俺の去勢願望と実行3
この物語の主人公は、佐藤ヒロ 21歳。
東京の片隅、狭いアパートの一室で、ベッドに寝転がり、ネットの海を漂っていた。
彼は、昼はコンビニのアルバイト、夜は自分の内なる欲望と向き合う時間を繰り返していた。
その欲望は、誰にも言えないものだった。
ヒロの指がスクロールを止め、一つのバナー広告に目が留まった。
「治験ボランティア募集」と書かれた広告だ。普段なら無視する類のものだが、今回は違った。
詳細をクリックすると、「睾丸摘出による身体の変化に関する長期研究。健康な成人男性を対象に、
ホルモン変化や心理的影響を経過観察。報酬:300万円〜500万円」という文言が目に飛び込んできた。
心臓が一瞬強く脈打った。「去勢」なぜかその言葉に惹かれていた。
最初はただの好奇心だったが、ネットの奥深く、匿名掲示板や海外のフォーラムを彷徨ううちに、
それは好奇心を超えた何か性的嗜好と呼べるものに変わっていた。
自分を「異常」だと思ったこともあったが、今ではそれを否定せず、受け入れている。
「研究、か…」ヒロはつぶやき、画面をスクロールして詳細を読み進めた。
治験は、国内の名門大学の付属病院で行われ、参加者は手術と定期検査とカウンセリングを受け、
身体と心の変化を記録する。報酬は破格で、匿名性も保証されていた。
だが、不可逆的な決断が求められる。ヒロの頭に、恐怖、興奮、社会からの孤立、
そして「これがチャンスかもしれない」という感覚が浮かんでは消えた。
彼はスマホを握りしめ、応募フォームのリンクをクリックした。入力画面が開くと、指が一瞬震えた。
「本当にやるのか?」と自問する声が響いたが、「これが俺の望んだことじゃないか?」
という声にかき消された。必要事項を入力し、送信ボタンを押した瞬間、胸の奥で何かが弾けた。
後戻りできない一歩を踏み出した気がした。
数日後、メールボックスに返信が届いた。
件名は「治験説明会のご案内」指定された日時は週末の午後、場所は都内の大学病院だった。
ヒロは緊張と期待が入り混じった気持ちで病院に向かった。
待合室は無機質で、消毒液の匂いが漂っていた。受付で名前を告げ、番号札を渡された。
他の参加者だろうか、20代から30代と思しき男性数人がちらほらと座っていた。
誰もが互いに目を合わせず、スマホをいじるか、壁のポスターをぼんやり見つめていた。
ヒロもまた、自分の心臓の鼓動だけを感じながら静かに待った。
やがて、若い看護師に呼ばれ、会議室に通された。そこには、白衣を着た女性が立っていた。
30代後半くらい、眼鏡の奥の目は鋭く、しかし温かみのある声で自己紹介した。
「こんにちは。私はこの治験の責任者、林美咲と申します。
本日は、研究の目的とプロセスについてご説明します。」
林医師はスライドを使い、治験の概要を淡々と説明した。
睾丸摘出後のホルモン変化、心理的影響、長期的な健康管理の必要性。
言葉は科学的で、どこか冷たく響いたが、ヒロの胸には奇妙な熱が広がっていた。
「これが、俺の選んだ道だ」と頭のどこかで囁く声がした。
説明会後、参加希望者は即日で各種検査を受けることになった。
ヒロが個室に案内されると、林医師の助手である3人の女性研修医、田中、佐々木、松本が待っていた。
田中が自己紹介し、検査の流れを説明した。
「今日は身体測定、精液検査、血液検査を行います。すべて研究のベースラインとして記録しますので、
ご協力お願いします」。最初は陰茎と睾丸のサイズ測定だった。
田中がノギスを手に持ち、佐々木がタブレットにデータを入力している。
ヒロはズボンを下ろすよう指示され、羞恥心が一瞬胸を刺した。
だが、研修医たちの無機質な手つきと淡々とした声が、逆に彼を落ち着かせた。
