千円を入れてガラガラとダイヤルを回す。
ち〜ん と音がして透明なカプセルが取り出し口に落ちてきた。
「ねえ、ねえ、何番」
沙希が待ちきれないように麻耶の手元をのぞき込む。
普通のガチャポンと違って入っているのは番号の書かれたカードだけ。でも、それは男たちにとっては運命の赤紙。
「35番だわ」
麻耶がつぶやくと沙希は部屋の中を見回した。壁には全裸の男たちが透明なカプセルに入れられている。コンクリートの打ちっぱなしの部屋に標本のように何十人も男の裸が並んでいる。体毛の処理はしてあるのだが、あまり美しい光景ではない。
35番は部屋の隅の方にいた。痩せて顔色のよくない男だ。
「はずれだあ」
ここ「ワクワク去勢ランド」では1回千円で人間の男の去勢ができると評判だった。去勢したソレは樹脂加工して保存できるようになり持って帰ることもできる。もちろん、イケメンのソレが人気なのだが、なかなか当たるものではない。
二人は35番の前まで来て、カードをスリットの中に入れた。
カプセルのカバーがスーッと上がって中の男が全身あらわになった。
35番は、自分の運命を知って、手足を縛りつける赤い紐を解こう暴れている。もちろん、解けることはあり得ない。
「やめて〜!やめて〜!」
「ちょっとうるさいな」
カプセルの横からテープが現われて口を塞ぐ。
二人はしばらく暴れる男を眺めていたが、不意に麻耶が手をパチンと打った。
「どうしたの」
「思い出した!」
「えっ?」
「これ、安藤だわ、ね、そうだよね、安藤くん、安藤くんでしょ?」
男の動きがぴたりと止まる。自分の名前を呼ばれてびっくりしたらしい。
「誰よ、安藤くんって」
「沙希は知らないだろうけど、○学のとき同じクラスにいたのよ。よく実習に使われて鳴いていたわ」
最近では、どの○学でも、クラスの男子の何人かは性教育の教材の使われる。実際は教材という名目でいじめのはけ口にしているのだが、ありとあらゆる辱めを受けるタイプがどこでもいるものだ。
「その成れの果てが去勢か・・・」
帝國男子法では、成人後、心理テスト(去勢テスト)が行われて、帝国男子にふさわしくない結果が出た男は去勢される。「ワクワク去勢ランド」もそんな去勢施設のひとつだ。性教材として使われた経験のある男子は、どうしてもそういう去勢テストに引っ掛かる場合が多い。
「ふうん、そうなんだ。ほんとは嬉しいんでしょ。ついに去勢してもらえるのよ」
沙希が備え付けの金属棒で安藤のペニスの先をつついた。去勢前にはこうしていたぶってもよいことになっている。
「やえてぇ」
口のテープ越しに声が漏れる。
「ほら、もっとやってほしいって」
沙希の声に麻耶は唇を歪ませた。
「じゃあ、久々にやってやるかな」
そう言って、もう1本の金属棒を安藤の肛門に差し込む。そしてスイッチを押すと安藤の腰がぶるぶる震えた。「電流と性器」というおなじみの実習課題だ。痛いはずなのだが、安藤のアレはむくむくと勃ち上がってきた。
そんなこんなで5,6分いたぶると、もう安藤の亀頭は先走りでどろどろになってきた。
「じゃあ、私たち忙しいからそろそろ去勢するね、安藤くん」
安藤は激しく首を横に振る。
麻耶は手元のスクリーンに表示された「去勢めにゅー」から「機械去勢」を選んだ。
去勢は、ナイフによる切り取り、はさみによる切断も可能だが、どうしても手が汚れる。機械去勢は機械的に去勢するので直接ふれる必要はない。
「機械去勢」画面に「まるっと」、「玉残し」、「竿残し」、「クレーンゲーム」が表示される。「まるっと」はもちろん、睾丸も陰茎も合わせて取り除く、「玉残し」は陰茎、「竿残し」は睾丸だけを切除する。
麻耶はクレーンゲームを選んだ。
「あらやさしい」
沙希が不満げな声でつぶやいた。
「クレーンゲーム」では切除器具が移動して持ち上げたり、カットする。この場合、うまくすると玉も竿も抜けて去勢できないケースもある。去勢用男子としては救われる唯一のチャンスだ。もっとも、勃起していると逃げるのは難しい。
「だって、安藤のなんかきもくて。カリだけでいいわ」
ぐい〜ンぐい〜ンと音がして安藤の身体がゲームセンター中央に運ばれ、大きく股間が開いた状態で仰向けに固定された。安藤のペニスが半濡れでてらてら光っている。
「ホラ、安藤くん、勃起しているとちょんぎられちゃうぞぉ」
沙希がからかっている間、麻耶は股間の開き具合を調整していた。脚を120度に開いてOKを押すと上から透明なケースが降りてきた。
銀色のいかにも切れそうなナイフが仕込まれたキャッチャーがケースの上からぶらさがっています。
麻耶は緑のボタン、黄色いボタン、赤いボタンそしてまだ勃ったままの安藤の股間を順に見た。
「沙耶見てて」
「おっけー」
沙耶が横に回ると麻耶は緑のボタンを動かした。これは左右。安藤の体軸に沿ってその上を動いていく。安藤がおびえた眼でそれを追う。
麻耶がもう一度ボタンを押すと、キャッチャーは停止した。
ちょうど、ペニスとキャッチャーは同じ位置に見える。
「行くよ」
「おっけー」
麻耶が黄色いボタンを押すと、キャッチャーは奥へ移動し始めた。いち、にい、さん・・・
「はい」
麻耶がもう一度ボタンを押す。
「麻耶、ちょうどいい! ほら、安藤、引っ込めないとぉ・・・」
キャッチャーが降りていく。キャッチャーはちょうどペニスを包む位置でいちばん下まで行って止まった。
「棒だけだね」
「じゃあ、行くよ」
麻耶が赤ボタンを押す。キャッチャーが徐々に上がっていく。
「今だ!」
もういちど赤ボタン。
キャッチャーがガチャンと音を立て血しぶきが上がった。
「やったぁ!」
しばらくして取り出し口から安藤くんの亀頭が樹脂加工されごろりと転がり出てきた。
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投稿:2013.08.06更新:2013.08.09
ワクワク去勢ランド
著者 ちょっきん娘。 様 / アクセス 15971 / ♥ 3