「ボク 女の子に・・・なりたいの」
長男にそう告られても、衝撃でもなんでもなかった。ああ やっぱり。思い当たるフシは
いくつもある。考えてみると、今にはじまったものでもない。
なけなしの勇気をふりしぼったか、はたまた、これ以上、男の子を演じていのは限界、という
ココロ叫びか?
でもまあ、10年生きてきて、いまさら女に転向するといのは、努力なしにはやり遂げられない。
女の子に逃げこむような姿勢では、ある意味キビイシ女の世界で、生きてけるはずもない。
結果、中途半端ないきものとして、生涯が終わる。
同時に、こうも思う。
性別だとか国籍だとか、人間の根本的なアイデンティティ(自己認識)に、ズレがるとそれは
治療できまい。ここで抑え込んでも、いつか目覚めてしまう。大学中退のあげく、場末の
ニューハーフ・バーに就職とか、妻子を捨てて、タイで性転換とか、
本人はともかく、周囲を不幸にするならコマッタ話よね。
今の世の中 その道に走って、それが不幸ともいえない。その特異な才能を発揮する
かもしれない。
ファション論のパー子 映画評論のお松 でも最後は、美のカリスマ 美和アキヒロ?
それとも、コマツデラックス?
イヤイヤ、今の世なら、柿の木坂42とか BKB36とかグループアイドルのセンターを狙う。
それくらいじゃないと。(で 私はステージ・ママか?)
「ママ はっきり言うわよ 優くんが「男の娘」になるの 反対よ。」
「中途半端はダメ そんなに女の子になりたいなら ちゃんとした女の子になるここと
ホンモノのの。
「ココロも もちろん 身体もよ」
「優くんのここ。 ちょん切っちゃう。それでもいい。二度と男の子には 戻れないけど。
それでもいい?」
涙目で だまってうなずく・・・
(長 長女になるのかなぁ これからは・・・)
「ママ 優くんを女の子に育て直してあげる。」
(長男?いや、長女になっちゃうけど、ギュっと抱きしめた。)
「いい 本気でせめざすなら 普通の子じゃなっくて、2歩も3歩上の子にならなきゃね。
渋谷を歩いたら、アイドルやモデルにスカウトされるぐらい
そもそも おカマちゃん なんて馬鹿にされてちゃ だめよ。それは、あんたの努力不足。
*************************************
さて スパルタ・男の娘ママとしては・・・どこから始めようかな?
少なくとも、女装がはずかしい、なんて低レベルな意識じゃ、女の子になれるけないわよね。
周囲を軋轢があっても、その世界にほうりこまなきゃ。この子には、「女装じゃなくて
これが自分」という主張ができないとね。
まあ 周囲から女装と言われるようじゃ・・・話になららないわ。
うん これは、私の責任。
長い目でみれば、テクニックではなくて、女の子として皮膚感覚を育てないといけない
とかく、小学4年生ぐらいの男子は、「うんこ」「ちんちん」だもんねぇ。
この子の周囲は「うんこちんちん」という言葉で溢れているはず。
でも この子は、不思議とそういう話題を一切しない。外見はともかく お嬢様に転向
できる“資質”があるのかな?、
当面は、女の子という鋳型にはめ込んでしまおう。周囲からみて女の子を演じきれないようでは、
話にならない。
************************************
「優クン お風呂 いっしょに入るわよ。」
まずは、ちゃんと「男の娘」としての性教育から始めなきゃ。それには裸の状態がイチバンよ
あらあら、裸は恥かしい?。うふふ 一応、羞恥心は芽生えてるのかな。
「あれぇ? 恥ずかしがることないじゃん 優クン女の子になるんでしょ?これからは同性ね」
「ねえ 優クン おちんちん 見せて。恥ずかしい?いいじゃない。
いずれ ちょん切っちゃうんだし。」
自分で言って 可笑しい。これは危険な誘惑だわ。
これが、普通の男の子なら、母子なんちゃらというパターンよね。
皮をかぶった“つぼみのおちんちん”だわ。なんかねぇ つぼみのまま摘み取ってしまうのは、
ちょっと・・・もったいな。
「うん、まだ大丈夫 おとなのオトコの身体には なってないわ。」
この際、イタスラして・・・皮をむいちゃおっかな。・・・ううん それはダメ。それは、
