僕の生まれた村は街まで車で30分もかかる辺鄙なところだ。
村にはだいたい500人ぐらいが住んでいて、その半分は年寄り。
外から越してくる人も殆どいないし、
近くの村との交流も無くとても閉鎖的な息が詰まるような村だ。
僕は今年中学生になった。中学校までは自転車で15分、そのあとバスで30分。
本当に田舎に生まれたのが嫌になる。
「早く大人になって村を出て都会で働きたいなあ」
そんなことばかり考えていた。
村では2年に一度お盆の時期に「捧男祭」と言われる祭りが開かれる。
秘祭と言われているこの祭りは、村の大人たちが社に籠もり何やら祈りを捧げる。というような祭りだ。僕は中学生になり、おじさんたちからも”大人”として認められて今年から捧男祭に参加することになった。
祭りの前日、親父が険しい顔をして僕に言う。
「お前はもう中学生だ。だが、まだ中学生だ。大人とはいえ半人前だ。お前は大人になるためにいくつもの試練を乗り越えなければならない。明日はお前にとって試練の時だ。何があってもしっかりと成し遂げろ。分かったな?」
いつになく険しい親父の顔に、「捧男祭」という得体のしれない祭りへの恐怖がこみ上げた。
僕は「わかったよ。」と返事をした。
祭りの当日になった。
朝の8時に神社に集合。僕はあまり寝付けなくてとても眠かった。
神社にはおそらく村の男の人がほぼ全員集まっていた。
(うちの村ってこんなに人がいたんだ。)
そんな事を考えていた。
「おっ?ユウタじゃん。おはよ。」
一つ上の学年のコウヘイ兄ちゃんが声をかけてきた。
「お前も祭りに来てたんだな。お前初参加か?去年は無かったから俺も初参加なんだが、祭りってんだから出店ぐらい欲しいよな。しらけるわー。」
僕にとってコウヘイ兄ちゃんは幼馴染で本当のお兄ちゃんのような存在だ。
「そうだね。でさ?捧男祭ってどんなことをするの?」
「さあ?俺も聞いてないんだよ。父ちゃんも教えてくんなくてさ。」
「みんなー集まったかー?」
自治会長の後藤のおじさんが社から出てきた。珍しく袴なんて着て、いつになくニコニコしている。
「さ、準備できちょるけ。社に入れ。」
おじさんが手招きする。
「おい、行くぞ。」
親父に引っ張られて僕も社の中に入った。
「2年に一度の捧男祭、今年はじめての者もおろう。出てきて挨拶せい。」
後藤のおじさんが手招きをした。
今年初参加なのが、僕とコウヘイ兄ちゃんと同級生のリョウスケ君とヒカル君。あと一個上のソウタ君、ショウタ君、ユウイチ君。
一人ずつ簡単に挨拶をした。
「お前たちは聞かされているや知らんが"捧男祭"は村の"蛇女神様"に"男根"を捧げ、豊作と子孫繁栄を祈る祭りや。この7人の中から今年の"捧男"を決める。さっクジを引け。」
意味が分からなかった。ジャニョシン様?ダンコン?僕は意味が分からないままクジを引く。
「よし、みんな引いたな。当たりは赤いクジや。赤いクジを引いたのは誰や?」
僕のクジは白だった。なんとなく外れてしまったのが残念。
「俺です。」
当たりを引いたのはコウヘイ兄ちゃんだった。
「そうか、じゃあ前にでろ。」後藤のおじさんが言った。
「今年の捧男はコウヘイ君やな。皆の者拍手せい。」
パチパチパチパチ 一斉に拍手。
「よっ!捧男!いいねぇ!」「コウヘイ君色男だねぇ!!」
ヤジが飛び交う。
「静かに。ではコウヘイ君には準備をしてきてもらう。奥の部屋へ。」
コウヘイ君は自治会の斉藤さんと僕の親父に連れられて奥の部屋に向かった。
その間、社では飲み会が開かれた。持ち寄ったお酒やおつまみ、寿司やオードブルなどが広げられ、大人たちは世間話に花を咲かせる。
「これで2年は豊作ですなぁ。」「コウヘイ君に感謝やな。」「ワシはコウヘイ君のお父さんにも頭が上がりませんなあ。」
