地球からはるか遠くにある名もなき惑星に、プルップと呼ばれる種族があった。
彼らの姿形は、地球人と全く変わりはない。
地球で言うならサバンナと呼ばれるであろうその地域だけが、彼らの世界であり、彼らはほかの地域も知らず、自分たちが惑星に住むことも、宇宙の存在も何も知らず、車も、電気も、文明と名がつくものは何一つ存在しない世界であった。
そしてプルップは、狩猟と採集に生きていた。
農耕や牧畜を行う種族は、プルップと、もう一つグアマという種族に、自分たちの畑や家畜を守ってもらい、プルップもグアマも、その見返りとして、肉や乳、穀物や野菜を手に入れてもいた。
グアマは勇猛な種族である。
ピチュピチュと鳥のさえずりのような合図を送ると、そこにいるグアマ達が一斉に集まり、どんな大きな生き物も蹴散らし、倒してゆく。
グアマは、男も女も勇敢であった。
だが、プルップは、それに輪をかけて勇敢である。
ほかの種族はこういう。
「プルップには女がいない」と。
プルップの蹴りは、内臓に致命的な損傷を与え、その打撃は骨をも砕く。
プルップは、切り傷を負おうと、刺し傷を負おうと、骨を砕かれようが腹が裂けて腸が飛び出そうが、決してひるむこともくじけることもなく…
いや、返って手傷を負うことによって闘争本能をむき出しにしてきた。
しかも、彼らは戦いの際には、耳障りでけたたましく高らかな笑い声を上げるので、周りの者に、別名を「笑いの戦士」と呼ばれて震え上がらせていた。
これは、笑っているのではなく、プルップ特有の叫び声で、興奮したり仲間を呼び寄せたりするときに上げるものであった。
プルップは…本当に、すべてのプルップの股間には、立派な男性生殖器がぶら下がっている。
ひときわ体の大きな強くたくましいプルップには、己が膝がしらにまで届きそうな太く長いペニスと、小ぶりの鶏卵ほどある二つの睾丸が育ち、重量感を伴って、ぶらぶらと誇らしげに揺れる。
そして、よく見ると、プルップには、上半身が裸の者と、皮をなめして樹脂で固めた鎧を上半身に身につけている者がおり、他の種族は、その鎧こそが勇敢なるプルップの戦士の印だと思い込んでいる。
実は、この、人前では決して外すことのない鎧を身につけている者こそが、プルップの「女」なのであり、「彼ら」は、子供のころは上半身裸であるが、乳房が膨らんでくると、己が急所であるそれを鎧で覆うのだ。
鎧をまとうプルップは、皆、鎧をまとっていない者よりも大きく強い肉体を誇っており、股間の物も、上半身裸の者よりも大きい。
大抵の者は、片手では隠せないほどの大きさだ。
そして、「彼ら」の、地球の人間であれば会陰の部分には、膣口があり、その奥には卵巣と子宮が備わっているが、年に二度、春と秋に二週間ずつ訪れる「子を宿す時期」以外は筋肉によってぴったりと閉じており、どんなに大股を開いても開くことはない。
粘液を分泌する腺は、地球人の物とは違い、前立腺とバルトリン腺の中間的な存在であり、尿道はもちろんのこと、膣の中にも開口しており、性的興奮が高まると、ペニスと、かすかに開いた膣口の両方から溢れ出してくる仕組みとなっていた。
プルップ自身にも、「男女」という概念がない。
プルップの「女」は、自分のことを「男」だと、いや、自分こそがほかの種族の「男」より優れた「完全な男」という存在なのだと信じ切っていた。
実は、鎧のプルップの睾丸は、単なる白くて薄い皮に包まれた脂肪の塊である。
鎧のプルップが、胎児期に大量の男性ホルモンを浴び、生涯を通じて、普通の動物のオスよりも高濃度の血液中のテストステロンを誇ることこそが、強く大きな体と、大きな男性器の秘密なのであるが、「彼ら」もほかの種族も知る由はない。
そして、プルップの族長は、鎧のプルップの中でもひときわ強いものであり、その長子である鎧の者が代々跡を継ぐことになっていた。
子を産むことが許されるのは、原則として族長のみであり、その年に特別な働きをした鎧の者に、褒美として子を産む権利が授けられる場合以外、他の鎧の者は全て戦士である。
子を産むことが許されない鎧の者は、鎧の者同士での交わりや、鎧をまとわない者に、口や肛門で奉仕させることは許されていた。
