トロフィーの値段
暗い石造りの野外劇場に松明の明かりがともる。
逞しい身をした青年が連れてこられた。彼の名はレオニダス。
古代オリンピックでも毎回活躍する競技勇士であった。
人気も高く、優勝経験はないが民からは無冠王の名で慕われている。
そんな彼がこうやって身柄を拘束され、最大の辱めを受けることになったのは、
貴族令嬢の夜の誘いを断ったからだった。
高貴な女性に指名され夜の相手を務めるのは、人気のある競技勇士として当たり前の義務である。
しかしレオニダスは故郷の恋人に操を立てていた。
ゆえに自慰も禁じる程であり、美しいヘラに寝室へと誘い込まれたときも毅然とした態度で断ったのだ。
「私は貴族よ、それに美しさだって誰にも引けをとらないわ。なのに何故なの?」
「故郷に大事な人がいるんです。それに俺の仕事は競技場で走ること、ただそれだけだ。
貴族のお嬢さんの抱き枕は御免被ります。」
レオニダスはヘラの目を見て答えた。ヘラの目は怒りに燃えて蛇の眼のようだ。
「ならせめて、今夜だけその雄々しい身体で私を乱してください。レオニダス様。」
「ヘラ様、申し訳ありません。明日も競技がありますので…。」
そういって部屋を出たレオニダスを大柄な男たちが3人がかりで縛り上げた。
猿ぐつわが駆けられる。
「そういう態度を取られるのなら…私にも考えがありますわ。」
向かった先は拷問室であった。
責め苦を与える禍々しい器具がずらりと並ぶ。
レオニダスの前に十字に組んだ板が持ってこられる。
4つの先端には縄の痕が残っている。
「手足を縛りあげなさい。」
四方に両手両足をくくりつけられ、レオニダスは十字に体を開く姿にされた。
服に手がかかる。ナイフをたてられ、着衣が切り裂かれて脱がされる。
レオニダスは全裸にされた。脂肪分のない筋肉質な肉体を晒される。
競技は全て全裸で行うのがルールだ。おかげで肌は真っ黒に日焼けしている。
神話の英雄のような威光が漂う雄の身体に、ヘラは溜息をつく。
「競技会でいつも見ていたけれど、流石は無冠王ね。こんなに近くにあると迫力が違うわ。」
競争の日々によって鍛えられた腹筋の山をひとつひとつ指先で撫でる。
続けて乳首にキスをするヘラ。勇士の汗を舐めながら責め立てる。
「ぐっ…や、やめろっ…!」
猿ぐつわが外れ、レオニダスが声を出す。
張りだした胸の登頂を微妙な刺激が襲う。声が我慢できない。
「あら、これはなにかしら?まるで大きな蛇のようね。」
レオニダスのペニスが握られた。大きく長く、太さも程よい一物だ。
金の陰毛が美しく生え、まるでたてがみを生やした獅子のごとく威厳を放っている。
「あなたが競い走るたび、このすごいのがぶらんぶらんと揺れて…。」
今日あったばかりの女に一番大事な箇所を嬲られ、レオニダスは不快な顔になった。
「ふふ、観客が唾を飲んで見ていたのを知っていたかしら?みんな濡らしていたわ。」
「大きな玉…きっとたくさん溜めこんでるのね。さあ勃ててごらんなさい。」
しかしレオニダスはぎらりとヘラをにらみ付ける。
その幹をヘラの指が何回行き来しようとも、彼の上等な一物が上を向くことはなかった。
相変わらず肉食獣のような目でヘラをにらんでいる。
誰にも屈しないという意思に満ちていた。
「…その目は何!?わかったわ、こんな恥をかかせてくれて、どうするか見てなさい!!」
へちまのような垂れた彼のペニスを握りしめ、ヘラは業を煮やして吐き捨てた。
その言葉にレオニダスも流石に少し震えた。
レオニダスはうつ伏せに板ごと天井からつりさげられた。
「もう後悔しても遅いわ。今日であなたの競技勇士としての人生は終わりよ。」
口を強引に開けられ、ろうと越しに何かの薬が飲ませられた。
レオニダスの身体からぽたぽた汗が落ちる。
濡れた腹筋の下で、男のシンボルに血が通い始めた。
「ぐ…色薬か…畜生っ…!!」
禁欲的な頑固者のレオニダスも薬の効き目には逆らえず、未経験の火照りが身体を襲う。
「雄牛の角のように硬くて、立派な一本だわ…。血管がびきびき張りだしてる。」
亀頭が傘を開き、真っ赤に色付いた。
ヘラが濡れた手でカリ首を撫でると、嬉し泣くように粘っこい先走りの露が漏れる。
「あなたの大きな息子が射精するところを見たかったけど、残念ね。」
そういうとヘラは細い紐で根元を結わえる。
「な、何を…俺を抱くのではないのか!?」
「ふふふ、もっといいこと思いついちゃった。」
そうして新たに大きな瓶を持ってきた。
中にはたっぷりと透明なエキスが入っている。
「何かわかるかしら?まあ、すぐにカラダでわかるでしょうけど。」
瓶をレオニダスの股間の真下に持ってくると、縄を緩め、ゆっくりとレオニダスを下に降ろす。
