審判のおかげで金玉は無事に、玉袋の中に下りてきたけど、まだかなり痛む。
しばらく横になろう。次の試合まで30分はある。
横になって休んでいると、総合格闘技のやつが担架で運ばれていくのが見えた。
白目をむいて痙攣している。
空手の大会でもこんなの見たことない。恐怖と金玉の痛みで吐き気がした。
護身術教室が主催だから、スタッフは女の人ばっかりで、あんなでかいやつを運ぶのは大変そうだった。
廊下に出て様子を見ると、どうやら救急車に乗せられたみたいだ。
あいつをあんなことに出来るやつがBブロックにいるのか…。浩太が心配だ。
控室に戻って休んでいると、さっきのスタッフの人たちが話しているのが聞こえた。
スタッフ1「大丈夫かしらね、あの子。」
スタッフ2「どうだろうね。すごい苦しがってたけど、私たちにはあの痛みはわからないからね。」
スタッフ1「ほんと、あんなのぶらさげてなくてよかったよね。つぶれちゃってたりして。」
スタッフ2「あはは!かわいそー!」
そうか、金玉を蹴られたんだな。
スタッフたちの会話を聞いてぞっとした。きっと蹴った女も躊躇なく金玉を蹴るんだろうな。
浩太の無事を祈るしかなかった。
Aブロックに俺より強いやつはいなかった。キックボクシングのやつも倒し、俺は決勝に残ることができた。
Bブロックの決勝が始まったみたいだ。
そこには浩太と、俺と同じくらいの身長の女の子がいた。
Bブロック決勝にいるってことはさっきの総合格闘技を病院送りにした女だろうな。
浩太はここまで楽勝だったのか、動きに疲れは見られない。
けど、表情は明らかに恐怖で凍りついているようだった。
1ラウンドの終盤、浩太が一気にスピードを上げた。
重い攻撃が女の子を襲う。あんなの俺でも耐えられるかどうかわからない。
ついに、女の子が耐えきれずに膝をついた。
だが10カウントの前に時間がきて1ラウンドは終わってしまった。
2ラウンドが始まったが、女の子はあまり攻撃をしない。
だが、浩太が再びダウンさせようと猛攻撃を始めた時だった。
女の子が浩太に急接近したと思うと浩太の股間に膝を入れた。
あんな重い膝蹴り、腹に入ったって立ってられないのに…。
浩太はその場に倒れると、苦しそうにうなり始めた。
Bブロックの審判は女の人で痛みがわからないのか、こんな状態なのに呑気に10カウントまで数え上げた。
浩太も担架で運ばれて行ってしまった。
女の子は友達のところに戻っていった。
友達「決勝おめでとー!さすがは麻美!」
麻美「いやー、楽勝楽勝!金的ありだとこんなもんかって感じだよね。」
友達「ファールカップもしてないんでしょ?」
麻美「めっちゃぶにゃっ!って感触伝わってくるよ!」
さっきまであんな試合してたのにもう楽しそうに友達と話してる。
俺はこんな女と戦わなくちゃいけないのか。
全身に寒気が走り、体が震え始めた。
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投稿:2013.02.28
「金的あり、ファールカップなし」3
著者 リトルジョー 様 / アクセス 22381 / ♥ 11