「はーい。検分を始めますよー」
ギィ、と重い鉄の扉が開き、二十人ほどの男達は少女の可愛らしい宣言を聞いた。
皆粗末な囚人服を着せられ、後ろ手に親指を拘束されている。
「あはは。こんな婦警さんがいるかーって顔してますね? 当たりです。あたし、ただのバイトですから」
少女が楽しそうにころころと笑う。
「今日の執行官のめぐみです。短い間ですけど、よろしくお願いしますね」
そう名乗った少女の年齢は17、8くらい。若すぎる。
軍服のようなかっちりした上着を肩にひっかけるように羽織っている。
婦警の制服らしい水色のブラウスのボタンを一番上だけ留めて、紺色のネクタイが剥き出しの真っ白な胸の谷間に乗っかっている。幼さの残る顔に似合わない、大きなおっぱい。おへそは丸出し。スカートは履いていない。黒レースの小さな紐ぱん。
男達は思わず息を飲んだ。
細く長い脚には可愛い黒ニーソックスと深紅のピンヒール。明るい金髪に染めた頭にはバニーガールのうさ耳までつけている。
殺風景な牢屋とあまりにも対照的な、いやらしい趣味的な恰好。
しかし、襟章が真実だとすれば、少女はかなり高い階級にある。
「貴方達は捕虜? ああ、犯罪者の方ですかー」
手元の資料を見ながら一人うんうん頷く。
腰の細いベルトに警棒のケースが付いていて、めぐみは喋りながらそれを取り出した。しゅん、と伸ばす。
警棒ではなかった。針。アイスピック。フェンシングの剣。それらに似ていた。伸縮する刺突武器。特注のため、めぐみはそれを単純にレイピアと呼ぶ。
「面倒くさいですね。ちゃっちゃと済ませましょう。ケイ、持ってて」
めぐみは振り返り、後ろの少年に資料を渡した。
ケイと呼ばれた少年は、小柄なめぐみよりも背が低かったが、ほぼ同い年。なぜか囚人と似たようなぼろ着を纏い、下半身は裸。あまつさえ、ペニスには貞操帯が付けられている。まるで、めぐみの奴隷のよう。
「じゃあ、罪状認否お願いします。はい。そこの貴方から」
レイピアを向けて、右端から順番に。
ケイが資料の罪状を読んでいくが、そもそも男達は全て「治安維持法違反」として一緒くたに拘束されたのだ。
ある場所、ある時間に居合わせた男達をまとめて捕まえ、ここに移送している。
男達は全員、無罪を主張した。
「うんー。正直に話した方が身のためですよ」
めぐみはその反応に慣れた様子で、別に表情を変えることもなく男達の目をそれぞれのぞき込む。右手のレイピアをぶらぶらと弄んでいる。
「例えば貴方。一歩前へ」
列の中ほどの一人の男を指さすめぐみ。男は咄嗟には従わないが、後ろの半裸に貞操帯の情けない姿のケイが銃を構え、睨んで促した。その異常な状況に困惑して、男が指示通りに前にでる。
「ふんふん。ふーん。なるほどー」
めぐみがまるで匂いを嗅ぐかのように、男に顔を近づける。剥き出しの大きな胸が寄せられ、一つしかボタンを締めていないブラウスがひらひら揺れて、可愛らしい乳首が露出する。
めぐみの甘い芳香に、思わず唾を飲み込み興奮し出す男。
「えいっ」
唐突に、男の股間をレイピアで刺した。粗末な囚人服のズボンの尻側から刃先が抜ける。めぐみは何の躊躇もなく、根元まで深く刺し貫いていた。
「ぎゃああああ」
男は喚き、股間を押さえ、床に倒れ伏した。ズボンが血で真っ赤に染まっていく。
めぐみが瞳を輝かせて、男の顔をのぞき込み、またすんすんと鼻を鳴らす。
「麻薬密売してるヤクザの下っ端さんですね。でも、貴方はまだ暴行も強姦もしてないようですし、酌量の余地はあります。逮捕です」
ケイが逮捕、と復唱すると、背後からきちんと制服を着こんだ婦警さん達が現れて、痛みに呻く男を引きずって行った。
悲痛な叫び声が消え、牢の中は再び静かになる。
「あ。そうそう」
めぐみがレイピアの血を払いながら男達を見た。全く変化のない穏やかな笑顔で。
「貴方達はまだ逮捕さえされていません。今ここで起きていることは全部非公式です。言ってる意味、分かりますか?」
■
