ベッドの端に腰をおろしたまま、内田和夫はボンヤリと部屋の様子を見渡した——四方の壁には、明るい色でアニメのキャラクターがプリントされた壁紙が貼ってあり、フワフワと感触の良いカーペットの上に、無造作にランドセルが投げ出された机や椅子が置いてある。壁際には白い木製のタンスが据えられ、その横の棚には、所狭しと様々な種類のヌイグルミや人形が飾られている——それは、絵に描いたような子供部屋の光景だった。
微かにドアが軋む音が聞こえてきた。
ハッとして振り向いた和夫の目に映ったのは、三十歳前後の、どことなく陰のある女性の姿だった。和夫はそっとベッドから降り立つと、やや意外そうな表情を浮かべて女性に言った。
「……あなたが僕の相手?」
すると女性はクスッと笑い、僅かに首をかしげるような仕草をしてから応えた。
「いいえ。私みたいなオバアチャンじゃ、御不満でしょう? 私はここの支配人です。お客様の御希望に沿うような子をお連れしただけですわ」
そして、彼女は一旦廊下に出ると、さっきからドアの背後に隠れていたらしい少女の体を抱き上げるようにして部屋の中に連れて来た。
少女の年齢は十一〜二というところだろうか。襟の広い純白のブラウスに、プリーツの多いチェック柄のスカートといういでたちで、顔を伏せて体を小刻みに震わせている。
少女のそんな様子を目にするなり、和也は背中を電流が駈け抜けて行くような、ゾクッとする感触を覚えた。同時に下腹部から、ジーンとするような疼きが伝わってくる。胸が高鳴った。
「……いかがですか? お気に召さないようでしたら別の子を連れて来ますけど……」
女性の声が、どこか遠い所からの声のように聞こえてきた。
和夫は大きく手を振ると、慌てて応えた。
「あ、いいえ。一目で気に入りました……この子に決めます」
「そうですか。それでは、今から二時間——十時まではお客様にお預けしますので、たっぷり可愛がってあげてくださいね」
「ああ、はい……」
「じゃ、理沙ちゃん——お客様の言うことをちゃんと聞いて、くれぐれも失礼のないようにね」
女性は最後に、少女に向かってそう言うと、静かにドアを閉めて出て行った。
部屋に残された和夫は、胸の奥からフツフツと湧き上がってくる欲望のために妖しく輝く目で、改めて少女の体を見据えた。
——内田和夫は現在、U大学の三年生である。とはいっても、大学の講義には殆ど顔を出したこともなく、期末テストにしてもまともに受けたことはない。それでも教授のお情けで、リポート提出と追試験によってなんとか留年だけは免れている。
もっとも和夫にしてみれば、留年したところでたいして気にはしないだろう。むしろ、学生でいられる期間が伸びたと言って喜んでみせるかもしれない。そんなバカな、とみなさんは呆れるかもしれないが、彼が故郷から遠いU大学を選んだ動機を知れば、彼のそんな態度を容易に納得していただけるだろう。
和夫は、親元を離れて自由に遊び回るためにわざわざ故郷から、ここW市に出て来たのだ。そして、W市にある大学がたまたまU大学だったにすぎない。大学への入学は目的ではなく、一人暮らしを始める方便でしかなかったのだ。運良く受験にパスした和夫は早々に故郷を離れ、安アパートを自分の城として新しい生活を始めることになった。遊ぶための資金を稼ぐために昼間からアルバイトに精を出し、夜は街中をウロウロと徘徊するのだから、講義に出ている時間が有る訳がないのだ。
そんな生活を三年間も続け、普通の遊びに飽きてきた和夫が何か目新しいことがないかと考えていた時にどこからともなく耳にしたのが、「少女売春」の噂だった。それも、女子高校生や中学生ではなく、まだ幼女と呼んだ方がふさわしい少女の売春が行われているというのだ。元来そういう趣味がないでもない和夫にとって、その噂はひどく刺激的なものだった。彼は早速、噂の跡を辿ってみた。
そうして辿りついたのが、『子猫の家』という秘密クラブだった。
そして彼は今、街から離れ、すぐ目の前にK山が迫っているという寂しい場所に建つ、古い洋館を改装したものらしい『子猫の家』の(少女らしいムードを演出るためにわざと普通の子供部屋の内装を模した)一室で理沙という少女を紹介され、噂が決して嘘ではなかったことを自分の目で確認したのだった——。
理沙はやがて、おどおどと顔を上げると、引きつったような笑顔を作って和夫に声をかけた。
「……理沙といいます。どうぞよろしくお願いします……」