そして、鎧の親は「父親」、鎧をまとわない親は「種親」と呼ばれ、鎧をまとう子は「息子」、まとわない子は「子」と呼ばれていた。
プルップは、いくつもの氏族に別れている。
「完全な男」である、鎧の者たちは、皆血縁関係であり、先代の族長の「完全な男」の兄弟と先代の族長が産んだ「完全な男」の子供たち、現在の族長の「完全な男」の兄弟と、現在の族長が産んだ「完全な男」の子供たち、それに「子を産む権利を授けられた勇者」の子供たちが加わることもある、といった按配で、どこの氏族でもそうなっており、兄弟同士での種親は、血を濃くすることを防ぐために、違うこともある。
鎧をまとわない「男」同士の血縁関係は、兄弟を除いて存在しない。
「男」は、年ごろを迎えると、5年ごとに行われる、全ての氏族が集まる大集会の場で、血縁の薄い氏族の「男」と、交換される習わしとなっているからだ。
交換する「男」の数は、それぞれの氏族で同数と決まっており、兄弟同士を引き離すことは行わなず、一度交換された先の氏族で、その生涯を終えることとなっていた。
ひときわ大きく天を向いて屹立する鎧のプルップのペニスは、その先端から溢れ、絶頂に達したときに迸るものは愛液である。
ただし、上述の通り、前立腺とバルトリン腺の中間なので、色もにおいも精液そのものだった。
「子を宿す時期」に入ると、逆にそれが透明になり、酸を帯びた匂いになるので、彼らは、それで自分の体の変化を知っていた。
当然、「彼ら」はそんなことは知る由もないが、鎧同士で交わると、全く妊娠しないことは判っており、その理由を、子種がないせいだとは思っても見ずに、他の種が同じ体の者同士で交わっても子を成さないのと同じ理由だと考えていた。
鎧のプルップにとって、股間の二つの球は、蹴られても握られても、痛みはあっても悶絶するほどの激痛ではない。
他の種族の男の、そして自分たちの中の「鎧をまとわない者」と違って、激痛に頓着することもないのだ。
ただし、神聖なる印である双球を、他者に蹴られたり握られたりと乱暴に扱われる事は、プルップにとっての最大級の侮辱ではあったので、そうされると、相手を叩き殺してしまうことが常であった。
鎧の者は皆、強く大きな肉体を持ち、股間に他の種がうらやむほどに大きな男性器をぶら下げながらも、腹の中に子を宿し、乳を与えることができる自分たちこそが、神から完全なる肉体を与えられた存在であり、「完全な男」である所以だと、何の疑いもなく信じており、歩くのに邪魔なくらい大きなその存在の邪魔さを楽しみ、事あるごとに邪魔であることを自覚することによって自分がプルップだということを再確認してさえもいた。
実は、プルップという言葉それ自体が、彼らにとって、己が股間にぶら下がっていて当然の物を意味する言葉だったのだ。
その日、族長であるズアイマの長子ズアッパは、縄張りを荒してきたグアマとの戦いに、仲間である戦士たちの先陣となって臨んできたところであった。
叩きのめしたグアマの鮮血に汚れた体を清めるために、ズアッパは湖のほとりで全裸になる。
身の丈は175センチほどで、年の頃は10代後半といったところか。
短く切りそろえた亜麻色の髪に、肌の色はプルップ族特有の小麦色で、筋肉質の引き締まった肉体と端正な顔立ちをしており、双眸の色は深い緑だ。
ぱっと見は、ちょっとした美少年といった風情でもあった。
鎧の者の象徴である、大きく形の良い乳房が、鎧から解き放たれて、ぷるんと揺れる。
この鎧は、乳房を決して締め付けることなく、走ったりしたときに揺れて邪魔になったりしないように捕定する様な作りになっている。
(…また、少し大きくなったな。形も綺麗だ。)
ズアッパは、自分の大切な、愛らしくもたわわな双丘の張りと柔らかさ、弾力を両手で確かめながら、思わずほほを緩める。
チャフカと呼ばれるひざ丈の巻きスカートを脱ぎ、褌を外すと、股間のペニスは、戦いの興奮からか、こちらもまた、いましめを解かれた喜びに跳ね上がるように天を向いて雄々しく屹立し、尿口から粘液が糸を引いていた。
ズアッパは、湖に足を踏み入れる。
