胸がドキドキとなっている。緊張のせいだろうか?
マンションの一室にある病院。そこで私は手術台に横たわって執刀をまっていた。
「分娩台のようなところにかけてやるんじゃないんだな」
そう思っているうちに先生がやってきた。
手術は30分ほどで終わる。もうSEXは出来なくなる。後悔はない?と確認された。
私に迷いはなかった。「大丈夫です。」とだけ答えると手術が始まった。
まずは、消毒が行われた。これが強い消毒液なのかヒリヒリとした痛みを感じた。
そして、笑気ガスのマスクを鼻にかけられる。ガスを鼻から吸ってくるとお酒を飲んだみたいにぼぅっとしてくる。
まるで寝る寸前のように心地よい気分になった頃に麻酔注射のチクッとした痛みがした。
しかし、ガスのせいかどこに刺されたのかも良くわからない。もしかしたら、玉に刺されたのかもしれない。
麻酔が効いたのを確認されて執刀が始まった。右の玉から摘出するようだ。
袋のつなぎ目に縦に切られる感覚、しかし、痛みは全く無かった。
切られる痛みすらもなくなったころに今度は玉が引っ張られた。
これがとても痛かった。
玉は痛くないが、それがつながってるお腹の方に玉をぶつけた痛みがずっと響く。気持ち悪い痛みだ。
そして、焦げるような臭いがしてきた。焼いて止血をしているのだろう。これも良いものではなかった。
その痛みもなくなったころ、右の玉は体から完全に切り離された。
先生が右が終わったことを告げた。次は左だ。
左も右とほとんど同じだ。だけど、一つ違うのは麻酔が弱まっていることだ。
私は元々麻酔が切れるのが早いらしく、歯医者でも麻酔が解けてしまうことがあった。
そうなると引っ張られる時の痛みが右とは比較にならないくらい辛かった。
あまりの痛みと苦しさに手は汗ばみ、足が震えてしまった。
耐えているうちに痛みは段々と弱まりふっと消えた。
「これでようやく・・・」
私は痛みと玉がついていること両方から開放され安堵した。
縫合が終わると休憩してから動いて出血がないかの確認だけされた。
不思議と切られたところに痛みはなかったが、引っ張られたことの余韻なのか玉がぶら下がっていたであろうところが重く痛んでいた。
そして、私は苦しみから開放された幸福感で満たされ病院を出る。
「ようやく、スッキリした・・・。」本心から出た言葉だった。
こうして、私の去勢手術は終わった。
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投稿:2016.05.16
私の去勢
著者 まーる 様 / アクセス 20361 / ♥ 53