外道魔術師が領主を務める州国があったという。
領民がどれだけ飢えようともお構いなしの暴政に対して、一人の男が立ちあがった。国で最も頭の良い若者だった。彼は革命家として傍若無人な領主に刃向かった。
結果は非常に無様なものだった。彼の集めた屈強な仲間たちは領主の造った人造魔獣によって食い散らかされ、リーダーだった若者自身は生かしたまま捕えられた。
強力な魔法に革命軍は何も出来ずに一晩で壊滅したのだった。
「領主さま、反乱分子のリーダーを捕えました。」
ガーゴイルが鎖に繋がれた若者を連行してきた。
罪人であるため服をまとうことすら許されず、畑仕事で引き締まった体は痛めつけられていた。
陰部には下級魔獣によってピアスを嵌められた陰茎が重みで揺れている。
「ほほう、そうだ。お前たちを使うとしよう。」
不気味な笑いをあげる領主の前で跪く若者はその甲高い声に恐れを抱いた。
次の日、若者は町の中央に設けられた処刑台につれてこられた。
彼に下された判決は死刑、種別は首吊りの刑である。
「いやだ兄さん! 死ぬな!」
処刑台をぐるりと囲む見物人の中で声をあげた少年がいた。彼はこの若者の弟だった。
革命軍に入らなかったため、奇跡的に刑罰を逃れたのだ。
「これより、この愚か者を首吊りにする。」
領主の掛け声とともに、若者を包むベールが脱がされた。その有様に観衆の中から悲鳴が上がる。
彼は全身に彫り物を施されていた。そのどれもが卑猥な画ばかりである。
胸には女性の大きな乳部が描かれ、本物の乳首には千本が通されていた。
背中には臀部に向かって伸びる黒々としたペニスが彫り込まれ、尻に描かれた女性器に挿入される瞬間を描いている。肛門には太い張り型が嵌っていた。
手足に書かれた文字は性交を記す隠語だった。頭がペニスになった蛇が全身を締め上げるように描かれている。
観衆のざわめきは段々含み笑いを帯び、しまいには誰もが彼を汚く嘲った。
弟は兄が泣いているのを見た。屈辱であろう。革命の失敗とこのような惨めな姿を晒しているのに、彼は魔術によって強制的に勃起させられているのだから。
ぴくぴくと動く男性器には薔薇の花が彫られ、そして常に溢れる先走りによって陰毛まで濡らしていた。
「ぐうううぅううぅーーーー!!!」
若者の首に縄が絞められ、床が落とされた。若者は宙に足踏みした。全身の筋肉は強張り、必死の表情を浮かべている。陰茎がぶんぶんと揺れ、カウパー腺の雨を周囲に振らした。
弟はただ見ているだけしかできない自分を呪った。
顔は真っ赤に染まり、目玉は魚のように飛び出した。ついに彼の本能が危険を察知し、若者のペニスが一段と膨れ上がったかと思いきや、勢いよく精を飛ばし始める。
「ふふん、流石に汚いな。おい、あれをなんとかしろ。」
処刑を任されていたデーモンは愛用の斧を持って、まだ懸命に生きようとする若者に近づいた。
みっともない射精をやめる気のない若者の男性器に、血まみれの斧が振り降ろされる。瀕死の肉棒はたちまちのうちに切り落とされ、精液の代わりに真っ赤な血が溢れだした。
「んぐーーー! ぶぐぅううぅーーーー!!!」
下半身の異常を感じた若者は肺の空気を全て吐きだし、魔獣ですら出せないような獣じみた断末魔の叫びをあげて逝った。
彼が死んでも興奮した領民のヤジは止まなかった。革命を起こせると信じられていた男が、人前であんな恥さらしな死に方をしたのだから、当然だった。
弟は失意のうちに処刑台を離れた。彼は死んだ兄の身体がさらに魔獣たちによって八つ裂きにされるところも、兄の切り落とされた男性器の行方も知らなかった。
「なぜです!? どうして兄の遺体を返してくれないのですか!?」
領主の住む城の城門前で、弟が必死の抗議をしていた。
この国では罪人の遺体は家族に引き渡されない。大抵は領主の魔法実験の触媒や素材にされるほか、魔獣の餌にもなったりするのだ。
弟はどうしても兄を弔ってやりたかった。あんな惨い最期を迎えたままでは可哀そうだと思ったからだった。しかし、城の番人は首を縦に振らなかった。
「入れてやりなさい。」
領主の声がどこからか響いてきた。その言葉に従い、番兵は開門する。