コウヘイ君のお父さんはヘコヘコしながらはお酒を注いでもらって飲んで飲んで顔を真っ赤にしていた。
大体2時間ぐらいしてコウヘイ君が帰ってきた。白い着物を着てなんだか神々しい感じだ。
僕の親父も袴なんて着ていっちょ前に神主さんみたいだ。初めて見る感じだった。
何かが始まるんだ。ドキドキする。そう感じさせた。
「では始めるぞ。皆の者火を焚け。どんどん薪を焚べろ。」
後藤のおじさんがそう言うと電気を消して松明に火をつける。
部屋の中は男たちの熱気と松明の炎でどんどん熱くなっていく。
お香でも焚いているのかシナモンかバニラのような独特ないい匂いが部屋中に漂っている。
社の真ん中に白い布団が敷かれる。
コウヘイ君がそこに大の字に寝かされた。コウヘイ君の目元には、おしぼりのようなものがかけられ、コウヘイ君の両手と両足が柱に縛られた。
シュルルル
後藤のおじさんがコウヘイ君の着物の帯を解いた。
コウヘイ君は中に何も着ていなかったみたいで、コウヘイ君は露わになった。
「えっ?何ですか?これ?ちょっ辞めてくださqうえrっt、うわ」
コウヘイ君はびっくりして叫んだ。コウヘイ君は見何も見えていないみたいだった。
僕もびっくりして「あぁ。。」と声にならない声を出した。
後藤のおじさんが神棚から小太刀を取り出す。
鞘を抜くと輝いていておもちゃの剣みたいだと思った。
「蛇女神様ーどうかこの若き男の男根をお納め下さい。」
そういうと後藤のおじさんが酒を一気飲みし、コウヘイ君のちんこをがっしりと握った。
「うわあああ」
コウヘイ君が驚いて悲鳴を上げた。コウヘイ君のちんこは勃起している。
後藤のおじさんがコウヘイ君のちんこを強く引っ張り根本の部分に小太刀を当てた。
「痛い...!!」
コウヘイ君はおしっこを漏らした。
後藤のおじさんは構わずちんこを切っていく。
ほんの20秒ぐらいでコウヘイ君のちんこは取れてしまった。
「うぅ」コウヘイ君は気を失ってしまった。
コウヘイ君の股間は血とおしっこで見るに無残だった。
後藤のおじさんが切り取ったちんこを供物台の上に乗せた。
さっきまでギンギンに勃起していたちんこがしなしなになって、まるで空気の抜けた風船みたいだった。
僕の親父と斉藤さんがコウヘイ君の処置をしていた。
焚き火で焼いた灰をコウヘイ君の股間に塗っていた。
コウヘイ君は気を失ったままだ。
何もかもが意味不明すぎて呆気に取られていると、後藤のおじさんが白い蛇の入った瓶を取り出した。
そしてコウヘイ君のちんちんと蛇を酒の入った壺に中に入れた。
後藤のおじさんが手際よく蓋を縛った。
「では、皆の者、開封の儀を始めるぞ。」
後藤のおじさんはそういうと壺を神棚に捧げ、最初から置いてあった壺を変わりに取り出した。
壺の蓋を開け中から茶色の酒のようなものを取り出し、盃を持って待っている男衆に注いで回った。
「今日だけは飲め。」
親父はそう言うと盃を僕に渡す。
「分かった。」
僕は多分生まれて初めてのお酒を飲んだ。
何だか鉄臭くて苦いくて塩っぱくて喉が熱くなった。
僕はそのほんの少しの酒で酔ってしまって眠ってしまった。
目が覚めると家にいた。
「目が冷めたか。」
親父が言う。
「今日は疲れただろう。ゆっくり休めよ。」
親父の顔には安堵のような表情と優しさが溢れていた。
「うん。」
僕はそう言うともう一度目を閉じてまた眠ってしまったのだった。
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投稿:2019.06.23更新:2019.06.23
村の奇祭
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