母子ハラスメント。やってはダメ。私がするべきは、ましめな性教育。
「みんな、小学生から中学に上がるころには、おとなの身体になるのよ。
男の子は、肩幅がはって筋肉がついて、逆査三角なからだになる。おひげが生えて、この
おちんちんが大きくなるの。精子がでてくるわ」
「女の子は、脂肪がついて丸くなる。おっぱいも大きくなる。学校で習ったでしょ。
生理っていって、子宮のベットが崩れて出血するの」
「優クン 身体ば男の子だからね、このままじゃ いくら頑張っても男になっちゃう。」
「いやなんでしょ・・・そんな身体」
「はっきり言うとね、男の娘は、5年生か6年生にある前に まず、ここのタマタマを
抜いちゃうのよ。男として身体が完成する前に、男性ホルモンを止めちゃうの」
あとは女性ホルモン治療。お薬をつかう。そうすれば、周囲の女の子とおなじように、
もしかしたら 周囲の天然の子より早く、胸が膨らんでくるかもね。
今の医学では、IPS細胞を使って、おなかのの中に子宮や卵巣を作れるみたい。
優クンも 将来、あかちゃんを産める身体になれるそうよ。」
(そう、あかちゃんを産む 結局、それが女の一番の幸せなのよ。なんだかんだ言ったね)
「小学校卒業までに、われめちゃんにしなきゃね。中学生になるまでに、男の子の身体に
卒業しなきゃ。」
その前に ちゃんと女の子として振る舞いができること、それができないと、お医者さんに
頼んでも おちんちんをちょん切ってもらえないわよ。
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「さ、今日から 女の子のパンツをはくのよ。ほら女児って書いてあるでしょ。あなたは
“女児”よ。」
「あなたは、ヘンタイじゃないわ。女の子は女の子のパンツをはく。当たり前じゃない。」
この子はホンキなのか?、身体を弄る前にためさなきゃ・・・
「もう、立ってオシッコしちゃだめよ。いずれ、おちんちんはなくなっちゃうから、
これからは すわってオシッコできないとね。ママと約束してね。」
変えたのは下着だけ。それだけで「キュン」ときてしまったよう。
まだ、よけいなモノがついているから、その膨らみは目立つ。でも、股間が勃起している
様子はない。
ジーンズにセーターを着させて、外見上は男の子に戻した。それでも、変えた下着は
肌に接しているだけに、精神的に効いてくるはず。
(なんか、まるで・・・初潮を迎えた女の子みたい。)
この機を逃さず、女の子を刷り込んでしまおう。将来「主婦」としてやってけるように、
料理・洗濯・掃除・・・家事一通りを仕込もう。(あはは、私も そうしてくれると
楽できるわね)
「ほらほら、女の子は、家のことができなきゃ、お嫁さんになれないわよ。
みっちり教えるから、ママのお手伝いしなさい わかった?」
***********************************
あれから1月。この変わりようは いったい なんなの?。優は イヤというそぶりを
一切見せない。喜々として家事を手伝ってくれる。まるで 水を得た魚
優の身体は男の子。私が産んで10数年育てた。間違いない。下着を変えさせたほか、
コテコテの女装をさせているわけじゃないけど、男の子とは思えなくなってきた。
とても・・・
髪が少し伸びた。ショートヘアだけど、女の子らしい髪型にしてあげたくなった。
(あ 私も本気になっている。)
優を 行き付けのヘアサロンに誘う、
美容師には事情を話した。特段 驚かれることはない。いまの時代、その選択も個性うち・・
一時間の後、ショートヘアの女の子に仕上がった。我が子ながら・・・ハッとする。
髪型的には、もう男の子のカテゴリーではない。
(本人は満足してるけど。学校でどうするの?・・・とは思う。
これで いじめに遭うのは必定よね。親も先生も、建前では、子供の人権を守ってくれる。
でも、子供同士のつながりに立ち入ることはできない。
そもそも、優は 男の子の集団には ついて行けないし、行きたくもないはず。だから、
男の子の集団から弾かれるのは、本人の望むところよ。
でもだからとって、女の子の集団が救ってくれるはずもない。女の子たちからは、
見えないところで、チクチクやられわね。
(孤立・・・うーん。それって 幸せ? 優?)
