■
「うふふ。おいしーい」
黒髪の少女、ルドミラはくすくすと笑いながら、抉り取られた血の滴るペニスを食べていた。
もぐもぐ。ぐちゅぐちゅ。ころころ。ぷちゅっ。こくん。
森の中、少し開けて、あたたかい日の光が降り注ぐ広場。
辺り一面、ぐちゃぐちゃになった男達の体がばら撒かれている。皆、とても強い力で引き裂かれたかのよう。四肢のあちこちが欠損している。乱暴に引きずり出されたかのように散らばる内臓。苦悶と絶望の表情のたくさんの死体。
その中心に、返り血で真っ赤に染まった小さなルドミラが、可愛らしくしゃがみ込んでいる。
「次はこれにしようかな」
転がっている手近な男の股間に、細い腕を伸ばし。
遠目には、人間の少女によく似ているが、一部に硬い鱗のようなものがある。そこから鋭いトゲみたいなものが何本も生えている。
「ひっ、たたた、助け」
「そう。まだ息があったのね」
片腕片足を失い、肩口や脇腹に深い切り傷のある男が呻いた。そして、少女の意図に気付き激しく暴れる。
「や、ややや、やめ、やめっ」
ルドミラはそれを無視して、男のペニスを睾丸ごと素手で抉り取った。
「ぎゃああああああ!!」
また新たな激痛を加えられ、男が絶叫してばたばた悶える。
「いただきまぁす」
ルドミラは嬉しそうに大きな口を開けた。爬虫類のような長い舌。
かぷ。
可憐な少女のような顔に似合わない尖った牙で、噛み千切る。
「ぺっ」
切断された亀頭だけを掌に吐き出す。
一番おいしいところだから。お気に入りは後でゆっくり味わうつもり。
ちょうどいい柔らかさで、とってもジューシー。
だから、まず亀頭だけを失ったペニスのサオの部分に齧りつく。
ルドミラの口のかたちにごっそりと肉が消える。
くちゃくちゃ。もぐもぐ。
まだ嚥下しない。何度も齧って口の中は人間のペニスのお肉でいっぱい。
「あーん」
そこに噛み千切った睾丸を一つ、放り込んで。
ぐちゅっ。
ぷりぷりの玉を奥歯で潰す。じゅわっと広がるおいしいソースをまんべんなく絡めて。
「んくっ」
喉を鳴らして、全部飲み込む。
「あは」
すごくおいしい。
残り一つの睾丸を飴玉のように転がして、時折歯を立ててうっとり味わうルドミラ。
やがてそれも飲み込むと、一番大好きな亀頭だけをまた口の中に放り込んだ。
「ああ、ああああああ、痛い、痛い、助けて、死にたくない」
傍らで獲物の男が泣きながらまだゼエゼエと悶えている。
ルドミラはそれを見下ろして、にっこりと微笑んだ。
「お前はとくに、おいしかったよ」
「ひいぃっ、お願い、殺さないでっ」
「だめ」
ぐちゃっ。
「ぎゃっ」
喉を引き裂いて殺した。血がビュービューと勢いよく撒き散らされる。
それをお人形のような可愛い顔にばしゃばしゃ浴びながら、まだルドミラは大好きな亀頭をもぐもぐと味わっていた。
彼女はもちろん、人間ではない。
好んで人間を殺し、その肉を食べる魔物の類い。
■
もぐもぐもぐ。
口の端から人間の腸をぶら下げたまま、小さなルドミラは満足そうに辺りを見回す。
ぺっ。
飲み込むこともやめて、そのまま捨てた。
「おなかいっぱい」
十数人の男の死体。皆ぐちゃぐちゃに損壊されている。
好物のペニスは全部食べた。
柔らかい腸とか内臓を適当に味わって、充分に満たされた。
だから、もういらない。
普通の精神を持つ人間がこの有様を見たら。
恐らく、魔物が食事した跡だとはとても気付けないだろう。
必要以上に刻まれ、抉られ、潰されたまま放置される死体達。
何かの見せしめか、恨みか。または残酷な愉しみからの凄惨な虐殺の現場のよう。
いつも飢えている肉食動物からは「もったいない」と苦情が出るかも。
