高山の村に雨が降らなくなって5ヶ月が過ぎた
水不足により作物は枯れ始め、自分たちの飲み水すら十分な量を確保できなくなり、弱い者が次々と倒れていく
事態を重くみた大人たちは雨を降らせるためにありとあらゆる手を尽くしたが、功を奏さずただ日々だけが過ぎ去っていった。
「イソラ、禊は済んだのか?」
「ええ、ホムロ、いましがた今日のが終わったところ。」
かろうじて少量の水が流れる川岸に人影が揺れる。
イソラ、と呼ばれた少女は齢15といったところであろうか、濡れた体に白い僧服を着終わったところであった。
そこにやってきた少年はイソラと同じくらいの歳ごろで、彼女の幼馴染であるホムロだ。
凛々しい眉毛や髪が活発で元気そうな印象を与える。
「あと一週間か…本当に、龍神様へ嫁いじゃうのか?」
「うん…だって、私はお母さん以外に身寄りがないもの…。」
打つ手の無くなってしまった村人たちは、いよいよ人身御供にすがることを決めたのだった。
イソラは巫女であり、また家族が母親一人だけだったこともあり白羽の矢がたった。
ホムロは初めこそ幼馴染が捧げられることに猛反対していたが、彼女自身の強い決意を理解し、
今では禊の時間にも邪魔をしないようになった。
「龍神様が住まわれているのは崖の下の大沼、魔物もいっぱい住んでいるらしいけど、
ホムロが護衛になってくれるから怖くなんてないわ。」
龍神の花嫁になる娘を護衛する者は、たいてい家族の中の男になるはずなのだが、彼女の父親はとうに死去しており、
そこでまた身寄りのない者からホムロが選ばれたのだ。
ホムロは天の采配に感謝していた。
「…この際だから言っちゃうけど、俺おまえのことが好きだ。でもお前が龍神様のものになるって
決意したんだから、俺はイソラのことを最後まで守りたい。」
「ごめんね…でもホムロが一緒ならどんな怖い思いをしても私へいきよ。」
ホムロは思わずイソラのことを抱きしめそうになった。
もちろんそれは穢れを彼女に戻す行為である。
そこをぐっとこらえ、二人は手もつながずに村へと戻った。
村に帰ると長老がホムロを呼んだ。ホムロは長老宅に入る。
「婚姻の式までもう一週間をきった、おまえもそろそろ準備を始めなければなるまい。」
ホムロは着ているものを全て脱ぐようにと言われた。
疑問を挟む間もなく、粗末な着衣が下男たちに取っ払われる。
15の齢にしてはかなりがっしりとした体つきだ。
日々山を駆け鹿を追うマタギの足はしなやかそうな筋肉が生まれつつあり、
腹にはうっすら縦横の筋が刻まれようとしていた。
思春期にさしかかった影響でペニスの成長も著しく、だらんと垂れた陰茎は皮こそ被っているが
将来は太く長い名器になると予想できるものだった。
僅かな陰毛がちらちら生えている。
「ふむ…やはりあれをしなければならんか。」
「あ、あれって何だよ長老…それになんで裸にならなきゃいけないんだ?」
「よく聞きなさいホムロ、護衛役の男子も花嫁と同じく禊をしなければならないのだ。
しかし男の穢れは水で清めたくらいでは到底拭い落とせん。」
長老はホムロに近づくと、育ち盛りのペニスを掴んだ。
「男が穢れを落とすためには、こいつをきれいさっぱり切り落としてしまわないといけない。」
「チンポを!?い、嫌だ!なんでそんなことしなくちゃなんないんだよ!?」
慌てて股間を隠し縮こまるホムロに長老は説明を続ける。
「その歳ならお前もせんずりをこいたことがあろう。
その時、お前はイソラのことを思い浮かべていたのではないか?」
ぎくり、とホムロがたじろぐ
「ホムロ、花嫁は一切穢れてはならん。お前がイソラを想っていることぐらい誰でもしっとる。
お前はあの娘が龍神様に嫁ぐまで我慢ができるのか?」
「それは、でも…」
言いかけたところで、自分がいましがた思わずイソラに触れようとしてしまったことに気がつく。
ホムロは自分の気持ちが許せなくなってきた。
「男は不潔な欲望にまみれている。魔羅を切り落とすしか、穢れを根絶する道はないのだよ。
せんずりも覚えて間もないころだろう、まだまだやりたい盛りだろうがな…辛抱してくれ。」
「わかったよ…俺、禊の式をやる。俺がこんな情けない男じゃ、いざというとき
あいつを守ってやれないから。」
そして二日後の晩、村人総出でホムロの禊の儀式が始まった。
ホムロはまずイソラのやったように身を川で清めた後、細い下着を巻き、村の入り口に着いた。
続いて手渡された阿片の汁を飲むと、意識があやふやになっていく。
酒に酔ったような感覚の数倍に強い催淫状態に置かれ、ホムロの股間も強く膨らんだ。
しゅるりと帯紐を解き、全裸になる。そこから先はまっすぐ山寺のある村外れまで歩いて行く。
