世界観光ガイドブック・去勢特集号
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個人旅行者を対象に、世界の隠れた見どころをご紹介する「世界観光ガイド」シリーズ。
これまでの国別ガイドブックに加えて、事項別シリーズが登場。
いよいよ「去勢特集」発売。君も行って、見て、体験しよう!
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(1) フィリピンの修道院
875年にデーン人の侵攻にあったコルディンガムの修道院の修道女たちは、修道院が敵兵に取り囲まれた時、辱められることを恐れつつもカトリックの教えにより自殺できず、全員が自分の鼻や唇を削ぎ落として醜くなって、難を逃れようとした。また、1291年にサラセン人の侵攻にあったアクレの修道院の修道女たちも、同様に自ら顔を傷つけたという。
フィリピンのマニラ市北部にある「コルディンガムの殉教女子修道院」は、これらの故事にならい、見習い修道女が終身誓願をする時は、現在も全員が鼻を削ぐことで有名である。100年前に設立された当初は、これらの聖女にあやかる信仰から始まったが、やがて、美貌を誇る高慢な心を砕くために有効ということが認識され、ローマ教皇庁からも賞賛されたりした。
【↓ 鼻削ぎをした修道女】
【↓ 顔面の拡大です】
交通手段はLRT1号線モニュメント駅から徒歩25分。修道院内は部外者立ち入り禁止だが、附属の農場を覗き見ることはできる。自給自足で祈りに専念しながら修道生活を営んでいる若い修道女たちを見ると、顔の鼻があった部分は、醜い三角形の傷痕となっていて、そこに大きい縦長の孔がふたつ、正面を向いて並んでいるだけで、神に全てを捧げる決意の強さを痛々しく強調している。
【↓ 鼻削ぎをしている修道女-左から2人目は日本人】
【↓ 鼻削ぎをした修道女】
【↓ 鼻削ぎをした修道女の横顔】
【↓ 顔面の手入れをしている鼻削ぎをした修道女】
【↓ 街で見かけた鼻削ぎをしている修道女~正面から】
【↓ 街で見かけた鼻削ぎをしている修道女~横顔】
マニラの南、約50Kmのカランバには、同じ系列の「アクレの殉教男子修道院」がある。ここの修道士は、男子の場合は鼻を削いで容貌を損なってもあまり意味がないということで、修道女が鼻を削ぐ代わりとして、男性器の切除を行う。淫欲と訣別し生涯童貞の誓いを立てた修道士には、睾丸もペニスの不要というわけだ。
【↓ 男子修道院の遠景】
【↓ 男子修道院の中庭】
修道院内部は、一部見学できる。
公開されている修道会の聖堂の廊下の壁には1m間隔で窪みがあり、そこに、元の所有者名を表示した、切断後の陰茎と陰嚢が付いた完全な男性器などが、乾燥させたり、ガラス瓶の中の保存液に漬けたりして並んでおり度胆を抜かれる。
【↓ 昔の修道士の性器は乾燥標本で保存されている】
近年の修道士の性器はガラス瓶に入れて保存される。一般の修道士の性器入りの瓶は並んで公開されている。
【↓ 一般の修道士の性器を入れた瓶?】
【右端の空瓶に入るのはひょっしてあなたのモノかも?】
その修道士が召天した後に顕著な功績が認められると、その性器は信仰の対象となり、修道院内の壁などの窪みの個人ごとの祭壇が作られ、性器もそこに移される。立派な祭壇や燭台が備えられていて、その迫力に圧倒される。
【↓ 修道士の性器を飾った祭壇~性器が入ったガラス箱が手前にある】
【↓ 祭壇の前に安置された性器のクローズアップ】
見学できるのは聖堂まで。200人収容の聖堂は、奥から、祭壇(さいだん)、至聖所(しせいじょ)、礼拝所(れいはいじょ)となっていて、柵で区分されている。一般信徒が入れるのは礼拝所まで。そこで運が良ければ、至聖所で行われる修道士の去勢の儀式の瞬間に立ち会えるかもしれない。
修道士になる前の見習期間中の者は修練士と呼ばれるが、その修練士になるだけでも、両方の睾丸を切除されなければならない。1年に10回ほど行われるその儀式の様子をお伝えしよう。
【↓ 修道士の去勢をする礼拝堂~手前の聖画が描かれた台の上で去勢を行う】
修練志願者は、白の薄いガウン1枚だけを身にまとって至聖所に現れる。そのガウンを着たまま、至聖所の中央にある低い台の上に、頭を奥にし、両脚を開いて仰向けに横たわる。
まず、手伝いをする2人の助祭が、志願者のガウンをめくり上げるので、修練志願者の下半身は、礼拝所からも丸見えになる。修練志願者の顔は、ガウンに覆われて見えなくなる。その上で2人の助祭が、修練志願者の性器全体に聖油を塗っていく。それから陰毛を剃刀でツルツルに剃り上げ、更に聖油を塗る。
儀式を執行するのは、修道院長を兼ねる司祭。メスのような小刀を取り出すと、修練志願者の陰嚢を切り開いていく。聖油のためか、出血は思ったより少ない。傷口が十分に開いたところで、助祭が修練志願者の陰嚢を左右から圧迫すると、二つの睾丸がポンと飛び出してくる。
司祭はそれを銀でできた聖盆の上に載せ、身体を結ばれている精索を小刀で切断する。
【↓ 修練士の睾丸摘出の儀式】
司祭が、聖盆の上の切り離された睾丸を、祭壇に運ぶ。助祭は、修練志願者の傷口を、祈りをささげた聖なる糸で縫っていく。この間、麻酔はまったくないが、修練志願者の顔が見えないので、痛みを感じているかどうかは分からない。
