女の股間 ―すべてを捨てる夜―
東京の夜は蒸し暑く、かずまの背中を汗が伝っていた。
涼子の部屋の前で、何度も拳を握りしめ、震える手で扉を叩く。
薄暗い部屋の中、涼子は無言で微笑んだ。
脚を組み、かずまをじっと見下ろす。
その視線には冷たさと優しさが入り混じっていた。
「ようやく来たのね」
涼子は静かに立ち上がり、ガウンを滑らせた。
月明かりに照らされたなめらかな肌。
そして股間には、滑らかで柔らかそうな皮膚だけが続いていた。
なにもない。
ただの平らな、静かな面。
涼子は堂々と脚を開き、かずまにそれを見せつけた。
「これが女の股間よ」
彼女の声は艶やかで、自信に満ちていた。
「最初から私はこんな汚い金玉も、おちんちんも持っていない
だから女は美しく清潔なの。
これが正しい形。
かずま、あなたも本当はこうなりたいんでしょう?」
かずまの喉が鳴った。
目の前の「女の股間」。
なにもない平面。
それはかずまにとって、心から望んできた形だった。
けれど足は震え、心臓は早鐘のように打っていた。
涼子は机から鋭利な手術用メスを取り上げた。
刃先が月明かりに煌めき、かずまの背筋を冷たいものが走る。
「かずま」
涼子はまっすぐかずまの目を覗き込んだ。
「あなたはもう決めたのよね?
だったらちゃんと自分の口でお願いして。
何を切り落として女になるのか、きちんと宣言するのよ」
彼女は跪き、かずまのズボンをゆっくりと降ろした。
晒された股間。
小さく縮こまったおちんちんと、だらしなく垂れた金玉。
涼子はそれを指先で摘まみ、顔をしかめた。
「ねえ、これが男の股間。
おちんちんと金玉。
あなたはこんなもの、本当はいらなかったんでしょう?」
かずまは喉を詰まらせた。
怖い。でも、それ以上に――
「……僕も……女の股間になりたい……」
声は掠れて震えた。
涼子は優しく微笑みながらも、命令するように囁いた。
「なら言いなさい。はっきりと。
“私のおちんちんと金玉を切ってください”って。
ちゃんと自分の意思でお願いして」
かずまの身体は震えた。
恥ずかしさと恐怖で胸が苦しい。
けれど、目の前の「女の股間」をもう一度見つめた。
それは美しかった。とても羨ましかった。
勇気を振り絞り、彼は震える声で宣言した。
「…わ、わたしの……おちんちんと金玉を…切ってください…
女の股間に…してください……」
声はかすれ、涙が滲んだ。
だけどその瞬間、心は澄み渡った。
涼子は満足そうに頷いた。
「よく言えたわ。
これで迷いはないわね」
彼女は迷いなく刃を滑らせた。
鋭い痛みが下腹部を貫き、かずまは短く悲鳴を上げた。
熱い液体が腿を伝い、全身が震える。
涼子は切り取ったものを指で持ち上げた。
「これがあなたを苦しめてきたもの。
この汚らしいおちんちんと金玉のせいで
あなたはずっと偽物の性で生きてきたの」
彼女はそれを軽蔑の眼差しで眺め、ゴミ箱に投げ捨てた。
まるで腐った生ゴミのように、何の未練もなく。
涼子はかずまの頬を優しく撫でた。
「もう安心して。
これでもうあなたの股間は私と同じ、女の股間よ」
彼女は誇らしげに自分の平らな股間をかずまに見せつけた。
「ね、怖かったけど言ってよかったでしょう?
おちんちんも金玉も最初から要らなかったのよ
女の股間の方がずっと美しいでしょう?」
かずま涙と汗に濡れながら、それでも微笑んでいた。
自分の中で男の証は完全に消え去った。
「もう男じゃなくなったんだ」
「そうよかずまくん、もう、男じゃない。」
涼子はにっこりと笑い、「これからは女同士だね。」と言って、私に新しい名前を告げた。「これからは、美咲って呼ぶわ。」
その瞬間、まるで自分が全く新しい人生を歩み始めたような感覚に包まれた。美咲――それが今、私の名前だ。
涼子はさらに、私に試着用の下着を差し出してきた。「これ、あなたにぴったりだと思うわ。もう男のものは必要ないでしょ?」そう言いながら、私にレースのブラとショーツを手渡した。
試着室に向かう足はとても軽やかだった、鏡の前でそれを身につけた時、自分の体が完全に女性のものになったと実感した。そして、再び鏡を見つめる。
「どう?」涼子がその場に現れ、私を見つめた。
私は、女性としての自分を理解し、そして喜びに満ちて答えた「…完璧です。」
このあと美咲に彼氏が出来て…
あっこれはまた別のお話…