けれど、人外の存在のルドミラにそんなことを思いやる必要ななかった。
獲物がいっぱいいた。食べて、殺した。満足した。
それでおしまい。それ以上の説明なんていらない。
「ううう、ああっ」
「あ」
死体の輪の外側、ずっとうつぶせのままの人間が動き出すのをルドミラは見た。
食べた獲物達と比べると、二周りくらい小さい男。
ある意味、意図的に見逃していた。気にも留めていなかったとも言える。
優先順位で最低の、獲物候補だった人間のことを、ルドミラはやっと思い出していた。
この小さな男だけならともかく、もっと食べ応えのありそうな獲物が他にたくさん目の前にいたから。
ルドミラの印象としては、これは、最も弱い草食獣。
それを、十匹以上の肉食獣が追い立てていて。
たまたま。
そんな場面に遭遇したから。
ルドミラは食べた。たくさんいた、追っ手の方を。
それは、つまるところ。
傭兵崩れの盗賊達が、森で出会った村人を追い立て、逃げさせて人里までの案内にさせ、そこを次の拠点にしようと企んでいたという、ありふれた話だったのだが。
人外の存在であるルドミラにはそんな状況は分からないし、どうでもよかった。
「う、ううう、あ」
男がふらふら、体を起こす。
「けぷ」
食べ過ぎてげっぷが出て、口元を押さえるルドミラ。
ぼんやりと男を見ている。
おなかいっぱい。
もう入らない。
食べ散らかして、肉のほとんどをそのままに放置して、立ち去ろうと思っていたから。
わざわざ彼を殺して食べようなんて思ってない。
だから、気がついた小さなヒトが、そのまま逃げるだろうところを、ただ見ていた。
もちろん、追いかけるつもりもない。食欲が満たされたルドミラにはその必要がない。
けれど。
きょろきょろして、ルドミラを認めた小さなヒトは、はっとして、次に頭を下げて、
「助けてくれて、ありがとうございます」
と言ってきた。
■
「え?」
ルドミラは、目を丸くした。縦に細い瞳孔が開く。獲物が自分から話しかけてきた?
小さなヒトは(それでも小さなルドミラより二周りは大きい)返り血で真っ赤なルドミラにわざわざ近づいてきて。
辺りの死体にもちゃんと気付いて、彼女の鱗やトゲや牙を見てちょっとだけ身を震わせて。
それでも。
ルドミラの可愛らしい顔を見つめて頬を染め、
「本当に、ありがとうございます」
改めて、深々とお礼を言った。
「この子、何か勘違いしてるみたい」
ルドミラは、ちょっとだけ、戸惑う。
助けたわけじゃない。ただ、食べなかっただけ。
食べるものと食べられるものが言葉を交わすなんて、そんな滅多にあることじゃない。
しかも、私は、食べる側はお腹いっぱい、もう食べるつもりがない。
「いいから。行きなさいな」
見逃してあげるって言ってるの。
さっさと行って。わずらわしいから。
「いえ。だって、あの。そう。お礼が。お礼がしたいんです。させて下さいっ」
目をキラキラさせて、詰め寄ってくる。
なんか、面倒。
この小さなヒトは、気付いてるはずなのに。私が同属じゃないって。
それなのに、言葉が通じるから、ただその一点を突破口のように、何か要求を押し付けようとしている。
人間の癖に。食べられるだけの弱い存在なのに。
こんな。
まるで、同属のメスでも見るみたいに。
小さなヒト、彼は実際、不思議なことに、ルドミラを一目見て、心奪われていた。
人間じゃないことは分かっていた。自分を追い立ててきた盗賊達を殺しただろうことも分かる。
普通なら、怖い。
だけど、そんなことが些細に思えるほどに。
目の前の可憐な小さな魔は、美しくて。
村の女の子の中にも、こんなにきれいな人はいない。
そんな、強くて、美しい人外の娘が、僕を、助けてくれた。守ってくれた!