でも。これは、優の意思て 仕掛けたチャレンジよ。自業自得と言えば それまで。
孤立やいじめは覚悟の上よ。
女の子になるのだから・・・やられたらやり返す?なんて、そんなわけにはいかない。
親としては せめて、いじめからの「逃げ場」は教えておこう。サバイバル術として。
「あのね優・・もし 学校でいじめにあって 教室にいられないなら・・・、
図書室で本を読んで時間をつぶすの、つぎは保健室に逃げ込む、最後は 校長室に
泣きつきなさい。
問題を大きくして 大人を巻き込むの。建前では あなたを守ってくれるはずよ」
「でも それで すべての問題は解決しないわ。たとえば、学校の行き帰り。先生が
守ってくれることはないしね 」
***********************************
数日後・・・学校から電話があった
「おたくの 優クン ちょと・・・・
学校から呼び出された。
いえね・・・ちょっとした事件がました。まあ、いじめとしては古典的なんですが、
トイレ中継という手口でして、個室トイレで用を足している間に 誰か入ってるとか
クサイとか はやし立てるんですな。今回は 上から水を掛けるひどい手口でした。
首謀者は だいたい・・・」
「それはいいとして 優クン
かわいい女の子の下着をつけてますね.お母様?なにか意図がありますか?」
(あっ・・・バレタ・・・)
「髪型も女の子のようだし・・・
お母様 優クンの意思に反してこんなことしたら、それは 性的な児童虐待ですよ。
これは もう立派な相談所案件なんですっ!冗談ではすまされませんよっ」
(そう。私の悪ノリから始った・・・けど)
「でも優クンが望んでそうしているなら・・・それは、そういう子なのかもしれません。
ほら 性同一性障害とかなんとか言う 詳しくは知らないけど まったく
オトコナラ アンナ チュウトハンパナ ・・・ 」
(そう、優は望んでいる。今は 水を得たサカナなのよ。母親の私でも驚くほど、
もう 誰にも止められないわ。)
「事件があった以上、教室には戻れないでしょう。保健室登校を認めてください。
それと、しばらく職員トイレを使うことを許可願います。母親としては それだけ」
************************************
その日 優を喫茶店に誘う
「あのね、ケーキと紅茶でおしゃべりを楽しむ、これ女の子のコミュケーションのカタチ。
優も女の子になるんだから覚えておいて。どこの店が一番おいしいケーキなのか、覚えて
おくと、一目おかれる存在になるから。」
「そのうち、ママ 優にもケーキの作り方を教えるからねっ。」
それは、母と娘だけの幸せの1ページになるはず。想像していても楽しい時間。
間違えなくこの子は“女の子”よ。確信したわ。
「で、今日は・・・優の学校でのこと、聞いちゃったの。
詳しく答えなくてよろしい。ココロの傷がもんね。」
「覚えておいて、男の子、とくに集団になったときは、とても危険よ。
優は女の子になるんでしょ。そういう集団から弾かれることは、望むところよね。
よかったじゃない。」
「優はみにくいアヒルの子。アヒルの集団から弾かれて当然よ。白鳥なんだから」
***************************************
「それて 童話にはその後があるの。白鳥だから、オオカミに狙われる。」
真顔で言う。女の子は周囲への警戒心を解いてはいけないと。とくに男に対しては。
「ここはまじめに聴いてよ。女の子は性的に乱暴されて殺されちゃうこともある。
優の場合、女の子以上に弱い立場だから、口止されちゃうし、理解者もいない。
だからよけいに 狙われるのよ。
ひどいことに、優のような子を専門に狙う男の人がいるの。「男の娘マニア」よ。
こういう人は、まともな女の人に相手されないから 小さい子に手を出す。
だからよけにキケンなの。
いい 相手は子供じゃないわよ.大人、それも立派な肩書を持つ大人よ。
学校の先生という仮面をつけていることあるの。これには注意してね。
だいたい 身体を触るような男の人は、許しちゃだめよ たとえ先生でもね」
(優の顔がドキリといている。優・・・なんかあった?もしかして あの担任が?)
**************************************
それから 1月 優の保健室登校が始まる。
いまどきの保健室には、優のほかにも弾かれた子供がやってくる。事情はさまざま。
そもそも子供同士のイジメは、ささいな事件から始まる。優のような子じゃくて、
まともな子が選ばれて 弾かれる。まったく、教育が悪いとしか言いようがない。
弾かれた子供同士で 痛みが分るのかな。優は 保健室で友達を見つけたみたいだ。
相手は 天然の女の子。優は あおいちゃん とか呼んでいる
「今度 あおいちゃんと 保健室で ケーキと紅茶でおしゃべりしたいの」
ママ ケーキの作り方教えて」
(こらっ・・・保健室を喫茶店にする気?)
それにしても さっそく女の子同士のコミュケーションを実践してるとはオドロキ。
「あのね。おしゃべり上手は、“聴き手”上手だってこと。忘れちゃだめよ。
自分の3倍、 相手にしゃべらせること。」
テクニックを伝える。あとは 実践有るのみ ガンバレ優
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娘と一緒にケーキを焼く。夢みたいな光景。
これは 自分が産んだ子が男の子と知って、諦めた夢。はからずも実現しちゃった。
この際、優に振袖を着せて、七五三をやり直すのも いいいかな?
