大会当日、母さんが俺と浩太を会場まで車で送ってくれた。
母さん「2人ともがんばってね。試合みたいんだけど、今日は仕事があるから帰らせてもらうね。迎えには間に合うと思うから。女の子に負けるなんてことないようにね!」
プレッシャーになる一言を残して母さんは帰って行った。
今日は道着じゃなくてボクシングのトランクスで参加だ。大会の主催者側が決めたらしい。
浩太と2人で控え室に入り、着替えを済ませた。
浩太「こっちの方が動きやすいけど、なんか変な感じだな。」
圭介「こんなグローブも、つけて戦うの初めてだよ。」
俺たちの横にはキックボクシングをやってるやつと、総合格闘技をやってるやつが着替えながら自己紹介をしている。
1回戦ってみたかったんだよね、とか言いながら話してるみたいで、結局みんな他の格闘技をやってるやつと戦ってみたくて参加したみたいだ。強そうなやつらばっかりだ。
圭介「そろそろ時間かな。行こうぜ。」
浩太を誘って控室を出る。
俺は浩太と別れてAブロックの会場に向かった。
第1試合の前に点呼が始まった。俺の相手はさやかって子みたいだ。俺より15センチくらい小さい小柄な女の子だ。
正直初戦は温存できそうだ。
点呼が終わり、試合が始まった。
さっきのキックボクシングのやつと、他の道場の空手のやつの試合だ。
他の道場のやつはそんなに強くないみたいで、1ラウンドであっという間に負けた。
キックボクシングのやつ、相当強そうだけど、俺ならなんとかなりそうだ。
早速俺とさやかの試合が始まった。
思った通り、さやかは非力で、動きも鈍かった。
ただ、少し打たれ強くて、なかなか倒れない。ガードもめちゃめちゃ固い。
10発近く殴っただろうか。最後のパンチでやっとふらふらっと倒れた。
だけど、5カウント目にはもう立ち上がった。
圭介「とっとと3ダウンさせるしかないか」
また何発も何発もパンチを入れる。さやかのパンチは遅いし弱いから、簡単に受けきれる。キックもほとんど防ぎきれた。
またさやかがふらふらっと倒れた。
さて、次でおしまいだ。とっとと終わらせよう。
俺はまた、さやかに攻撃を仕掛けた。さすがに体力がなくなってきたのかガードが甘くなっている。
さやかにとどめの一撃を喰らわせる。手に強い衝撃が伝わってくる。さやかのダウンは間違いない。
と、同時に圭介の金玉に強い衝撃が走る。
圭介「!!!」
攻撃にばかり気がいき、蹴りを入れられてしまった。
ファールカップをしてないため、半端じゃなく痛い。
なんとかさやかが倒れるまで持ちこたえ、圭介は倒れずにいることができた。
さやかの負けが決まった瞬間圭介はその場に膝をついた。
あまりの痛さに吐き気がする。股間を抑えたが金玉がない。
衝撃が強すぎて腹に上がってしまったみたいだ。
それを見ていた審判が腰をたたいてくれた。負けたはずのさやかはくすくす笑ってる。
危なかった。3ダウンのルールがなければ間違いなく負けてた。
俺は次の試合まで控室で休むことにした。
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投稿:2013.02.28
「金的あり、ファールカップなし」2
著者 リトルジョー 様 / アクセス 13169 / ♥ 8