毎年、夏が嫌だった。プールの授業が嫌でしょうがない。地獄の冷たいシャワーも嫌だが、男子は乳首が丸出しなのが恥ずかしくて嫌だ。そもそも、僕らは小学生だし女子でも胸はそんなに膨らんでないんだから、女子だって男子と同じようにパンツ一丁でプールに臨むべきだろう。それどころか、女子はオチンチンがないんだから水着を全く着ずにスッポンポンでやるのが正しくないだろうか。そんな不満を抱えつつ、両乳首を手で隠しながらプールの授業を受けていた。
そんなある日、隣の隣の隣の席の男の子が、こんなことを話しているのを耳にした。
「まだ俺たちは4年生だけどよ、ブルマ志願はもうできるんだぜ。福島のお兄ちゃんがお姉ちゃんになったらしいけど、そしたら女子の水着になったって。いいよな。女子になると先生からキツく怒られることも無くなるし、色々有利なんだってな。」
もちろんそんなメリットがあったとしても、大事な大事なオチンチンを自ら手放す男の子はいない。それに、ブルマ志願でブルマに3年生でなった奴らのことを見下す気持ちもあった。
家に帰ると、お父さんに男のくせにすぐ泣いて女々しいだのなんだの叱られた末に、お母さんには男はバカって罵られた。妹には兄貴死ね、と。まだ2年生なのに妹は言葉使いが荒い。なのに女の子はストレスたまるもんねと許される。
そういうわけで一週間前、女の子になることを決め、オチンチンを諦めた。
お母さんと市役所に行くと、常駐する女体化専門医に手術をされた。
ベッドの上に素っ裸で寝転がり、足を大きく開いて器具で固定され、痛い麻酔注射をしてさぁチョキチョキ。
陰裂ができる頃には、泣き果てて、悔しい思いと後悔ばかりがあった。
いざ女の子になって気づいたことなのだが、おじさん達にいやらしい目でジロジロ見られる。ゾクッとする。いちいち個室に入り座って股を拭いてとするのがマジでめんどくさい。男の子だった頃は、おちんちんがかゆいのが辛かったけど、女子は性器の中が痒いんだと知った。痒かったらかけただけ男子の頃の方が良かった。しかも、チンチン切る前は知らなかったけど、女性は中1ぐらいで生理🩸って言うのが始まるんだって。まじ最悪。さらにその上、ついついあの幼稚な男子たちに丁寧な言葉使いをしてしまう。女子はなんだか男子にバカにされているというか、女子も男子を呼び捨てする事はなかったり。
お母さんはボク、いやアタシの去勢に大喜びで、愛莉って名前をつけてきた。どうでもよかった。そんなことより、いつもいつもチンチンがもうない劣等感に襲われる。チンチンが生えてる感覚だけは残っているのに、触ったらないし、水着の上からでもモッコリしていない屈辱。妹とは仲良くなれたけど、ピンクの花柄のパジャマにいまだに慣れない。
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投稿:2023.07.31
あいり
著者 徳川家良 様 / アクセス 2781 / ♥ 14