「ほらタカト。頑張ってシコシコしてよね」
妻のヒナはわざと退屈そうな声を出してタカトの羞恥心を煽る。産婦人科の一室。妻と女医に見守られる中、タカトは屈辱的なマスターベーションを行なっていた。
20XX年。無精子症の男性には去勢が義務付けられている。子作りもできないのに夫の性欲処理のためだけにセックスをさせられる、そんな妻たちを守るためだ。
もちろん治療は施される。タカトも女医からの触診や睾丸マッサージなど、男性としての尊厳を損なうような治療を受けてきたし、食後には毎回欠かさず薬も飲み続けた。
それでも改善の見込みが無いと判断されれば性欲を抑えるために睾丸を摘出される。今回の精液採取はタカトにとって、最後のチャンスである。
「はぁ…はぁ…」
「ねえ、まーだー?ふだんはもっと早いでしょ?さっさとピュピュしちゃってよー?」
「ご主人、緊張されているようですね」
女医の綺麗で冷たい瞳には、明らかにタカトを馬鹿にした色が混じっている。そして、わざとゆっくりと脚を組み替えて太ももの間から黒い下着を見せつけた。
「あっ、ああっ」
「どうかされましたか?」
妻も女医も、分かっていながらクスクスと意地悪に笑う。そんな嘲笑の中、タカトのペニスは試験管の中に精液を吐き出したのであった。
「やっと終わったね…♪」
ヒナは耳元で囁く。タカトの男性としての終わりを告げているかのようだった。
「結果から申し上げますと、ご主人の精液には妊娠に足る量の精子は含まれていませんでした」
「ってことはつまりタカトは…?」
「去勢、ということになります」
タカトがガックリと肩を落とす横で、ヒナはピョンと跳ねて喜んだ。
「やったぁ♪」
「ま、ペニスのサイズを見ても如何にも未発達。睾丸の機能も弱いので血中の男性ホルモンの濃度も低い。ご主人の体格が華奢で女顔なのも、男性として不完全であるということですね」
「うぅ……」
「だーってさ!残念でしたタカトちゃん♪あっ、まだタマタマ取ってないんだっけ。アハハッ!」
落ち込むタカトの頭をペシペシと叩き、ヒナは満面の笑みを浮かべる。夫の去勢は妻にとって喜ばしい事実なのだ。
「いやー、一回だけタカトの精子で妊娠したことあるけど、あれが最初で最後の奇跡だったんだねぇ。あのときは臨月まで育てちゃったけど流産。そこからタカトの精子は衰えちゃったよね。治療の甲斐なく、さ。残念残念♪」
さて、こうなると通常は女性としては困るはずである。ところが夫の去勢を終えた後には妻にはとある権利が得られるのだ。
それは、公然の浮気。
夫以外の男性と受精のためのセックスが行えるのだ。国からは補助金も出るため、金と肉棒という女性にとっての悦びを得たヒナは嬉しくてたまらない。
「妊活、がんばりまーす♪」
一方の女医はタカトの股間を見詰め、早く睾丸摘出をしたくてたまらない、といった様子で舌舐めずりをしていた。
それからヒナは毎晩のように男遊びを楽しんだ。タカトの退屈なセックスから解放された反動で性欲を発散するかのように。
「ただいまー」
朝帰りをする妻の身体からは他の男の匂いが残っている。男女の交わりによる体液の匂いすらも。
「はーいタカト、おみやげだよん♪」
ヒナがするするとスカートを捲ると、剥き出しの女性器が露わになる。ベッドに腰掛けると股を開き、タカトを犬のように手招く。
「ザーメン吸い出して。あたしまだ迷ってるんだよねー。どの精子で孕もうかなぁって。女の喜びって少しでも優秀な男と子作りして最高の赤ちゃんを産むことじゃん?そのための吟味ってやつ?やっぱ女は夫だけに縛られてちゃダメだよねー」
ヒナの股に顔を埋め、膣内から精液を吸うタカトはすでに、男性としてのプライドを失っていた。そういえば、一度は妊娠したヒナはどこかガッカリした表情をしていた。むしろ流産によって解放されたかのような顔すらしていた。
男性として選ばれなかったタカトは、睾丸を喪い、これにより本当にオスではなくなった。陰嚢は縫合され、今では二度と勃起しない萎えたペニスだけが情けなく残るのみである。
一方のヒナは、自由な生殖を謳歌するかのように表情に輝きを増してゆき、20代の肉体は男性を待ち望むかのようにエロスに満ちている。もっとも、その身体は夫であるタカトのものになることは、二度とないのだが。