彼の心は今、幸福感でいっぱいで、命の危機にあったこととか、死体がいっぱいあることとかがどうでもよくなるくらい、
目の前にはルドミラしか見えなくて。どこまでも気持ちが昂ぶっている。
「ええと」
彼女が面倒くさそうに、小さなヒトを見上げる。
「私を怖がることもできないなんて。お前、生き物として欠陥品なんじゃないの?」
■
「私、お腹いっぱいなの。だから、お前は食べない。よかったわね? 分かったら、行きなさい」
ため息混じりに、冷たく、はっきり。
小さなヒトは、それでも動かない。
ルドミラのことをまっすぐ見ている。
この子、どうして私を怖がらないの?
猫にわざわざ近づいてお腹を見せる鼠とか、まるっきりイカれてる。完全にネジが外れてる。
そんな有様でよく、今まで生き長らえてきたわね。
「お前、私に食べられたいの?」
小さなヒトは、びくっと震えて、ふるふる首を振って、でも、目の前から立ち去ろうとはしない。
どうして?
お前の目、見たことある。
メスを認めて、繋がりたがるオスの色。
でも、おかしいじゃない。
お前は弱いヒトで、ただの私の獲物じゃない。
「これで最後。食べられたくなかったら──見逃してもらった幸運にちゃんと感謝して、さっさと惨めに逃げ出しなさい」
ルドミラはそう言った。
「それとも、まだ何か、私に言いたいことでもある?」
「あ、あのっ」
小さなヒトが微動だにせず口を開く。
「何か、その。もったいなくて。貴女みたいなきれいな人、初めて見たから」
メスを見るオスの瞳の色を感じて。
ルドミラは本当に面倒くさそうに。
「それ、私を好きって意味?」
「えっ」
「あ、はい」
真っ赤になって、けれども頷く彼。
はあ。
ルドミラが、ため息をついた。
「お前。私と交尾したいの?」
■
「え? あの。うわっ」
ルドミラが、無言のまま小さなヒトの服を割いた。
たちまち彼の貧相な身体が露わになって、全裸に剥かれる。
痩せた足の間に、ぶら下がるペニス。
「けど。挿入るかな」
ルドミラは短いスカートを捲って、小さな下着越しに、自身の性器を確かめた。
まるで幼子のように無毛のそれは、小さく狭く、ぴたっと強く閉じている。
ルドミラに異種姦の趣味はない。したこともない。
これはただの場の流れ。
ルドミラの同属のオスは矮小で頼りなく、ペニスも糸のように細く小さいから、交尾自体はわずかな時間で事足りる。
その上、オスは力を使い果たして虫の息になるので、「役立たず」として殺して食べるところまででワンセット。
ペニスを食べておいしいとか、噛み潰してジューシーとかからは程遠い。
目の前の小さなヒトを見る。
人間の男としては未成熟な小さなペニス。食べるなら物足りないけど。
けれど、交尾の対象としては、ルドミラの膣には大きすぎる。
「交尾の真似事、してみたい?」
「あ、あの。はい。できるなら」
青年は顔一面を赤くして首肯する。
どこまでもきらきらとした瞳でこちらを見る彼。
まるで、愛しいメスを見るかのような。
人間なのに。異種属なのに。
気まぐれな心が、ざわざわと波打った。
「いいわよ。遊んであげる」
「えっ」
小さなヒトが、嬉しそうに、聞き返した。
「お前は私を好きなんでしょう?」
「は、はいっ」
ルドミラは、死屍累々の草の上に押し倒した彼の股間をさわさわ触る。
「好きってつまり、種を入れたいって意味よね」
■
「大きいわ」
まじまじと彼のペニスを見つめて言う。
もちろん、食用としての意味ではなく、自身の狭い膣に対して。
その言葉に反応したのか、小さなヒトのペニスはどくん、と脈打ってさらに大きく膨れ上がった。
鈴口から透明な先走りを流している。
