この世界の日本は織田信長が安土桃山幕府を開いて天下統一を果たした……全国の大名は信長の重臣であった秀吉の豊臣家と同盟関係であった家康の徳川家に束ねられる。東の要所“江戸”と西の要所“大阪”は急激に発展する。そしてこの時代……西洋から流れ込んだキリスト教は西洋魔術の流入させ、古来からある日本の地脈を狂わせ、妖怪が住む世界と人間が住む世界の境界線が薄れたのである。
江戸の街に様々な売り子の声がする。
「マラはいらんかねぇ〜〜鰻に穴子、鯰に蝮(マムシ)狸にイタチにイヌ、猫」
その声に数寄モノ旦那が言う。夕時の空を見ていた彼はピンと来た。
「ほう、珍しい、棒売りだな……おい、夏や」
「何でしょう若旦那様」
「呼んでくれ……秋」
「何か御用ですか?」
「女衆は大広間に集めてくれ、妻もな」
秋と言う少女は頷くと若旦那は鼻歌を歌いながら金袋を用意する。
両天秤にはタライと大きな円筒形のかごがついている。
「御用のほどありがとうございます。ほんで御用向は?売りで買いで?」
「こいつらに付けたくってねぇ……御代は俺持ちだがね」
「旦那さん、気前いいですな」
売り子は盥にかけてあるすだれを取るなりおべっかを使う。
「京の名家娘ではつまらなくってな……」
背後には裸体に剥かれた品が良い女性が股を開いていた。
「大きさはそんなになくてもいい、穴知らずの稚魚はないかい?」
「これまたお目が高い、一時前に仕入れた奴があるんですが」
「いくらだ?」
「二両五十銭」
「ほう〜〜お武家さんの落し児かい」
取り出した“稚魚”は皮被りで魚の様に跳ねている。おおかた何所かの大名の殿様が手を付けて孕ませた末に産まれてしまったのだろう……多分母親がゴネてしまい、安土桃山の殿さまにばれそうになって先手を打った、棒落しと胸入れと呼ばれる行為によりその子は女児になっている。
「そうですよ、あ〜何所の者かは勘弁を」
「よし、じゃあこれでよかろう」
妻は猿轡されているも首を横に振る。
「いやかい?実家との取引が無くなれば無くなるだろ……」
売り子は札を取り出し妻に貼ると西洋魔術をベースにした魔法陣が出現し、稚魚は彼女の尿穴に潜り込みあっという間にフタナリになる。
「ついでに胸含まらせておきましたよ」
「ほう、気前がいいな」
「で、そちらの方々は」
すると夏と言少女が言う。
「あの太い奴って言うのは」
すると売り子が慣れた手つきで捕まえて見せる。優に男性の腕の程の太さだ。
「こいつは鯰っ子……」
コクッと頷くと次に秋と言う少女は穴焼のフグと言うモノを選んだ。
「こちらの客さんはメリケンさんの」
「どうも、神戸辺りから流れてきたものでね……異国産のはお高いのだろ」
「これはあっしには扱いきれないものなんですよ、御用商人でなければ中々……」
売り子の謙遜な顔に若旦那は言う。
「それにしてもこんなに店子を抱えているとは……」
売り子もここの所カラぶっていただけにホクホク顔になる。
売り子は空になった盥の水を変えて足取り軽く吉原へと行く。世の中の男と女が交わる天下御免の遊女の街だ。
「おう、棒売りのねえーちゃん、売り物あるんだよ」
吉原の裏通りにて柄が悪い男が声をかける。
「はぁ〜〜これまた驚いた、とら師匠が持つ標本では見た事あるけど、生きているのは……」
男が気不味いそうな表情で売り子を引き込み遊郭の厨房玄関にて縛られている少年からはエグイ肉マラが生えていた。恐らく口減らしにされたのだろう。
「なんなんだい?」
「旦那、こりゃああっしよりもとらまら屋へと持っていた方がよろしいですよ……」
とらまら屋って言うのは棒売りの御用商人……大奥への出入りもしている豪商だ。
「うちのかみさんはゲテモノはいらんってうるさいからなぁ」
「……正統派ですかい、関西じゃ千両箱2つが積み上がりますよ」
柄が悪い男は慌てている。
「江戸の相場はあっしには分かりませんが……とっ、とにかくとらまら屋へと急ぎましょう」
棒売りは駕籠屋の共にとらまら屋へと急ぐ。
とらまら屋の裏口は騒然となる。
「お純、とんでもねえぇもの引き当てたな」
大女将はキセルを灰皿に置いて見聞する。
「……落してみるかい?」
「めっそうもございません、こんな珍品を私ごときの町売りには!!」
「天然のクエなんて滅多にお目にかからないモノだよ、それに棒売りは見つけた獲物は本人が必ず引き抜くのがきまりだ……覚悟決めな!」
「はい」
お純は一礼して店に上がり少年と共に風呂に入る。そして全裸姿になった彼女はそのまま少年を布団に寝かす。
「ヒッ!」
ドスを見た少年は怯えるが刃が消えていく。ひゅんと言う空気の切り裂く音が響き、おもむろにゲテモノを手で掴み魔法陣が輝きだすと引っこ抜いた。少年の体は徐々に少女になっていく。
「おわったかい?こいつは今度の行商にもっていくよ」
大女将が嬉々がとして言う。
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投稿:2011.11.13
異世界日本史
著者 kyousuke 様 / アクセス 10073 / ♥ 3