病院帰りのケイが久しぶりにいつもの喫茶室を訪れると、喫茶室には客として数人の男の娘とナギがいるだけだった。
ケイがやって来たことに気づいたナギがにこやかに片手を上げて、
「久しぶりだね」
とケイに声をかけた。
「ご無沙汰してます」
社交辞令的な返事をケイがナギに返すと、ナギは
「今日は一人?」
と言いながら、空いた席を勧めた。
「今日は病院に行った帰りだけどね」
少し躊躇しながらもナギに勧められるままにケイが席に着いて言う。
ナギの取り巻きの男の娘たちは、やって来たケイにかなり注目の視線を浴びせはじめ、ケイもその視線を感じた。
そこでナギが取り巻きの男の娘たちにケイを紹介すると、それによってケイへの関心が高まってきて、なんとなく雑談が始まった。
「ところで。病院へ何をしに?」
男の娘の中の、どう見ても女の子にしか見えない子が素朴な質問をケイにした。
「それなんだけど。下の補完工事の相談に行ってきたんだよ」
と、ケイが苦笑気味に答えた。
「え? どういうこと?」
マオと名乗ったその子はわからないらしく、ケイに尋ねた。
ケイは自分の身に起こったことをマオに話してみると
「そういうことなんだ。実はボクもなんだよ」
とマオが言ってケイが驚いた。
「ボクね。小さいころ、ちんちんとタマタマの病気で全部取られたんだ」
マオがちょっと恥ずかしそうに話す。
マオがどう見ても女の子にしか見えないのはそのあたりなのかも、とケイは思った。
「で、ケイはどうするつもりなんだ?」
ナギが聞いた。
「迷っていたけど、ちんぽにアレ入れてもらうことにしたよ」
ケイがナギに言った。
「ペニルインプラントか」
「うん」
そんな会話をする。
「何それ?」
マオがナギとケイのやり取りを聞いて、聞いた。
「役立たずになったちんぽを勃起させるようにするのさ」
手短にナギが答え、マオはキツネにつままれたような顔をした。
そしてケイのことをもっと知りたくなったマオは、ケイの耳元で何かをささやいたのだった。
むろん、ケイもマオのアレがどうなっているのか知りたくなったらしく、何のためらいもなく了承をした。
「なんの話をしたんだ?」
「それは秘密です」
ケイとマオが示し合わせたようにクスリと笑って、ナギを一層不思議がらせた。
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投稿:2019.08.06
宦官になっちゃった(その6)
著者 石見野権左衛門 様 / アクセス 4606 / ♥ 1