和夫はカラカラに乾いた唇を舌で舐め、優しげな声を作って応えた。
「理沙ちゃんか、いい名前だね——何も怖がらなくていいからね、おにいちゃんに全部まかせておけばいいんだから」
「……はい……」
「じゃ、早速だけど服を脱いでもらおうか……あ、いや、おにいちゃんが脱がせてあげよう。そのまま、じっとしてるんだよ」
和夫はそう言うと、微かに血走った目を理沙の胸に向け、ブラウスのボタンに指をかけようとした。
理沙が思わず身を退く。だが、背後のドアに阻まれて、あとずさりはできない。
和夫は再び自分の唇を湿した。そのピチャピチャという音が、まるでいやらしい獸の舌なめずりのように部屋中に響く。理沙は怯えたように耳を手で塞いだ。その顔から血の気が退いてゆく。
「おや、どうしたんだい……なにをそんなに恐がってるのかな?」
クックックッと声を押し殺して笑いながら、尚も優しげな口調で和夫が言った。
「あ……いえ、なにも……」
理沙は小さくかぶりをふってみせた。だが、体は正直なもので、無意識のうちに和夫の手から逃げるように、今度は壁に沿って横へ移動し始めている。
「じゃあ、どうして、おにいちゃんから逃げようとするのかな?」
唇の端を吊り上げるような笑顔のまま、和夫はそう言うと、不意に左手で理沙の髪を掴んだ。そして、思わず目をそらそうとする彼女の顔を強引に自分の方に向けさせて言葉を続ける。
「どうやら、聞きわけのない悪い子にはオシオキが要るようだねえ」
言うと同時に、和夫は右手を高く振り上げた。理沙が咄嗟に自分の手で顔を庇おうとしたが、もう手遅れだった。パーンという激しい音が、部屋中の空気を震わせた。
理沙の頬が、和夫の手の形に合わせて赤く染まった。
衝撃で理沙は姿勢を崩したが、和夫が彼女の髪を掴んだままのため、まるでマリオネットのように不自然な姿勢でかろうじて倒れずにすんだ。しかしそれは、そのまま倒れこんでしまうよりもひどい苦痛を彼女に味わわせる結果になった。突然、理沙の目から大粒の涙がこぼれ、幼児がイヤイヤをするように激しく首を振る。
だが和夫は、そんな理沙の様子をニヤニヤと笑って眺めながら、相かわらず静かな口調で言った。
「これでわかっただろう?……おとなしく、おにいちゃんの言う通りにするんだよ」
理沙が、うなだれるように頷いた。和夫は、それまで理沙の髪を掴んでいた手を離すと、ゆっくりとブラウスのボタンに向かって伸ばしていった。
もう、理沙は逃げなかった。まだ幼い少女にとって、暴力は絶対的な命令なのだ。頭では再び逃げ出そうと思っても、頬に感じた激しい痛みが脚をすくませ、心を萎えさせてしまう。
和夫は満足げに頷き、やや不器用な手つきでボタンを外し始めた。一番上のボタンが外れると、本来は雪のように白いのが今は淡くピンクに染まっている首筋が現われる。第二ボタンを外すと、純白の清楚なブラジャーの端がのぞく。三つ目のボタンが外れ、大きくブラウスがはだけると、ブラジャーに覆われた、しかしまだ充分に発育していない胸があらわになる。和夫は、微かに震える指でブラウスの生地をつまみ、スカートの中にしまいこまれている部分をそっと引き出してから、最後のボタンを外してしまった。
更に、スカートのサイドジッパーに指をかけて、そっと引きおろし始める。ジーッという微かな音をたててジッパーは滑らかに開いていったが、途中でなにかに引っ掛りでもしたのか、急に動かなくなった。和夫は小さく舌打ちをすると、一旦は開いたジッパーを引き上げてみた。が、今度は上にも動かない。苛々したような表情に変わった和夫は奥歯をギュッと噛み、ジッパーの両端に手をかけた。そして、両手に力を入れる。ビリッという音が理沙の耳に届いた。慌てて顔を向けた彼女の目に、真中から裂けて金具が床の上に転がったジッパーの残骸が映った。ブルッと体が震える。
和夫がニターッと笑いながら両手を離すと、スカートは理沙の体を滑り、すとーんと床に落ちて行った。
今、和夫の目の前に立っているのは、可憐な妖精の姿だった。淡いピンクに輝く裸体を小さな白い布で僅かに隠し、柔らかなブラウスをまるで美しい羽根のように背中にはおった理沙は、穢を知らぬ妖精そのものだった。
和夫の息が荒くなった。美しいもの、可憐なもの、決して汚してはいけないもの——そういった全ての言葉に代表される存在を、自分が今から穢してやるのだと思うと、胸の奥深くから激しい昂奮が渦巻き、彼の心をふるい立たせ、卑しい悦びで充たすのだった。