「平常時陰茎長:8.3センチ、睾丸平均径:4.1センチ。異常なし」と田中が読み上げ、
佐々木が頷きながら記録した。
ヒロは、自分の身体が「データ」として扱われることに、奇妙な興奮と安堵を覚えた。
次に、精液検査を行うことを告げられた。
「精液の量と質を測定します。射精にあたり、電気刺激を与える器具を使い、行っていただきます。
あと、勃起時の陰茎長も測定しますので、まずは完全に勃起状態になりましたら声をかけてください。」
ヒロは困惑しながら尋ねた「電気刺激、、、?どういうことですか?」
田中が丁寧に説明を始めた「ご自身での刺激ですと、定量的なデータを取る際にバラツキが出てしまいます。機械的にどの程度の刺激で射精に至るか、ということを測定することが目的です。」
続けて「勃起状態になりましたら、私のほうで器具を付けまして、射精まで処置をさせてもらいます。」
と告げた。ヒロは想像もしていなかった内容に一瞬パニックになりながらも、興奮を抑えきれなかった。
すぐに勃起状態となり、再び田中の手によってサイズが測られ、器具の取り付けもそのまま行われた。
「それでは刺激を開始しますね」と告げられ、スイッチが入れられると、
これまでに感じたことのない快感が、ヒロを襲った。
徐々に強くなる刺激に耐えられるはずもなく、田中に亀頭を採取容器の中に入れられ、
そのまま射精に至った。この状況にも関わらず、3人の研修医たちは顔色を変えることなく、
研究の一環として淡々と作業をしていたのが対照的だった。
最後に、血液検査が行われ、松本が慣れた手つきで針を刺し、血液を採取した。
「ホルモンレベルを確認します。後日、結果をお伝えします」と事務的に告げた。
すべての検査は30分ほどで終わり、ヒロは解放された。
検査から一週間後、病院から郵便物が届いた。
「検査結果:問題なし。精液量:3.2ml(正常範囲)、ホルモンレベル:異常なし。
治験参加資格を満たしています。参加を希望される場合、契約書への署名後、返送をお願いします。」
同封されていた書類には、リスク、報酬、プライバシー保護の条項がびっしりと書かれていた。
ヒロは一晩、同意書を読み返した。手術後の不可逆性、ホルモン補充療法の必要性、心理的影響の可能性。
すべてが現実味を帯びて迫ってきた。だが、胸の奥で燃える欲望がそれを上回った。
「これが俺の望んだことだ」。そう自分に言い聞かせ、翌朝、署名欄にペンを走らせた。
契約書を返送後、林医師との個別カウンセリングが設定された。
林の部屋は清潔で整然としていた。
壁には医学書の棚と、家族写真らしきフレームが控えめに飾られていた。
林は柔らかい笑みを浮かべ、プロフェッショナルな距離感を保っていた。
「佐藤さん、なぜこの治験に参加しようと思ったのですか?」と彼女の質問はストレートだった。
ヒロは一瞬言葉に詰まった。羞恥心を感じていたが、嘘をつくのも無意味に思えた。
「実は…去勢に、性的な興奮を感じるんです。ずっとそういう願望があって…この機会だと感じました」
言葉を吐き出した瞬間、ヒロは顔が熱くなるのを感じた。
恥ずかしさと解放感が同時に押し寄せた。林は表情を変えず、静かに頷いた。
「佐藤さん、ありがとうございます。とても勇気ある告白です」と彼女は穏やかに告げた
「去勢に対する性的嗜好、それは、医学的には『去勢フェティシズム』や『身体変形への指向』として
知られることがあります。珍しいわけではありませんし、恥じる必要もありません。
この治験では、参加者の心理的背景を深く理解することが重要です。
あなたの動機は、私たちにとって貴重なデータです」
ヒロは目を丸くした。否定されることを恐れていたのに、林は予想外に受け入れてくれた。
彼女は続けた。
「治験の目的は、ホルモンや身体の変化を追跡することですが、参加者の精神的満足度も考慮します。