これ妄想?ううん 夢じゃないわ。優はノリ気よ。イヤなんて言うはずがない。
「メレンゲは、ツノが立つくらいまで 泡だてる。ほら 手を休めない!もっと強く!」
(私 スパルタママ?・・・でも ほんとは しあわせなのよ とっても)
(優 自分が産んだ子。おむつ換えもした たしかに男の子だった。ついてたもんね。
でも 今までも付いてんのかな? もしかして、自然に取れちゃった?
(まだ 付いていたら、ママが取ってあげる ふふ。そうしないと 幸せになれないわ 。
以前なら妄想だったけど だんだん現実に考えてる。ちょっと怖いナ 私ったら。)
こんど 優に スカートをはかせちゃお。どんな顔するかな ふふふっ
************************************
保健室登校は その後も続いた。
とは言っても、保健室で「タダ飯」を食わせてもらえるわけではない。優は“盟友”
あおいちゃん”とともに、養護教員にコキ使われてるらしい。
たとえば,児童のゲガの処置。擦り傷や火傷の処置、骨折の当て木、包帯の巻き。
人工呼吸のシュミレータ実習まで 仕込まれてるとか。
先日、運動会の練習中、多数の熱射病が出たという。こうなると、子供とはいえ、
ねこの手も必要になる」優は、野戦病院の従軍看護婦みたいに働いた と。
どうであれ、役割があって働けるのはいいこと。
「優は、将来、ナースさんになれるわね」
「ううん、なるなら・・・お医者さんよ。看護士をコキつかえるから(笑)
わたし 失敗しないから ねっ」
あおいちゃんは、優の盟友になってくれた。彼女は 優の身体の真実を知っている。
った上で、その話題には一切触れない。2人は 女の子同士 なのだ。
優は、お菓子が作れる。あおいちゃんは手芸ができる。二人で 教え合っているという。
優は、手芸の初歩「指あみ」を教えてもらった。
得意げに話す。
「ママ 誕生日までには、マフラーにしあげるから ねっ」
さて、そのペースで間に合うとは思えないが(笑)
*****************************************
楽しそうな学校生活。だけど、嫌いなもの、ヤなものもあるはず
「え、キライなもの? うーん 男の子」
いままでの経緯を知っているから、一瞬 吹き出した。けど・・・
優のアタマは、すでに「女の子」というモードに切り替わっている。男の子は異性なのだ。
異性というより、よくて、言うこと聞かないペット、悪くて、手に負えない野獣にしか
優には見えていない。
こんな感性でいたら、将来 レズビアンになる?
いや、そうではない。女は、幾百幾千のオトコから1つ選択できればよいのだ。
むしろ「他のオトコは動物」と言う警戒感は、身を守るため絶対に必要だ。
これが「箱入り娘の掟」なのだ。
こうなれば 身体を弄ってあげないとかわいそうだ。このままでは 身とココロが
分裂してしまう。
私は、ネットを検索した。この子が 身もココロも、幸せになる方法を。
*************************************
精神科では、1年の通院を要する。まず、リアルライフで反対の性別に適応しているか、
徹底審査される。
ところが 審査1回でOKがでた。これで、次の医療ステップに進める。
これには理由がある。養護教員からの紹介状が効いている。書面には「この子は、女の子
としてやっていけるし、それ以外の選択はない」と記されてるかもしれない。
親以外の第3者の進言だけに、信憑性が高いのだろう。
手術の工程はこう。
まず精巣から「原始生殖細胞」を採取する。これを適度なホルモン環境で体外培養する。
すると、これが卵巣にも女性内生殖器にもなる。これを移植する。それだけ。
あとは 男性の器官を摘出してオシマイ。今日の遺伝子工学の発達は目覚ましい。
但し 遺伝子はXYのまま残ることになる。
XY女性。奇異かもしれないが、XX男性もXY女性も自然界に存在するらしい。調べて
ないだけの話 だという。それはそうだ。健康診断で性染色体を調べることはない。
それで、XYの男性と結婚すると、2倍の確立で 男の子を身ごもる。
つまりこうだ。組み合わせは4通り。XX XY YX YY。うちXXは健康な女性
XY YX が男性。YYは流産するという。
優の子供は男の子で かつ、優と同じ「男の娘」になる。そんな皮肉な結果は
十分にあるのだ。
優は 笑っていた。
************************************
「ママぁ 見て」
「優っ!どうしたの そのスカート!」
「あおいちゃんに・・・もらったの。優ちゃん もっと女の子らしくできるよ。
女の子を楽しまなくちゃ・・・なんのために女の子やってるnか わかんないよ。
