201X年 iPS細胞による各種の研究・実験により人間の精子卵子を政策することに成功。そして202X年政府は少子化対策の一策になるとして実用を許可した。
それから数年後の世界はがらりと変わった。
不妊症の人や同性同士で子供が作れるようになったりしたため出生率は増加した。
しかし、悪影響もあった。それは親が男児の睾丸を切り取ってしまうという事例が多発したことだ。「科学で精子が作れるなら睾丸なんて切り取ってしまい性欲を無くしてしまえ。そうすれば勉強に集中出来るし性犯罪する恐れもない」というなんとも強引な考えだったが段々と受け入れられ始めていた。
椎名家も例外ではなかった。
「やべ〜まさか親にエロ本見つかるなんて」
俺、椎名御影(17)は人生最大の危機に直面していた。
母親にエロ本(SМ物)が見つかってしまった。
その時は『そういうお年頃だもんね』と笑っていたが親に金玉取られたなんて話があるぐらいだし……なんて考えてみたけど現実性ないな。
笑ってたし普通に金玉取られたら出血死で死ぬしな。子供を怖がらせて勉強させる都市伝説の一種だろう。「なまはげ」とかと似たような物だろう
もう遅いし寝るかな
………
……
…
「うっ、うん?なんか明るい」
明るさで目覚めた俺は辺りを見回した。手術室のようだ。そして女医が1人いた
「あら、椎名君おはよう。きみは全身麻酔があまり効かない体質のようね」
全身麻酔…言われてみれば感覚がおかしいし体が動かない
「あのここは…?」
「辻石病院の去勢科病室よ」
「What?」
「いい発音ね。あなたのご両親から君の去勢を依頼されたのよ」
「…何かのドッキリですよね?カメラはどこに?」
「本当よ。君、昼にエッチな本を親に見つかったでしょ?
その事でお母さんが色々と考えたらしいの。『この本のように女性に酷いことする大人になるんじゃないか』『こんなにうつつを抜かしていて志望校受かるのかしら』とかね。それでお父さんと話し合って去勢することにしたって」
「そんな…」
「安心して。精子はiPS細胞で作れるから子供は作れるわよ」
「そういう問題じゃないっすよ!!去勢なんかしたら」
「『セックスとかオナニー出来なくなる」って言いたいんでしょ。エッチなこと以外に熱中すればいいじゃない。ナンプレとか楽しいわよ」
「いやいや、そんなんじゃ全然ダメっていうか」
「男がとやかく言うんじゃないの。睾丸と陰茎取っちゃえば性欲も湧かなくなるから悶々としなくなるから。ほら始めるよ。おちんちん切るところ見てみようか」
上体を起こされ衣服を脱がされる。
俺の下半身は鳥肌は立っているのにチンコは縮こまっていた
「許してください。もうエロ本とか見ませんから」
口にガムテープを張られた
「ちょっと静かにしてて。じゃないと失敗してあなた死ぬわよ」
チン毛が剃られていく。無毛とか不格好だし恥ずかしすぎる。でも今なら取り返しが効く。
必死に声を上げるが見向きもしない。
剃り終わるとアルコール消毒された。少しだがスースーする。感覚が少しはあるようだ。
「始めるわよ。まずは睾丸よ。見やすいように鏡置いとくわね」
股下に鏡が置かれ玉の全景が見えるようになった
玉袋の丁度真ん中にメスが当てられ血を流しながら上から下へと裂いていく。
裂かれた俺の玉袋に女医の指が入っていく変な感じがする。
一瞬下腹部に痛みが走ると
「ほら見て。君の睾丸よ。金玉とか言われるけど金玉って白いのよ」
裂かれた玉袋から管から垂れ下がった白い卵状の物が見えた。けどそれが俺の金玉だと信じたくなかった。
「これが精管よ。ここを精子が通るし栄養送ってるんだけど…チョッキン」
夢だ。これは夢なんだ。俺の金玉が体から離れ地面に転がっているはずない
「もう片方もチチョッキン」
地面にある二つの物質がなんであるかなど考えたくない
でも、実際は理解している
俺は金玉を取られ男でなくなったんだ
絶望、喪失感から涙が止まらない
「あら、泣かないの。おと…男じゃないけど泣かないの。次は陰茎よ。一気に行くわよ」
もう何も考えられない。チンコまで取られたらどうやってセックスとかオナニーすれば
「あっ、この陰茎は切らなかったとしても使い物にならないわよ?睾丸がないと勃起しないから。だから諦めて」
もうダメだ…あの快感が無い世界なんて生きる価値ない
「それじゃ、せ〜のブッチン」
一瞬激しい痛みの後に「ぼすん」と物が落ちる音がした。
チンコがあったはずの場所には何もなく目に留まるのは流れ出す血だった
「後は止血と尿道を下に下げて…」
何か言っているようだがもう何も頭に入らない、考えられない。
数日後、俺は股間に巻かれていた包帯を取った。
そこには用を足すための穴だけがあった。
もう何の感情も湧かない。何もする気が起きない。
さらに数日後、学校に男として戻った俺は周囲に笑われ、いじめられた
そして今、俺はカッターを手首に当てた
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投稿:2013.04.27
近未来の日本
著者 南京玉簾 様 / アクセス 12142 / ♥ 3