弟は案内役のインプに誘われるまま、石畳みの廊下を渡る。
謁見室で、領主は弟を待っていた。
「ようこそ、反乱分子の弟よ。」
弟は兄を返してくれと頼んだ。せめて骨のひとかけら、肉の一片でもいい。家族の墓に葬らせて欲しいと懇願した。
「まあまあ、そんなことより、君に是非見てもらいたいものがあるんだよ。」
そう言って彼は王座を下りると、弟を城にある地下洞窟に案内した。
血しぶきのあとや、魔獣の毛や爪痕の残る地下牢獄の一室に連れてこられた弟は、暗さに目が慣れるまで何があるのかが分からなかった。
「君のお兄さんの肉体がどうなったか見せてあげよう。」
領主はその頃、ちょっとした魔法のアイテムを手に入れていた。
しかしこのアイテムは特別な方法でしか役に立たない代物で、領主すら使い道に頭を悩ませるものだったのだ。
そんななか、領民の反乱という絶好の大義名分を手に入れた彼はある恐ろしいものを完成させてしまった。
目が慣れて見えてきたのは、槍だった。赤黒い変わった形の細い槍で、ところどころ盛り上がっている。まるで無数の蛇が絡みあって出来ているようだった。
「これはちょっとした魔導生物でね、どうだい何に見える?」
そう言われた弟は、その槍を形作るものの正体に気が付き、牢の冷たい床に思いっきり吐いた。
それは男根の集まりだった。槍先へと伸びていく亀頭の群れはまだ生きているかのようにびくびくと鼓動している。一体何人分になるのだろうか、弟の身長を超えるぐらいの肉の槍は、無数の勃起を続ける陰茎が上から下まで覆いつくすように巻きついて出来ていた。
「これは自分の身体にどんどん死肉を集め、自分のものにしてしまう生物でね。面白いことに、一番沢山合成された部分に似てくる性質があるのだよ。」
生前そのままの姿で槍に埋め込まれているペニスの一つを領主が愛撫すると、透明な雫を尿道からとろとろと流して槍は喜んだ。去勢された本人の意思がまだあるかのようだった。
「革命軍の男たちはいい素材になってくれた。見なさい、顔見知りのペニスもいくらかあるはずだ。」
弟には確かに見覚えのある男性器がいくつかあった。兄とはいった風呂場で、兄の仲間に会ったことが何度かあるからだ。
細く硬そうな槍の幹には、革命軍の男たちがぶら下げていたものがぎゅうぎゅうに張り付いてでこぼこをつくっている。先端には一番見覚えのあるペニスがそのまま直立して繋げられていた。
「兄…さん。」
「そう、リーダーだからな、そりゃあ一番上にいなくては格好がつかない。」
兄のペニスは硬くそそりたっていた。兄の股間にいた時よりも幸せだと言わんばかりだった。
「ひ、人でなしめぇっ!!!」
弟は隠し持っていたナイフを領主に向けた。まさにそれを待っていたかのように、領主は呪文で弟をねじ伏せた。
「ふん、やはり反乱分子の弟も同じものか。」
そのまま地下牢に繋がれた弟は、その晩ずっと下級魔獣たちの玩具にされて、兄の肉棒の傍で過ごした。
翌日、兄に続いて、弟が処刑所に引き出された。
彼は城からずっと全裸のままで、背中に肉の槍を担がされて歩いた。兄と同じく魔術によって股間は露を垂らしている。群衆の反応も兄の時とまったく同じだった。
投げつけられたごみにまみれ、処刑所に到着した弟は、領主の前で判決を聞いた。
「兄と同じく愚かな弟は、死刑に処する。刑種は串刺し刑。」
にやりと笑った領主に対して、弟の顔は青ざめた。
弟は四肢を後ろに縄でまとめて括られると、地面に立てられた肉の槍の上につるされた。
「ゆっくりやれ、早く殺しては駄目だ。最後は口まで一直線に貫け。」
領主が肉の槍に命令を下した。縄が降ろされ、肛門に兄の肉棒だったものが当たる。弟は恐れのあまり唇を噛み破った。
「ぐぎゃあああぁああうううああうああうあああ!!!!」
排泄物を出すべき穴に、鉄のように勃起した槍が逆流していく。唯一自由な弟の頭はぐるぐる回転して苦痛をどこかにやろうと暴れ狂った。
兄の一物が弟の体内に埋まり、次々と革命軍の逞しい男たちが持っていたシンボルがうねりながら侵入していった。
「はっはっは! 見ろ、あやつも楽しそうじゃないか!」