和夫の目が充血し、目の前がまっ赤に染まる。一瞬、自分が炎に包まれたような錯覚にとらわれた和夫は体を熱くほてらせ、理沙の体を抱きすくめた。和夫の熱い吐息を首筋に浴び、股間の膨らみを自分の下腹部に押し当てられた理沙は、言葉を出すこともできないほどに怯え、顔を両手で覆った。
理沙の体が不意に宙に浮いた。閉じた目を慌てて開くと、ベッドがどんどん近づいてくるのが見える——いや、理沙の体を抱き上げた和夫が大股でベッドの方へ歩いているのだった。
ベッドのすぐ側までやって来た和夫は、理沙の脇腹を両手で支えて、そっとおろした。自然と、理沙はベッドの上に脚を伸ばして座るような恰好になる。和夫は理沙の正面に立つと、まるで彼女に見られていることを楽しむように、ゆっくりと衣類を脱ぎ始めた。
やや厚手のシャツを脱ぎ捨て、Tシャツを首からすぽっと引き抜き、細身のジーンズを腰から落とすと、ブリーフが残るだけになる。そのブリーフの上からも、和夫のペニスがいきり立ち、獲物を求めて蠢いているのが手に取るように見えた。理沙の顔が恐怖に歪む。
和夫はグフッグフッと下卑た笑い声をあげながら、ブリーフに指をかけ、静かに引きおろした。赤黒い皮膚に青い血管が浮き出たペニスが現われ、理沙の方にそのいやらしく裂けた口を向ける。理沙は思わず息を飲みこんだ。だが同時に、なんとも表現しようのない感覚が体を包みこもうとしているのが感じられる。それは妙に懐かしく、切ない感覚だった。
「さーて、まずはその可愛いいお口でサービスしてもらうことにしようかな」
ブリーフを脱いでしまった和夫は、腰に手を当てて、凶暴な生物のようなペニスをグイッと理沙の目の前に突き出した。それから理沙の後頭部に自分の右手を回して彼女の顔を引き寄せると、恰好の良い唇をムリヤリ押し開くようにして強引にペニスを咥えさせようとする。
理沙は体をのけぞらせ、身を退こうとしたが、その動きが突然止まってしまった。ついさっきから感じ始めている不思議な感覚が次第に心を覆い、逃げようとする彼女の体の動きを封じたのだ。それだけでなく、理沙の意識の奥深くにまでジワジワと触手を伸ばし、体と共に心まで操ろうとしているのが感じられた。
理沙は急に体が熱くなったように思った。同時に、股間にヌルヌルと恥ずかしい感触も伝わってくる。その途端、今まで嫌がっていたのが嘘のように大きく口を開くと、母親の乳首を求める赤ん坊のように和夫のペニスを口にふくみ、力強く吸った。
最初は単に吸うだけだった理沙の動きが、やがて、それだけの単純な動きにとどまらず、優しく愛撫するように、時にはねっとりとまとわりつくような複雑な動きもしめすようになってくる。
「……アウ……」
予想もしなかった深い快感に浸りながら、和夫は微かに戸惑った——いろいろな場所で様々な遊びを経験し、男を悦ばせるテクニックを持つ何人もの女性の相手をしてきて、或る程度はそういったことに免疫のようなものを獲得してしまったつもりの彼にしても、理沙の舌技には全身が痙攣するような快感を覚えてしまうのだ。だが、それは本来、このような幼い少女が持っているテクニックではない筈だ。
「……ム……」
今にも発射してしまいそうになるのを、顔をひきつらせるようにしてこらえ、和夫は微かな呻き声を洩らした。
いつのまにか理沙の顔は上気したように赤くほてり、肩が上下に揺れている。和夫の背に回された彼女の手の指がサワサワと虫のように肌を這い、その度に、和夫の呻き声が激しくなる。その間も、理沙の口は締まりの良い女性性器よりもきつく和夫のペニスを締めつけ、粘液を滴らせた舌がチロチロと最も感じやすい部分を刺激する。
「……ア……グ……」
和夫は歯を食いしばった。これまで感じたことのないような快楽の衝撃が下腹部から脳髄を貫き、体がドロリと溶け出しそうな錯覚におそわれる。
理沙が唇を僅かにすぼめ、前後に激しく動かした。
和夫は理沙の肩に手を置くと、ハアハアと荒い息をつきながら、自分のペニスを咥えこんで離さない理沙の顔を虚ろな目で見つめた。視界が白く濁り、目に映る全ての物がグニャリと形を変える。和夫の尻がビクッと震え、理沙の喉が何かを飲みこむように動いた。
半ば開いた理沙の口から、萎えてしまった自分のペニスを引き抜くと、下半身の力が全て抜けてしまったように、和夫はヘナヘナと床の上にへたりこんでしまった。それから、額にびっしりと浮かんだ汗を手の甲で拭い、息を弾ませて理沙に声をかけた。
