みかんの樹に兵士たちが吊り下げられていた。
たわわに実った橙色のみかんに混じって兵士たちの深緑色の制服が光を弾く緑の葉の中で沈んだ色の塊となって浮かんでいる。
「わあい。みかん狩りだ」
女生徒たちの明るい声がみかん園に響き渡る。みかんの樹の上の兵士たちは皆、自分たちの運命をまだしらない。
「さあて、今日はみかん狩りですよ。皆、何個採られるかチームに分かれて競争よ」
みかんの樹の下で引率の教師が説明を始める。
「普通のみかんは1個1点よ。あと、こげ茶色のみかんは1個10点」
「せんせい、こげ茶色のみかんて?そんなのないよ」
引率の教師は手近な樹に釣り下がっている兵士の脚を引き寄せた。
枝がしなり、深緑色の制服が降りてくる。兵士のベルトを外し、はさみで器用に布を切り裂いて下半身を下着1枚にする。
「ほら、こげ茶色のみかんはこの中にあります」
引率教師はブリーフのふくらみをはさみの先でぽんぽんと叩いた。じわりと赤い血がにじむ。この目的のために兵士の下着は真っ白なブリーフに統一されている。
「わあ、赤くなった!」
上半身を縄でぐるぐる巻きにされた兵士が、引きつった顔で女生徒のはしゃぐ姿をみている。下半身は何かの薬でも打たれているのか、痛みもないし痺れて動かないのだ。
「さあ、開きますよ」
引率教師がブリーフの腰部分を鮮やかに切り裂く。前布がだらんと垂れ、兵士の陰部が露になった。
「みな、わかりますか?ここに二つ並んでいるのがこげ茶色のみかんよ。これは肉でくっついているのでなかなか採りにくいの。だから、1個10点です。あと、真ん中のバナナは1本20点です。まあ、バナナの方が採りやすいんだけど、1本しかないからね」
引率教師は、兵士の尿道孔に採取用のバイブレーターを差し入れた。どういう仕組みかバナナが膨らんでくる。
「わあ、バナナだ。バナナだ」
「触ってもいい」
女生徒たちが次々にバナナを触った。
「このバナナ、結構、あったかいね」
「なんか筋張っている」
「わあ、黒光りしているよ」
「何か、先っちょからぬるぬるの液が出てきた。ねえ、先生、これ毒?」
「大丈夫よ。もっと、ここを」と言いながら、バイブを抜いて、バナナの側面を指で擦る。
「ほら、みんな、いいかな、こうすると、白い樹液が出てきます。そうしたら」
引率教師がバナナの根元をはさみで挟む。兵士は悲鳴をあげた。
「あっ、バナナが鳴いたよ」
「そう、このみかん狩りは鳴き声が聞けるのも面白いところよ。橙色のみかんは鳴かないけどね」
ひいいっという声とともに白い樹液が噴き出す。とともに、かちっという音がしてはさみが閉じられ、バナナが地面に落ちた。
「はいこれで20点です。ちゃんと根元から切らないとダメよ。そうしないとみかんがもぎ取れないから。みかんの方は、根元にこの輪っかをはめてね」
引率教師はこげ茶色のみかんの根元に針金の輪を巻きつけた。
「こうやって巻いたら、皆で思いきり引っ張ります」
何人かの女生徒が渡された針金に全体重を掛けて引っ張る。針金の輪が閉じ、みかんの皮が不自然に伸びた。やがてぷちっという音がして茶色いみかんも地面に落ちた。
「はいこれで10点。もう片方もやってみなさい」
「はあい」
こうして、みかん園では楽しいみかん狩りが始まり、あちらこちらでみかんの鳴く声が聞こえたという。
-
投稿:2012.01.14
みかん狩り
著者 sutra 様 / アクセス 11290 / ♥ 1