かつかつとヒールの音を鳴らしながら、セクシーにお尻を振って歩くめぐみ。整列した男達の前をゆっくりと見回す。大きな胸が揺れる。
「手頃な人、見つけました」
一人の強面と目を合わせ、ぞっとするような笑みを浮かべた。
「ひっ……」
強面が思わず恐怖に声を上げる。
雷のようなレイピアの連撃。強面が倒れる前に股間を5回刺し貫く。
仰向けに転がり獣のように吠える男の額をヒールで踏みつけて押さえると、めぐみは血のついたレイピアをゆっくりと下に向けた。
「やめろ、助けて!」
強面が少女のように悲鳴を上げる。構わず、めぐみの刃先がずぶずぶと下腹部に沈んでいく。激しく頭を刎ねさせ狂う男。
ぐじゅっ……。
鋭いピンヒールが男の喉を踏み抜いて、すぐに強面は死んだ。
「この人も同じくヤクザさんでした。罪状は殺人。けど、下っ端の男の人を殺しただけですので特に聴取も必要なさそうです」
笑顔のまま、男達に説明するめぐみ。説明になっているかどうか。
「つまり、拘束する以前にあの場で処理されたかたちになりますね」
そのまま男の胸にしゃがみ込み、嬉しそうにズボンを脱がすめぐみ。
レイピアの長い刃が、まるで魚の串焼きのように、強面の大きく長いペニスをS字に刺し貫いていた。
「上手にできました」
瞳を細めて満足そうに。
「このまま焼いちゃおっか」
そんなことを言う。
「ひいいいい!!」
「おおお俺は、何もしていません!!」
いきなり目の前で行われた処刑に、男達が泣き喚いた。失禁している者もいる。
「はいはい。お静かにー」
ずしゅっ……。
めぐみが強面の股間からレイピアを引き抜く。
「そういうことです。ここは、検分の場。貴方達は、これから逮捕されますか? それとも治安を乱した罪で、もう処刑されちゃったの人なのかな?」
「ひゃああああ」
何その二択!?
男達は騒然とする。逮捕か処刑しかないかのようなめぐみの口振り。罪状認否も関係ない? パニックを起こしてめぐみに襲い掛かる者までいる。
「だめですよお」
しかしめぐみはその動きを読んでいたかのように軽やかに身を沈めると、飛びかかってきた四人の男達の股間をどんどんと正確に貫いた。
がああ、と吠えてさらに向かおうとした二人の脳天を刺す。殺した。
「あらあら」
やっちゃった、と言った顔。それすらも想定内とでも言いたげなサディスティックな微笑み。
「いい子にしてて下さいね。でないとこうですよー」
血のついたレイピアの刃先をゆらゆらさせた。
足元には股間を刺された男がまだ二人呻いている。
■
「貴方達の名前には興味がありませんので、番号で呼びますね。立っている人、右から順番に番号」
理不尽な目に合わされながらも、抵抗も敵わないとあって、男達は悲痛な思いでイチ、ニ、サン、と順番に番号を言わされる。
「ごめんなさいね」
にっこりと微笑んだまま、めぐみ。あまり申し訳なさそうに。何番と何番と何番。そんな感じに、半数の番号を呼んだ。
「前へ」
呼ばれた男達ががくがく足を震わせながら言う通りにする。歩けずにその場で倒れてしまう者もいる。
「無罪。釈放です」
番号を呼ばれた男達が一様にえ? と絶句した。全てがあまりに唐突すぎて、全く理解が追い付かない。それに構わずに、現れた婦警さん達が彼らの腕の拘束を解いていく。
「信じなくてもいいですけど――」
めぐみは何度も繰り返しただろう文言を口にし出した。
「あたし、ちょっとだけ心が読めるんです。一緒くたに拘束された貴方達ですが、もちろん無実の人がほとんどですよね。その選別のためにあたしはここに呼ばれました」
え? え? えええ?
解放された男達が大きなハテナマークを頭の上に乗せながら。
罪に問われる覚えのないまま乱暴に捕まって、ここで有罪か処刑かなんて話になって。助かったのだろうけれども、これっぽっちも納得が行かない。
「それと、足元の二人とも。無罪です」
股間を刺されて呻いていた二人に。
彼らも解放された。痛みで動けないから両腕を抱えられ引きずられて行く。めぐみに襲い掛かった罪は不問のようだ。適切な治療もされると言う。
では、頭を刺されて死んだもう二人は?
