草原の掟
モンゴルの平原で、俺たちは数十人規模の集落を形成していた。
ある日、大軍勢が攻めてきた。
必死に戦ったが、数の劣勢をひっくり返すことはできず、仲間が数人討ち取られ、俺たちは捕まってしまった。
捉えられた男たちが一箇所に集められている前で、金品や財産が分配されていった。
財産の中には、妻や姉妹たちといった女も含まれている。これは、草原の掟なのだ。負ければ全てを奪われる。
「男達を処分しろ!」
侵略者達の族長が言った。
「助けてくれ!ぐえっ、、!」
逃げようとした仲間はその場で突き倒され、首を刎ねられた。
「草原の男なら大人しく死ね!」
俺たちにはなすすべはないのか。
そこから4-5人の首が刎ねられた。
次はいよいよ俺の番だ。
「頼む、殺さないでくれ。」
「草原の掟だ。男は構わず殺す。いつ復讐に来るかわからないからな。」
族長が答えた。
「くっ、、わ、分かった。俺は男でなくてもいい。それでなんとか助けてくれ。」
「は。変なことを言う。お前は犯しても、子も成せないではないか。まぁ、ここの集落は女が少ない。女の代わりの仕事と、男の仕事として、戦いになったら前線で戦うこと。これを条件に、命は助けてやろう。」
「ほ、ほんとうか、、!?」
「ああ。だが、まずは、お前が”女”としてふさわしいか、確かめてやる。服を脱いで尻を向けろ。ぐずぐずするな。首を刎ねるぞ。」
従うしかなかった。
服を脱ぎ、族長に尻を向ける。俺を押し倒し、尻に油を垂らして馬のような男根を俺の尻に突き立てた。
「っっっっっっっっつ!!」
尻の痛みと下腹部への圧迫感が不愉快だった。
ちょうど妻が、自分に対して心配そうな目線を向けていることに気づいた。泣いている。
大丈夫だ、そう言いたかった。
だが、他の男に尻を犯されている様を見られるのは、あまりにも辛い。
そんな気持ちも考えなしに、族長は俺の尻の奥へ奥へと巨大な男根を押し込んでくる。
苦しい。
もし俺が女であれば、その子宮を押しつぶし、他の男の精虫を絞り尽くして、自らの遺伝子を大切な腹の奥深くに送り届けるための動きなのだろう。
俺はこの強力な子孫繁栄能力を持った遺伝子に負けたんだ。
奥を突かれるたびに、男としての自尊心が傷つき、失われていくのを感じた。
妻の顔が目に入ったが、今まで自分に見せたことがない顔をしていた。
情けない負けた男を、もはやオスとして見ていないのだろうか。
俺にプライドは残っていなかった。気がつけば俺の尻は族長の男根を全て飲み込み、新たな主人を迎え入れるように、適度な収縮で持って射精へと誘った。
気がつけば、俺は地面に向かってトロトロと、実をなすことがない無駄な精を放っていた。地面の草の栄養にもなるのか、ならないのか。
「なかなかいいモノを持っているな。いいだろう、”女”にしてやる。」
族長は俺を突き飛ばし、顔中に大量の精液を吐き出した。臭い、濃い、こんなモノを女の腹の中に吐き出せば、いとも容易く孕ませられるだろう。
「では、女を犯さぬよう、竿を切り落とす。玉を取ると使い物にならなくなるからな。まぁ、歯向かうようなことがあれば、その玉も切り落とすぞ、覚えておけ。残念だが、もう竿を擦って、簡単に精を放つことは叶わんぞ」
そう言って、族長は手早く俺の男根を引っ張りながら、大きな刀で切り落とした。
「っっっっっっっつ!」
尿道に木の枝を差し込み、切り株を手早く焼いて、止血してしまった。
あまりにもあっけなかった。
一瞬のうちに、俺のオスとしての象徴は切り落とされ、”女”へとされてしまった。
男根は無常にも犬が食ってしまっていた。俺がオスだった証は、股にぶら下がる精巣だけになってしまったのだ。
同じようにして幾人かが”女”になろうとしたが、お眼鏡に敵わず、次々と首を刎ねられ、一人だけが男根を切り落とすのみにとどまり、もう一人は女用の奴隷として、男根と精巣両方を切り落とされてしまったのだった。
男児はみな、男根と精巣の両方を切り落とされた。
俺の息子も、例外ではなかったのだ。
幾週が経ち、傷はすっかり癒えた。
小便は情けなく陰嚢を伝ってこぼれ落ちた。
もう、立って用を足すことはできなくなってしまった。
女と共に暮らす時間が増えたが、元妻が別の男の子を孕み、その腹で子供を育てているのを目の当たりにすると、絶望感が押し寄せた。
徐々に新しい夫に対して、笑顔を向けることも増えていった。
妻もオスも奪われ、俺の人生はなんだったのだろうか。
だが、俺を苦しめたのは精神的な苦痛だけではなかった。
精巣を残されたことで、沸々と湧き上がる性衝動は残ったのだ。
当然女を抱くことは許されていない。
仕方なく、男根を失ったもう一人の”女”と切り株を舐め合いなんとか発散するか、侵略者達の男に抱かれて、腹の奥を擦ってもらい、乳首をいじられながら女の様に果たされるかしか、衝動を発散するすべはなかった。
族長が言った言葉を思い出す。簡単に精を放つことが叶わないとは、そう言うことか。
やがて、ふとしたことで族長の不審を買ってしまい、最後のオスの象徴である精巣も奪われてしまった。
もう遺伝子を残すすべは何一つ残されていない。
精巣を失うと、途端に筋肉が落ち、運動能力が低下した。
使い物にならないとはこう言うことか。
脂肪がつく様になり、男どもと交わりを持つ機会が増えた。
だが、腹の奥のポイントも萎んだのか、以前よりも交わり合いたい衝動も、少なくなってきた。
果てたとしても、何をなすこともない透明な汁が、より情けない気持ちにさせた。
ある日、別の大群に襲われた。
俺は最前列に立たされ、敵の第一波を受け止める壁となったが、筋肉が衰えた俺ができることはなかった。
無惨にも胸を一突きされ、命までも奪われたんだ。