「タカト!ちゃんとフェラしなさい!」
「んくっ、んくつ、んくっ」
やがてタカトは、ヒナのセックスに同席させらるようになった。妻にフェラチオを教え込まれる屈辱。しかも、咥えた肉棒は妻の膣内に生で挿入されるのだからたまらない。そんな非人間的な扱いを受け続けるタカトは、その口内で何十本ものペニスを味わってきた。
「まさか自分の旦那に咥えさせるとはね」
「うーん、旦那っていうか、ペット?少なくとも男じゃないんで夫じゃないですよね。アハハ!」
「たしかに男にしゃぶってもらうような抵抗感は無いよ。こうやって上から眺めてると女みたいだ。それに身体つきも…」
「あっ、気付きましたぁ?去勢の後はバランスを整えるために女性ホルモン打つんですよ。だからなんだかお尻も丸っこくなって、胸だってBカップなんですよ」
男の前に跪き、妻に見られながら、フェラチオを行なわされる恥辱。だが、これも女医からの指導があったからである。
急激に変化した肉体のバランスを保つために、精神も変化させる必要がある。できるだけ男性であることを忘れるよう妻のセックスを手伝うことでセラピーになる。そう言われているのである。
舌や唇で男の肉棒に快楽を与えるタカト。もはやその姿は男性とは呼べない。
「旦那さんの口に出しちゃっていい?」
「いいですけどー、あたしの分も残して下さいね」
タカトの口内で肉棒が爆ぜた。咥えた竿がピクンと跳ねて尿道から生温かいザーメンが噴き出す。喉奥まで流れ込んできて咽せそうになるのを我慢して口腔内に精液を溜め込めるほどに、タカトは調教されている。
「ん、タカト。自分の手に出して」
「んべっ」
「ほーら、これが健康なザーメンだよ?残さずペロペロして味や匂いをよーく感じてね」
「はい…」
奴隷のように従い、舌先で白濁液を舐めるタカトの耳元で、ヒナは囁く。
「それがあたしの中にビュービューって出されるんだよ……ふふっ♪」
愛する妻に注がれる精液の味を確かめている。タカトは自分が情けなくなり涙目になりつつも精子の一匹まで残さずに舐め取った。
「なんだか俺には旦那が男に見えなくなってきたよ」
「ま、実際にタマ取ってますからね。ザーメンでもオシッコでも、オチンチンから出るものなら何でも飲めますよ」
「じゃあ試してみるかな。丁度小便したくなってきたんだ」
「はーい、それじゃあたしは準備してますね」
男は四つん這いになったタカトの髪を引っ張り、トイレへと引きずってゆく。もはや男性として見ていないどころか、人間として見ているかも怪しい。
タカトは仰向けになり便器にもたれかかって口をパカっと開いた。ジョロジョロと注ぎ込まれる黄色い液体を喉を鳴らして飲み込んでいると、本当に自分自身が便器そのものになってしまったかのような錯覚を覚えた。
タカトは知らない。
かつてヒナが妊娠の際、女医の提案によりヒナが自らの意思で堕胎を望んだことを。治療のために飲み続けた薬はむしろ、男性器の機能を破壊し不妊に陥らせる毒薬であったことを。
たとえ結婚していても女性にはより良い男性を求める権利がある。女医は、そうした主張を訴える中の一人であったことをタカトは知らない。グルになり不妊をでっち上げられ摘出された睾丸は、ホルマリンに漬けられて女医のコレクションの一部になっている。
「あっあっ、すごい、相性バツグンかも♪」
眼前数センチ。タカトは妻の性器と男の性器が結合しているのを下から眺めていた。男女の生殖で溢れる体液がタカトの顔面を濡らす。粘膜が擦れ合う匂い。肉がぶつかり合う音。ピストン運動の果てにバチンと根元まで突き刺さった肉棒はくっついたまま離れなくなり、やがて脈打つようにヒナの子宮へと精子を送り込んだ。
目の前でヒナは受精した。
ポンっと音を立てて抜かれた男の、いまだ硬さと熱を持つ肉棒に舌を伸ばし、男女の交じり合った体液をタカトは舐めた。そして睾丸に愛おしげにキスをした。
自身からは喪われてしまい、二度と戻らない睾丸に。
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投稿:2019.11.28
睾丸摘出された夫は、愛する妻の妊活アシスタント
著者 issei 様 / アクセス 6814 / ♥ 6