「知りたいですか? じゃあ、彼らは犯罪者だったので処刑しました。そう言えば安心します?」
にっこりと、めぐみ。
嘘だ!! そう男達は思った。
恐慌の中とは言え、抵抗したら一度目は股間を突き刺すだけで許すが二度目なら処刑。その基準の横暴さに眩暈がした。そもそも、不当に拘束された男達の運命が、この目の前の「心が読めます」などと言う未成年の美少女の掌の上にあることが余りにも横暴だ。
さらに言うなら。
心が読めて無実の者が分かるならこんな、何人も刺したり、三人を殺す前にまず無実の者を開放すべきじゃないか!?
男達の味わう理不尽さは全くもって正当だった。
「うふふっ」
と可愛らしく笑い続けるめぐみの顔には明らかに「楽しんでます」って描いてある。
けれど、無罪放免される男達はその不満の全てを飲み込んだ。
女尊男卑のこの社会。男が理不尽に殺されるなんて毎日で、警察や軍だって、相手が男なら、通りすがりだろうと平気で巻き込んでくる。口封じだって日常茶飯事なのだ。
だから、例えめぐみが趣味で男の恐怖を操り、また股間ばかり執拗に狙う趣味だろうと、優しい種類の女性であることは間違いがない。
無実だとめぐみに言われた男達は、きちんと無事に解放された。
「彼らの言いたいことは想像がつきますよ」
めぐみは傍らに付き添うケイに微笑む。
「でも、仕方ないですよね。男ですから。ちんちんがあるから、低く扱われちゃうのは仕方ないです」
ケイに異論を挟む権利はない。
「さて。検分はほぼ終わりました」
羽織っていた軍服を脱ぐめぐみ。レイピアを高く構え直す。
それを見たケイの股間が熱くなった。貞操帯に締め付けられて、じんわりと痛み始める。
ケイは愛しのめぐみを眩しそうに見つめる。
めぐみのような読心能力者たちが「バイト」で検分に協力することで、冤罪によって死ぬ男の数は劇的に減っている。
そもそも、冤罪かどうかも気にしない男に厳しい司法制度が問題なのだけれど。
めぐみは男にも優しいから、「いい子」を殺しちゃいけないと思ってくれているのだ。
それに、女の子達が悪い子の人権を認めないのは、当たり前の話だ。
■
「逮捕の子、番号を呼びますね。目印にちんちん刺しちゃいますけど、それはもう悪い子だったから仕方ないって罪を認めて、諦めて下さいね」
明るい金髪を揺らせ、瞳を輝かせて言うめぐみ。
もう無実の者は解放したし、目印をつける必要なんてないことは誰にも明らかで、ただめぐみの趣味なんだってことはばればれなんだけど。仕事だって楽しみたいし、これくらいの権利はあるよねってめぐみは思っているから。さも当然のように。
番号を呼ぶめぐみ。
「一列に。順番に並んで下さい」
呼ばれた男達は涙を浮かべながらも、言う通りにするのだ。逮捕されれば、処刑されないから。死ぬ以上に恐ろしいことなんてない。
「裸になってもいいですよ」
何を言われたか分からないだろう。けれど、これはめぐみの慈悲。
「一刺しです。手元が狂う時もありますよね。タマタマに刺さって、痛くて死んじゃった子もいましたから。これはただの目印ですから。ピアスを開けるように、ただちんちんを刺すだけにします」
なんでそんなにチンコにこだわるんだ! 番号を呼ばれた男達はそうは思えども、そのほとんどが言いつけ通り、ズボンを脱いで裸になった。
「えいっ」
「ぎゃああああ」
「えいっ」
「痛ええええ」
作業のように刺していくめぐみ。
宣言通りに貫通させていくあたりが容赦がない。
大きなアクションに合わせて大きな胸がふるんと揺れる。健康的な肌に浮いた汗が水玉のように谷間へと流れていく。めぐみの顔は美しく、可愛らしい。けれど、男達に興奮している余裕はなかった。
これから等しくチンコ刺されるんだから!
