むかしむかし、あるところに一人の王様がいました。
王様はとても短小で、いつも自分のサイズのことばかり気にしていました。
ある日、王様は言いました。
「ええい、ワシが一番偉いのじゃ。ワシよりデカいなぞ許しておけん。不敬罪じゃ」
なんと王様は、自分のサイズより大きいモノは、
それより短く切りそろえる法律をつくってしまったのでした。
慌てたのは家来の男達です。なんといっても王様はかなりの短小、
普通のサイズの男であれば、確実に真ん中あたりで切られてしまいます。
しかし、それを王様に言える者はいませんでした。
なぜなら、それを言うと、王様が異常に小さいことを指摘することになるからです。
宰相の一人が、お后様に頼み事に行きました。
王様に「男はサイズではない」と進言してもらうためです。
お后様は優しい方でした。
「そうね、男はサイズだけれど、全員切られてしまうのは哀れだわ。
わかりました。口裏を合わせてあげましょう」
ところが、間の悪いことに、ちょうどそのタイミングで
たまたまやってきた王様が二人の話を聞いていたのでした。
怒った王様は宰相を捕まえました。
「お前のイチモツを出せい!」
震え上がる宰相の服を召使に破らせると、
自分の手でナイフを持って縮こまった男の証を切り落としたのです。
あまりの痛さと短さに、宰相は泣き叫びました。
お后様は、なんとか王様をなだめようとします。
「でもあなた、国中の男にこの法律を守らせるためには、
国中の男にあなたのサイズを教えなければいけなくなりませんこと?」
怒っている王様は耳を貸しませんでした。
「かまわん、どうせ全員ワシより短くなるのじゃ。一番デカいのはワシじゃ!」
家来達は、なんとか助かろうと知恵を絞りました。
いつも偉そうな巨根の者ほど恐怖に怯えています。
勇猛果敢と極太の剛剣で知られた将軍が、
少しでも基準の数字を大きくしようと王様に声をかけました。
「男の剣は戦いの場にあってこそ真に役立つものでございます。
なにとぞ陛下の御子息も、有事の時の姿を元に御寸評をなさいませ」
一理あると思った王様は、
皆の前で勃起時の大きさを測ることにしました。
国一番の美女が呼ばれ、王様のやんごとなき局部を淫らに激しく無理やり扱き上げます。
とにかく長くしようとみな必死でした。
しかし王様は、膨張率さえ、いとあはれなるものでした。
大して変わらぬ長さの芋虫が、ただ首を持ち上げた程度にしか見えません。
ためしに隣で脱がされた件の将軍は、
王様の目の前に、大人の腕ほどの大きさのある噂の剛剣を見せびらかすこととなりました。
なにせ国一番の美女が、身の前に淫らな装いで傅いているのです。
とても暴れ馬を収められるものではありません。
嫉妬にかられた王様は、その場で将軍のモノをはねました。
膨張率も人一倍だった将軍は、普通に切られるより短くなってしまいました。
さあ、こうなってしまうと、誰にももう止められません。
王様のみならず、すでに切られてしまった宰相や将軍、他の家来達が、
自分だけこのような惨めでいられるものかと、手当たり次第に切りまくったからです。
国中の男のズボンが脱がされ、幾多の肉茎があはれなる長さで切り落とされました。
まだ切られていない男を捜すため、男は常に陰部を露出して暮らすよう法律が出来ました。
逆らえば根元から切り落とされるので、男達は泣きながらペニスを突き出します。
女装して誤魔化そうとする者も出はじめたため、
女もスカートに穴を開けて、割れ目を見せるように命じられました。
子供たちとて例外ではありません。
いえ、もっとも悲惨だったのは子供かもしれません。
なぜなら、子供のペニスは、どんどん大きくなるからです。
並みの成長をしている少年は、
計られて王様より少しでも長くなるたびに、
何度も何度も先端を切り落とされるのでした。
さて、国中に怨嗟の声が巻き起こる中、王様は非常にご機嫌でした。
無論、城の中でも男たちは股間を隠すことを許されません。
毎日毎日、痛々しい切り株を眺めて、王様はニヤニヤしておりました。
今まで人前で出すことを躊躇っていた王様は、
ついに喜んで見せびらかすようになりました。
王様だけに残っている亀頭を見て、男たちが羨ましそうに歯を食いしばるのを眺め、
大得意で鼻とペニスを高々と突き上げて歩き回ったのでした。
そしてついに、王様のパレードが開かれることになりました。
国中の男たちに、王様の立派なペニスを見せて回る日が来たのです。
下半身を丸出しの兵士と、丸出しの貴族がずらりと並び、
切り株をそろえて行進します。
下半身を丸出しの庶民達がそれを迎え、やけっぱちで王様万歳と叫ぶのでした。
ところが、そのパレードの途中で、
意気揚々と練り歩く先頭の王様を見て、突然笑い出す少年がいました。
どうしたと首をかしげるまわりの大人たちに、
少年は苦しそうに息を切らせて言いました。
「だって、王様小さいよ。一度も切ってないのに、アレだけしかないんだよ?
ちゃんと先っぽまであるのに、あの長さしかないなんて、おかしすぎるよ」
大人たちは一瞬、息を呑みました。
気まずい沈黙がおり、笑い続ける少年の声が、響き渡ります。
しかしそのうち、まわりの大人たちも、クスクスと声を潜めて笑い始めました。
必死に唇をかみ締めて、みんなこらえようとしていましたが、
ふと顔を前に向けると、豪華な冠をかぶったまま、
可愛らしいピンクのキノコをフリフリ歩く自慢げな王様が目に入ります。
誰かが一度、こらえられずに噴出すと、一気に爆笑の波が伝染していきました。
いまさら逃げ帰るわけにもいかず、
王様もそれに続く家臣たちも、顔を真っ赤にしながらパレードを続けました。
もっとも、家来達の顔が赤いのは、彼らも笑いをこらえていた為でしたが。
お城に帰った王様は、あまりの恥ずかしさに、
自分の亀頭をこっそりと切り落としました。
王様はその痛みに熱を出して寝込んでしまいましたが、
傷が治ると、家来達と同じような、目立たない切り株になりました。
みんながこうしておそろいの切り株になると、
王様は前より少し、優しい王様になりました。
将軍も宰相も、兵士も貴族も庶民も、みんな仲良く幸せに暮らしたそうです。
でも新しく産まれた子供達のペニスを半分に切るのは誰もやめませんでしたとも。ええ。
めでたし、めでたし。
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投稿:2013.01.30
短小な王様
著者 自称清純派 様 / アクセス 9071 / ♥ 1