・・・って」
親がおどろくほど 似合っている。そして後悔。
(どうして、かわいいい服を着させてあげなかったんだろ。優は もう女の子なのに
ファーストスカートに恥じらう男の娘。ああ 親なのに 決定的なシーンを見損なった)
優を抱きしめる。
(ママが悪かった ごめんね。)
「今晩は 御赤飯 炊こう」
「なんで ????」
「決まってるでしょ スカート記念日よ。女の子は成長のたびに“寿ぎ”を受けるのよ。
これからも、初ブラの日 初生理の日 それからぁ・・・」
「それから? 」
「おちんちんを摘み取って 男の子の身体にサヨナラした日。」
「摘み取ったおちんちんは 水天宮様で“御焚き上げ”するのよ。
水天宮様はねえ 子つくりの神様なの。
優は 女の子になりました という報告。元気なあかちゃんを授けてくださという
お願い。その後は お赤飯でお祝いよ」
「お式は お振袖にする ドレスにする もちろんレンタルだけどね」
***************************************************************
いくら女の子の生活に適用していたとしても、身体にメスを入れるのは不安なこと。
注意しなければいけない。医師からは重ねて忠告されている。
手術は3段階。最初に左の精巣を摘出。もし後戻りするなら、ここが限界。だから
去勢を2回に分けるらしい。
摘出した左精巣から、生殖原始細胞を採取する。この後、この細胞から生物工学を
もって、卵巣と内部生殖器を培養する。
いやはや、昨今の生物テクノロジーはこんなこともできるのかと 呆れる。
とはいっても、作製した器官は、胎児レベルの分化段階の未熟なもの。未熟なまま
これを優の身体に埋めもどす。ほんもの体内器官として成熟は、埋め戻した後で、
1年間の成長を待つ。
その間、優の身体の性ホルモン環境を弄る。邪魔な男性ホルモンが分泌しないない
よう、右の精巣も完全去勢。加えて、女性ホルモン剤の摂取あるいは投与をする。
これで 内性器の成熟を待ち、最後に膣口を開ける。
その数か月後、初潮を迎えるという。
竿の部分は・・・尿道を抜いてしまえば、クリトリス並みに退化してしまうらしい。
医師が言う。放置しても切除しても変わらないと。残すか摘み取るかは、「本人の
希望」しだいとのこと。
「裏の話」にはなるけど・・・
母親が切除するケースがあるという。部分麻酔なので、子供の意識は
あるらしい。医師法には触れるけど 母と娘 感動のシーンになるという。
どうします?と問われた
(私はサディスト気があるのかな? 自分の子なのに・・・
優のおちんちんは、幼稚園児なみ。思春期の男の子のレベルとは思えない。
まだ しっかり皮がかぶっている。遠い春待つ「つぼみ」なのだ。
ただ、あの皮の内側には、夫と同じ、あのおぞましい“亀”が潜んでいるのだ。
ほんとにゾッとする。思い出したくもない。
私と夫とは、7年前に離婚した。
性格の不一致。細かくいえば性生活の不一致が理由。セックスに際し、何度も
亀頭を舐めろと強要された。それがトラウマになった。
(尿の排泄器官を口で舐めろ・・・だって?
そんな不潔な行為は、できるはずがないでしょ。
それが当たり前というのは、夫はAVの見すぎなのよ。私はAV嬢ではないわ。
まっとうな女性なのよ。)
かくて 夫との 性生活は破たんした。優が生まれたあと、セックスレスが続き
ついにはDVをふるわれた。
結局、優を守るため・・・私は夫から逃げたのだ。
優にも亀ちゃんがある。いずれおぞましい生き物となって、誰かを襲う。
それくらいなら いっそ 私の手で
(はっ・・・待って・・・優がこうなったのは。実は私の望みどおりの展開?
ではないの?
(優は 私の手で 女の子にしてあげたい 。これは絶対に・・・)
わたし・・・やります。
***************************************
手術は3段階。最初に左の精巣を摘出。翌週は右側。摘出した精巣から、生殖原始細胞を採取する。このあと、この細胞から、生物工学をもって、卵巣と内部生殖器を作製する。男の子の性器は外にあるので、手術は日帰り。
一月後、これを優の身体に埋めもどす。内器官として成熟は、埋め戻した後で、1年間の成長を待つことになる。
こちらの手術、2泊3日。この際、同時にペニスから尿道を抜いてしまう。以後、もう立ちおしっこはできなくなる。
はじめての「しゃがんでオシッコ」。そういう身体になったことを、ショックに感じる子もいれば、感動に泣く子もいるそうだ。結局、男の子の心理アイデンティティなんて、オシッコのスタイルに大きく起因するらしい。なんて単純なの。
性をはく奪された悲しみ。新しい性を得るよろこび。優はどっちなのかな?
