聖蘭学園は100周年を向かえ、盛大に祝賀パーティーが開かれています。
開学以来ずっと小中高大と一貫した女子ばかりの学校であったが、昨今の少子化の波には逆らえず5年前に小学校が共学になった。
聖蘭学園は明治に開学し、有能な女性を多数輩出してきた。多数というより、有能でない女性は卒業できないシステムになっており、卒業生は女性といえども男尊女卑のすさまじかった戦前でも、聖蘭卒の女性は男でも一目置く存在となっていた。その人材は政界、経済界、医学界、教育界と広範囲に及んでいた。そのため、女性は家を継げなかった戦前でも聖蘭卒の女性は、男子と同様に家を継ぐ権利も暗黙上公認されていた。
パーティが始まり、歓談が始まると早速共学化への批判がみなの口からほとばしり出たのであった。
「許せない。聖蘭に男子が入学するなんて。」
「伝統を傷つけるだけじゃないわ。卒業生の自尊心がぼろぼろよ」
「絶対、男子の卒業生は出させないわ」
「進学校で有名な大灘学園に転校できるようにして、去年5年生になったときに男子全員に転校を勧めたのに、半分脅し文句をつけてね、1クラス30人中に5人いた男子のうち、転校せずに6年生に進学したのが学年全部3クラスで8人もいるのよ。」
「どうせ、中学校は女子だけになるんだから、1年早くなるだけなのにどうして勧めに従わなかったのかしら。」
「きっと、聖蘭の女尊男卑への挑戦よこれは」
「絶対、聖蘭学園から男子の卒業生は出させないわ。みんな協力して阻止しましょうよ」
その夜、有志が集まり作戦会議をおこなった。
翌月には作戦が実行されることになった。
6年生は今日の4時間目は性教育の時間となります。
男女に分かれて授業を行います。
男子は保健室の横の保健準備室に行ってください。特別に外部から講師を招いていますから、心して聞いてくださいね。女子はこの教室で行います。
性教育ときいて児童たちはざわついたが、女子に比べまだまだ幼い感じの男子たちは、照れながらもうれしそうに教室を移動した。
私は聖蘭大学の医学部の準教授長谷部と申します。
今日は体の構造から身の安全を守る方法までの講義を行います。
当然体の構造の中には男女の違いもお話します。
男は力が強くなることができ、女性を守ることが求められます。
しかし、自分の身を守る方法も知っておかねばなりません。
火災になったときに身を守るのは、有毒ガスから身を守るガスマスクが最適です。
つけ方を教えますからつけてみてくださいね。
まず、空気清浄フィルターの入った缶を開きセットします。今は開かないでくださいね。説明の終わった後で突然のことにも対応できるようにするため、授業の後半でほんとにあけてもらいますから。マスクは顔全体に密着するようにつけてください。隙間があると有毒なガスを吸い込んでしまうことになりますからね。皆上手につけられましたね。それでは外して机の上に置いておいて下さい。これから皆さんの期待している体の話に入ります。
・・・
男女の身体を異なるものにするのはホルモンの働きです。
皆さんの睾丸からは男の身体にするための男性ホルモンが分泌されています。
ここにいる男子は皆まだ声変わりをしていませんね。
ちゃんと男性ホルモンが分泌されているか、確認する方法があります。
このパッチを身体に貼っておくと、男性ホルモンの分泌量によって青色に変化します。
若い男性ですと1時間ぐらいで変わるのですが、皆さんはまだ小さいので、3,4日かかるでしょう。
これから皆さんに配りますから、体の中で一番男性ホルモンの多いところに貼ってください。
男性ホルモンが最も多いところはどこでしょう。
みんな男の子ばかりなので、服を脱いで裸になりましょう。
勉強です、ブツブツ言ってないで脱ぎなさい。と声を荒げて指示するとみな制服を脱ぎだした。
男性ホルモンの最も多いのは睾丸です。
みな、ブリーフを脱いでください。
パッチを睾丸の上に貼ってもらいますからね。
皆、2枚貼れましたか。
ちゃんとブリーフを脱がないとダメですよ。
3枚貼った子はいますか。
みんなはだかになったので、見比べて見ましょう。
皆違いはないはずです。
聖蘭に入った子は皆同じように成長するように、給食に工夫がしてありますからね。
皆袋の両側に1枚ずつはれましたね。
3日後に保健室で検査しますから、絶対はがさないようにしてくださいね。