あなたの嗜好を尊重し、プロセスの中でそれが満たされるよう、例えばカウンセリングや
術後のフォローで適切な対話の場を設けます。手術は不可逆的な決断ですが、あなたがこの選択に
前向きでいられるよう、サポートします。」林医の言葉は、悠斗の心に深い安堵をもたらした。
欲望を曝け出したことで、逆に自分を受け入れられた気がした。
彼は小さく頷き、「ありがとうございます」とつぶやいた。
カウンセリングは一時間近く続き、動機や精神状態、術後の生活について深く掘り下げられた。
林の言葉は時に厳しく、しかし温かく、ヒロに決意を固めさせた。
数日後、手術の日程が決定した。
ヒロは自宅のカレンダーに赤いペンで印をつけ、静かに息を吐いた。
恐怖と興奮が混じり合い、彼の心を満たしていた。
手術当日、朝9時に大学病院に到着し、受付で手続きを済ませ、病室に案内された。
用意された白い病衣に着替え、ベッドに横たわると、心臓の鼓動が耳に響いた。
病室の扉がノックされ、女性看護師が入ってきて、術前の準備について説明した。
「佐藤さん、剃毛と最終確認を行います。手術は11時から、林医師が執刀します」
彼女の声は落ち着いていたが、ヒロの胸は高鳴っていた。
剃毛処置のため、処置室に移動した。処置室には、研修中の女性看護師が複数名いた。
指導役の看護師鈴木が「こちらは研修中の看護師です。剃毛は研修の一環として、彼女たちにも
見学・補助してもらいます。」皆、20代前半と思しき新人で、緊張した面持ちで会釈した。
ヒロは、複数の女性に見られる状況に、喉が乾くのを感じた。
「佐藤さん、下着を脱いでこちらのベッドに横になってください」と鈴木が指示した。
ヒロは羞恥心を抑え、指示に従った。
ベッドに敷かれた冷たいシートに肌が触れ、部屋の空気が重く感じられた。
鈴木が温かいシェービングクリームを塗り始め、柔らかい手の感触と複数の視線がヒロの嗜好を刺激した。
剃刀が肌を滑るたびに、快感と羞恥が交錯した。
新人の一人が補助として剃刀を持ち、慎重に毛を剃りはじめた。
彼女の手はわずかに震えていたが、鈴木の指導で徐々に慣れていった。
他の看護師たちはタブレットに手順を記録し、一人が清潔なタオルを準備していた。
ヒロは目を閉じ、呼吸を整えようとしたが、抑えきれるはずもなかった。
去勢手術を目前にしたこの瞬間、剃毛という行為が彼の欲望の核心を直撃した。
突然、身体が震え、吹き出すように射精してしまった。部屋が一瞬静まり、羞恥が全身を貫いた。
「す、すみません…」と小さな声でつぶやいた。鈴木が冷静に反応した。
「大丈夫です、佐藤さん。緊張や刺激で起こり得ることです。気にしないでください」
彼女は新人の一人に目配せし、新しいシートとタオルを用意させた。
鈴木が研修生に言った。「こういう事態も、患者さんの自然な反射として対処します。
冷静に対応することが大切です。」剃毛はすぐに再開され、数十分で終了した。
ヒロは羞恥と安堵の入り混じった気持ちで病室に戻された。
10時半、林医師が病室に現れた。
「佐藤さん、準備はできていますか? 剃毛の際、少し緊張されたようですね。
問題ありません。あなたの気持ちを尊重しています。」看護師からの報告があったのだろう。
林の言葉は、カウンセリングでの約束を思い出させた。
「はい、大丈夫です。問題ありません。」とヒロは答えた。
林は頷き、手術の流れを説明した。
「局所麻酔で、1時間ほどで終わります。意識はありますが、痛みはありません。
モニターで手術を見られます。術後はホルモン療法とカウンセリングでフォローします。」
11時になり、手術室に運ばれた。
部屋は明るく、消毒液の匂いが漂い、モニターや医療機器が整然と並んでいた。