ケイは目を背けたくなるような男達の惨状に、それでも見つめ続けてしまう。
目印を付けられた犯罪者達が次々と婦警さんに逮捕されて行く。取り調べは拷問とほぼ同義で過酷だろうが、めぐみが「死刑でない」と判断した以上、命は保障されるだろう。
ズボンを脱がなかったのは三人。「手元が狂う」ことを期待したのだろうが、めぐみは頬を紅潮させて、瞳を潤ませる。こころなしか乳首が尖り、小さな黒レースの紐ぱんから内腿へと汗とは別のもので濡れ始める。サディスティックな悦び。もっとも、本人に意地悪をしている意識はない。
「行きますよー」
ざくり。
一人は狙ったように鈴口から深くレイピアをねじ込まれ、その後処置はされたがペニスは断裂し、前立腺も破壊され、男性機能を永遠に失った。
「刺しまーす」
もう一人は睾丸を刺し貫かれ、激痛に悶えるついでに刃を横に曳かれて、もう片方の睾丸も抉られた。尿道も損壊し、結局病院で全摘される運命を辿る。
「よく狙えなーい」
もう一人は、やはり片タマを破壊された上に、傷口は太腿の動脈に至った。血まみれになりながら婦警さんに引きずられて行く途中、出血多量で死んだ。
「うふふっ」
にこにこ笑うめぐみ。
血の滴る、ペニスの肉片のこびりついたレイピアの刃先に舌を這わせて、
「おいしい」
と言った。
ほぼ裸なような格好。瑞々しい肌。張りのあるおっぱい。長い脚。この空間を支配しているのは一体何者か。美しい女神の姿には、あまりにも説得力がある。
逮捕、おしまい。
■
残りは数人。
無罪放免も、逮捕も宣告されなかった男達。
「貴方達は、逮捕しませーん」
めぐみがそわそわと、もじもじと、内腿をすり合わせている。
男に優しい「検分」はここでおしまい。隠しきれない残酷な好奇心が、まだ未成年の美少女の全身を震わせている。
男達が口々に絶望的な抗議や命乞いを繰り返すが、もうスィッチの入っちゃっためぐみにとっては心地の良い旋律でしかない。
レイピアを「めった刺しのために」両手で構え、胸元で抱きしめた。めぐみの刃。男を壊す暴力の手段。剥き出しの大きなおっぱいがふるんと揺れ、これからの遊びを期待するかのようにぱつぱつに張って、つんと上向いた。
「婦警さん達……ううん、」
呼ぼうと思ったが、いったんやめた。
その前に、思いっきりやっておきたいことがあったから。
「まずは、貴方です……」
言うなり、一人の男の両肩を刺し貫いた。
痛みに尻餅をつく次の瞬間に、腰や腿をめった刺しにして立つ力を奪う。
はぁはぁと息を吐きながら、めぐみは肘で男の顔を抑え、両腿で男の足を挟み込んだ。身体に穿たれたいくつもの穴からとめどなく血を流し続け、男は呻き、泣いた。
やめて、許してと繰り返している。
「許してあげなぁい……」
うっとりと宣告するめぐみ。
小さな肢体の中に包み込まれた醜い男の股間を、ズボン越しに、刺し始めた。
執拗に、何度も何度も。
「ぎゃあああああ!!」
男が狂人のように叫び続ける。その震えがびりびりと身体に当たって気持ちがいい。めぐみは金髪を汗で振り乱して、容赦なく刺し続けた。ズボンの中をぐちゃぐちゃにして行く。かたちがあれば壊し、潰し、抉る。更地になれとばかりに床ごとレイピアで刺し続けた。
失神さえも許さず、より痛みを与えるために馬乗りでめった刺しするめぐみ。
男が断末魔を上げ続け、喉が枯れようとやめない。刺す。刺す。
男のズボンも股間もぐちゃぐちゃに潰されて行く。衣服の繊維や血や肉片が飛び散る。頬についたそれを舐めるめぐみ。笑顔。
「ああああああああああ!!」
男が死んだ。股間を刺し続けられただけで、男は簡単に絶命してしまった。
めぐみは興奮を隠しもせずに、はぁはぁと荒く呼吸しながらぼろぼろのズボンを破り、その中を確かめる。
「……っ。うふ。ふふふ」
ほとんど平らに整地されて挽肉になった股間部分に両手を差し入れ、ぐちゅぐちゅとかき混ぜる。
鼻を近づけ、思いっきり匂いを嗅ぎ、べろりと舌で血や肉片を舐めとる。飽きるまで繰り返す。
まるで狂気に満ちた処刑を前に、残った男達はガクガクと震え、腰を抜かした。
「はぁ。はぁっ……」
めぐみが発情しきった牝の顔で、ケイの股間を締め付ける貞操帯に頬ずりした。
