働き盛りの男たちが村の広場に集められた。彼らは下半身だけを脱がされ縮こまったものを情けなくさらしている。手足を縛り上げられ身動きはできず、口枷をはめられまともに声もだせない。恐怖と不安で男たちの体は冷や汗でびっしょりだ。村を襲った蛮族によってこの男たち全員の去勢が行われようとしている。
蛮族はまず適当な太さの木の枝を男たちの尿道にねじ込み膀胱まで到達させる。つぎに炉で熱した去勢用の鎌で器用に木の枝だけを残してペニスをくり抜く。切り離された男根を枝からズルっと引き抜くと、蛮族たちはそれを無造作に地面に落とす。間を置かずして鎌で下から掬うように両の玉を袋ごと切り取る。平らになった股間から飛び出している枝を適当な長さに折り、下腹部から股間にかけて包帯を巻く。流れるような慣れた手つきで男たちから性器が除去されていく。
広場には男たちの肉棒や玉が無惨にちらばり、蛮族の飼う猟犬たちがそれをおもちゃにして遊ぶ。肉棒を牙で甘噛みし、鼻で突いて玉をあちらこちらところがす。遊びに飽きた犬はそれらを食べたり埋めたりと忙しなく広場を駆けまわるが、その間も蛮族たちは数人で手分けして働き盛りの男たちをつぎつぎと去勢していく。切り取るだけならばひとりに30秒とかかっていない。去勢作業は無言で粛々と進む。蛮族たちにとっては家畜の去勢と同じく生活の一部にすぎないのだ。
暫くして、ついにひとりの男を残すのみとなった。最後の男は胸で荒い呼吸をくりかえしながら目に涙を浮かべ震えている。蛮族が手をかけようとすると、男のペニスがドクンドクンと脈打ち、にわかに硬く勃起した。なんとか子孫を残そうとする雄の生殖本能だろうか。男は身動きのとれない体で尻に力を入れて無意識に腰をふろうとしている。
蛮族は玉を握って男の動きを制する。柔らかい組織が硬膜で覆われた睾丸独特の感触。これが村に残された最後の子種なのだ。去勢する前にすこしだけ可愛がることにした蛮族は、仲間を呼んで男の腰を押さえつけさせる。男の竿が邪魔にならないよう腰に回した縄に挟み、腹のうえに固定する。それから玉袋を鎌で丁寧に切り開いてやった。そこには乳白色をした楕円型の球体が管でかろうじて吊り下がっている。空気に晒されたそのあまりに脆弱な姿。こんなちっぽけな二つの玉が男である所以なのだ。
蛮族は袋の部分だけをきれいに切り取ると、姿勢をかえて男が自分でも睾丸を見られるようにしてやった。口枷の間からは痛みの叫びと大切な性器を弄ばれた羞恥、これから我が身に起こることへの絶望が入り混じった呻き声がもれる。開かされた股の間で野晒しに揺れている男の玉はなんとも頼りなく、淋しく、滑稽だ。蛮族は両手で片方ずつ睾丸をにぎり、男にみせつけながら思い切り引きちぎった。
のけぞって痙攣する男はそれでもなお勃起したままだ。鈴口からは先走りの嬉し涙をこぼしている。いきり勃ったものから何を吐き出そうと、もはや子孫は残せないというのに。蛮族が先っぽを軽くしごいてやると男はたちまち大量の種なし汁を噴き上げる。生殖にはなんの意味もないただの排泄行為だ。すると先程までいきり勃っていたペニスは勤めを果たしたかのように、すぐに萎えてしぼんでいく。男の矜持は種なし汁を出すだけで簡単に満たされてしまうらしい。
結局のところ男など溜まったものを出したいだけの生き物なのだろう。目の前の男の情けないざまをみて、射精など小便をするのと何も変わらないと蛮族は思った。そしてため息をひとつ吐いてから、下腹の茂みで雑草のように枯れて小さくなった男の根っこをつまみあげ、鎌で刈り取った。
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投稿:2022.09.03更新:2022.09.03
蛮族と村の男たち
著者 ほねっこ 様 / アクセス 13986 / ♥ 82