手術台に横になり、足がM字で開脚した状態で固定された。
心臓の鼓動が耳に響きながら、大型モニターに、カメラが捉えた剃毛された陰部が映し出された。
自分の性器が鮮明に映るのを見た瞬間、ヒロは喉が締まる思いだったが、
去勢という欲望が現実になる瞬間に、抑えきれない興奮が胸を突いた。
手術室には林医師と、複数名の女性研修医がいた。
20代半ばとおぼしきの彼女たちは、研究レポート作成のためにカメラやタブレットを手にしていた。
林医師が手術前に研修医に説明した。
「本日の患者、佐藤さんは、去勢に対する性的嗜好をお持ちです。
この嗜好は研究の心理的側面で重要なデータとなります。手術中の反応や心拍変化等も正確に記録し、
プロフェッショナルに対応してください。」研修医たちは頷き、タブレットにメモを追加。
ヒロは、嗜好が公にされることに羞恥を感じたが、林医師のカウンセリングでの約束を思い出し、
安心した。手術用シーツの準備が始まった。
研修医たちがシーツを持ち、陰部を露出する穴を調整したが、ヒロの陰茎はすでに勃起していた。
シーツを広げる手が一瞬止まったが冷静に言った。
「勃起状態を考慮して、シーツを慎重に配置します。」
研修医たちは器用に陰茎を避け、シートを固定した。ヒロは視線を感じ、顔が熱くなったが、
欲望が抑えきれず、余計に勃起は収まらなかった。
林が手術開始を宣言し、麻酔を手に、研修医に説明した。
「まず、陰嚢及び、両睾丸へ局所麻酔を実施します。」
突き刺すような痛みを感じながら、陰嚢と睾丸へ麻酔の針が刺さっていくのを見届けた。
麻酔薬が注入されていくにつれて、痛みはなくなっていき、感覚もぼんやりしてきていた。
メスに持ち替えた林は研修医たちに説明を続けた
「これから陰嚢の中央を切開します。皮膚は薄く、血管を避けるよう注意深く進めます。
近くで切開部位を確認してください。」研修医たちが手術台に近づき、林の手元を注視。
モニターには、メスが陰嚢の皮膚を切り開く様子が映し出された。
ヒロは痛みはないものの、冷や汗が背中を伝った。
切開が進むと、林は続けた。「睾丸を露出させるため、脂肪層を慎重に剥離します。カメラを調整して、
動画と静止画を記録してください。」
研修医の一人がカメラを操作し、ヒロの性器がクローズアップで撮影された。
フラッシュが光り、シャッターの音が響いた。
勃起した陰茎がモニターに映り、ヒロは羞恥と興奮の狭間で息を呑んだ。
そしてついに、林が右の睾丸を陰嚢から引き出した。
まだ精索で繋がれた睾丸がモニターに大きく映し出された。
「これが右睾丸です。触診して、構造を確認してください。みなさん、順番に触ってみてください」
と林が指示する。研修医たちはゴム手袋をはめ、慎重に触れた。
一人が「滑らかで、弾力がありますね」とつぶやき、皆が頷いた。
林は「正常な睾丸の重量は約20gです。この基準値も覚えておいてください」と補足説明した。
代わる代わる触診されていくにつれ、ヒロの我慢が限界に近づいていた。
複数の手が睾丸に触れる感覚と、モニターの映像が、彼の嗜好を極限まで刺激していた。
最後の一人が触診をしている最中、ついに耐えきれず射精してしまった。
精液がシートに飛び、心拍モニターが急激な変化を示した。
手術室に一瞬の緊張が走り、研修医の目が心拍計に集まった。林は冷静に指示した。
「精液をガーゼで処理してください。心拍変化は記録。自然な反応です、慌てず進めます。」
研修医の一人がガーゼで拭き取り、皆タブレットに「術中射精、心拍上昇」と入力していた。
ヒロは羞恥で顔を赤らめ、「すみません…」とつぶやいた。林が穏やかに声をかけた。
「佐藤さん、大丈夫です。この状況で性的興奮を感じていますか? 精神状態はいかがですか?