返り血にまみれた指先でケイのぶらり垂れ下がった睾丸をコリコリ愛撫した。
あまりの痛みに腰が引けるケイ。なんとか倒れないように踏みとどまる。
貞操帯の先端からはケイの先走りが止めどなくダラダラと流れている。
「助けて! 許して! 逮捕して!」
男達が哀願する。
めぐみは掌の中のケイの睾丸をべろりと舐め上げながら、うっとりと。
「逮捕してあげません。貴方達は、死刑です……っ」
そう言って、しっとり濡れた黒レースの下着の中をもどかしそうに触った。
■
男達が悲鳴を上げ続けている。命乞いを繰り返している。
「婦警さん達……」
めぐみが呼ぶ。すぐに婦警さん達は現れて、めぐみの指示通りに残った男達をはがい締めにしていった。
そこからの言葉は、男の心を読めるめぐみの能力からすれば、まるで説得力のない、意地悪な死刑宣告と変わらない。けれど、めぐみ自身は本当の意味ではそれに気づいていない。愉しんではいるけれど、これば仕事なのだ。
「貴方達は悪いことをしたから、全員死刑です……」
一人一人にきちんと目を合わせながら言う。男達の恐怖があたまに流れ込んでくる。ぞくぞくするほど気持ちがいい。
「でもぉ……」
「婦警さん達はきっと取り調べしたいでしょうからぁ……一人だけ、助けてあげます」
本業は治安省の優秀な執行官として、日々犯罪者達をその場で処刑しているめぐみ。残酷であることと仕事は日常で、当たり前。
「誰が助かりたいですかぁ?」
意地悪な言葉で犯罪者達の心をも縛る。テクニックとしてのサディスティック。めぐみはそう思っている。
我が我がと名乗りを上げる哀れな犯罪者達。
「くすくすっ。一人だけですよぉ……?」
「じゃあ、あたしが選びますねぇ……?一番いい子だった子だけが、合格……」
「だからぁ。抵抗しちゃだめでちゅよぉ……?」
痛みや恐怖に耐えようと、拘束された男達が無意味な努力を始め出すが、無意味なものはどこまで行っても無意味のままだ。
「くすっ。くすくすっ……」
実際のところ、彼らが抵抗しようが意味はなかった。めぐみは好きにするだけだ。
そして、めぐみの「選別」は苛烈な男性器への責めに特化していて、男が耐えられる領域にはない。
一人のペニスに、さわさわといやらしい手つきで愛撫を与えてから、数えきれないほどの鋭い釘を突き刺した。この拷問と言うか、処刑のための道具は全て前もって用意して、ケイに持たせてあった。
萎えることを許さないようにびっしり突き立てられた釘で勃起ペニスのかたちを保持させ、尿道にレイピアを深くねじ込んだところで男が気絶した。
めぐみは構わず、二つの睾丸に釘を刺し始める。何本も何本も。男が泡を吹いてすぐに意識を取り戻すが、やめない。気が済むまで続けた。
どれだけ泣こうが、命乞いをされようが、いっさい構わずに愉しんだ。
別の一人のふにゃふにゃなペニスに、思い切り両手の爪を立ててみた。たちまちいくつもの切り傷が生まれ血まみれになっていく。さらにぎゅうぎゅうと爪を立てる。タマタマにも容赦しない。めぐみには男の痛みなんて分からない。だからこれっぽっちも手加減しない。
興奮のあまり、隣のケイのペニスについ歯を立ててしまう。がちん。貞操帯のおかげで、無事だった。
「ごめんね」
掌の中のケイの睾丸をころころ転がせて、痛みに身をよじったところで貞操帯ごしのペニスにキスをして、やめてあげた。
めぐみの破壊衝動は改めて目の前の犯罪者に向けられた。
「ぎゃああああああああああああ!!」
齧る。齧る。
男のペニスを齧り、抉っていく。ソーセージでも食べるかのように、遠慮なく齧り付く。
みるみる減っていく男のサオ。睾丸にも齧り付く。
めぐみの口の周りは血でべっとりと染まり、口の中は抉り取った肉でいっぱいだ。もぐもぐと咀嚼する。
「どうして、なんで、こんなこと」
男が喚いている。めぐみはごっくん、と喉を鳴らして飲み込んで。
「あたし、ちんちんに興味あるんだぁ……」
うっとりとそんな説明をした。
本業の治安省の執行官としての初陣は14歳の頃。
目の前の男は全て「殺してもいい玩具」だった。
数人をめった刺しにして殺してから、ずっと興味があったちんちんを見ることにした。