「おい、ホムロがきたぞ。」
「おんやまあ、それじゃあ穢れを持って行ってもらいましょうか。」
「う、うわああ!へんなところ触るなよ…っ。」
ゆっくり歩くホムロに村人たちが群がり手をすり寄せていく。
こうして自分たちの穢れをホムロに肩代わりしてもらうのだ。
「ひっ…チ、チンポが…チンポばっかりさわるなっ!」
「子供のわりには大きいじゃねえか、ホムロよお、女は選んだのかい?」
もっとも穢れを吸い取る場所であるペニスを執拗に嬲り続けられる。
ホムロは顔を真っ赤にしながら頭を振った。
魔羅を切られると決まった時に好きな村娘と交わることを許されはしたが、
一途なホムロにとって、そういう相手はイソラ以外にありえなかった。
男子の勃起した陰茎を物珍しそうに村の子供たちが見つめる。
ホムロのペニスは硬く大きくそそりたち、包皮を脱ぎ捨て色素の薄い亀頭が顔を出していた。
膨張率はすさまじいもので、ちゃんとした大人の一物とくらべても遜色がない。
「うっわあ、すげえ。おちんちんがへそまでのびてるぞ!」
「おにいちゃん、おもらししてる。いーけないんだーいけないんだー!」
数多の指に扱かれるたび、じゅるじゅると我慢汁が幹をつたう。
睾丸がつりあがるような感覚に、ホムロは身を跳ねながら腰を引いた。
「ああっ、あっ、きもち、よすぎ…るっ!」
「おい、我慢できるのか?祭殿に着くまで種を出しちゃならねえんだぞ。」
腹の底に力を入れ、ホムロは轟々と自分の中に唸る射精感をとどめる。
村人の手が乳首をかする。指が脇をくすぐる、生温かい息が胸にかかる、
そのたび本能は暴れ、精を放ちたいという衝動を抑えながらホムロは一歩一歩進んだ。
阿片の効果が全身にまわり、ぼんやりとした浮遊感がさらに濃くなる。
ホムロはふらふらと村人の波に押されるようにして歩いていた。
(あれ…なんだこの感覚…)
柔らかい二つの手が陰茎を握っている。
よく知っているような感触だ。
自慰の時よりも気持ちいい。悦びのあまりペニスがより一層めきめきと伸長する。
その手を差し出した人物をホムロは見た。深く藁の帽子をかぶっている。
女の子のようだ。
自分と同じくらいの歳…まさか、イソラか?
それはあり得ない、とホムロはぼんやり考えた。
イソラがこんなところにいる筈がない。
イソラが自分の最も穢れた卑しい場所である男性器を懸命に扱いている筈がない。
薬の幻覚がそうさせているのだ、きっとそうだ。
ああ、でも…そうだといいな、ホムロは思った。
俺の一番大事な部分をこんなに大事そうに、愛おしそうに扱いてくれる人がイソラであればいいのに。
なめらかな指使いが陰茎を一擦りするたびに、ペニスが溶けそうなほど強烈な快感が生まれ、
ホムロはあえぎ声をあげた。
破裂しそうな二つの玉の中では、たくさんの精子が生まれ出でんと渦巻いているようだった。
ずっとこの人の愛撫が続けば…。そんなことを考えてしまい、ホムロはまたしても自分の煩悩を恥じた。
やっとの思いでその柔らかな誘惑に満ちた手を振り払う。もうその姿は見えなくなっていた。
「さあ、穢れを払いたい奴はどんどんこい!」
自ら民衆に腰を突きだし、己の象徴を存分にこねくり回させる。
ホムロの目から次第に迷いは消えていった。
やがて山寺が姿を現し、祭殿が見えてきた。
自分の穢れが落ちる場所、同時に男でいられる最後の場所である。
祭殿へと上がったホムロは村の屈強な男たちに羽交い絞めにされた。
但し、性器を前に突き出すような海老反りの姿勢だ。
苦しそうなイソラの口にまたしても阿片が注がれる。
今度はきつく、麻酔の役目をする為のものだ。
「たっぷり溜まっただろう?これから穢れ汁を抜くぞ。用意を。」
今にも爆発しそうな若々しいペニスの下に木桶がおかれる。
そして村人の手で、膨張したホムロの男根が一気に扱かれた。
ホムロの腰ががくがくと震え、すさまじい快感が堰を切ったように全身を満たす。
「んああああああああっ!!出るっ!俺の最後の精が、でちまうよぉっ!!」
全身の筋肉をびくびくと唸らせ、ホムロは吠えながら達した。
二日も溜めさせられた15歳の精液がたちまち桶の底を埋め、白い泥を溜めたような有り様になる。
見学していた村人からわっと声が上がった。
「うあああ!とまんね!とまんえねえよおおお!!!」
イソラに対する煩悩が膿となって出ていくかのようだ。ホムロにはそう感じられた。
射精するごとにこれが最後の快感だと噛みしめる。
ホムロの真っ赤なペニスは何回も何回も思春期にはいったばかりの濃い精液を吐きだす。
皆が見ている前で、玉の中が空になるまで、彼は射精した。