そして、戦いのあとは、常にはちきれんばかりに張り詰めていきり立っている己がペニスの、露茎した亀頭を片方の手のひらに包み、いとおしげになでる。
もう片方の手では、双球の入った袋を包み込むと、袋越しに、つるつると逃げ回るずっしりと重たいそれをもてあそんだ。
(俺の…聖なる印。)
プルップにとって、己が股間の物は、愛しく大切であり、誇るべき神聖なものであった。
鎧のプルップの股間の物は、ふつう、鎧をまとわない者に比べて一回り大きいが、ズアッパは、族長の長子なので、ひときわ大きくふてぶてしいペニスと双球を持っていた。
亀頭が臍の上にまで達し、筋張った血管が節くれ立って浮かび上がったそれは、反り返ってびくん、びくんと蠢いている。
いつ見ても惚れ惚れする、己が股間の鋼の如くに硬く熱きものを、ズアッパは湖に膝まで漬かった姿勢で、今度は両手を使って握りしめた。
そして、それを優しく愛撫し始めた…
ところで、気配を感じて振り返った。
「おい、こっちへ来いよ。」
それは、鎧をまとわない者である、ンナメだった。
例外なく、戦士としては半人前以下であり、実質上は子種を提供する存在でしかない鎧をまとわない者の立場は、鎧の者の最下位の存在よりも下であり、彼らにとって、鎧の者の言葉は絶対である。
「…はい、判りました。」
「ンナメ、お前も脱げ。…全部だぞ。」
くるぶし丈のチャフカを脱ぎ、ふんどしをはずしたンナメを地球人が見ると、胸と股間を隠せば少女に思えるであろう。
彼は、ズアッパよりも10センチほど背が低く、背中の半ばまで伸ばした、黒い髪と黒い瞳を持っていた。
「…隠すなよ。」
ズアッパに促されたンナメは、己が股間を覆う手を外す。
付け根に、柔毛のような薄い恥毛が生えたンナメのペニスは、ズアッパの平常時の半分にも満たない。
しかも、包茎だった。
「ほら。しゃぶれよ。」
ズアッパは、己が股間をンナメに突きつける。
「…舐めさせて、いただきます。」
恭しく言ったンナメは、ズアッパの亀頭の先に口づけした。
それから、大きくえらの張った亀頭を、ゆっくりと口に含んでいった。
「ん…くくっ。」
亀頭を、温かな舌が這い回り、口で吸い上げられる。
ズアッパは、快感に思わず声を漏らす。
ンナメは、ズアッパの股間のプルップの印を、優しく丹念に舐め上げて、口いっぱいに頬張ったり、手でしごいたりする。
袋を優しくもみしだき、中の双球を転がしながら。
「はあ…んあっ。タマ…俺の、俺のタマが…っ!」
ンナメの股間の物も、天を向いて屹立していた。
包皮の隙間から赤い亀頭の先端がちょろっと顔を出し、粘液のしずくをまき散らしながら跳ね、愛撫を求めていたが、ズアッパはそれには目もくれなかった。
下位の者の、自分よりもはるかにお粗末なそれには奉仕をしてやる謂われそのものが存在しないからだ。
「あ…はあっ…い、いくぅっ!!」
ズアッパの亀頭の先から、間欠的に大量の液が噴出し、ペニス全体が、大きく跳ねまわって、ンナメの口といわず顔体といわずに濡らしていった。
ンナメは、その夜は、ズアッパの大きく柔らかそうな胸の双丘と、ペニスと睾丸のことを思いながら自慰をするのだった。
族長であるズアイマが統治するその氏族にとって、前代未聞である大事件が起こったのは、そんなある日のことであった。
ズアイマの次子、ズカリナが、あろうことかズアッパを差し置いて鎧をまとわぬ者を伴い、氏族を出奔しようとしたのだ。
しかも、相手は、ズアッパのお気に入りのンナメだった。
それが、ズアッパの更なる怒りを買うことになったのである。
それは、ズアイマにとって、そして、長子であるズアッパにとっても、天にそむいたに等しい行為であり、プルップとしては絶対に許されない行為であった。
ズカリナは、ズアイマにズアッパと拳を交えることを命ぜられた。
もし、ズカリナが勝ったら刑を免除し、ズカリナがズアッパに代わってズアイマの跡を継ぐが、ズカリナが負けたら、ンナメ共々処刑する、というのである。
ズアッパは、ズカリナには負けない自信があった。
ズカリナも、ズアッパに負けじと立ち向かってゆく。
肉がひしゃげ、骨がきしむ音が辺りに立ち込める。