「このままだと交尾するのは難しいわね」
切り刻んで、破り捨てられた彼の衣服を何となく手元にまとめながら、ルドミラが言う。
「もっとそれ、小さくならない?」
「い、いや。難しい、です」
予想もしていなかった要求に、彼は戸惑う。
けれど、納得はしている。人外の、魔とは言え、こんなに小さい子。
セックスをすることは困難。無理やりすれば、傷つけてしまうかも。
いや、彼はルドミラに思いっきり一目惚れをしただけで、セックスが目的じゃない。
でも。どういう思考の流れか、ルドミラは「交尾する」と言った。
期待していないわけじゃない。
人外でも、こんなに可愛い、命の恩人とのセックス。正直なところ、したいに決まってる。
眼前の、返り血まみれの、人外の美少女は、にっこりと妖艶に笑うと。
「じゃあまずは、それを小さくしてみましょう」
そう言った。
ルドミラは彼の私物を乱暴に漁る。
保存食。狩りのための小さな弓。何本か矢。
「あら。ちょうどいいものがあるじゃない」
繕い物をするための、簡単な裁縫道具を見つけて、そう言った。
「え? えっ?」
「動かないで」
ルドミラが短く指示した。
彼女に一目惚れをしてめろめろな小さなヒトは反射のようにそれに従う。
血肉が散らばり、死臭漂う草の上に裸で仰向け。
とても小さな少女のようなルドミラが、足元に膝をついて。
大きな黒い瞳で彼のペニスを見つめている。
それだけで、どくん、と血が集まってより大きく勃起する。
「ちょっと減らしましょう」
ルドミラは、彼の裁縫道具から、鋭利な針を何本も小さな右手に握った。
「え? えっ?」
限界までどくどくと勃起しているペニスを優しく撫でて。
握った針を、近づける。
「そ、それ。痛そうですね?」
まるで運命の出会いのように、人外のルドミラに魅了された彼は、何とか、それだけを口にした。
美しい彼女を見つめたまま、脂汗を流しても、抵抗しない。
「あは」
小さな魔の女の子はにっこり笑う。
「痛いわよ?」
つぷ。
「ああああっ!」
彼が叫んだ。
ルドミラは、それに構わずゆっくりと、細長い針を彼のペニスに刺し込んでいく
血が流れる。突然の激痛に男が泣く。
「まだまだ」
二本目の針を、突き刺し始める。
ぷす。ぷすっ。
「ああああああああ!!」
耐え切れない痛みで小さなヒトの体が跳ねる。
ルドミラはその上で、まるで暴れ馬を乗りこなすかのように。
楽しそうに、うっとりと悲鳴に聞き入る。
「あああああ!! なん、で、どうしてっ」
「言ったでしょ。減らすって」
三本目の針がずぶずぶと入り、これも貫通させる。
「ぎゃああああ!! 痛い、痛いですっ!!」
ルドミラは魔の者だ。
ヒトを嫐って悦ぶ性。
その本能が、食欲の次はとばかりに、自分に正直に湧き上がる。
「うふふ。私も、濡れてきたかも」
瞳を細め、舌なめずりをし。
湿った股間を小さなヒトの太股に押し付けながら、何本も何本も、鋭い針を刺し続けた。
■
「あああああ、ああああ、あ」
「ふふ。ふふふっ」
ルドミラがくにくにと、大好きな亀頭を二本の指で締めている。
風船みたいに、そこだけがかたちを変えて、膨れ上がる。
ペニスには何本もの針が貫通し、ハリネズミのようになっているが、亀頭だけはまだ無傷。
当然、あまりの痛みでペニスは小さく縮こまり、男の股間は血で真っ赤。
亀頭を弄っていない方の指で、最後の針を摘むルドミラ。
ぷりぷりの亀頭の表面をちく、ちくと、楽しそうに何度かつつく。
不意に、針の先をまっすぐに立て、小さなヒトの尿道に向ける。
「ひっ、やめ、て」
男が真っ青になって弱々しく言った。
ルドミラは、その顔を見て。
