俺はどうやら総合格闘技のやつほど重症じゃないらしく、控室に運ばれた。
控室で担架から降ろされ、スタッフの人がトランクスと脚の隙間から手を入れて、俺の金玉をつまんだ。
スタッフ「大丈夫、つぶれてないよ。よかったね。冷やしときなさいね。」
女の人に触られるのは初めてだけど、痛さのあまりそんなこと気にしてられなかった。
俺の横には浩太がいた。
浩太もここで金玉を冷やしとくように言われたらしい。
俺も浩太もかなりヘコんでて、終始無言だった。
大会が終わり俺は母さんを電話で呼び出した。
車が会場に着いたころには俺も浩太もちゃんと歩けるまでに回復はしていたけど、二人とも暗い顔をしていた。
母さん「どうしたの、そんな暗い顔して。」
圭介「二人とも優勝できなかったんだよ。」
母さん「めずらしいじゃない、二人とも負けちゃうなんて。」
浩太「普段とルールが違ったし、仕方ないよ。」
母さん「急所を狙ってもいいってやつ?」
浩太「うん。」
母さん「もしかして優勝は女の子?」
圭介「そうだよ。」
母さん「やっぱりね。送ってくるときはあんなこと言ったけど、優勝は女の子だろうなって思ってたのよ。キンタマがついてる限り、女に勝てるなんて思っちゃだめよ!」
圭介「…。」
母さん「圭介ががんばって鍛えて、男のルールでは最強になっても、母さんにだって負けちゃうこともあるんだからね。母さんにムカついても暴力しようなんて考えないこと。」
母さんまで麻美たちみたいなことを言い始めた。
なんだか嬉しそうな母さんと、ヘコみきった俺たちは会場を後にした。
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投稿:2013.02.28
「金的あり、ファールカップなし」5
著者 リトルジョー 様 / アクセス 16030 / ♥ 13