じゅおおおおおおおおおおお
「う、うああああっ!!ぎゃあーーーー!!」
肉厚の亀頭がエキスに浸かったとき、レオニダスはつんざくような悲鳴を上げた。
「肉を固める薬よ。自慢の一物がしゅうしゅう音を立てながら永遠に萎えなくなっていくご気分はどう?」
「焼けるっ!!おれのチンポがっ焦げるううううーーーー!!」
涙と脂汗を垂れ流し、吊られたレオニダスはじたばたと暴れる。
既にペニスは睾丸も含めて瓶の中に浸りきっていた。
「おおおっ!おおおっ、出るっ!!」
苦痛のあまり、彼は射精した。しかし根元が縛られて出ない。
腹筋が何度も薄く膨れ、しぼみ、苦痛の大きさを表した。
手は爪が食い込むほど握りしめられて、血がしたたり落ちてくる。
肉棒が溶ける悪臭と、己の分身を辱められる屈辱。レオニダスは許しを乞うた。
「たっ助けて、俺はもうあなたに逆らわない。だから…っ!」
「もっと早く聞きたかったわ…。もう無理よ。明後日にもなれば、あなたのご立派なおちんちんは見事な張り型に変身よ。」
効き目の薄くなったエキスが捨てられ、哀れなレオニダスのペニスに新しいエキスがかかる。
神経が潰れかかっており、痛みはやわらぐものの、レオニダスは絶望した。
もう二度と扱いても感じることはないだろう。
勃起の止まないこんな姿では、競技勇士もできない。
二日が過ぎ、エキスづけが終わった。
「まーあ、見事にかちんこちん。」
レオニダスのペニスは雄々しく反りかえったままだった。
肉体に恥じぬ、王者の風格はそのままだ。レオニダスは狼狽する。
「無冠の王者の立派なトロフィーってところかしら?」
レオニダスが犬歯をむき出して唸る。
「あはは、じゃあ、これからみんなにあなたを見てもらいましょうね。」
そうしてレオニダスは満月の夜中、劇場の真ん中に連れてこられたのだ。
レオニダスは観客の目の前で去勢されることになった。
観客はヘラの女友達であり、レオニダスのファンである。
レオニダスは腰布一枚で登場した。
勃起したペニスが布を前に突き上げている。
「レオ様…。まあ、あんなはしたない格好…。」
「やっぱり大きい。でも童貞だなんて嘘よねえ。」
「切り取るのはもったいないけど、ヘラに逆らったらおしまいよ。」
鎖につながれ、暴れぬように固定される。
普段は牛馬担当の去勢師がやってきた。
「我が家の馬を任せている腕利きの去勢師よ。あなたのは馬並だから丁度いいわね。」
去勢師の手が調べるように固くなったペニスを握った。
レオニダスには何も感じられなかった。
腰に手をまわされて初めて、嫌悪感に身をよじらせる。
「くそっ!くそっ!畜生!」
「ではヘラお嬢様、準備が整いましてございます。」
「無冠王レオニダスの引退式よ。たくさんのファンに見られて幸せでしょう?」
舌を咬まないようにと、彼の口へ布が咬ませられた。
去勢師が根元にのこぎりを当てる。
「んうううう、ううううーーーっ!!」
前後にのこぎりが動き始める。
血が少し出るだけで痛みはない。神経がもう死んでいるのだ。
それでも未練たらしく、レオニダスは失われる性器のために泣いた。
「硬い…、逞しい…、ほんと、あなたに犯されていたら虜になっていたかも。」
切り取られゆく男根を扱くヘラ。
もちろん意味のないことと知りながらだ。
そして服を捲りあげ、己の秘所にその長いペニスを招き入れた。
「なんにも感じないでしょ?ああ、すごい!これがいつも競技の最中ぶらぶらしていたやつなのね…。」
のこぎりが太い幹を寸断していく。
最後の一引きと同時に、ヘラは膣で強くレオニダスを求めた。
それに導かれるように、レオニダスの男根は彼の身体を離れていく。
レオニダスの去勢は終わった。
男でないレオニダスはもう競技勇士として働くことはできない。
ヘラは膣に挟んだままの勇士のペニスを引き抜き、うっとりと愛液を舐めとった。
「レオニダス、あなたは私が飼ってあげるわ。もうそんな身体じゃ働けないものね。」
うなだれるレオニダスに首輪が嵌められた。
市民から奴隷への降格である。
それから毎晩、他の競技勇士たちが自慢の体躯をヘラへ捧げにやってきた。
「へえ、無冠王さんかわいそうに。男前だろうが玉も竿もなきゃ片無しだな。」
「そうよ、せいぜいあなたも私を怒らせないよう頑張りなさい。」
その脅しに少し身をこわばらせながらも、男はヘラの上で一生けんめい腰を振る。
目の前で犬這いさせられたレオニダスに見せつけるように。
彼の固くなったままのペニスは競売にかけられ、60歳の貴族婦人が買い取って行った。
その値段は、彼が競技会で稼いできた総額とほぼ同じだったという。