領主が指さした先には、観客の投げる石の的となっている弟の男性器があった。外の皮を引き裂きそうな程に膨張し、新しい男根が入るたびに射精を繰り返している。
弟は口から泡を噴いていた。何人もの男が自分をめちゃくちゃに強姦しているような状態では、彼でなくとも発狂するに違いない。絶え間ない精の発射が放物線を描き観客にまで降り注いでいる。
S字結腸に到達したことで槍が一旦その動きを止める。先端部はぐいぐいと腸壁を押した。それでも駄目だとわかると、肉の槍は兄のペニスの尿道から針を出した。いともたやすく腸に穴があき、大量の出血を肛門から発しながら槍は再び前進した。
「おぐぅうえええううえええええっ!!!!」
「おお、うまくやったものだ。」
領主は楽しげに手を叩いた。肉の槍はきちんと言うことを守っている。
腸を破ってからの槍は、ゆっくりとしかし確実に重要な臓器を避けて進んで行く。小腸を次々横から突き破り、もう一度大腸を刺し、胃を貫いてその身ごと内臓を胃酸で溶かしながら、その反面横隔膜を突き破った後は心臓や肺を傷つけないように身を縮めて食道に入った。
弟は朦朧とする意識の中で、何かが喉を突きあがってくるのを感じた。それは兄の男根だった。先走りと血を潤滑油にして、女性の膣のような食道を昇ってくる。
「もご、もごもおおぉおおーーー!!」
遂に先端が弟の口から出てきた。弟は気管を圧迫する無数の男根たちのでっぱりに苦しんだ。血と粘液に濡れた兄のペニスはついに愛おしい弟の身体を貫いてしまったのだ。
「最後まで死ななかったほうびだ。スライムをやつにプレゼントしてやれ。」
悪魔の命令によって、彼をつるすロープを伝って緑色のスライムが降りてきた。
スライムは弟の身体を這いずりまわり、血と尿の混ざった吐精を続ける男性器を見つけると自分の身体で包みこんだ。
スライムは彼の男根と彼自身をつなぐ下腹に消化液を円状に流し、腹腔まで焼き切った。
もう弟にはうめく気力すらない。
スライムは腹腔内に侵入し、彼の前立腺から精嚢まで全ての男性器官を傷つけず彼の身体から取り出した。兄よりも酷い有様の股間を放置して、スライムは主の元へと帰っていく。
さて、あとどのくらいで死にいたるだろうかと考えていた領主の目の前で、突然弟の身体が風船のように膨れ上がった。
「なんだ? どうしたんだ?」
観衆たちも物を投げる手を止め、その異様な現象に注目した。
弟の内部では、大変なことが起きていた。出来たてでまだ不安定だった肉の槍が暴走を始めていたのだ。
肉のやりに密着して結合していた数々の男根が、べりべりっ、と花を開くようにして勝手に暴れ始めた。その結果、てんでばらばらの方向を指し始めた男根たちが、身体の中から弟を圧迫しだしたのだ。
「ぁああああああああ!!!」
暴走した肉の槍はもう主の命令など覚えていなかった。肺を、肝臓を、腎臓を、彼に詰まっているもの全てを貫いて、遂には皮膚を破って外に飛び出した。
最後に弟は心臓をとびきり太く長い男根で突き破られ、声にならない悲鳴をあげて無残に堕ちていった。
「ううむう、改良の余地はまだまだあるのか。しかしこういうこともできる訳だ。」
腹から背中から、革命軍の哀れな男性器を生やして事切れた弟の残骸をながめ、彼は思索に耽ろうとした。
弟のぽっかりと開けられた股間からは誰かの猛々しい肉棒が何本か飛び出し、まるで彼の新しいペニスのようだった。
まずは根元からきっちり摘出した弟の男根を肉の槍に与えてみよう、睾丸も与えてみてはどうか、などと考えていると、小さな石が領主の頭にぶつかった。
「にいちゃんたちを、かえせぇ!」
そう言えば、こいつらは3人兄弟だった。なるほど面白いな。領主は頭から流れる鮮血をナプキンでぬぐうと、早速魔獣たちに愚かな少年を捕えるよう指示した。
そして、数か月がたち、肉の槍は兄弟3人の似通った男性器を先端に与えられて、見事に鋭く完成した。
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投稿:2010.11.17更新:2010.11.18
串刺しの刑
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