黒井は指定された電車に乗るとメールで指示された車輛へと移動する……平日のアキバ行きはなんだかんだと乗客が多いが変身を遂げたショウを見つける事は簡単、以前何処かの深夜番組で彼は女装した事がある思いのほか関係者には好評だったが両親が嫌な顔されたからよく覚えている……あの二人は事故死したのは韓国だ……捜査能力が無さ過ぎて事件性も見抜けないかもしれない。
ショウはアキバで降りると持たされたスマホに入力されたナビに従って歩く……黒井も周囲に溶け込んで彼から数メートル後を歩いていた。その間に大先生から電話が掛って来た。
『どうかね?』
「……言葉が見つかりません」
あれで女性には無い筈の下半身の膨らみがあるから恐ろしい……絶対にスカウトはダマされるだろう。やがて大先生がプロデュースしているTAG48専用劇場近くの雑居ビルへと入り、黒井も続く。
「く、黒井さん」
「驚いたよ……ったく、ここまで変わるとノーマルじゃ無くなるな」
エレベーターに乗り込み、スマホに映し出された二次元コードをエレベーターの操作盤には無い筈のカメラに翳すと下がり始めた。
「黒井さん」
「俺だってここまでは知らない」
エレベーターが止まると広大な空間が広がり、宛ら劇場にも見える……奥にはステージがあり、観客席も円形のテーブルが点々と配置されている。
「驚いたかね」
「大先生……」
「ここは元TAG48の劇場だ」
「え?」
その言葉に黒井が声を上げると大先生は苦笑し座席に座る。
「TAG48は本当は各事務所の枕営業やら訳在りの子を集めた寄せ集めのグループだ……伝説になった路上パフォーマンスも羞恥プレイだったが、思いのほか人気がでてしまってね……この事は私と側近セブン、スポンサーしか知らない事実だ」
側近セブンって言うのは夏元 大二郎氏を師匠と仰ぐベテラン愛弟子であり名物プロデューサー達、其々アイドルプロデュースを成功させた業界人だ。黒井にとっては雲の上の人……TAG48が世間に知られるようになったのはアキバの路上天国イベントにてお披露目され、世間に衝撃を与えた。
「さあ、黒井君……部下が待っているぞ」
「は、はい」
「私はオブハーザーとして同席するがいいかね?」
ショウは黒服の男達に誘導される。
会議室に入ると顔馴染みの同業者らが頭を下げるも黒井は言う。
「正直言って、この手の事は慣れて無い……迷惑をかけるかもしれない」
「委細承知しているさ。黒井……いや黒井支配人」
そう、劇場の支配人でもあるのだ。オーディションの項目を話し合う……大先生は静かに愛弟子らを見ていた。
数週間後、StMR9の選抜メンバー9人と候補生がマスコミ発表された……全員の出身地は非公開となっているのは起こりえるトラブル防止の為だ。清楚な衣装に生える美少女達……黒井支配人は思う。マスコミは彼女達の下着には肉棒がある事すら疑問に思わないだろう。
数日後、ショウは劇場の楽屋にて着慣れてしまったスク水を整える。年頃の娘よりも膨れた胸とお尻、そして特殊ホルモンにより肉棒は固くなる。彼は選抜メンバーになり、世間でも人気が鰻上り状態……しかしそれはこの劇場内でも同じ事であった。数々の競技を勝ち抜けて座を射止め、今や一晩の恋人予約が取れない子で、数ヶ月待ちは当たり前だ。
「ショーコ、行くよ」
別のアイドルグループだった子も同じくスク水だ。
「今日は黒人さんが居るって」
「研修生耐えられるかなぁ……」
二人はドキドキしていた。自分達が白液に溺れる姿を……
終
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投稿:2013.06.20更新:2013.06.25
アイドルグループ StMR9 Ⅳ
著者 kyousuke 様 / アクセス 8958 / ♥ 0