ここは、獣人が多く生息する世界。
おーい、そこの君、俺のこと見てるかい?
俺は、この世界での、君の分身かもしれないな。
俺は、肉食獣人で、かなりきままな旅人。
草食獣人に生まれなくてよかったぜ。友達にもいるが、あいつらは、オリザベートとかの野菜を栽培して、生活してるから、何かと現金が必要だし、忙しそうだからな。
俺ら、肉食獣人は、衣食住あんまり金かかんない。
衣、毛あるから、いらねー。大事な所も普通に毛で隠れるし。
食、腹減ったら、そのへんの狩場で、狩って食う。俺は小動物と昆虫が好物だ。
住、のっぱらで寝ても、風邪ひかねーし、まあ、あっても無くてもいいか。
俺は、まあ、現金貯めるのも好きじゃないし、贅沢も好みじゃない。
肉食獣人は本能的にそうだから、狩場の資源が枯渇しないのさ。
とはいえ、やることも無いし、時々 旅してる。
よい狩場の近くには、自然と 肉食獣人の町ができる。
草食獣人もやってきて、商売はじめたりして、にぎわう。
そして、その狩場は その町の管理の、公共の狩場となる。
旅人にも使わせてもらえるって わけさ。
俺は、そんな町をまわるのが、好き。
しかし、ある町で、とんでもない出来事にでくわした。
自分の町なんてきめちゃいないが、友達のオリザベート畑のある町から、遠く離れた、はじめて来る町だった。
公共の狩場が自由に使えるか確認し、俺は早速、狩をした。
俺のぶんと、町の料理屋におろすぶんを狩った。かなり豊かな狩場だ。
とはいえ、料理と宿屋代が稼げれば良いから、その程度しか狩らないが
じゅうぶんに、楽しめそうだ。
獲物を料理屋におろし現金化、まあ だいぶ町を見物した。
そこらじゅうに、花が植えられたキレイな町で、香水と合成香料が発達した町だ。
ほかの町から来た、商人達もかなり多く、にぎわっていた。
しかし、そんなキレイな町に につかわしくない、異常な光景を目撃した。
メスがオスを狩っている!!!。
オリに入れられ、運ばれてゆくオス達。
町の住人達も「いつものこと」と言わんばかりに、何もしない。
「狩っている」というより、「おとなしく、したがっている」と言うのが正しいだろう。
しかし「あれは、狩りだと」、俺の本能がそう言う。
オリの中に、多くのオス達がいるが、そのうちの2〜3人から、助けを求める匂いがするからだ。
狩りだとするなら、メスがオスを食うのか?、我ら 誇り高き獣人族が、共食いなどという、非人道的な行為をするのか?
俺は、密かに 後を追った。
コンクリートの廃墟へとついた。
俺は隠れながら、捕まっているオス達に話しかけた。
「俺は旅人だが、これはどうゆうことなんだ?」
「いつもの、定期検査だよ。検査に不合格のオスは、体の一部を 食用に提供される。」
ここに来てから、体の一部が無いオスなんて、見かけない。
「体の一部って、どこ?」
「検査で異常が見つかれば、切除されるんだ。」
「異常が見つかるなんて、恥ずるべきことだから、聞かないでくれよ」
我々獣人は、ウソをつけない。そんなことをすると、フェロモンとか言う匂いで、ばれちまうからだ。
密室で一人めの、検査がはじまった。俺は、密かにのぞいた。
白い犬か熊の獣人、見たところ大工だろうか、彼はメスに台に固定され、赤いロウソクのロウを、たらされた。
なんだこれは?これが検査?
検査をするメスは、はじめは毛のある所へ、そして、彼の皮膚の露出している部位に、ロウをたらしはじめる。
「熱い?、熱かったら、タマタマ一個もらうからねー、サオのほうがいいかしら。」
「ねえ、答えてよー。答えなくても わかっちゃうんだけどね」
「熱くなんか ねぇぞ!」(しかし、熱いと匂いで言っている)
「検査、不合格。でも 軽い異常ね。サオの先 1cmの切除か、タマ1個で大丈夫よ。よかった。」
そうゆうことか!、この検査、ただのデタラメだ。我々 獣人は、大事な所は毛で普通に隠れてる。大事な所を、食用に狩られてたまるか!!!