恐らく誰もが信じられないことに、手を止めた。
「そうね。ここは、精の出口だったわ」
小さなヒトにはまるで理解のできないことだろう。
けれど、ルドミラはものすごく手加減していた。
この、種も違う食べられるための獲物にすぎない小さなオスが、生き物として欠陥があるかのように、自分のことをメスを見る目で見ているから。
魔物とヒトでは精神が違うのだから、分かり合いようがないことだけれど。
ルドミラは彼女なりに、初めて、向けられた好意を受け止めて、行動で答えているつもりだった。
「だいぶ小さくなったわね」
針でびっしりのペニスを見つめる。
「でも、もっと減らせる」
「えっ? うわ」
そして。
今度は、その刺し込んだ針を一本づつ、抜き始めた。
「あああああああああ!!」
針のあった穴から、血がまたどくどくと噴き出していく。
男のペニスは青紫色と、血の赤で、見たこともない色になり、
今度こそ本当に、赤子のように縮こまった。
「いいわ」
ルドミラは満足そうに、小さく小さく萎えたペニスを見て頷く。
そして彼を見上げて、目を合わせ、次に喋った言葉は、本当に信じ難い一言だった。
「この大きさで、射精できる?」
■
ぴちゃ。ちゅっ。ぺろ。ぺろっ。
穴だらけにされ血を抜かれ、すっかり小さくなったペニスをルドミラは舐めている。
「できないなんて。ヒトのオスって案外複雑なのね」
少し不満そうに呟きながら、仕方ないから、流れ出た血を味わっている。
「そういうものなのね。結局お前達は、食事としての価値しかないのよ」
「す、すみません…」
男が弱々しく謝罪する。
「ふん」
ルドミラは舐め続ける。
気まぐれを起こしてはみたけど、まるで無駄だった。
何となく舐めている血がなくなったら、いつも通りに抉って食べよう。
もともと小さすぎておやつにもならないけど、私をがっかりさせた罰。
みじめで弱い存在の癖に、真似事でも私と交尾したがるなんて。
せっかく、ここまでしてあげたのに。
「ああ、あ」
小さなヒトが呻いた。
ルドミラの舌の動きで、穴だらけの、さんざん虐められたペニスがまた、勃起し始める。
「どうしてよ」
小さな口の中でむくむくかたちを変えていくヒトのペニスに、文句を言う。
「どうしてまた大きくするの? それじゃ交尾できないって言ったはずでしょ」
男にも分からない。
この状況で勃ち始めるとか。
こんなに痛くされて、ひどいことをされて。彼女は魔の者で、人間を殺して食べる存在で。
でもこんなに美しくて、何もかもが理想で、夢みたいで。
男の思考はもうとっくに現実を失っている。
実際、何をされても痛みに叫びはしたが、抵抗らしい抵抗をしなかった。できなかった。
ルドミラに一目惚れをしてしまったから。
「すみません。でも、人間は大きくしないと射精できないんです」
憧れの絶対の女王様のようなルドミラに、申し訳なさそうに説明する。
「そうなの?」
小さな魔の美少女は、きょとんとして聞いてきた。
大きくなった人間のペニスは何度も見たことがあるけれど、ルドミラは淫魔種ではない。
ただ人間を食べる魔というだけ。
だから、仕組みなんて詳しくないし、敢えて大きくさせて得るものも別にない。
今の今まで、知る必要なんてまるでなかった。
初めて、気まぐれを起こしたのは、小さなヒトにオスの目で見られたから。
「じゃあ。考え方を変えましょう」
口の端の血を舐め取って、彼の前に向き直る。
「それ、大きくしてもいいわ。射精させてみせて」
「う、ううっ、うううっ」
男が激痛に涙を流しながら、自身のペニスをしごいている。
「ねえ、早く」
ルドミラの急かす声が耳に気持ちよく、けれどそれだけではとてもイけない。
