夏休み。1年ぶりにいとこのジュンが泊まりで遊びに来た。
ジュンはひとつ年上の6年生だ。
毎年、この時期にはジュンの両親が揃って泊りがけで出掛けなければならない用事があり、子供は連れていけないということで、その間はうちで預かることが通例になっていた。
「よっ、久しぶり」
「うん、久しぶり」
Tシャツに、下はデニムのミニスカートにスパッツ。髪はちょっと長めのショートカット。1年ぶりのジュンは、なんだか少しまぶしかった。
ジュンの両親は「新幹線の時間がぎりぎりだから」と挨拶もそこそこに帰って行った。
おやつと飲み物を持って、ふたりで2階の子供部屋に上がった。
ジュンのことはすでに聞かされていたが、実際に会ってみるとやはり不思議な感じだった。顔は確かにジュンのままなのに、どこが違うのかはわからないけど、去年の印象と比べるとなんとなく違う。
ジュンは、去年までは「従兄弟」だった。4月のブルマ検査で不合格になるまでは。
「ねえ、びっくりした?わたしがブルマになったって聞いたとき」
「んん?」
噛み合っていないリアクションにジュンが不思議そうな顔をした。
「え?なに?」
「“わたし”なんだ…」
「ああ、まあね。もう男子じゃないんだし、“オレ”ってわけにもいかないから」
ジュンはくすりと笑った。
「で、ねえ、びっくりした?」
「うん…でも話だけだとあんまり実感湧かなかった」
「そりゃそうかもね。で、会ってみてどう?」
「どうって…まあ…なんか、ちょっと変わった、気がする」
どう答えていいのかわからず、曖昧な答えしかできなかった。
「ブルマになってショック受けてると思った?平気平気。私も最初はけっこう悩んだけど、けっこうすぐ慣れちゃった。いじめる奴もいたけど、開き直って女子になり切っちゃえばそれもすぐ治まっちゃったし」
意外に落ち込んでおらず、むしろ女子になったことを楽しんでいるような雰囲気すらするジュンが、なんだか不思議だった。
***
昼食のそうめんを食べているとき、ジュンが言い出した。
「プール行こうよ」
例年、夏に遊びに来たときは近所の市民プールに行くのが恒例になっていた。一昨年までは親が一緒に行っていたが、去年からは子供二人で行かせてもらえるようになっていた。
市民プールの駐輪場に自転車を止め、入口で料金を払うと、ジュンは「わたし、こっちだから」と女子更衣室へすたすたと入って行ってしまった。
ああ、そりゃそうか…と独り言をつぶやき、ひとりで男子更衣室に入って海パンに着替えた。
プールサイドで待っていると、だいぶしてからジュンが現れた。スクール水着ではなく、鮮やかな水色のスポーティなワンピースの水着だった。
「ごめんねー待たせて。女子の水着って、どうしても海パンより着替えるのに時間掛かるから」
いけないとはわかっているが、どうしても股間に目が行ってしまう。ぴったりした水着の股間は、なだらかな曲線だけだった。
ほんとに…もうチンチンないんだ…。
視線に気づいたジュンに、苦笑いしながら背中をパーンと叩かれた。
「ほら、そんなとこじろじろ見ない!行くよ!」
***
夕方までプールでたっぷり遊び、夕食後は部屋でDS三昧。
1階に降りてトイレに行ったとき、母親から「そろそろお風呂に入って寝なさいよ」と言われたので、2階にいるジュンに「先に風呂入るから」と声を掛け、そのまま脱衣場で服を脱ぎかけていたところに、ジュンが慌てて追いかけてきた。
「ちょっとちょっと、なんで一人で入ろうとしてんの?一緒に入ろうよ」
「ええっ、でも」
「いいじゃん。毎年一緒に入ってるじゃん。なんかダメな理由ある?」
止める間もなく、ジュンは目の前でくるくると服を脱ぎ始めてしまった。慌てて背を向けると、服を脱ぎ終えたジュンはそのまま浴室に入って行ってしまった。
しょうがなく自分も服を脱ぎ、それを洗濯機に放り込もうとフタをあけると、洗濯ものの一番上に見慣れない薄いピンク色のものがあった。たったいまジュンが脱いだパンツだった。自分が履いているようなブリーフやボクサーではない、縁にフリルのついた女物のショーツだった。
慌てて洗濯ものを放り込んでフタを閉め、浴室に入った。
ジュンは椅子に座ってシャンプーしていたので、かけ湯をして先にお湯に浸かった。
気にしないようにしようと思っても、どうしても見てしまう。
鏡に向かって横向きに座っているので、股間は見えない。胸は、ほとんど自分と変わらないようにも見えたが、気のせいか乳首のあたりがすこし尖っているようにも見えた。
ジュンが鏡の方を向いたままいたずらっぽく笑いながら言った。
「見たかったら見たいって言いなよ」
「ごめん」
「へへ、ぜんぜん平気。いっしょに入ろうって言ったのはわたしなんだし」
ジュンは椅子に座ったまま体ごとこちらに向き直って、少し足を広げた。
「で?どう思う?」
ジュンの股間は、去年までは確かにあったチンチンは跡形もなくなくなっていた。チンチンがあった場所は、ふっくらとしたなだらかなふくらみの真ん中に、おしりの割れ目が切れ上がっているだけだった。
「ブルマって…ほんとに女子みたいになるんだね」
「見た目だけだと女子かブルマかなんてわかんないだろうね」
「っていっても、女子のあそこってあんまりちゃんと見たことないし、よくわかんないや」