俺は、とっさにとびこみ、検査をしている彼女から、ロウを奪った。
「こんなもん!、熱いにきまってるじゃねーか!。かけてやる!、かけてやるぞ!コラ!」
俺は、検査をしている彼女へ、ロウをぶっかけた。
「イヤン。そんなの、熱いなんて、熱いなんて 言えないわ!」
しかし、匂いは「それは普通に熱い」ということを、プンプン物語っていた!
「こんなことしてる町なんて、おまえら、異常だぞ!」
「私、オスしか感染しないはずの病気に感染しちゃったの? そんなの イヤン!」
俺はウソをついていない、声でも匂いでも、外にいる連中にも伝わったはずだ。これでこの町の悪しき風習は無くなるだろう。病気や感染じゃない、異常な風習なのだ。
しかし、奥のほうから、しなやかな動きで、妖艶なメス達が、数人現れた。
「おまえら!、なぜこんなことをする。公共の狩場には 食材が豊富だ、じゅうぶんに食っていけるだろ!」
「おいしくないのよ。一度 あれを味わってからはね。」
「あなた、旅人さん、タマタマ二つとサオも、ぜーんぶ 食べちゃおうかしら」
「でも、一個とっても、たいがいのオスは、もう一個くれるわよ」
「え!!!」
そもそも、オスの場合タマタマを取られると、匂いによる情報は出せなくなる、ウソがつけるようになるって、誰か偉い学者が言ってたな。
つまり、タマタマを取られることが、恥ならば、1個取られたなら「検査合格だった」と言ってもウソがばれる。この町のれんちゅうは、1個取られたら 2個とも取ってもらい、ウソをつきとうしていると言うことか?
合成香料が発達していたのは、匂いの情報の代用品か?
もし、検査員に、サオを取ることを選ばれたら、ウソをつきとおすためには、結局タマタマも!!!。
思い出したぞ、ここに来る前、オリの中から助けを求める匂いを出したのは、2〜3人くらいだ。
のこりの大多数のオスは、匂いを出さなかったんじゃない、出せなかったのか?
検査をもっともらしく見せるための、ダミーか?、それとも ここのメス達は、タマ無しのオスのサオも狩ろうと?
いずれにしても、ヤバすぎる 俺はどうなる、、、、
検査員のメスが言った
「私、オスの皆様のために、まじめに検査してたはずなのに、だまされてた?、そんなの、そんなの、ありえない!!!」
そう言うと、泣き崩れた。
基本的に、オスもメスも、基本的にウソは匂いでばれる。だますなんてありえないのだ。
「旅人さん、こんだけの人数に囲まれて、力の弱いメスには負けないなんて、思ってるでしょう?」
「ああ、そう思う。それに 匂いをかぎつけて、誰か来るだろ?」
そう言いながらも、不安半分だと 匂いでわかるだろう。
「ここは、空気の淀む所、匂いは外へ出ないわよ」
一人匂いのしないメスがいる。こいつ、まさか!
「おさっしのとうり、元オスよ。この組織、この仕組み、私がつくりあげた物よん。」
絶体絶命だった。
その時、外から 多くのオス達が助けにきてくれた。
あの泣き崩れた検査員が、知らせてくれたらしい。
こうして、共食いのメス達は、この町から、追放され、この事件は、ネットワークで報道されたのだった。
しかし、しばらくして、、、
ネットワークに、こんな奇妙なコマーシャルが、
「あなたの???、安全に取り去ります」
あのメス達だ。繁殖能力を失ってでも、ウソをつけるようになることは、この世界、けっこう需要はあるらしい。
ん?まてよ、、、
あのメスども、あいつら、町からの追放じゃ刑が軽すぎじゃないか?
あの町のオス達、ウソをつく能力を得るために、わざとタマタマを取られて いたのかもしれない。ほかの町からの商人も、もしや、、、。
完。
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投稿:2014.04.27
獣人世界 共食いの町
著者 毛もじゃ 様 / アクセス 7473 / ♥ 0