しっぽ・・・・使わないおちんちんを切り取る日は 明日。
「もう最後だから、弄って、なぐさめてあげなさい」
ママに言われた。
(明日になれば、永遠にサヨナラするだよね。・・・このおちんちんに)
そう言われても、おちんちんに 思い出なんて ぜんぜんないんだ。ボクは、普通の男の子じゃないから。だから、こうなっちゃたんだけどサ
じっと 自分のおちんちんを見る。竿だけになったおちんちん。ちょっと痛々しい縫合の跡。そして、からっぽの袋。
そう、ボクはタマちゃんに サヨナラしていたんだ。ひと月前に。
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初めて、身体にメスを入れた あの日。
コーディネイターさんは、「ほとんどの男の娘は、中学に入るまでに、タマタマを抜いてしまわうよ」なんて、軽々しく言うけど。
・・・けどね、あれ、怖くないなんて、ウソだから・・・。
あの日の出来事を思い返していた。
「手術の準備ができるまでに、もう一度、覚悟を決めてね。男の子に引き返すなら今だけだから」
ココロの中には、2人の自分がいた。男の子のボクと、女の子のボク。この後に及んで、まだ、言い争ってるんだ。ぜんぜん、穏やかじゃない。
視界にあるのは、手術室の天井だけ、だけど、視界の端にはライトの光が目に入る。
(やっぱり 怖い・・・
「どう? 決まった?」
お医者さんに 問われた。どうやら、制限時間はいっぱいみたいだ。
ボクは、コクリとうなずく。いや うなずいちゃた。
(え・・・ちょっと OKしちゃって いいの? 本気なの?
男の子のボクは、狼狽している。
(そう、・・・アタシの幸せは、これしかないんだから
女の子のボクは、毅然と歩きだしてた。
「そう・・・じゃ はじめるわね・・・」
(ああ はじまっちゃう、・・・
部分麻酔だから、ぜんぜん痛くないけど、部分麻酔だから、お医者さんが何やっているのか、感覚が伝わる。よーく、わかるんだ。
ツンと、皮膚の焦げるニオイが鼻を衝く
(袋を剥いてる・・・
(あ・・・タマちゃんを掴んだ・・・ 、そんな・・・引っ張らないでーぇ)
(えー そんなに引っ張ったら、とれちゃうよ とれちゃう…とれ・・・ と
もう、言葉にならない 涙で視界が歪んで、気が付いたら大声で泣きだしていた。
男の子のボクは、号泣している
(ボクは、なンか悪いことした?なんで、こんなことに なっちゃったの????)
女の子のボクは、こうたしなめる。
(なに言ってるの・・・アンタ! 女の子になりたいんでしょ!自分から言いだしたのよ
毎日、女の子のパンツ はいているでしょ!。
絶対いやだよね。あの股間の膨らみ。見たくない!いつも違和感でいっぱい!
こんなもの サッサ切り取っとっちゃいたい。自分から、誓ったじゃない!望んだじゃない!神様にお願いしたじゃない?
忘れたのぉ・・・)
オトコの子が、女の子のパンツはいたら、ヘンタイなんだからねっ!
アナタは、いずれ女の子になるんだかから、特別に女の子のパンツを許されてるのよ!)
(だいたい、スカートはいて、鏡の前でクルリと回転して、きゃっきゃっと喜んでたの
だあれ?)
そう、鏡の向こうにいたボクは、女の子。その鏡の向こう側の自分が言ったんだ。女の子なんだもん。かわいくなって、いいんだヨ。と
(タマちゃんさえ抜いちゃえば、もう、男の子じゃなくなるだよ。もぅ、誰にもヘンタイなんて、言われないで済むんだよ。
かわいくなって、いいんだよ。これで、ホントの自分に 生まれかわれるんダヨ)
(ねっ・・・かわいくなろうね。これは恥ずかしいことじゃないヨ。)
そう、ボクは、ヘンタイなんかじゃない!
女の子になること。どこかで、望んでいた。ずっと前から。
いつから・・・でも いつから? ン・・・いつからだろう?
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ボクは男の子?なのかぁ。性を認識したは、4歳ぐらいかな?そう 幼稚園の頃だ。
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投稿:2020.10.11更新:2020.10.11
おもひでの品
著者 Piano 様 / アクセス 7831 / ♥ 10