「実はわたしもそうだった。自分がブルマになって初めてじっくり見たっていう、ね」
髪を流したジュンと交代で洗い場に出て、体を洗い始めた。
洗い終わった体をシャワーで流しているとき、お湯に浸かっていたジュンが
「ごめん!おしっこしたくなっちゃった!」
と立ち上がった。
確かに去年まではジュンも自分も、風呂に入っている時におしっこがしたくなって洗い場ですることはあったけど…。
ジュンはお湯から出るとそのままその場にしゃがみこみ、大きく足を開いた。
ジュンのあまりに大胆な行動に目をそらすことも忘れて、その様子を見つめ続けた。
「あ、出る」
割れ目の奥からほとばしり出たおしっこは、床に叩きつけられるようにほぼ真下に向かって出ていた。
「おしっこって、そういうふうに出るんだ」
「ブルマになってすぐのときはもっと前向きに飛んでたと思うんだけど、なんかだんだん下向きに出るようになっちゃって…立ちションしてもぜんぜん前に飛ばなくなっちゃった」
「えっ、立ちションって?!」
「あ、違う違うもちろん男子トイレとかでするんじゃないよ。それもう絶対できないし。たまにお風呂場でするとき、ってこと」
おしっこが終わると、ジュンはシャワーを股間に当てて洗い流した。
「風呂場だとシャワーで洗い流せるから気持ちいいんだ、トイレだと紙で拭くしかないから」
「そっか、振れないもんな」
***
風呂あがりにアイスを食べ、歯磨きをしたらもう寝る時間。去年通りふとんを並べて寝ることになった。
電気を豆電球にしたあと、ジュンがひそひそ声で話しかけてきた。
「ねえ、触らせて?」
「なにを?」
「…チンチン」
豆電球の薄暗い中でも、ジュンの顔が赤くなるのがわかった。
「はぁっ?!いや…なんで?」
「いいじゃん、お願い、触らせて!」
嫌がる間もなく、ジュンの手がパンツの中に滑りこんできた。
「ふふ、このくにゅくにゅした感じ、久しぶり。懐かしいなあ」とくすくす笑いながら言う。
「去年までは毎日、自分のチンチンいじってたんだけどなあ」
ジュンにくにゅくにゅといじられ、チンチンが勃起し始める。
「勃ってきた勃ってきた。ほら、おかえし。わたしのも触って」
ジュンは、こちらの手を取るとパジャマの上から自分の股間に押し当てた。
そこにはなにも凸凹は感じられず、ただなだらかな肌の感触があるだけだった。
「ね、ないでしょ」
ジュンはその手を次は前を少しはだけたパジャマのおなかに導き、手のひらを押し当てた。
「直接触ってみて」
好奇心に負けて、おなかに当てた手をそろそろと下げてパンツの中に差し入れていく。チンチンのあるはずのあたりまで行っても、何もでっぱりがない。さらに手を下ろしていくと、指先にかすかに凹みが感じられた。凹みに沿って手を滑らせていくと、そのまま股の間からお尻まで行ってしまった。何もなかった。
「触ってみてどんな感じ?」
「ほんとにない…ね。なんか柔らかくて、すべすべしてて」
ジュンがいじり続けているチンチンは、これまでに体験したことがないぐらい固く勃起して、ピクピクと脈打ちだしていた。
「チンチン…すごいね」
ジュンがチンチンを握る手にきゅっと力を入れた瞬間。
ジュンの手の中に射精してしまった。生まれて初めての射精だった。
「あっ…」
「あっ…」
ふたりが同時に声を上げた。
射精の脈動は2回、3回と続き、10回近く続いてようやく収まった。
ジュンが豆電球の薄明かりに手をかざして言った。
「射精ってこういうのが出るんだ」
ジュンの手のひらに、とろっとしたものが溜まっているのがかすかに光って見えた。
「これ、初めて見た。わたし、勃起はしたけど射精はしたことなくて、そのままブルマになったから、自分のって見たことなかったんだ」
「そうなんだ」
「6年のブルマ検査って射精検査があるでしょ?わたしも5年のときから家で毎晩練習してたんだけど…どうしても射精できるようにならなくて。けっきょく検査の日も射精できなかったの。それで、“ブルマ”って」
寂しそうに話すジュンに、なんと話しかけていいのかわからなかった。
「チンチンもキンタマも切り取られちゃった、もうチンチンをいじることも射精も一生できないんだ、って、ほんとは今でもずっと悩んでたんだ。でも、今日のこれで、なんかわたしも射精できたみたいな気分。よくわかんないけど」
ジュンは微笑んだ。
「なんか吹っ切れちゃった。ありがとう。これ、洗ってくるね」
ジュンが洗面所に手を洗いに行ったほんのわずかな間に、初めての射精での疲労感からか、急激な睡魔に襲われてそのまま眠ってしまった。
翌日の朝、ジュンの両親が迎えに来た。
「じゃあ、また来年な」
「うん、また来年」
そしてジュンは帰っていった。
自分も来年の春には6年のブルマ検査を受ける。
チンチンの大きさは人並だと思うし、射精もできた。たぶん合格できるはずだと思う。
でも、ジュンのことを思うと、ブルマ検査に合格して男子でいることが本当にいいことなのか、わからなくなってきた。
あと半年、検査の日まで、悩ましい日が続きそうな予感がしている。
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投稿:2012.11.17
ジュン
著者 kangan 様 / アクセス 12713 / ♥ 8