西暦2XXX年、政府は次世代に優秀な遺伝子を残すため一部の男女の生殖能力のみを残すことにした。
残りの人間は男女問わず「オス」に作り替えられて家畜同然の扱いを受けることになる。
「オス」は生殖能力こそないもののペニスと睾丸をぶら下げている。睾丸では精子は作られないが多量の男性ホルモンが分泌される。
妊娠のリスクのない「オス」らは女性の性欲解消のための玩具として使われたり、男女がスムーズに性交を行うためのいわゆる当て馬に用いられたりする。
ここからはまさに「オス」に改造されようとしている女子の物語である。
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今日は高校最後の授業。
事前の遺伝子検査の結果で選別が行われ、卒業式には優秀な遺伝子を持った男女のみが出席できる。
一方子孫を残すに値しないと判断されるとその時点で戸籍が剥奪され、「オス」として強制収容所送りになる。
高校3年生の私は今まで彼氏はいたことないものの、いつかは好きな人と結婚して素敵な家庭を持つんだろうと考えていた。
「明日の卒業式を皆さんで揃って迎えられることを願っています」
そんな担任の話をぼんやりと聞いていると、突然教室に黒い服を着た大男が入ってきた。
「来い」そう言われていきなり顔に袋を被せられる。
「嫌だ!やめて!」と必死に叫ぶと「うるせえ」と下腹部を安全靴で思い切り蹴られた。
小学校の時に「女の子は赤ちゃんを産むための場所があるからお腹を蹴っちゃダメよ」なんて言われたことがあるが、
もう「女」ではないから関係ないということだろうか。
恐怖と痛みで私はそのまま気を失ってしまった。
こうして私は親友に最後の挨拶をすることも許されず強制送還されることになった…
どれくらい寝たのだろうか。
10分のような気もするし、1か月のような気もする。
ふと足の間に目をやると、そこには今までの人生では縁のなかった「それ」が鎮座していた。
先端には尿道カテーテルが通されており、2つのタマは毛に覆われている。
昔チラッと見た従弟のおちんちんとは似ても似つかぬ気持ち悪い姿だ。
変わり果てた体と自分の置かれた状況に絶望していると、看守の女性がやって来た。
「ん、目覚ましたか」そう言うと尿道カテーテルを麻酔もなしに雑に引っこ抜いた。
「痛っった!」いきなりの激痛で一気に目が覚める。
「来い」と首根っこを掴まれて別の部屋へと移動させられた。
足の間に余計なモノがあるせいで非常に歩きづらい。
「座れよ早く」と言われ床に正座させられるといきなり大きなハサミで私の長い髪をバッサリ切られた。
困惑していると今度はバリカンを持って私の自慢の黒髪はあっという間に青々とした五厘刈りになってしまった。
その後看守の女性から施設についての説明を受けた。
この国の法律ではオスに人権はなく、「器物」として扱われること。
オスに名前は与えられず一生番号で呼ばれること(私は58番だそうだ)。
最初の1年間は研修期間として無休で1日16時間の強制労働をさせられること。
そして少しでも看守に逆らう素振りを見せると、看守はオスをその場で殺処分する権利を有していること。
説明を聞いている間にカテーテルを抜いた時の痛みが次第に収まってくると、無性におしっこがしたくなってきた。
「すみません、お手洗いに行きたいのですが…」と恐る恐る申し出る。
「あ?ションベンなら向こう」とぶっきらぼうに案内されると、そこには剥き出しのコンクリートの壁があった。
「え?あの、トイレはどこですか…?」と尋ねると
「見りゃわかるだろ、それだよ!オスに小便器なんか使わせられるわけねえだろ」と頬を殴られた。
半べそをかきながらズボンとパンツを下すと「チャックから出せ。汚ねえオスのケツ見せるんじゃねえよ」ともう一発殴られた。
ただですら見たくもないおちんちんを持っておしっこしなきゃいけないのは耐えがたい苦痛だ。
人生初の立ちションは尿道をおしっこが通る感覚が手に伝わってきて気持ち悪い。
トイレットペーパーもないので濡れたおちんちんがそのままなのも不愉快極まりない。
なるべく心を無にしてズボンのチャックを上げると、
「痛いっ」
見ると余ったおちんちんの皮がチャックに挟まっている。
これからおしっこをする度にこんな惨めな思いをしなければいけないのか…
~つづく~
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投稿:2022.05.07
オスに改造
著者 湧汰 様 / アクセス 5975 / ♥ 25