去勢手術は、親子同伴。この手の手術を実施する病院は、道府県に1つ程度。学校の休みを利用するため、手術日は混み合う。
****************************************
優を連れて、手術の順番を待つ。
それにしても、優とおなじ境遇にある子が、意外にも多い。外見上は、みんな普通の親と娘。手術後の負担を少なくするため、娘たちはみなスカート姿。でも、身体の中味は男の子なのだ。ここで、男の子を捨てて、新しい性を得る。
実にシュールな光景かもしれない。でも、その見方は「世の中の大勢側から見て」という限定がつく。ここに来た当事者は、そうは思わない。身体の性が間違っている。間違った身体を治すことは、医学的に正しい。なにが悪い。そういうことなのだ。
(優、この後におよんで、男の子を捨てることに、後悔はないわよね)
手術準備が始まる。産毛を剃り、手術部位を消毒する。いよいよ、袋の中の男の子を抜かれてしまうのだ。優は、不安な顔をしている。今にも、泣きだしそう。
(優、乗り越えるのよ。こんなものがあったら、女の幸せは得られないんだからねっ)
優は、こくり とうなずく。
(そう、覚悟をきめたのね。)
麻酔、切開、摘出、縫合。手術の時間は10分とかからない。私は、手術室まで優に同伴し、手術中の優の手を握ぎった。
優は涙目だった。その涙の意味は、なんだろう。
学校では、優は女の子として通している。それも1年も前から。いまさら、男に戻る気はないだろう。それでも、なにか割り切れないモノがあるのかな?
でもまあ「さあ バッサリやってくれイ」なんて言だされたら、それじゃ、男の子そのものよね。優は 深いところまで女の子なのだ。だから、じくじくと割り切れないものを引きずるんだ。なんか、かわいい。
(優、涙の意味 わかったよ
つぎの日曜日、デパート連れて行くからね。好きなドレスを選ぼうね。せっかく女の子になるんだから、女の子を楽しまなくちゃ。)
******************************
去勢手術を終えた子には、心理的なサポートが欠かせない。優は、男の子としての性的なアイデンティティ(拠り所)を失った。そのままでは、ノンーセクシャルというアイデンディティを持ってしまいかねない。それでは、性のはく奪という虐待だ。もちろん、この手術の趣旨に反する。女の子として、ゆるぎない自信をつけさせないといけない。
これは、母の責任。
優は、「かわいい」と言われることに、まだ戸惑いがあるみたい。かわいい服を選ぶ、着飾る、髪を結ぶ、みんな、女の子なら当たり前にできること。優は それがまだ自然にきない。戸惑っている。それじゃ、女の子は失格なのよ。まあ、生まれて10年も男の子を演じてきたのだから、しかたないかなぁ?
多少、年齢退行になるけど、優に お人形を買い与えた。
「優、女の子なんだから、お人形の1つや2つ、もっていなきゃね。大切にしてね。」
ほらぁ、着せ替える服も選んであげないと、かわいそうでしょ。まず普段着と、これは学校の制服ね。ブレザーとミニ。それとパーティドレス。どれがいい?」
まずは、お人形をかわーく着飾る。それを通じて、自分自身かわーくなること許していく。こうして女ゴゴロは育っていくんだよね。これは、薬や手術ではできない。
それ以来、優の選ぶ服は徐々につ変わってきた。優は、鏡の前で、必死にヘアアレンジを試していた。けど、三つ編みができないみたいね。フフ。ママが助けて・・・あげたいけど、これは、自分でできないとダメよ。「女の子」の道は、キビシいんだからね。
****************************
一緒に入浴して、優の体の変化に気がついた。優の胸がツンと出てきた。少し痛いらしい。
そろそろ、優も「初ブラ」かな。
上半身は思春期の女の子。なのに、股間に残ったしっぽが、ほんと不釣り合い。
こういう中途半端な身体は、普通の子以上に”マニア”の標的になる。マニアだけに、なにをされるかわからない。いたずらで済まない。自ら行為をもみ消すために、相手の命さえ奪う。だから、マニアはとっても危険なのだ。
マニアの毒牙にかかる前に、一刻も早く、普通の身体にしてあげないと・・・。
(きれいな身体になろうね。ママが ちょん切ってあげるからね。)
翌日、行き着けのランジェリーショップに、優を連れていく。ここは「男子禁制の空間」。
お人形トレーニングの成果もあって、もう、優に戸惑いはなかった。優は、ここで「大人の女」として、一歩を踏み出すのだ。