「……すごいじゃないか……何人もの女の人に相手をしてもらったけど、理沙ちゃんみたいにすごいのは初めてだったよ……どうやって練習したんだい……?」
だが、理沙は無言で首を振るだけだった。
和夫は更に理沙に恥ずかしい言葉をかけてやろうと思ったが、その言葉は喉にでも引っ掛かったように、それ以上は出てこなかった。床に座りこんだ彼の目の高さがちょうどベッドと同じになり、理沙の股間を正面から覗きこむような恰好になったのだ。まだ発育しきっていない胸を包むブラジャーと同じ純白のショーツが和夫の目の前にあった。理沙の体の影で天井からの照明が遮られるような恰好になっていたが、その白いショーツの一部が小さな滲みになっているのがハッキリわかり、和夫の目を釘付けにしてしまう。
完全に萎えきってしまった筈のペニスが再びムクムクと起き上がる気配が伝わってくる。和夫は再び醜い欲望が自分の胸に充ちつつあることを実感した。
和夫の顔がまたもいやらしい獸のような表情に変わるのを見た理沙は、慌ててシーツを体に巻き付けようとした。だが、和夫の手が一瞬早く、ベッドの上に広がっているシーツを掴み取り、そのままグイと引いて床の上に投げ捨ててしまう。
「あっ……」
理沙は手を伸ばした。そこへ、和夫の左手が伸びてくる。そして、理沙の細い手首を掴むと、和夫はゆっくりとベッドの上に這い上がり、理沙の手を背中に回して自由を奪ってから、おもむろに彼女の斜めうしろに腰をおろした。
和夫は理沙の耳朶に息を吹きかけた。ヒッというような悲鳴とも呻き声ともつかない声が理沙の口からこぼれ、体がのけぞる。和夫は理沙の髪を右手で掻き分けるようにしてから、髪の下から現われた細い首筋をペロッと舐めた。理沙の体が小刻みに震える。
更に和夫は、理沙の顎先から(まだ固い)乳房の下を通して、ジワリジワリと右手を伸ばしていった。
遂に、和夫の右手は理沙のショーツの中に差し入れられた。まだ幼く、充分な脂肪がついていない筋肉質の内腿を撫ぜるように、或いは、これから茂みが生えてくるのだろう、今はスベスベしたままの下腹部の様子を探るように、人差指と中指がまるで尺取虫のように柔らかな肌の上を這いまわる。
「……いやあ……」
理沙が体をよじり、和夫の手を振りはらおうとする。
和夫はショーツに差し入れていた手を静かに引き抜くと、その手を理沙の目の前にもっていって、中指と人差指を少し広げてみせた。二本の指が、なにやらネットリした液体の糸でつながっている。
「クックックッ……嫌がってみせても、体は正直だね。こんなにラブジュースが溢れているじゃないか」
和夫はそう言うと、理沙に見せていた右手を自分の顔に静かに近づけた。そして、理沙のラブジュースの糸がからんでいる指を、子猫がミルクを飲むようにピチャピチャと舐め、ウットリしたような声で言った。
「ああ、理沙ちゃんのジュースはおいしいよ……お返しに、おにいちゃんのミルクをあげることにしようか。さっきは上の口で飲んだから、今度は下のお口がいいかな……さ、ショーツを脱がせてあげようね」
約束の二時間は、あっと言う間に過ぎた。
部屋に入ってきた支配人に料金を渡す和夫は、心から満足したような爽快な表情を浮かべていた。
「御満足いただけました?」
和夫の表情をちらと見た支配人は、まるで日常の挨拶のように話しかけた。
「ええ、たっぷりと……正直言うと、最初は半信半疑だったんですよ。でも、実際に味わってみて、すごさがわかりましたよ」
「それはよろしゅうございました。では、これからもおいでいただけますね?」
「もちろんですよ。早速アルバイトに行って料金を稼いでこなきゃ」
「まあ、ありがとうございます。では、これからもよろしくお願いいたします」
そう言う支配人の目は、何故か妖しく輝いていた。だが、理沙の顔をいとしそうに眺めていた和夫は、そのことには全く気づかなかった。
*
その後も、和夫は頻繁に子猫の家に足を運んだ。
訪れる度に相手は違っていたが、どの少女も理沙に負けず劣らずの素晴らしいテクニックを持ち、和夫は充分に満足していた。
しかし、いつまでもそのような状態が続いた訳ではなかった。いつしか、激しい疑惑の念が和夫の心を覆い始めていたのだ——あの少女たちをいったいどこから集めてきたのか? そして、あの素晴らしいテクニックをどうやって身につけさせたのか? あの支配人はいったい、どういう人物なのだろう?
