱により男女のバランスが崩壊、300年ほど男性が生まれにくい状態が続いている。種の修繕としてドラース星人に近い種と外交を結ぶ一派とそれをよしとしない一派が存在しレナを始め王家は中立的な立場を取ろうとした。
「でも、話が拗れてしまい……王家の中でも争いが起き、私の両親も」
レナはそれ以上は話さなかったが神官が言うには血で血を争う事態になり、彼女は調査対象の地球に隠遁した……地球人の秋島 レナとして一生を終えるつもりだったがガタガタになった王家を建て直すには唯一の巫女姫となったレナが必要であったのだ。
ドラーズ星系文明は立憲君主制だが厳しい身分制度がある。王族、神官、貴族、市民と分けられユイは市民となっている。其々の身分にも細かい分類が存在し王族、神官、貴族は家柄で上下が決まるが市民に関しては色々とある。まずユイの様に王家に奉公出来る市民は地位が高く店舗付商人や医者と言った面々に次は普通市民で主に兵役や農役で稼ぎ、その下に居るのが移住労働者である。一番下の奴隷も生殖機能がある者は人間扱いされるが去勢された者は最早人間ではないのだ。
(ユイの場合は去勢と言っても信仰からの不妊化であり、性器を除去されてない)
奴隷の多くは征服された国の住民であるが、中にはサンプリングされ去勢されてここに連れてこられた者達もいるのだ。去勢奴隷は手足さえも切除され、各種大型機械の制御コンピュータシステムコア“生体ユニット”か生体改造されて“機動生物兵器”にされる。レナもユイも知らなかったが学校でレナを虐めていたクラスメートや担任もサンプリングと言う形で捕えられていたのだ。
女児は手足を切除され、卵巣を改造されて生体孵化器若しくは人工子宮装置にされた。二度と自分の遺伝子を持つ子を宿す事が出来なくなった事実を性欲に溺れる彼女達は知る由もなく、男児は機動生物兵器に生体改造された……。その工程は無慈悲で完全に自動化されているが初めて加工する人種の場合は手作業でする。
「こいつでよかろう」
ゲージには裸体にされた男児が蹲り、全員首輪をされており抵抗すれば猛烈な電撃が走るので半日で大人しくなる……数人の男児は言われるがままに作業台に上がると首輪が取れ代わりに手足は拘束された。
「どうするつもりだぁあ!」
ガキ大将な男児が叫ぶと技師は言う。
「生体機動兵器にするんだよ、君達の星の言葉を借りれば怪人かな?」
その言葉を聞いた途端に彼は朦朧とした。首筋に刺さったのはナノマシンを投与された、これにより痛みや苦しみが脳内で快楽に誤変換される事になり作業台に設けられた排泄物の吸い出し装置が差し込まれた事すら分からなかった。
「ほう、立派な男棒だ」
技師はしげしげと見ると精液採取装置を被せて精液を採取を始めた。精嚢に強いナノマシンを送り込み、彼のペニスは射精を続けた。
「虐めていた女の子がよもや姫様とは思いもしなかっただろう。レナ様のご慈悲でこの人数で済んで良かったな」
少年の睾丸はナノマシンの副作用で歪に成長し壊疽が始まろうとしてた。
「心配はいらねぇぞ、お前はもう人間じゃないんだからな……」
「うぁ……」
いつの間にか肌は黒く変色、髪の毛は通信アンテナに変化し体格も野獣の様に変化していた。他の作業台に寝かされた数人は恐怖のあまりに失禁していた。
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投稿:2010.11.16更新:2010.11.19
生体改造 −気になるあの娘の正体ー
著者 kyousuke 様 / アクセス 17676 / ♥ 2