酪農家の朝は早い。いつものようにまだ真っ暗なうちに起きて冷たい水で顔を洗う。トタン屋根に裸電球で照らされる牛たちはもう私のことを待っていた。昨夜、裸にして囲いの柵に大の字で縛り付けておいた夫と義理の息子二人も同じように待ってくれていたようだ。ほとんど吹きさらしの厩舎は寒かったのか三人ともアソコが縮こまって震えている。
昨日の夕食は久しぶりに外で肉を豪勢に焼いた。お酒でいつになく上機嫌な三人には混ぜた薬がよく効いてくれた。酪農の労働で自然に鍛えられた男の体は重たくて運ぶのに苦労したけど、私もこの家に嫁いで仕事をするうちにいつの間にかずいぶん力持ちになっていたようだ。
天涯孤独だった私がうら若い後妻として嫁いできた酪農家の仕事は、本当に甘いものではなかった。普段の家畜の世話はもちろんだけれど、間を縫って農作業もしながら、いつ起こるかもしれない子牛の出産にも夜通し付き添った。重労働だが家畜たちは愛情をかけただけ懐いてくれる。ただでさえ僻地のさらに集落からも隔絶された土地で、どうしようもない疎外感と寂しさを慰めてくれたのは人ではなく家畜たちだった。
私は手を抜かず床掃除をしてからデントコーンと牧草の餌やりをこなしていく。病気があると怖いので一頭ずつ牛たちの体調を確かめ、まずは前搾りをしてお乳の状態をチェックする。タオルで乳房を拭いたあと乳頭を消毒し、それでやっとミルカーを被せて乳搾りがはじまる。時間も手間もかかる作業だ。
夫たちも牛用の体温計を使ってお尻で測ってあげたけど、熱はなく元気にこっちを睨んでいるから問題はなさそうだ。たっぷりビールも飲んで昨夜から縛られていたので漏らしている皮被りのペニスをむき、ホースで水洗いしてから牛と同じタオルで亀頭を拭いてあげる。今更まじまじと観察してみると息子二人も父親とそっくりな形なのにはすこし吹き出した。当たり前だけどこんなところも遺伝するのだ。三人の竿をちゃんと消毒してから戯れにペニスにミルカーを被せてみると、我が家の男たちは搾乳機にしごかれながら藁の上で縛られて不自由な身をよじらせた。
私も同じ厩舎の藁の上で彼らに何度も慮辱され痛みに身がよじれたこと数えきれない。彼らが私にもとめたのは家族ではなかった。携帯の電波は届かず連絡手段も少ないとはいえ、逃げ出すことも絶対に不可能というわけじゃない。でも私はそれ以上に三人にいつかこの手で直接痛みの仕返しをしたかった。
集乳車のトラックの音が近づいてくる。猿轡はしてあるけれど、念のため適当に干し草をまぶして夫たちを隠し、厩舎を出てトラックの運転手のほうに向かう。気さくでお調子者な独身男の彼はお願いすれば比較的なんでも融通してくれた。今日は心待ちにしていたものが届く日だ。
運転手は家畜用の去勢器具をいくつか借りてきてくれたのだ。実家が食用牛の畜産家だという彼は家畜の去勢法に詳しく丁寧に使い方を説明してくれる。おすすめはニコイチ捻転法という袋から引き出した精索をクランクシャフトを使ってねじ切り、睾丸を2個同時に取るものらしい。血を出さずに玉の根元を縛るタイプや、先が平べったい大きなペンチで外から精子を運ぶ管を潰してしまう道具もあった。
大切な部分が体の外にぶらさがっているせいかオスの去勢は意外と簡単な道具で出来てしまうのだと感心する。もっと大事にしまっておけばよいのに、男の体とはいい加減なつくりだなと思う。
お礼にお昼にでも食べてとおにぎりの包を幾つか渡すと、集乳車の運転手は顔を赤らめてはにかみ、すぐにアルミホイルをはがして一つ口に放り込んだ。彼は頬っぺたを栗鼠みたいにして、嬉しそうにモガモガ何か言いながらタンクから牛乳を汲みあげる仕事を始める。
ミルカーの調子を確かめると牛たちは一匹が何十キロも頑張ってお乳を搾り出してくれているのに、夫たちにつながった三本の搾乳機といえば申し訳ない程度の汚い種汁がチューブの途中で止まっているだけだ。牛乳や高価な種牛と違って彼らの汁には一銭の価値もないけれど、そもそも家畜用の機械でも射精してしまう男という生き物自体にあきれてしまった。これが種があるうちの最後の射精になるとは、後で思い返せば三人とも情けない限りだろう。
上機嫌なトラック運転手に愛想よく挨拶をして送り出した後、夫たちと再び対面する。私も休憩がてらおにぎりを頬張りながら、どれを使って誰の玉を取ろうか三人の前で真剣に悩んだ。長男と次男は血の出ない方法にしてあげようか。夫はやはり切開も必要なニコイチ捻転法だろうな。でもどのみち陰嚢ごと取ってしまいたいと思い直した私は、とりあえず全員の玉袋の根元にゴムバンドをきつく締めることにした。そうすればいずれ袋ごと落ちるから後始末の手間が省けそうだ。