意を決して、自分の胸の中に湧き上がってきた疑問を支配人にぶつけてみたこともあった。だが支配人は、業務上の秘密ですわ、と答えるだけで、それ以上はいくら尋ねてみても取り合おうとはしなかった。
そして今日。
髪をショートにした十二歳くらいの少女とのプレイを終え、支配人と少女に見送られて洋館の玄関を出た和夫は、背後でドアが閉まる気配を感じると、客用の駐車場へ向かっていた足を止め、サッと体の向きを替えると、建物の横に廻りこんだ。山中に建っている洋館の敷地はコンクリートで舗装されている訳でもなく、短い芝が伸びているだけだから、少し注意すれば足音をひそめることも難しくはない。
和夫はそのまま静かに歩いて行き、前から目をつけていた、建物の裏側にある小さなドアの前に立った。いつだったか、別の客の相手を終えたらしい一人の少女が支配人に連れられて、ここへ来るのをたまたま目にしたことがあったのだ。そこが少女たちのプライベートルームへの入口かもしれないと考えた和夫は、『子猫の家』の秘密を探るために、いずれ侵入してみようと決めていたのだった。
キョロキョロと辺りの様子を探り、監視の目はないようだと判断した和夫は、そっとノブに手をかけてみた。すると、驚いたことにノブは滑らかに回り、音もなくドアが開いた。その不用心さに一瞬唖然としたものの、すぐに気を取り戻した和夫は中にとびこんだ。そしてノブを引き、静かにドアを閉める。
中は仄暗く、明るい所から入ってきたならしばらくは暗闇と同じだろうが、夜のこの時刻に、それこそ照明のない場所を歩いてきた和夫の目は充分に闇に慣れており、天井からの僅かな光りでもって、細い通路の様子を見て取ることができた。和夫は足音が響かないように靴を脱ぎ、靴下のままで通路を歩き始めた。
殆ど直角に折れ曲がっている角を二つ過ぎると、少し先に、明るい光に照らされた一角があった。和夫は目をこらしてみたが、どこからか光が洩れてきて、その一角を照らし出しているのだろうということくらいしかわからない。和夫は自分に気合を入れるように頷くと、前にもまして慎重な足取りで、その明るい一角を目指した。
いよいよその場所に辿りついた和夫の目に映ったのは、通路の壁に嵌め込まれた大きなガラスだった。そのガラスの向こうから光が溢れ、通路のその部分を照らし出しているのだ。和夫は、彼の目よりも少し低い所にあるガラスのすぐ横の壁に身を寄せ、おそるおそる中を覗きこんでみた。
その途端、彼は大きく目を見開き、食いいるようにガラスに顔を寄せた。光に照らされた彼の顔には、驚愕の表情が浮かんでいる。
何が彼をそれほど驚かせたのか、少し覗いてみることにしよう——。
ガラスの向こうは、あまり広くない部屋になっているようだ。これといった調度品は目につかず、部屋の中央に据えられた大きなベッドが目をひく程度だ。あまり高くない天井には実用本意の全く飾り気のない蛍光灯がぶら下がっていて、外に洩れ出しているのは、その蛍光灯の白い光だった。
ベッドの手前にいるのが、この部屋の住人だろうか。まだ十歳にもなっていないような少年が一人、顔をまっ赤に染めて立っているのが見える。少年は全裸で、息を荒げているのか、薄い胸が激しく動き、肩が上下している。
視線をゆっくりおろしてゆくと、もう一つの人影がとびこんできた。それは、少年の正面にひざまづき、両手を少年の体に回している少女の姿だった。少女の顔は少年の股間のすぐ前にあって、なにかを咥えているらしい口からは、ヨダレの滴が顎先を伝ってポタポタと床に滴り続けている。
不意に、少年が体をのけぞらせた。何かを叫ぶように大きく口を開け、自分の両手で自らの体を抱くような恰好をする。かなり入念な遮音処置が施されているらしく少年の声は聞こえないが、その悦楽の色を浮かべた虚ろな目から、彼が何を叫んでいるのかは明らかだった。
やがて、少年は腰を強く前に押し出すような動きをし、それに合わせて少女の顔がガクガクと揺れる。
そして、最後の瞬間が訪れた。少年は放心したように大きく息を吐き出し、唇をワナワナと震わせている。
その時になってやっと少女の顔が見えたが、彼女は炎のように赤くほてった顔で、それまで口にふくんでいた少年のペニスをじっと睨みつけたままだ。
まだ幼い少年と少女の恥態を茫然と見守っていた和夫は、酢を飲んだような顔になってガラス窓から目を離した——今のは何だったんだ? あの少女はおそらく、子猫の家のメンバーだろう。しかし、あの少年は? まさかここには、あんな少年も客として来るっていうのか……。
和夫はしばらく壁にもたれかかり、自分が目にした光景の意味を考え続けた。だが、その解答が容易に得られる訳もない。
