赤い凶刃と呼ばれたヤーコフについての考察。
著,イワン
まず最初に、ヤーコフは我々の観点から見れば狂人だが、彼なりの倫理観が有ることを最近気付いたので、このレポートとは名ばかりのメモを書く。
1、ヤーコフは、一般的な犯罪を嫌悪している。
彼は、この点について実に好青年じみた反応をする。もし、親が子供を虐待しいたのを見たら彼は止めに入り、親に彼なりの制裁を加えるだろう。
ヤーコフの目が光り、止めてくれと泣き叫ぶ両親から性器を切り離して行くのだった。
彼、ヤーコフの考えでは、親が子供を虐待するのは性ホルモンの乱れ等と解釈しており、彼にとってはこの行為は治療であった。
過去には、鬱病等の患者が去勢されたりロボトミーを受けたり、睾丸有柄移植事件や各国で行われていた断種法等、人間は性に対し近年まで、人権等と言うことを考えていなかったのである。
だからこそ、これは医療行為とヤーコフは、間違いなく行うのだ。
2、彼、ヤーコフは実に進歩的な人間だが、様々な哲学、神秘学、保守的な考えと過剰な女性優位な考えを併せ持ちつつ、男尊女卑が根底に巨大にある独特の性別観と陰陽思想、色々な宗教の男女観を持ち、女性と男性は別の生き物で互いに主権争いをすると言う持論で彼が、人間に対する行動は成り立っている。
しかし、ヤーコフは天才故の孤高が生み出す孤独で歪んだのでは無いだろうか。過去の歴史の偉人達が、当時理解されなかったように、何をしても理解されないのは、辛い事だろう。
「ヤーコフ、何をしてるんだい?」
イワンは、声をかけた。
「論文の準備だよ。」
この時の顔を私は、忘れられない。誰よりも悲しそうで……私が話しかけると仮面を被ったかの様に表情が変わったのだ。
3、ヤーコフが何故手術に拘るのか。
彼は、手術こそが犯罪者等を救う救済方法だとして動いている。
メスが手術台の無影灯に照らされ輝く。
「許されたいかね?」
ヤーコフの笑みは最高潮に達していた。
「俺が、悪かったから許してくれ!」
この返事をしたのは、この国の腐敗官僚である患者番号1128である。
「許されたいなら行動で示せ。悔い改めよ、さすれば主の元に導かれん。救済の開始だ。」
ヤーコフのメスが患部をなぞり切り裂いた。
「ウガァァァァァ!アァアァアァァァァァァァァァ!!」
ヤーコフの絶妙な麻酔量で一番恐怖を感じる痛みが患者を襲う。
「神に祈れ!祈れば救われん。動こうとすると足の動脈が切れて死ぬよ。」
ヤーコフは、言い終わった後で歌を歌い始めた。
患者の男には、股間に擬似睾丸と周りの肉で形成したぺニス、その下に排泄用の穴と女性器を形成し、刺青で太股から腹までレースのショーツを模したモノが書かれていた。
「ドイツから設備を輸入出来んのかな?イタリアでも良いが。」
ヤーコフは、チラリと患者の方を見ると
「あぁ、お前の家族も手術するから安心しろよ。」
ヤーコフは、罪の重さで手術の仕方を変えるのだ。
患者の目は、まるで沼の様だったがそこから一筋の綺麗な雫がこぼれ落ちて手術台の枕に浮かんで行った。
私、イワンのメモはここまでだ。これを見て知りたければ、我が国に来て国際援助で建てられた立派な中央病院に来ると良い、一般患者としてならアメリカやドイツ、日本にも勝る医療が味わえる。
もし、裏の患者としてなら君は気が狂う程のもてなしをヤーコフから受けるだろう。
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投稿:2014.08.23更新:2014.08.29
ヤーコフの論理について
著者 東側 様 / アクセス 6409 / ♥ 1