店員には、優の事情を話しておいた。最近は、ブラをする男の娘は、めずらしいことでもないならしい。「気にしないで、普通の女の子と同じだから」そう、答えてくれた。
「じゃあ、お姉さんが胸を大きさを測るから、試着室入ってねぇ」
優は、そそくさと試着室入る。
母親としては、ちょっと気になる。カーテン越しに、優を覗いてみた。シンプルなスポーツブラだけど、優にとって、記念すべきファーストブラなのよねぇ。
(娘を持つ喜びって、こんなにも・・・涙がでてくる。優を娘に作り変えちゃったのは、私の仕業だけど。優は、もう女の子だもの、今晩は、お赤飯炊いてお祝いしなきゃね。)
優は、ちょっと不満げだ。
「もっと、レースがついてるのが いいんだけどな・・・」
私は、むっとして答えた。
「コラっ なに言ってるの、出来かけのおっぱいにレース付きのブラなんて あるわけないでしょ。そういうのは、もっと大きく育ってからつけるものなのっ。それに、あんたがそんなのつけたら、透けてみえちゃうでしょ!体育の授業でどーすんの!」
そう叱りつけながら、幸せを感じている。母として、女どうしとして。
優は、すこし大人びた。来月には、いよいよ、残ったしっぽを処分する。
**************
優 学校の進路、どうする?
このまま、地元の公立中に行くもよし、その場合、優の過去を知る人は多い。それをネタに脅されることもありえる。でも、その程度の脅しに屈しては、その先の、世の中を渡れない。「戦え」というわけではない。自ら、事態を賢く「あしらえ」、ということだ。
一方、ミッション系のお嬢様学校に入れて、優を、ガチ「箱入り娘」に仕立て上げる手もある。優のことだ、お嬢様を演じるのは、いとも簡単だろう。
なにより「女の暗闘」を学ぶには、女子高に限る(笑)。これも、会社に就職して・・・いえいえ、主婦になってからのほうが必要とされる知恵、いや、武器かな。
それにしても、まったくなんで、「女」なんて、めんどくさい生き物になろうとしてるのかなぁ 優は・・・わかんないわ。この子」。
優は、学校のパンフレットを見ている。優の成績なら、入試はクリアできる。
(でもさぁ、どの制服が可愛いとか、似合うとか、そんな基準で学校を選んじゃだめよ。それ、女ゴコロをエサにした「釣り」だからね。)
ちょっと・・・優 聞いてんの? もうぉ おバカな子。
*****************
しっぽ・・・・使わないおちんちん を処分する日が明日に迫る。
「もう最後だから、弄って、なぐさめてあげなさい」優に告げた。
とはいっても、女性ホルモンを経口しているから、大きく勃起することもない。普段は、身体に折り畳んでいる。つまり、小さく折り畳める程度のサイズしかない。それに、優がベッドで描く妄想は、相手が男の人かもしれない。
優にとってば、おちんちんは、気持ちよくなる官能的な道具だけど、目を背けたくなる憎悪の対象でもあるはず。普通の男の子とは、決定的にちがう。
男の娘のセイクシャリティは、とっても複雑なんだろう。あまり触れるのはよそう。
*********************
優の手術に、立ち合いを許された。
出産に夫の立ち合いが認められるように、男の娘の切除手術にも、母親の立ち合いが認められる。
優は自ら歩いて、手術台にのり足を開く。すでに玉はなく、不釣り合いな”しっぽ”だけがついてる。
「いぼを取るようなもの」執刀医は言ってくれるが、たしかに、身体の深い部分を弄るわけではない。
ただ、受ける本人は、複雑だろう。
やっぱり「取られちゃうんだな・・・」という悲しみ。「こんなものついているから・・・」という、苦しみからの解放。いろいろ、まぜこぜ。
「さ お母さま、どうぞ。ここです」
包皮はむきあげられ、ちいさいながら亀ちゃんになってる。血管は締め上げられて、変色しているけど。最後一刀は、母親の私がやるのだ。
(ほんとに いいのかな、なんか・・・手が震える。)
「さあ、思い切って。」
(やっぱ 怖い こんなの イヤ)
「さあ・・・」
(ゴメンネ 優 女の子として、幸せになろうね。)
ペチン
************************
あれから1年。優にその日が訪れた。小学校の卒業を3日後に控えていた。
「ねぇ・・・きちゃった・・・あの せい・・・ 」
「優? 優・・・優!!! おめでとう。」
私は、優のおなかをさすった。何度も、何度も。移植した内性器は順調に育成したようだ。