和夫は二度三度と首を振って天井に目を遣ると、大きく溜息をついてから、再びガラス窓を覗きこんだ。そして、再び心臓が止まるような思いを味わいながら、和夫はガラスに顔を押しつけ、その中の様子を見つめた。
さっきまで立っていた少年が、今度はまるで犬か猫のようによつん這いになっていて、その突き出したお尻のすぐうしろで少女が少年と同じような格好をしている。そうして、少女の赤い舌がチロチロと唇から伸び、少年の肛門の辺りを盛んに舐めまわしているのだ。少年は体を震わせ、ハアハアと息を吐き出しながら、少女の舌によって与えられる快感に溺れているようだった。
ひとしきり少年の肛門を舐め回した少女は、そのままの姿勢でゆっくりと移動し始めた。キュッと締まったお尻の筋肉から背中の方へと顔を動かしながらも、ミルクを飲む猫のように、舌は一時も動きを止めない。その動作は極めて的確なものだった。少年が常に少女の舌を意識し、そこから生み出される感触の虜になっていることが、ガラス越しにもハッキリと伝わってくる。
和夫は、大きく喉を動かして唾を飲みこんだ。
その直後、背後から鋭い声をかけられた。
「困りますわね、お客様。ここは、スタッフ以外は立入禁止になってますのよ」
ビクッと体を震わせた和夫がおそるおそる振り返ってみると、そこには、この館の支配人である女性が立っていた。
どうやら、ガラスを通して見える光景に意識を奪われていたために、その女性の接近に気がつかなかったようだ。和夫はなんとか弁解しようと思ったが、突然のことに金縛りにでもかかったように体は硬直し、唇も小刻みに震えるばかりで、言葉は全く出てこなかった。
そんな怯えたような和夫の様子をしばらく眺めていた女性は、ふと表情を和らげると、さっきとはまるで違った穏やかな声で話しかけてきた。
「この通路は、『子猫の館』のスタッフのプライベートエリアになっているんですよ。ここへ忍びこんで、何を探るおつもりだったんですか?」
穏やかな声ながら、その口調が多分に自分をなじっていることを実感した良夫は、うしろめたさと共に、自分の行動を見抜かれたことにカッとなった。そして、それがきっかけになって、僅かながらも緊張が解け、唇が動くようになる。和夫は、微かに震える声で女性に抗弁してみた。
「『忍びこんだ』っていう言い方は随分と失礼じゃありませんか。まるで、僕が犯罪でも犯したみたいだ。だいいち、部外者を入れたくないなら、ドアに鍵をかけておけばいいでしょうに……」
「……そう、ロックを怠った私もいけないかもしれませんわね。でも、普通のお客様はわざわざ裏口へ回ったりなさいませんわよ?」
女性は、ニヤッと笑って応えた。その表情は、和夫が意識的にここへ忍びこんだことを確信しているようだ。
和夫はたじろいだ。だが、ここで沈黙してしまえば、女性の言葉を認めることになってしまう。和夫は、大きく息を吸って尚も反論を試みた。
「……でも、ここがスタッフのプライベートエリアだって言うんなら、あの少年はどうなんですか? 少女の方は、まあ、ここの子でしょう。でも、少女にサービスさせている少年は客かなにかじゃ……」
和夫は、ちらとガラス窓の方に視線を向けながら言った。
蛍光灯の光に照らされた部屋の中では、相変わらず少年と少女との尋常ではない行為が続いていた。今、少女は、よつん這いになった少年の体の下にあおむけでもぐりこんでいた。そして、少年のまだ華奢な顎先から首筋へと赤い舌を這わせつつ、右手の指を脇腹の辺りで虫のように蠢かせているところだった。少年の目はどこにも焦点を結ばず、痴呆のようにトロンとしたままだ。
「違いますわ。あの少年も、ここのれっきとしたスタッフですのよ」
和夫の視線を追い、二人の痴態を満足そうに眺めてから、女性が応えた。
「あの少年もスタッフだって……?」
和夫は、女性に向かって言うわけでもなく、独り言のように呟いた。
その瞬間、これまでに和夫の相手をしてきた少女たちの顔が次々に脳裏に浮かんでは消えて行った。そして、彼は唐突に理解した——あの少女たちが持っていた、男を悦ばせるテクニックの数々。滑らかな指遣いや激しい舌技、そして、男の身体の隅々まで知っているような、ツボを狙った刺激。あれは、こうして身につけたものだったのか。まだ男として目覚めていない少年を練習台として使い、その少年に快感を味わわせるまでに訓練を重ねる。それが、あのテクニックの源だったのだろう。
不意に、少年が不憫に思えた。その年齢から判断すれば、おそらくはまだ精子を作れる体にはなっていないだろう。そんな少年に、これまでに想像したこともないだろう経験を強制するのは、あまりにも残酷な仕打ちだった。その快楽は最初の頃こそ密の味かもしれないが、最後まで射精できない少年にとっては、いずれは永遠に続く責苦に変化してゆく筈だ。