どうせ殺す相手だから遠慮なんていらないし、恥ずかしさもなかった。
初めは触るのも抵抗があったが、次第に頬ずりや舐めたりを自然にしていた。
どうしたら勃起するかを何度か試して、カウパーはおいしかったが、射精そのものには興味がなかった。勃起させることに満足してからのめぐみの興味は「ちんちんの破壊」に移った。
以降の彼女の獲物の悲劇については記録に残っているだけでも枚挙に暇がない。
もともとは未成熟な少女特有の男性器への好奇心。
それが、めぐみにとってはなぜだか執拗な性器損壊趣味に変わっている。齧るし、食べられるくらいちんちんが好き。ただしあくまで好奇心と言う名の支配や虐待の対象として。
少し分別もついて、今ではそれなりに男性への配慮も身についてはいるが、性癖というものは変えられないものなのだ。
結局、めぐみは約束を破り、残った男全てを殺してしまった。
正確には、殺すつもりはなくて、手加減をせずに遊んだだけなのだが。男達はめぐみの責めに一人として耐えられなかった。
もともと男の心を読めるめぐみだから、必要な情報はすでに頭の中にある。だから一連の虐殺は、事務手続き的には、単純な事後処理のようなもの。
長い鉄釘を差し込まれ、それをバーナーで炙られた男は、自身の股間から立ち上る、焼ける肉の匂いに耐えられなかった。
「おいしくなぁれ……おいしくなぁれ……」
耳元で聞かされる甘い囁きに心を壊された。もちろんめぐみはその後食べた。
医療用のメスで陰茎から睾丸まで麻酔なしで丁寧に開きにされた男は、股間にぶら下がるものがありえない面積に広げられたことに発狂した。独特の苦みのあるタマタマをこりこりと噛み潰しながら、めぐみは壊れた男の頭にレイピアを刺して殺した。
この常軌を逸した虐殺に、めぐみは明らかに性的興奮を感じている。
男を責めながら濡れた股間や尖った乳首を何度も弄っているし、成熟した裸身を不必要にくねらせている。しかし、あまりに無邪気に楽しそうに行うために、イくことを目的としている感じがしない。身体は何度も絶頂を迎えているだろうけれど、それ以上にめぐみはペニス責めに集中していて、それのみが目的のように誰の目にも見えた。
去勢趣味の女の子はたくさんいるが、めぐみのように最後まで切り離さず執拗に甚振る趣味の子はどちらかと言えば珍しい。
男の虐待が当たり前の社会でも、婦警さん達はあまりに苛烈なめぐみの性癖に戦慄する。
だからこそ、尋ねた。つい、階級もずっと上の偉い立場のめぐみに対して。
「どうして彼は、無事なんですか」
「彼?」
ケイのことだ。
めぐみは答えた。
「あたしの幼馴染、同い年で同級生でしたから。あたしは飛び級したけど男の子の教育って厳しいし、三割くらいは学校で処分されちゃうでしょ? この子はどんくさいし、頭も良くないけどいい子だからあたしが守ってあげないとって思ったんです。あたしの近くにいれば、虐められないでしょ?」
どこを?
そう思った婦警さん達はすぐにああ、と納得した。
だから、彼のペニスは貞操帯で守られて、ほかのちんちんを思う存分虐められる場に同行させているんだ、と。
すり潰した犯罪者の股間で素股をしながら愛液を流し、よだれを垂らして興奮している優秀な少女執行官様が、同時に、傍らのケイの顔を引き寄せ、愛し気にキスの雨を降らせている。
頬を撫で、舌を絡め、たまに剥き出しの睾丸を手加減して弄り、貞操帯ごしにペニスを握る。ケイはそれらで快感を味わっているようだった。
それでも。
婦警さん達は思う。
いつか潰すんじゃないか。
彼女の「好き」の感覚は、ほかの女の子が気まぐれに男のちんちんを愛してあげることと、根本的に違っているんじゃないか。
可哀想に、と思わなくもないけれど、彼はきっと幸せなはずだ。
そして恐らくは、やっぱり。めぐみ様は、この世界の女の子としてはとてもとても優しい子なのだろう。そう婦警さん達は思った。
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投稿:2016.09.11
執行官めぐみの「検分」 (注・逆リョナ成分過多です)
著者 としあき 様 / アクセス 17687 / ♥ 1