ちょうど1年前 母親の私が 自ら最後の一刀をふるって 優のモノを切り取った。そのことがトラウマになっていた。これで、優がちゃんとした女の子に育ってくれなかったら、私が、優の人生を傷つけ、切り取ったことになる。
ああ・・・安堵のひとことに尽きるわ。
「優、おなかの子宮、ちゃんと育ったみたいね。おめでとう。あたなはママになれる身体になったのよ。もう”男の娘”なんかじゃないわ。正真正銘、女の子よっ」
改めて、優を抱きしめる。ぎゅっと。
「優は、どんなあかちゃん 産むのかなぁ。ママ、楽しみだわ。」
「もう、ちょっと、ママ 勘違いしないでよ。あかちゃんができたんじゃないからねっ。ボクにも生理が来たってことだけだからね、」
「え ママ 泣いてるの?」
「コラっボクなんて言葉使わないのっ。女の子なんだからぁ“あたしは…”って しゃべりなさい!」
「来週の3日が犬の日、水天宮様にお参りしなきゃね。
優はちゃんとした女の子に生まれ変わりました。将来、元気なあかちゃんが授かりますようにって、おなかに赤い帯巻いてもらい、神様にお祈りするの。
それから、大事な儀式があるの。元男の娘はね、切り取ったおちんちんを裏庭で御焚き上げするの。ポイ捨てじゃなくて、ちゃんと天国に送ってあげましょうね。」
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桐の小箱に、純白な男の子のブリーフ。
その中に、優から切り取ったモノが包まれていた。もう、干物なってしまって、原型は留めてない。
「優 とっても、なつかしいでしょ。こんなものが、優に生えていたんだよね。」
「なんか 干からびてるね。」優がくすりと笑う、
(え・・・そんなものなの?男の子の大切なもの じゃなくて)
そっか・・・優は最初から女の子だったんだね。ごめんね よけいなものを付けて産んじゃって、ママのミステイク
桐の小箱に、愛おしそうに1回頬ずりして、優は ふたを閉じた。
優にしてみれば、股間についていたのころは、大嫌いなモノだったはず。切取れるなら、切取りたいくらいに。けど、切り取ってしまった今は、大切な“思い出の品”なんだよね。優・・・
「さあ、おちんちんに お別れの時よ。優。火をつけるわね。」
おちんちんの火葬。といっても骨が残るわけじゃない。着火剤を塗り、小箱に火をつけた。
燃え上がる火柱を見つめながら、ずっと抱いていた疑問を切出した。
「ねえ 優、そろそろ教えて。なんで 女の子になろうとしたの?」
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「あのね、学校で性教育の授業ってあるでしょ。ふだんは男女一緒だけど、生理の話って、女の子には現実問題なのよ。その回はね。男女別々。で、その授業で、あなたはこっちよ・・・って, クラスの女子にぴっぱられてね。女子組で受けたの。
そっか・・・ ボクは女の子だったんだって、妙に納得したの。
それ以来、デパートでウインドショッピングするでしょ。スカートが気になるの。とっても。着てみなさい素敵よって。ボクには、そんな声が聞こえるの。
それからねぇ、ボクおなかが、大きくなって大きく膨らんで、中から赤ちゃんがおなかを蹴るの。不思議でしょ。ボクのあかちゃん、なんかとっても、いとおしいの。はやく出ておいでって、おなかをなんどもさすったの。でも、あかちゃんに会える前に、目がさめちゃった。・・・そんな夢を、何度も見たの。」
「そっか、男の子としては、とってもヘンな夢。だけど、女の子としては とっても自然な夢よね。
優の身体は、もともと女性ホルモンが強いかもしれない。思春期の女の子がそうであるように。優の身体にもそういう変化がおきたのよ。きっと。
優は、身体が男の子だったから、女性ホルモンが、男の子の身体やココロを壊しはじめたのね。あかちゃんを産む夢、きっとホルモンの仕業よ。いろいろタイヘンだったけど、こうでもしなかったら、優の精神は崩壊したかもいれないね」
「だから、もう、こうなるのは解ってたの。後悔してないもん。周りになんて言われようが、ボク・・・じゃなくて アタシはアタシ だから。」
(そっか、後悔してないなら、ママ 安心した。)
でも 優が毎日飲んでた牛乳に 私がこっそりホルモン剤を混ぜ込んでいたことは、
・・・コレ ナイショ)
fin
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投稿:2019.11.10更新:2020.09.03
男の娘のママとしては
著者 Piano 様 / アクセス 16041 / ♥ 17