「ズアッパ!恥さらしをぶちのめせ!!」
「愚かな裏切り者のプルップの印を潰せ!!」
鎧の者たちの声が響く。
ズアッパの蹴りは、わざと、ズカリナの股間ばかりに叩き込まれる。
「潰せ!潰せ!!ズアッパ!!」
「恥さらしの球を二つとも潰せ!!」
ズアッパは、あからさまにズカリナを侮辱していた。
ズカリナの美しい顔にも、情け容赦のないズアッパの拳が叩きこまれ、どんどん腫れ上がり、歪んでいった。
「ほ、は…。ほははははははははははははぁっ!!」
ズアッパの口から、笑いの叫びがあがる。
そして…
ズカリナは、ズアッパに、足腰が立たなくなるまで叩きのめされた。
その様子を見た鎧の者たちも、笑いの叫びを上げ始めた。
「ほらっ!脱げズカリナ!!全部脱ぐんだよ!!」
ズアッパはわめき散らしながら、ズカリナの着衣を乱暴にはぎとってゆく。
「ズカリナァ!!」
出奔が露呈した時点で全裸にされ、両手を後ろ手に縛られたンナメは、そんな二人を見ながら悲鳴を上げた。
笑いの叫びが立ち込める処刑場には、二本の十字架がたてられている。
ただ、その形は、横棒が、ずっと下の位置についている…
要するに、腕ではなく、脚を開いてくくりつけるようになっていた。
ズカリナとンナメは、後ろ手のまま、まず、太い縦の柱に身体をくくられる。
それから、片足づつ、目いっぱいに開かれながら大股開きの姿勢で、横棒にくくりつけられた。
そうなると、自分自身の身体の重みで、身動きがとれなくなった。
これから、プルップにとっては、死よりも屈辱的な仕打ちが二人を待っているのだ。
ズカリナの、そしてンナメの恥毛がそり落とされてゆく。
すっかり恥毛がそり落とされてしまうと、広場に集まった者たちの前に、族長の息子が持つにふさわしい大きなプルップの印と、小さなプルップの印が、二つ並んで丸出しになった。
そして、二人の性器の付け根に、紐が固く結わえつけられると、意思に反して勃起していった。
まずは、ズカリナの番だ。
処刑官が、ズカリナの元に歩み寄る。
そして、ズアッパと較べて遜色のない太くて長いペニスを、大きな双球の入った袋ごと鷲掴みにすると、力任せに引っ張った。
(プルップでは…なくなる!!プルップの印を、切られる!!)
処刑官の片手に握られた刃を見て、自分の身の上に起こることを理解したズカリナの悲鳴が轟き渡る。
「切らないで…切らないで切らないで切らないで!!」
「切ーれ!切ーれ!!」
「早く竿も玉もばっさりやっちまえ!!」
早く…早く、あの、族長の息子が持つにふさわしいプルップの印が…
太ももの半分にまで育ち、その先端に亀頭が威張り散らしてえらを張った太いペニスと、重たげにぶらぶら揺れる双球が、体から切り離されるところが見たい!!
嗜虐心に火をつけられ、興奮が絶高潮に達した鎧の者が、口々に叫んだ。
ズカリナの、そしてンナメのプルップの印は、あとかたもなく切り落とされるのだ。
「どうせ斬りおとすものだ!どうなろうが構わぬ!!引っ張れ!!」
ズアイマの命令に、ズカリナのプルップの印は、鷲掴みにされたまま引っ張れるだけ引っ張られ、その付け根にナイフが当てられる。
皮が切り裂かれ、鮮血が流れる。
「お願いです!父上様、お許し下さい!!どうか…どうか、それだけはおやめになってくださいっ!!プルップだけは…プルップの印だけは!!」
「ならぬっ!ズカリナ!!」
ズアイマが叫んだ次の瞬間には、ばつん!という音とともに、ズカリナの、プルップにとっての聖なる印である愛しいものは、双球もろとも体から切り離され、処刑官の手の中で跳ねていた。
ズカリナの、激痛と屈辱、そして絶望とがない交ぜになった絶叫が広場に響いた。
探り当てられた尿口には、薬師であるズサトによってすぐさま蝋で出来た栓が差し込まれ、切断面には薬草が押し当てられた。
「やったー!!生意気ズカリナの奴、プルップじゃなくなっちまったぞー!!」
鎧の者たちの歓声を聞きながら、我を忘れて子供のように泣きじゃくるズカリナの前で、ズカリナのものは串刺しにされて、火でこんがりとあぶられていった。