「そんなの、スタッフなんかじゃない……あの少年は単なる道具として扱われているだけじゃないか……」
思わず、和夫は少年から目をそむけて弱々しく言った。
それを聞いた女性が突然、高い声をあげて笑い始めた。そして、笑い声のまま、和夫に向かってこう言う。
「なにか誤解してらっしゃるようですわね。あの少年は、少女たちの練習台じゃありませんわ。さっきも言ったように、れっきとしたスタッフなんですのよ。ご説明いたしましょうか?」
それに対して、和夫は知らぬまに頷いていた。しかし、すぐに後悔する。女性の声に、なにやら邪悪な雰囲気を感じ取ったのだ。和夫は慌てて手を振りながらあとずさりして言った。
「いや、いい。ここへ入って来たのは僕のミスだ。街へ戻っても、ここで見たことは絶対に口外しないよ。だから、これで帰ることに……」
帰ることにするよ、という言葉は途中で途切れてしまった。微かなチクッという痛みを左腕に感じ、その痛みの正体を探るために顔を腕の方に向けたからだ。
和夫の目に映ったのは、女性の右手だった。その白い指が、小さな注射器を彼の左腕に押し当てているのだ。和夫は、呆けたような顔つきでその様子を見つめた。
やがて、薬液を和夫に注入し終えた女性は、なにごともなかったように平然とした態度で注射器を無造作に投げ捨て、ニコッと笑って
「そんなに急ぐことはございませんわ。折角ここまでいらしたんですから、是非とも私の説明を聞いてくださいな——もっとも、それを聞いてしまえば、二度と元の生活に戻ることはできなくなるけどね」
と、最後は目を細め、ガラッと口調を変えて言った。
和夫は思わず激しく首を振り、出口に向かって駈け出そうとした。が、腰から下の力がスーッと抜けて行き、ヘナヘナとその場に座りこんでしまう。
「心配は要らないわ。さっきの薬で、下半身の筋肉から力を抜いちゃっただけだから。一時間もすれば元に戻るわよ——その間、私の話を聞いていればいいのよ」
女性が、和夫のすぐ目の前に静かにしゃがみこみながら言った。そして、和夫の返答も待たずに一方的に言葉を続ける。
「もう随分と昔のこと——私が高校生になるかならないかの時だったわ。母が再婚したのよ。最初の頃は、私も嬉しかったわ。父親の顔も知らずに育った私には、新しい父親は頼もしい存在だった。でも、或る日、母親が買物に出た時だった。優しい父親が、突如として獣に変身したのよ……私は、義理の父によってむりやり処女を奪われたのよ。
その日から、私の胸は男への憎しみで一杯になったわ。
母親には何も言わずに家を出て、いろんなことをやってきたわ。やけくそになっていた私は、売春でもなんでも平気だった。そうして年月をかけて溜めこんだお金で作ったのが、この『子猫の館』——これが、男たちへの復讐の砦なのよ……」
遠い昔を見つめるようなうっとりした目で、女性は語りかけた。その予想外の内容に戸惑いを覚えつつも、体の自由が奪われていることも忘れて、彼女の話に次第に惹きこまれてゆく和夫だった。
だが、ふと違和感を覚えた和夫は、女性の話を遮るように口を開いた。
「でも、どうして『子猫の館』が男への復讐になるのか、わからないな。ここに来る男たちは喜んでるし、むしろ、少女たちの方が苦しんでるみたいだけど……」
それに対して、片方の眉をちょっと吊り上げるようにして女性が言った。
「ここの子たちは、みんなすごいテクニックの持ち主だったでしょう?」
自分が訊いたことへの説明になってないな、と思いながらも、和夫は小さく頷いた。それを見た女性が、薄く笑って言葉を続ける。
「そのテクニックは年端のいかない少年を練習台にして身に付けたものだと、あなたは思ったのよね?」
和夫は再び頷いた。
女性はすっと立ち上がると、ガラス窓に目を向けた。その向こう側では、少女がまだ少年の体を舐め回している。今は、少女の形の良い唇が、少年の胸に申し訳なさそうに付いている乳首をふくんでいるところだった。まるで女性の乳首を愛撫するように、少女は少年の乳首を舌の上で転がし、軽く歯で噛みながら優しく吸っている。少年の顔に戸惑いの色が浮かんだ。それは、乳首への刺激に敏感に反応してしまう自分への戸惑いだった。それでも、少女の舌が動く度に乳首から電流のような疼きが体中に広がって行くのをどうしても止めることはできない。
女性は、そんな少年の姿を見据えながら、クックックッと忍び笑いを漏らして言った。
「——でも、それは違うわ。あの子たちが素晴らしいテクニックを持っているのは、男性の性感帯がどこなのか、そして、そこをどう扱えば悦ぶのかを体の芯から知っているからなのよ。そのためにこそ、部屋の中の少年は自らの体のどこに快楽のポイントがあるのかを『先輩』から教えてもらっているのよ」
「……?」
和夫は、目の前の女性が何を言っているのかわからず、無言で小さく首を振った。