人でなしだが一人前の酪農家である彼らは当然何をされているかよくわかっている。夫は額に血管を浮き上がらせて怒っているけど、私はお構いなしに彼の陰嚢を引き延ばしてゴムの輪っかに通す。器具が広げているゴムが外れてしまえば、元の狭さに硬くしぼんだ輪を取り外すのはもう難しい。夫がすごい形相で懸命に口枷から声をもらして訴えるのを無視して袋の根元を縊ってあげた。
義理の息子二人にも同じようにするけれど私が慣れない手つきで股間を触るからか、まだ若い二人は激しく勃起させたり、中途半端にしおれて半勃ちになったりと、彼らのペニスはまるで別の生き物のように、ムクムク、パタンと上下左右にうごめく。簡単な刺激や心の状態でこうも変化する身体の部位があるというのはどんな感触なのだろう。片や薬を飲まないと役に立たない夫はといえば、だらしなく垂れているだけだ。ほっておいてもいずれ枯れてしまうのだろうけれど、それでは意味がない。親子三人の玉縛りが仕上がると、緊張したのか彼らの金玉は縮こまって股の間に蜜柑でもぶら下げているみたいだ。目の前に三つ並ぶとなんだか可笑しい。
次は巨大なペンチのような無血去勢器を両手に取りカチカチと開閉させてみる。痛みと喪失感を与えるには手軽でよさそうだ。兄か弟で少し迷ったけれど若い順に決めた。次男の玉袋の上から管を探ると指先にこりこりと感じる部分がある。その部分を狙うようにしっかり挟みこみ一気に潰すと、彼はのけぞってひどく悲しげに唸った。泣きはじめて暴れるので二本目の精索を見つけるのに苦労した。お兄ちゃんは弟の姿をみたので最初から半泣きで抵抗したけど、どうあがいても逃げることはできない。二人目はもう慣れたもので兄弟そろってパイプカットが済んだ。子作りには適齢期の若い二人の男が大切な管を挫滅させられる瞬間にあげる切ない声は、心地よく私の耳に響いた。
息子たちの大切な金玉が役立たずになってしまったけどご気分はいかが?そんな気持ちをこめて、ゴム手袋をはめた手で夫の髪を撫でてあげる。残念だけど孫の顔を見るのはあきらめてね。あなたのようなろくでもない男を増やされても困るもの。
夫の玉袋にスプレーで消毒薬を吹きかける。さすがに緊張するので深呼吸してから意を決して陰嚢の下をカミソリで切り取った。すると白い玉が二つぽろりとこぼれてきた。あまりにあっけなく姿をあらわしたので驚いて少し声をあげてしまう。私は気を取り直して奥の方に指を入れて管を引っ張り出し、釣り針のように先端が曲がった金属棒にひっかける。シャフトの持ち手を回転させると、目の前で夫の白い二つの玉は一緒にクルクルと回り始めた。
私は小声で呟いて何度回しているかを数える。イチ、二イ、サン、ヨン、ゴー、ロク…。十五まで数えたあたりで夫は激しく唸り始め、二十三回転目にびくんと腰を浮かせて体が痙攣したかと思うと、二つの睾丸はもろともに床に敷いてある干し草の上に落ちた。私は唇をすぼめて細い息をふーっと時間をかけて吐き出してから、思い切り肺に空気を吸い込んだ。厩舎のなかにある様々な匂いが一緒になって身体に入ってきて、またそれを吐き出す。私の心拍数は不思議と落ち着いていった。夫の袋の皮は玉を失ったせいか急速にしぼんでいく。
その後しばらくして、義理の息子たち二人の玉も袋ごときれいに取れた。縛り付けたままの三人を手当から下の世話までかいがいしくするうちに、男たちは驚くほどおとなしく従順になっていった。単純な話、去勢の効果は抜群だったのだ。
今では仲良く四人で乳牛酪農を営んでいる。勃起と去勢は直接は関係がないようで、実を言うと夜の生活も円満になった。労働で汗を流し美味しい夕飯をお腹いっぱい食べた後は、毎晩優しく私を取り合ってくれる。こんなことならばもっと早く去勢しておけばよかったと少し後悔しているところだ。町によく出かけるようになった私は友人もたくさんできた。最近はすっかりご無沙汰で寂しそうな集乳車の運転手さんには素敵なお嫁さんを探してあげようと思う。
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投稿:2022.09.27更新:2022.09.29
男を従順にする方法
著者 ほねっこ様 / アクセス 11017 / ♥ 48