正直に教えてください、研究に役立ちます。」
ヒロは声を震わせながら答えた。
「はい…興奮しています。恥ずかしいけど、すごく…刺激的です。頭はクリアです」。
林は頷き、「ありがとう、データとして記録します。安心して進みましょう」と言った。
林は右の睾丸の精索を処理する前に確認した。
「佐藤さん、まもなく右の睾丸を切除します。よろしいですね?」
ヒロはモニターを見つめ、勃起が収まらないまま「はい、お願いします」と答えた。
精索を結紮し、研修医たちに切り離す旨を周知した後、静かにハサミを入れた。
モニターに睾丸が切り離される瞬間が映し出され、ヒロは全身を貫くような性的興奮を感じた。
また欲望の核心が満たされる感覚に、息が荒くなった。
右の処置が終わると、左の睾丸も同様に引き出され、同じように触診された。
そして林が再び確認した。
「佐藤さん、それでは左の睾丸を切除します。もう元には戻れません、よろしいですか?」
ヒロは興奮の頂点で「はい」と答え、精索が切り離される瞬間、これまでにない快感に震えた。
研修医たちも熱心にその様子を記録に収めた。
まもなく、去勢が完了した事実に、羞恥や恐怖を超えた満足感が胸を満たした。
摘出された睾丸はステンレスのトレーに移された。右と左の睾丸が、
血や組織液に濡れた状態で置かれる様子がモニターに映った。
ヒロは、自身の身体の一部が切り離され、物体として扱われる光景に、息を呑んだ。
羞恥と興奮が再び胸を突き、勃起が収まらないままモニターを凝視した。林が研修医に指示した。
「摘出サンプルの測定と記録をお願いします。大きさ、重さ、写真撮影を正確に。」
指示を受けた一人がトレーに近づき、ノギスで右の睾丸の大きさを測定。
「長径4.2センチ、短径2.8センチ」と報告し、皆がタブレットにデータを入力した。
その後、デジタルスケールで重さを測定し、「右:19.8g、左:20.1g」と読み上げた。
研修医たちの手際は、緊張感の中でもプロフェッショナルだった。
カメラを構えた研修医たちは、トレー上の睾丸を撮影。
無数のフラッシュが光り、モニターにはクローズアップの映像が映った。
睾丸の表面の滑らかさや精索の切り口が鮮明に捉えられていた。
ヒロは、自分の身体の一部が「研究サンプル」として扱われる状況に、抑えきれない興奮を感じた。
去勢が完結し、その証が記録される光景は、彼の嗜好の核心を直撃した。
心拍モニターが再び上昇し、林はちらりと計器を確認したが、落ち着いた様子で作業は続行された。
測定と撮影が終わると、一人が保存液の入ったガラス容器を準備していた。
そして透明な液体に右の睾丸を慎重に沈めた。
彼女の手はわずかに震えていたが、林が「ゆっくりで大丈夫」と声をかけ、左の睾丸も収められた。
ヒロは、モニター越しに睾丸が液体に浮かぶ様子を見た。
自分の身体の一部が永久に保存される事実に、奇妙な満足感と興奮が混じり合った。
「患者ID:S-247、摘出日:202●年●月●日、右睾丸:19.8g、左睾丸:20.1g」と記載されたシールが
容器に貼られ、蓋が閉じられた。研修医が林医師に手渡した。
「先生、サンプル摘出と記録が完了しました」と報告。
林は頷き、「ありがとう、正確な作業です。サンプルは研究室に送ります」と言った。
林が切開された陰嚢の縫合を終え、ヒロに声をかけた。
「佐藤さん、手術は無事終了しました。よく頑張りました」
手術は50分ほどで終わり、悠斗は病室に戻された。
病室に戻った後、麻酔が切れるにつれ、軽い鈍痛が下腹部に広がった。
だが、ヒロの心は、手術中の映像や摘出された睾丸の処理を思い出し、複雑な満足感で満ちていた。
夕方、林が訪れた。
「佐藤さん、気分はいかがですか?手術中の反応は、嗜好を反映した貴重なデータです。