穴だらけだ。触れなくても痛い。でも、しごく。
ルドミラがそれを期待しているから。
「時間がかかるのね」
「すみませんっ、何とか、がんばって、みます」
あぐらのような姿勢で懸命にしごく男の横に、ルドミラが寄り添う。
男の苦痛の表情と、半勃ちのペニスを交互に見る。
ちょっと手伝ってあげましょうか。
ルドミラはそう思った。
これでも、魔としては信じられないくらいに、男に情が湧いている。
「ねえ」
「はいっ」
「お前の精は、どこで作られるの?」
ルドミラが、男のペニスや太股にさわさわ触れて。
ぞくっ。
男は青ざめた。背筋を冷たいものがかけ昇り、鳥肌が立つ。
答えたらどうなるか。
この魔の少女にどうされてしまうのか。
分かっていた。
分かっていたけれど、男は答えた。抗えなかった。
「そう。じゃあ、ここを押し上げればいいのね」」
ルドミラは予想通り、細い手を伸ばして、片方の睾丸をふんわり包んだ。
分かっている。
どうなるか分かっている。
「あああああああ!」
男は突然叫びながら、今まで以上に力をこめて思い切り、自身のペニスをしごき上げた。
ぶちゅっ。
「ああああああああああああああああああああああ!!!!」
ルドミラが握った睾丸を潰した。
そのためか、男の決意のせいか。
絶叫する男の亀頭の先から、ドクドクと勢いよく精子が噴き出した。
■
「あは。出来たじゃない」
ルドミラが目を輝かせて、男の精子を指ですくった。
「あら」
握った片方の手を開くと、潰した睾丸をそのまま千切り取っていたことに気付く。
荒く息を吐き続ける男を見下ろし、彼がこちらを見るまで待つ。
その間、何となく潰した睾丸を口の中に入れて味わった。
そして。
あらゆる感情と激痛でぐしゃぐしゃの顔の男の視線を受けながら。
ルドミラは、指先をゆっくり自分の膣に挿し入れ、男の精子を中に塗った。
「おめでとう。お前の種が、入ったわ」
にっこり笑ってそう言うと、何もかもが限界に達していた男はそのまま意識を失った。
ルドミラは、満足していた。
楽しかった。
所詮、これは交尾の真似事で、魔とヒトで子が成せるはずもないけれど。
小さなヒトの願いは叶えられた。
ルドミラが、叶えてあげた。
本来なら、「役立たず」になったオスはここでこのまま殺して食べる。
「でも」
これは、交尾の真似ごと。
ごっこ遊びみたいなもの。
「お前、私が優しくてよかったわね」
最初に考えていた通り、やっぱりこの小さなヒトを、見逃してあげることにした。
でも。
お礼くらいは貰っておこう。
ルドミラは、裸で倒れている男の股間に手を伸ばす。
大好きな亀頭を千切り、残ったもう一つの睾丸に触れたところで、思い出した。
ここで精を作ってる。
千切られた亀頭のあったところの断面を見る。
精の通り道が真ん中に見える。
まじまじと見つめ、
「また、出せるわけね」
小さなヒトに情の湧いたルドミラは、
生かしてあげるどころか、もっと優しくしてあげる。
つまり。
同属と交尾する時に困らないように。
男の片方の睾丸だけは残してあげた。
何もかもが、初めての経験で、ルドミラは気分がよかった。
ぐちゃぐちゃな死体達と、股間を血と精子でぐちゃぐちゃにした男を置いて、
鼻歌を歌いながらそこを立ち去る。
口の中に入れた彼の亀頭を奥歯でぐちゅぐちゅ噛み潰して味わいながら。
おしまい
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投稿:2012.12.11
良かれと思ってちんこを針責めする魔物の少女の話
著者 としあき 様 / アクセス 16309 / ♥ 1