ズカリナは、己がプルップの聖なる印が…それまでのズカリナのプルップとしての数々の思い出と生涯が刻み込まれたそれが、ひと噛みされるごとに肉汁を滴らせながら、生みの親でもあるズアイマの胃の腑に、亀頭、竿、球の順で収まり、消えてなくなってゆく様を、傷口の手当をされながら茫然と見つめていた。
最後に残った球の一つが胃の中に収まったとき、ズカリナは、鼻水を垂らしながら、顔をくしゃくしゃにして大声を張り上げて号泣し始めた。
「プルップが…プルップがプルップがプルップがぁー!!」
もう、周りの事など、全く目に入ってはいなかった。
その様子を眺めながら、ズアッパは褌をはずした。
チャフカの前を掻きわけて跳ねあがったズアッパのペニスは、興奮で勃起し、粘液がその先端からはもちろん、かすかに開いた膣からもとろとろと流れ、ペニスと太ももを濡らしていた。
処刑官が、次にンナメのもとに歩み寄らんとしたとき、ズアッパが言った。
「…代わらせてくれ。」
ズアッパは、掌の中にすっぽり収まってしまうほど小さなンナメのものを片手でわしづかみにして引っ張り…
こともなげに一刀のもとに切断した。
ンナメの、甲高い悲鳴が轟き渡る。
ズアッパは、刃物を処刑官に手渡すと、傷口の処置をされながら茫然とするンナメの眼の前で、血にまみれた片手で勃起した己がペニスを見せつけるようにゆっくりとしごき上げた。
それから、もう片方の手中の、ンナメの男性器を生のまま口に含む。
まず、睾丸を一個、奥歯でゆっくりと噛みしめた。
ひしゃげた睾丸は、ぶちゅり、という音を立てて、中に詰まっていた、オレンジ色の造精細胞や精液をまき散らしながらンナメの目の前ではじけるように潰れ、ズアッパはそれをゆっくり咀嚼して飲み下した。
もう一個は、つるりと丸ごと飲み下すと、ペニスの、包皮に覆われた亀頭に噛みついた。
そして、一口で亀頭を食いちぎると、これもまた咀嚼して飲みこんだ。
残ったペニスは、一口に頬張ると、同じようにして食べつくしてしまった。
ンナメのプルップの印は、生のままで食べる獣の臓物のような歯ごたえと味わいだった。
「ぼ…ぼくの、プルップの印が…!!」
自分のプルップの印が、目の前で血を滴らせながらずたずたに噛み裂かれ、この世から姿を消すのを見せつけられたンナメは、それこそ火を付けられたかの如くに泣き喚き始め、鎧の者たちの、笑いの叫びがさらに高まってゆく。
「…あぅ…。いくぅ!!」
ズアッパは、ンナメの鮮血と精液、睾丸の中身で、赤白橙に彩られた顔でにやにや笑いながら、ンナメの顔に、ンナメが失ったプルップの聖なる印から勢いよく噴き出す液をぶちまけた。
ズアイマの声が轟く。
「ズカリナ!ズアッパのほとんど傷のない顔と体を見よ!!それに引き換えお前のその腫れ上がった顔と痣だらけの身体はいったい何だ!お前の拳や蹴りがいくつズアッパに当たっておるか!?お前が、ズアッパの拳や蹴りを幾度かわしたか!?氏族のために闘う。そのために研鑽してこそのプルップ!それを怠っておきながら愛する者と交わりを持ちたいなどと一時の劣情に流されるなど笑止千万!!ンナメ!お前も、ズカリナの誘いを断ることができたはず!!お前も、劣情に流されればこそ誘いに乗った!!…己を鍛練することを怠り、プルップ全体のために生きることも忘れ、氏族の為に功を成した者が子を持つ権利を授けられる掟も破った。お前たちにはプルップとしての資格がない!!プルップではない者に、プルップの印など…要らぬ!!」
こうしてズカリナとンナメは、プルップの印を永遠に失ってしまった。
二人は、もはやプルップではないのだ。
ズカリナの方は、まだ、子供を生み、育てる機能は残っている。
だが、みじめなのはンナメの方だ。
プルップにとって、腹の中で子を宿し、乳を与えることのできない鎧をまとわぬ者が子をなすものを持っていないということは、価値が全くない存在だといっても過言ではない。
それともう一つ、鎧をまとわぬ者から双球を奪うと、力がなくなるということを経験則から知っているので、鎧をまとわぬ者は、プルップの印を失うことを最も恐れていた。
だが、プルップは、それが、鎧の者であれ、鎧をまとわぬ者であれ、氏族のために戦っての結果であれば、不具になった者に対しても、それまでと変わらぬ地位と、一生の暮らしを保証する。