はがしてしまうと色が変わらないと成長が遅いということになり、注射をしたりする治療や、女の子になる手術をしてしまいますからね。
それでは皆ちゃんとはれましたので、ブリーフと下着を着てください。
ブリーフをはけて少し安心したところで、ざわざわとしたとたん、それでは緊急防毒マスクの装着訓練をします。皆着替えは後回しにして防毒マスクをしてください。
今回は、空気清浄フィルターを開けてちゃんと息ができるか確認してくださいね。
それでは装着始め。
装着が完了したら、有毒ガスを吸わないような姿勢、机の上に顔を当てるように伏せてください。そして、息を深く吸い込んでください。3回以上吸えたらフィルターが正常に働いていることになります。
先生が点検に回るまでそのままにしてくださいね。
それでは毒ガスを撒きますので、絶対に外さないこと。
もし吸ったら一時的に気を失ってしまいますよ。
消火器のボンベのようなものから白い煙を撒き散らした。
皆一生懸命、フィルターから息をしだした。
しかし、皆気を失ってしまった。
「うまくいったわね。全員気を失ったのを確認できました。」
「それでは、先生方よろしくお願いします。8人いますので2人ずつベッドに運びます。
手術を開始してください。」
隣の保健室のベッドに気を失った男の子が2人ずつ運ばれる。
空気清浄フィルターの中に麻酔薬が仕込まれていたのであった。
まずは、パッチを外して消毒。ヨードでしっかりね。
まだ、子供のままね。小学校6年生だったら毛の生えている子もいるはずだけど、聖蘭の給食には女子の成長を促進する女性ホルモンを加えてあるから、男子は成長が止まってしまうようね。声変わりもまだだし、陰茎もつぼんだままよ。
男子は大人になんか絶対させない。
それでは手術開始、レーザーメスは治りが遅いから、超薄刃メスで切開。
睾丸を露出させ、包んでいた白い皮を切開し中身を取り出し、切除した。
代わりに特殊シリコンをいれ、白い皮の切開部を縫合。
これで、触ったら感じるけど、男性ホルモンも精子も作ることができなくなった。
皮膚は手術用特殊接着剤で接着。技術が高いので皮膚の切開部分の長さは1cmもない。強力接着できるパッチ(見た目は同じ)を傷の上から貼り、終了。
気を失っている間に8人とも睾丸を全て抜かれてしまった。
これで、聖蘭を卒業する男子はいなくなった。
男子全員が元に戻ったところで、気付け薬をもって先生が治療した。
ガスマスクは全員漏れていたようです。
皆気を失ってしまいました。
ガスますの装着の練習をしておいてくださいね。
当然空気清浄フィルターは正常なものと取り替えられていた。
皆下着のままです。風邪を引かないように制服を着てくださいね。
それと、パッチは前も言ったように絶対外さないこと。
風呂に入るときもね。
剥がすと怪我をしたり、検査ができずに注射をすることになりますよ。
痛かったり、かゆかったりしても、剥がしたらダメですよ。
3日後の放課後、保健室に来てください。
パッチの検査をします。
学術的な資料ともさせてもらいます。
それでは特別授業を終わります。
3日後のパッチの検査は当然全員ホルモン不足であった。
みな、卒業まで経過観察となったが、傷に気付いたものはいなかった。
卒業式の校歌斉唱ではだれも、声変わりをしているものはなかった。
男子の歴史は新しいのにオーソドックスな短い半ズボンから出た脚は皆真っ白できれいであった。
もっとも聖蘭では夏の間日焼け防止のためのストッキングが強制であり、男子にも適用されていたからでもある。半ズボンの前のふくらみは卒業前の男の子とは思えないほど平らで、まったく違和感はなかった。
男の子たちは女の子たちより身長も10㎝近く低く、幼い感じ丸出しであった。
卒業生が第二次性徴が異常であることは、次第に知られるようになり、
男子は小学校5年を迎える年にほとんど転校するようになった。
理由は、女子の力の強い聖蘭の空気は男子の睾丸ををだめにするということになった。
まれに、卒業を迎える男子が、数年に一人現れた。
女の子に生まれたかった男の子の中で優秀なものが聖蘭に入学するようになったのである
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投稿:2012.04.07
聖蘭卒
著者 砂金魚 様 / アクセス 11489 / ♥ 1