次回のカウンセリングで、今日の経験を話しましょう。何か気になることがあれば、
いつでも言ってください」。ヒロは頷き、初めて自分の欲望を完全に受け入れた気がした。
手術から2週間後の、ヒロは再び病院を訪れた。
ホルモン補充療法が始まり、軽い疲労感を感じていた。
今回の再診までは自慰行為、射精は禁止されている。
しかし、性欲は依然強く、去勢の記憶、モニター映像、保存液の睾丸、研修医たちの視線、は
興奮と羞恥を呼び起こした。個室には手術に同席した研修医たちと林医師がいた。
林が穏やかに挨拶した。
「佐藤さん、今日は術後の変化を確認します。陰茎のサイズ測定と精液検査を行います。
私も立ち会います。」林の声が緊張を和らげた。
陰茎のサイズ測定は、前回同様ノギスで測定。
「安静時:8.1センチ、勃起時:14.5センチ」と報告。
皆が一様にタブレットに数値を入力した。
ほぼ変化がない数値に、ヒロは安堵と失望が混じる感情を抱いた。
次に精液検査の準備が始まった。
個室にはカメラ、顕微鏡、大型モニターが設置されていた。林が説明した。
「佐藤さん、術後の射精力と精液の状態を観察するため、複数回の射精をお願いします。
精液の性状、射精力、精子数等を記録します。顕微鏡画像はモニターに映し、
リアルタイムで確認します。」
研修医たちはカメラを調整し、精液を入れるためトレーを準備していた。
それと同時に検査着に着替えさせられ、下半身が露出した状態で手術を行った時と同様の開脚体勢で
固定された。
林は「あの時を思い出してもらいながらのほうがスムーズですよね?」と、ヒロに配慮していた。
モニターに陰部が映ると、ヒロの陰茎はすでに完全に勃起していた。
事前の検査同様に電気刺激の器具が取り付けられ、スイッチが入れられると止めどもない快感が
襲ってきた。研修医たちの視線と、今回は林の存在が、嗜好をより強く刺激した。
まもなく、1回目の射精を迎える。
研修医がトレーを手に「こちら射精してください。」と告げ、そのまま大量の精液をトレーに放出した。
受け止めた研修医は目盛りを読みながら「量:約5ml、黄みがかった白色濁」と読み上げた全員が
記録する中、精液をスライドガラスに移し、特殊な溶剤を混ぜて、顕微鏡で観察を始めた。
大型モニターに動く精子が無数に泳ぐ映像が映し出された。
林が冷静に説明した。
「初回の精液には、睾丸摘出前に精嚢に残っていた精子が含まれています。正常なようです。
次に、精子濃度を報告してください。」
機器を見ていた研修医が「精子濃度:約1000万/ml」と報告した。
ヒロは、動く精子の映像に、去勢の現実と矛盾する興奮を感じ、胸が締め付けられた。
2回目の射精は30分の休憩後に行われた。
同様に電気刺激を加えられ、薄く濁った精液が約3ml放出された。
顕微鏡画像では精子の数が減っているようだった。
林が「残存精子が減少し、粘度が変化していますね。運動率も測定してください」と指示。
研修医が測定結果を「運動率:約30%」と報告した。
確実に残存している精液は排出されているようだった。
3回目も1時間ほど休憩を挟み、実施された。
わずかに濁った精液が約2ml放出され、精子もまだ僅かに見られた。
林は「おそらくあと1回程度で、精嚢内の静止もすべて排出されるでしょうね」と呟いた。
その後、4回目が実施され、ついに透明な液体のみが出た。
顕微鏡画像を見る限り精子は完全に消失したようだった。
林が診断した。「精子はゼロと判断します。術後の精液は前立腺液と尿道腺液のみとなりました。
おめでとうございます。」
この事実はヒロが去勢を受け、男性として完全に生殖機能を失ったことを告げるものだった。
ヒロは頷き、欲望と現実の間で揺れながら、事実を噛み締めた。
そして、長年の夢を叶えた彼の表情は、達成感に満ち溢れていた。。。