ンナメのように、私情での罰を受けたとなれば話は全く別だ。
ンナメは、これから一生、最下層どころかプルップでもなく、鎧の者に尻の穴を使われるだけの存在になり下がってしまったのだ。
ズアッパは、ンナメとズカリナの傷が癒えた頃、ンナメやズカリナが、尻丸出しでしゃがんで小便をするのを見て、大声で笑い物にした。
その真横で、いつもそうしているように褌の裾からまろび出させたペニスをつまんで、じょぼじょぼと音を立てて立って放尿しながら。
「ちょっと前まではお前らだって、こうやって立ちションしてたのに…なあ!」
一生涯を通して、立ってしか放尿することのないプルップにとっては、これはまさに、死にも勝る屈辱なのだ。
しかも、ズアッパの腰には、皮で出来た大きな小物入れと小さな小物入れがくくってあった。
ズカリナとンナメには、それがなんであるかは良く判っている。
…自分の股間に、ついこの間まで付いていて当然と思っていた袋で出来ていたから。
ズアッパは、ズカリナの秘所に、幾度かペニスを入れてみたこともある。
プルップではないズカリナには、当然拒否する権利などなかった。
ズアッパは、ズカリナを押し倒すと、力任せに両の乳房を鷲掴みにしてもみしだいた。
そして、子を宿す時期に入っていないために、固く閉ざし、開いても濡れてもいなければ柔らかくもなっていないその秘所に、亀頭を押し当てる。
「や…ズア…ッパ。痛…痛い…ああっ!!」
苦痛を訴えるズカリナに対して一切頓着せずに、ズアッパは腰を沈める。
亀頭がそのまま入口を押し広げたとき、入り口の靭帯が、ぶちっと千切れ、出血した。
プルップは、自慰に際して膣は一切使わないので、ズカリナとンナメが結ばれていなかったことも一目瞭然であった。
固く閉ざした膣をメリメリと音を立ててこじ開けながらズアッパの巨根は奥へ奥へとねじ込まれてゆき、ついには付け根まで無理やり入れられてしまった。
靭帯を破壊されたので、これから、ズカリナの膣は、ずっとだらしなく口を開いたままになるだろうということも、ズアッパは知り尽くしていた。
「ほら!どうだズカリナ!俺のプルップの印の味は!!お前が失くしたプルップの印で子袋を突き上げられる気持ちは…どうだ、ズカリナ!!」
子を宿す時期でもないのに、ズアッパによって無理やりこじ開けられたズカリナの膣は、ズアッパが腰を振るごとに血を噴き出す。
「やぁ…やっ!やっ!!」
かぶりを振るズカリナの顔は、鋼のように硬く節くれだった暴れ馬のようなペニスに膣を裂かれ、子宮を力任せに突き上げられる苦痛と屈辱に歪む。
「か…勘弁して下さい、ズアッパ様!!」
悲鳴を上げたズカリナの頬には、幾筋もの涙が伝わっていた。
その膣の上には、かつてズアッパに付いているのと同じ、プルップの印が付いていたところに、尿口だけが開いた傷口がひきつれていた。
ズアッパの双球が、ズカリナの臀部に、何度も何度も当たる。
「ほらほら!お前のケツに、俺の球が当たってるぞ!!」
(ざまあ見ろ!裏切り者どもが、ざまあ見ろ!!)
ズアッパは、嗜虐的な快感にうちふるえながら、ズカリナの中に幾度も幾度も放出した。
それから、プルップの暦でふた月ほど経ったころに、ズカリナはボロボロになった姿でグアマの集落にいた。
ズカリナは、ズアッパの手によってグアマに「奇病で女になった元プルップ」という名目で、愛玩物として譲り渡されたのだ。
ズカリナはプルップではないので、ズアッパやグアマ達がどう扱おうが、ズアイマの氏族たちの知ったことではなかった。
それが、プルップの秩序を乱した者への罰だった。
プルップに時折手ひどく痛めつけられているグアマ達は、プルップの印を持たぬズカリナに、しゃがんで小便をさせて笑い物にし、ぶちのめして憂さ晴らしをし、性欲のはけ口にもしたのだった。
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投稿:2010.11.19更新:2011.08.10
プルップの氏族
著者 真ん中 様 / アクセス 13242 / ♥ 0