大学の中は思ったよりきれいだった。
お洒落なレンガっぽい外壁や大きなガラスが嵌められた建物が広い並木道の脇にいくつも並んでいる。
ボクを連れた六人組以外にも学生がいて、首輪に手錠という異様な格好のボクを見てもそんなに驚いた様子はない。
「なに、それ新しいペット?」
「あちゃ」
そんな言葉を掛けられたりして六人組の女子大生は手を振り返したりしている。
ボクは大学の先生のところに連れていかれるのだと思っていた。どうせ、ボクはあんなもの触っていない。指紋とか確かめてもらえばわかるはずだ。
校舎の裏手の階段にボクは連れてこられた。
「第三実験棟」と大きな木の表札がかかっている。
階段を上ると中はがらんとした廊下だ。
「さ、入んな」
ボクは小突かれて中に入れられる。
しばらく廊下を進んで右手。大きな鉄の扉を開けると、中はガレージのように黒ずんだコンクリートの床や壁がむき出しで、蛍光灯の光が薄暗い。器具が乱雑に放ってある真ん中に大きなペット用の檻とその隣に木の椅子がぽつんとあるのが異様だ。
ガチャガチャ音を立てて手錠が外される。ボクは小突かれながら椅子に座らされた。
「さて、もう一度訊くね」
白ワンピが優しい声で言った。キラキラしたスマホをボクの顔の前にさらす。赤いネールが妖しい光を放っている。
「このスマホどうしたの?」
「だ、だから知りません!」
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投稿:2015.08.19
去勢大学2
著者 去勢仮面 様 / アクセス 24991 / ♥ 0