「わからない?——『子猫の館』の少女たちは、正確に言えば女の子じゃないのよ。あなたの相手をしてきた子たちも、部屋の中で少年に甘い快楽の味を教えている子も、みんな元々は男の子なのよ。だからこそ、客となる男たちに対してキメの細かいサービスができるの。なんたって、どこをどう攻めれば悦ぶのか、自分たちが体をもって知ってるんだからね」
ガラス窓から和夫の顔に視線を移しながら、愉快そうな表情で女性が言った。
和夫はポカンとした表情になると、口を半ば開きっ放しにして女性の顔を見上げ、しばらくしてからモゴモゴと口の中で呟いた。
「……でも、あの子たちが男だなんて……体はすっかり少女のものだったし、喋べり方にしたって……」
「最近の整形外科の技術については知らないようね。それに日本にも、そういったことについては腕の立つ医者がいるってことも。もっとも、彼らの活動範囲は裏の世界ばかりだから、そんなことを知ってる方が不思議でしょうけどね——彼らの技術と強力な向精神剤とを組み合わせれば、自分が果たして男だったのかどうかさえわからなくなるレベルにまで被験者を変身させることができるのよ。身も心も、ね」
「……でも、なんのために……」
「言った筈よ、これは私の復讐だって。素敵なアイディアだと思わないこと?——少年を少女に変身させてしまって、血に飢えた狼のようにいやらしい男どもの欲求の餌食にするのよ。男どもは、まさか自分が相手にしているのが少年だとは思わないでしょうね。知らないうちに少年を抱いて、しかも、その華奢な体を熱い肉棒で刺し貫いているのよ。これほど素敵な復讐は他には思いつかないわ」
女性の目には、明らかに狂気の色が浮かんでいた。その尋常ではない視線に射すくめられた和夫は、蛇に睨まれた蛙のように体を硬直させながら、今までに抱いてきた少女(だと信じてきた少年)たちの体を思い出しては、胃の中の物を全て吐き出してしまいたくなるような激しい嘔吐感におそわれるのだった。
女性は再びガラス窓に目を向けた。
その中では、今は向い合って床にお尻をおろした格好の二人が熱くほてった顔と顔を寄せ合い、激しいキスをかわしていた。自分が誰なのかを忘れ去ってしまった(少女の姿をした)少年の心の中には、自分がなくしてしまった物を持っている相手の少年に惹かれるような思いがあるのだろう、まるで覆いかぶさるような姿勢で少年の唇を激しく吸っていた。相手の少年も、自分を抱擁しているのが同性だということを知ってか知らずか、その甘いテクニックに酔いしれるように、相手のなすがままにされながら、熱い吐息を洩らしていた。
「あの子も、男としての快感をたっぷりと味わったようね。もう、変身させても充分に通用することでしょうよ」
女性はランランと目を輝かせて呟いた。そして、思わずゾクッとするような流し目をくれながら、和夫の方に向き直る。
「さあ、これで説明はおしまいよ。ここまで知っちゃったあなたを帰すことはできないわ……どうしようかしら?」
「……」
和夫は無言だった。逃げ出そうにも、注射のために下半身は無力化され、立つこともできないのだ。
女性は面白そうに和夫の顔を見た後、手にしていた小さなバッグの留め金に指をかけた。パチンという音が聞こえ、開いたバッグに手を差し入れて女性が取り出してきたのは、さっきのものと同じ形の注射器だった。
「なにを……」
和夫は反射的に身を退こうとしたが、女性の手の動きの方が早かった。
右の肩に微かな痛みを覚えると同時に、和夫の頭の中に霧が立ちこめてきた。和夫の意識をその白いベールに包みこんでしまうように、霧は次第に深く濃くなってゆく。
「『子猫の館』の『少女』たちが大きくなったら、少女売春じゃなく、大人の『女性』が相手をするような売春クラブも作る予定だったんだけど、その時期を早めることにするわ。あなたなら、なかなか可愛いい顔をしてるから女性に変身してもとっても魅力的になると思うわ。それに、これまでにさんざん遊んできたようだから、男の人の悦ばせ方も知ってるでしょうしね」
どこか遠い所から聞こえてくるように、まっ白い霧を微かに震わせて女性の声が和夫の頭に響いた。
「手術はすぐにでも始められるようになっているわ。今度目を醒ました時には、あなたは囚われの子猫の仲間になっているのよ。さあ、静かにおやすみなさい」
そう言う女性の、血のように赤い唇を網膜に焼き付けながら、和夫の目は小さく痙攣しつつ静かに閉じていった。
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投稿:2014.11.06
囚われの子猫たち
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