13.ディルド2(承前)
「イッちゃったわね...」
「どう?気持ちよかった?」
カオリは拓弥の傍らに尻をついて横座りになり、拓弥にキスをした。拓弥は、カオリを押しのけるように起き上がると、両手で顔を覆い、肩を震わせて泣いた。
「ね、良かったわね。ペニスがなくてもイケて」
「凄く熱かったわよ、あなたの精液。おいしかった...」
拓弥は、絶望と屈辱と喪失感にさいなまれ、涙を流している。
「ね、今度は私が楽しみたいの」
そう言いながらカオリは傍らのワゴンを引き寄せると、下の引き出しを開けて何かを取り出した。
「拓弥、今日はね、いい物を持ってきたの」
笑いながらカオリが拓弥の目の前に掲げたものは...
巨 大 な 裁 ち 鋏 だ っ た。
「拓弥、わかるわね?今度は...」
拓弥は、裁ち鋏を見た瞬間、カオリの意図を理解する。ヒュン、と股間に寒気を感じる。そして悲鳴にならない悲鳴を上げ、尻を床につけたまま、腰を引いて後ずさる。チョキチョキと音を立てながら、裁ち鋏を手にしたカオリが近づいてくる。
「逃げられないわよ?拓弥?」
「や、やめろ...」
と、拓弥は言おうとするが、声は出ない。後ずさりながらも、視線はカオリの持つ裁ち鋏に釘付けになっている。その冷たい金属の光沢が、全身の毛を逆立てさせるような恐怖を呼び起こす。後ずさる拓弥の背中が、コンクリートの壁に当たる。逃げ場を失って、拓弥は青ざめる。カオリが微笑みながら言う。
「さあ拓弥、そのふにふにと柔らかい二つの玉を私に頂戴?」
カオリが妙に芝居がかった仕草で、鋏の刃に舌を這わせる。カオリの声が、洞窟の中ででも喋っているように、くぐもって聞こえる。
「みんなも手伝ってくれるそうよ?」
いつの間にか、カオリの後ろには使用人の娘たちが居並んでおり、カオリに命じられるまま、拓弥を取り押さえようと迫ってくる。拓弥は必死に逃れようとするが、あえなく捉えられ、娘たちに手足を取られ、仰向けに寝かされてしまう。娘たちは拓弥の全裸の体に馬乗りになり、数人がかりで両足を大きく広げて固定する。ペニスのない拓弥の股間があらわになる。陰嚢は恐怖のため、極端に縮んで股間に張り付いている。拓弥は渾身の力を込めて抗うが、全く身動きできない。巨大な裁ち鋏を携えたカオリが、拓弥の顔を覗き込む。
「拓弥、拓弥は前に言ったよね?たとえ自分がどんな姿になっても私を愛する、って」
「私もよ、拓弥。たとえ拓弥がどんな姿になっても、私は拓弥を愛し続けるわ。だから、ね?」
艶然と笑う。
「うーっ、うーっ、うーっ、うーっ、うーっ、うーっ、うーっ、ううーっっっっっっ!!!!!」
拓弥は、娘たちに押さえ込まれたまま、顔を真っ赤にして荒い息を吐き、首を滅茶苦茶に振る。そして、涙を流しながら、懇願するような視線をカオリや、周りの娘たちに向ける。だが、その必死の形相を見た娘たちは全員、性的興奮と、これから目の当たりにする残虐行為への期待に、目を輝かせている。
「拓弥くん、可哀想!」
「竿がない上に、玉も取られちゃうなんて!」
「もう、男ですらなくなっちゃうのね!」
「私たちも悲しいわ!」
口々に言うが、その顔は皆笑っている。拓弥は絶望する。カオリが、拓弥の大きく開かれた両足の間に立つ。
「誰か、手伝ってくれる?」
「はい、私が」
娘の一人が、拓弥の切り株から突き出た銀の管の下で、ギュッと縮こまっている陰嚢を両手でつかみ、体重をかけて思い切り引き伸ばす。
「!!!!!!!!!」
カオリが、細く引き伸ばされた拓弥の陰嚢の根本を挟み込むように、開いた裁ち鋏を押し当てる。陰嚢の下に、ステンレス製のトレイが置かれる。拓弥は、股間に押し当てられた裁ち鋏のヒヤリとする冷たさを感じ、狂ったように全身をよじって逃れようとするが、大勢の娘たちにのしかかられた体は、びくとも動かない。
「お願いします!やめて!やめてください!頼みます!何でもしますから!お願い!あああああ!そ、それだけは、それだけはやめて!やめて!ああ、イヤイヤイヤ!イヤだ!イヤだよぉ!やめてくれよぉ!ね、お願いやめて!やめて!やめ、やめろ!やめろ!やめろ!や、やめろォォォォォォォォォ!」
拓弥は懇願するが、実際には意味をなす言葉は出てこず、口をパクパクさせるだけである。拓弥の目は恐怖で大きく見開かれ、叫び声の形に開かれた口から、大きく突き出された舌が硬直して震えている。それを見た娘たちの中の一人が、思わず拓弥の頭を抱きかかえ、自分の胸にギュッと抱きしめる。拓弥は娘の肌の臭いを感じながら、ついに観念したように固く眼を閉じる。
「じゃあね!」
カオリはそう言うと、無造作に鋏を閉じる。娘たちが凝視するなか
〈 ジ ョ キ ン ! 〉
という音が部屋に響く。拓弥の体を離れた陰嚢の中から、真っ白な膜に覆われた二つの睾丸がこぼれ出て、切断された精管や動脈、静脈叢の糸を引きながら、ころん、ころんとトレイに転がり落ちる。と、同時に、拓弥の股間から大量の血液が迸る。
「!!!!!!!!っっっっっっっっっっ!!!!!!!!!」
これまでの人生で一度も経験したことのない激痛を感じた拓弥は、口から泡を吹き、白目を剥いて気を失う。
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この小説は、r18.novelist.jpに掲載された、三蔵法師の文章の一部を転載したものです。
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投稿:2019.01.10
拓弥とカオリ 習作7
著者 三蔵法師 様 / アクセス 4489 / ♥ 4