「はあっ、はあ、もう、いい。…斬ってくれよ。」
ホムロの言葉とともに、太い陰茎が玉ごと細い糸で縛りつけられ、穢れ落としの準備は全て整った。
巫女の正装に身を纏い、イソラが壇上に上がる。ホムロはその美しさに唾を飲む。
イソラは穢れの詰まった陰茎に触れぬよう、二つ折りの和紙でペニスを挟むように封印した。
「ではイソラ、お前の護衛となるホムロの穢れを落としてあげなさい。」
手渡された大振りの儀式鉈を構え、イソラはホムロの前になった。
とても悲しそうな顔をしている。
「ほら、ちゃっちゃと俺の穢れの元、斬り落としちまえって。」
ホムロは無理をしながら精いっぱいの笑顔で答える。
「ほら、俺がこんな大層なもんぶら下げてたら、龍神様が俺たちの間に何かあるんじゃないかって
疑うかもしれないだろ?」
「でも、ホムロ、私…。こんな酷いこと…。」
ホムロの冗談もイソラの顔の曇りを晴らすことはなかった。
村人たちもいささか同情してくれているようだ。
「俺はお前にふさわしい護衛になりたいんだ…。お前をちゃんと龍神様のところまで送り届けたい。
だから、煩悩や穢れはここに置いていかせてくれよ…。」
イソラはしぶしぶ鉈をペニスの付け根にあてがった。
好きな女の子の手によって男の証を奪われるのなら、むしろ本望。
しっかりしろよホムロ!立派な護衛になる為だ!そう自分に言い聞かせる。
じっとその様子をうかがう村人たちの視線が注がれるのを、ホムロはどこか誇らしげにすら感じていた。
「ふっ…うっ…!!」
鉈が肉に食い込んだ。
ためらいのある太刀筋だった。
薬のおかげか激痛はなく、ただぴりぴりとした痺れがホムロの脳に伝わってくる。
ホムロは口をぽっかり開けて痙攣していた。
呼吸は荒く、目の焦点も定まらない。
血しぶきが彼の腹筋を汚した。
思春期を迎え、大人らしくなっていく少年の体からなにか余分なものがそぎ落とされていくように、
突き出たペニスが切断されていく。
(…あっ…あっ…切れるっ…千切れてく…おれの、チンポ…が…っ)
そのことに後悔はもはやない。
ようやく幼馴染の身を守る資格を得るのだという思いのほうが強い。
しかしぽろぽろと涙が溢れる。
ホムロは身を突きだし、じっと終わりをまった。
(もう、せんずりできねえのか…あああ、イソラと一回でもいいから、まぐわいたかったなぁ…。)
鉈を動かすイソラの手が止まった。
ぽちゃんと水音がして、ホムロは目を開けた。
やけに股間が涼しげに感じる。
ホムロが目を落とすと、先ほど自分が精を放った桶の中に、己の象徴であったものが紙に包まれ浮かんでいた。
「よく頑張った、よく頑張った。」
「えらいなあ、ホムロ、えらい。」
「へへ…やった、ぜ…。」
英雄のような気分だった。
ペニスが無くなり、いっそすがすがしいとさえ思えるほどだった。
村人たちが失血でよろけるホムロを抱えて長老の庵に運んだ。
股間の傷がすぐに手当されると、ホムロは疲れからか深い眠りに落ちた。
ホムロは夢を見た。
イソラとともに龍神様の住まう沼へ沈み、途中に出くわす妖からイソラを守っている。
寺の中に場面が変わった。イソラが裸でのしかかってくる。
ホムロもいつの間にか裸であった。
イソラが体を広げる。
穢れを持たない女性器が濡れそぼって目の前にある。
ホムロは興奮し、自らの腰を女陰に向けて動かした。しかし、そこには何もない。
そういえば禊の式で俺は男じゃなくなったんだ…。
そう思った瞬間、イソラの顔が狂ったかのように醜く歪み、鱗の生えたトカゲのようになる。
さぞ愉快そうに口元が裂けて、甲高い嘲笑が漏れた。
「アハッアハハッ!!」
肌に冷たい何かが刺さる。米をばらまいたような音。これは、雨…
ホムロは覚醒した。ここは長老の家だ。
あの悪夢から覚めたのか?でもこの音は?屋根をたたくこの軽快な音は何だ?
顔を泣き腫らすイソラがそこにいた。
まさか、と思い引き戸を開け外を見る。
雨が降っていた。
5ヶ月ぶりの恵みの雨だ。
畑に潤いが戻っていく。
突然の出来事に村人たちは桶や壺を抱えて雨水を集め回っていた。
しばらく茫然とするホムロ。
そして現実を諭そうとするかのように突然、股間の傷が痛み出した。
わなわなとふるえる手が股間をまさぐっても、そこにはもう何もない。
「そんなのってありかよ。」
ホムロの震えた声が泣き声に変わるまで、時間はあまりかからなかった。
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投稿:2011.08.02更新:2011.08.16
雨乞い
著者 モブ 様 / アクセス 13478 / ♥ 58