しばらくして、助祭が、晴れて去勢されて修練士の仲間入りをした修練志願者に、立ち上がるように言うと、新修練士は、礼拝所の信者に晴れやかな顔を見せる。司祭が新修練士の頭上に手を置いて、祝福の祈りを捧げる。
信者から「エイメン」という声が上がると儀式は終了である。
この後、「招き」が行われ、信徒から修練志願者がいたら名乗り出るようにというアピールがある。何回かに一度は、ここで決心した信者が手を上げて、先ほどの修練志願者に続けて、至聖所で去勢の儀式を受けることがあるという。
この一連の儀式は、「単純封印」とか「最初の純潔」と呼ばれる。少年のうちにこの儀式を受けると、もう変声期は訪れなず、一生涯、女性と子供の中間の声を保つので、地元の聖歌隊の少年歌手を修練士志願させることもあるという。
修練士が修道士になるには、ペニスを切断する「」あるいは「最期の純潔」と呼ばれる儀式が行われる。こちらの儀式は、修道士と修練士だけの立会いで行われ、一般公開はされていない。
【↓ 濃い灰色の修道服は荘厳封印済の修道士、灰色は単純封印済の修練士】
熱心な信徒は、この厳しさにあこがれて外国からでも修道志願をするので、コルディンガムの殉教女子修道院やアクレの殉教男子修道院には、日本人の修道女や修道士も数人所属している。
このほかにも修道士が過酷な修行をするための、様々な道具が展示され、試しに使用してみることもできる。
【↓ 修道士の修行用の靴~一歩毎に足裏に棘が刺さる仕組み】
【↓ こちらは鉄製の靴で歩くこと自体が痛みを伴う~歩数を数える鈴が付いている】
【↓ 修道士の修行用ベルト~腹部に常に棘が刺さる仕組み】
【↓ 修道士の修行用の鉄環~これは手足に使います】
【↓ 修道士の瞑想用の椅子~椅子の座面や背板や肘掛から棘が出ている】
交通手段はマニラから国鉄があるが、1日数往復と不便。バスを利用した方が良い。見学は午前10時から午後4時まで。予約は不要。
修練志願者の「単純封印」の儀式は、日曜日の正午に行われるが、不定期開催なので修道院に問い合わせを。
▲▽▲▽▲▽▲▽ 読者からの耳より情報 ▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽
復活祭の2日前の聖金曜日(キリストの受難日)には、フィリピン各地で熱心なカトリック信徒が、実際に十字架にハリツケになる儀式が行われます。この日は、「アクレの殉教男子修道院」があるカランバでも、街の近くの丘に多数の十字架が立てられます。
【↓ 普通のフィリピンの聖金曜日の磔セレモニー~男性はタオル使用で女性は着衣】
【↓ こちらは男性の全裸での十字架釘打。全裸の方が史実に近いとか】
【↓ こちらもキリストの受難にならって3人とも全裸での十字架釘打】
【↓ 磔の前に鞭打の苦行をして背中を血だらけにする信徒もいます】
【↓ これは釘打された女性の足の甲~着衣です】
【↓ 左足の上に右足を載せて両足を1本の釘で止める伝統的釘付方法です】
【↓ 釘打ちされた女性の手のひらです】
カランバでの受難日の儀式の特徴は、実際のキリストの処刑にならって、信徒が全裸で十字架に付けられること、そして去勢修道会の影響から、ハリツケになる信徒は、両手両足だけではなく、左右の睾丸にも釘が打たれることです。
その様子を、撮影してきましたので、是非ごらん下さい。
【↓ カランバでの受難日の磔セレモニーでは男性は全裸~股間の板に注目を】
【↓ 実際に釘を打たれた男性の手の掌です】
【↓ 実際に釘を打たれた足の甲です】
しかも、磔の釘打は手の掌や足だけではありません。参加者の希望により、手首や脚、更には陰嚢や睾丸も釘打の対象になります。
【↓ まずは、さらに過激な手首への釘打ちです】
通常の磔は、両手と両足の4か所に釘を打ちますので、4点磔と呼ばれます。ときには両足を重ねて釘を打つ3点磔もあります。
一方、睾丸にも釘を打つのは、不安定な股間部を固定するのが主目的ですが、より苦痛を求める信者の要望もあって、近年盛んになりました。これは6点磔とも呼ばれています。
【↓ 睾丸磔の男性が十字架に縛られて持ち上げられます。~股間にも釘打台があります】
【↓ いよいよ男性の睾丸に釘が当てられます】
【↓ 釘を打つ位置が決りハンマーが振り下ろされます】
【↓ ハンマーで釘が睾丸の中に打たれて行きます】
【↓ 釘が板まで貫通して両睾丸釘打完了です】
【↓ 両睾丸釘打終了後の股間の釘打台のアップ~血液と睾丸の中身が流出中】
陰嚢全体をかなり手前に引き出してから、睾丸に釘打しているのがわかります。このまま磔柱に放置されますので、睾丸の中身は血と一緒にほとんどが流出してしまいます。
そのため、この睾丸釘打ちを体験した信者は、全員が両睾丸の機能を失って、睾丸の外側は残っても、事実上去勢状態になってしまうそうです。
それでも、日本人を始めとした外国人の参加希望者も、毎年絶えないそうです。
(2003年春~札幌市・岩谷千春)
世界観光ガイド・去勢特集(2)~タイの禁欲・身体変工主義者の祭はこちら
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投稿:2005.12.10更新:2022.04.21
世界観光ガイド・去勢特集(1)~フィリピンの修道院
挿絵あり 著者 Castrato 様 / アクセス 56708 / ♥ 173